大阪地方裁判所 昭和45年(ワ)5193号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕一、事故
請求原因第二一(一)ないし(五)の事実は当事者間に争いがなく、<証拠>によれば、加害車が後退して大畑照一に加害車のキャタビラ部分を接触させたことが認められる。
二、責任原因
<証拠>を綜合すると、被告は、加害車を所有し、自己の営む採石業のために被用者の長峰をして、これを運転させていたが、事故当時は運転手が不在であつたため、被告の注文によつて砕石の運搬を下請していた上明戸がその所有のダンプカーに砕石を積載するために加害車を運転していたもので、被告はこの運転を黙認していたことが認められる。以上認定の事実によれば、被告は、加害車を自己のため運行の用に供していたものというべきである。なお、被告は、加害者は特定の事業所内でのみ使用するもので自賠保険の適用がないから、被告は、運行供用者の責任を負わない旨主張するが、加害車が道路以外の場所のみにおいて運行の用に供するものであるとしても、自賠保険の契約締結強制の適用外となるにすぎず、加害車は自動車であつて自賠法第三条の適用を免れるものではないことは勿論である。
前記各証拠によれば、本件事故、現場は採石の作業場内であつたこと、上明戸は、加害車を運転中、後方を十分確認することなく後退したため、岩石の上に坐つていた大畑照一に加害車のキャタビラ部分を接触させて岩石に押しつけたこと、大畑照一は、被告に雑役夫として雇われ、採石場附近にほこりが立つのを防ぐための散水をなし、その合間には作業場内で石塊を砕く仕事に従事していたが、本件事故当時は岩石の上に腰かけて石塊を砕いていたものであることが認められ、右認定に反する証拠はない。上明戸が大畑照一に対して退出するよう注意したことおよび大畑照一が飲酒していたことを認めるに足る証拠はない。以上の事実によれば、本件事故発生については上明戸に後方の安全不確認のまま後退した過失があつたものというべきであるから、被告は、加害車の進行供用者としての責任を免れない。(山本矩夫)