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大阪地方裁判所 昭和45年(ワ)5393号 判決 1972年3月30日

原告

小柳愛蔵

代理人

鍛治巧

被告

ヤマセ乾物株式会社

被告

村上隆夫

右二名代理人

児玉憲夫

右同

片山善夫

主文

一、被告らは、各自原告に対し、金五、五二七、五七七円およびうち金一、九七〇、五八〇円に対する昭和四五年一〇月二九日から、うち金三、〇五六、九九七円に対する昭和四六年六月二六日から、各支払済まで年五分の割合による金員を支払え。

二、原告のその余の請求を棄却する。

三、訴訟費用はこれを九分し、その四を原告の負担とし、その余を被告らの負担とする。

四、この判決は原告の勝訴部分に限り仮に執行することができる。

事実

第一  当事者の求めた裁判

(原告)

一、被告らは、各自原告に対し、金九、四六一、四二八円およびうち金一、九七〇、五八〇円に対する訴状送達の翌日から、うち金三、九六九、四八〇円に対する昭和四六年六月二五日付訴え変更申立書送達の翌日から、うち金二、七三一、三六八円に対する昭和四七年二月二四日付訴え変更申立書送達の翌日から各支払済まで年五分の割合による金員を支払え。

二、訴訟費用は被告らの負担とする。

との判決および仮執行の宣言。

(被告ら)

一、原告の請求を棄却する。

二、訴訟費用は原告の負担とする。

との判決。

第二  請求の原因

一、事故

原告は次の交通事故により傷害を受けた。

(一)日時 昭和四四年五月三一日午後一時五分ごろ

(二)場所 池田市五月丘三丁目一一番地先道路上

(三)加害車 小型四輪貨物自動車(大阪四み七八五一号)

右運転者 被告村上隆夫

(四)被害車 普通乗用自動車

右運転者 原告

(五)態様 追突

(六)傷害 頸椎捻挫、頸腕症侯群

二、責任原因

(一)運行供用者責任

被告ヤマセ乾物株式会社(以下被告会社という)は、加害車を所有し、自己のため運行の用に供していた。

(二)使用者責任

被告会社は、自己の営業のため被告村上隆夫を雇用し、同人が被告会社の業務の執行として加害車を運転中、後記の逸失により、本件事故を発生させた。

(三)一般不法行為責任

被告村上隆夫は前方不注視の過失により本件事故を発生させた。

三、損害

原告は、本件事故により、次の損害を蒙つた。

(一)療養関係費

1、近藤病院治療費 金一、七七四、〇六〇円

2、同病院通院交通費 金三〇、五八〇円

3、同病院入・通院中の雑費 金一〇〇、三六〇円

4、南条治療院治療費 金四、八〇〇円

5、同院通院交通費 金九一〇円

6、日赤病院治療費 金七、一五〇円

7、同病院通院交通費 金五二〇円

8、箕面正井病院通院交通費 金四八〇円

9、阪大病院通院交通費 金一、〇八〇円

(二)休業損害

原告は箕面観光開発株式会社の社長付自動車運転手として勤務し、一ケ月平均金六〇、〇〇〇円の収入を得ていたが、本件事故による受傷のため昭和四五年二月一四日から昭和四六年六月二四日間まで全く稼働できず(勤務先会社を昭和四五年六月一三日付で退職するを余儀なくされた)、その間収入を得られなかつた。そして、昭和四五年夏期の賞与金一二〇、〇〇〇円、同年冬期の賞与金一八〇、〇〇〇円の支払いも受けられなかつた。従つて休業による損害は金一、二六〇、〇〇〇円となる。

(60,000×16)+120,000+180,000=

1,260,000

(三)逸失利益

原告は本件事故による受傷により後遺症が残り、その程度は労働者災害補償保険級別七級四号に該当するので、労働能力は五六パーセント喪失し、その状態は原告の就労可能期間一二年間は継続するものと考えられるので、これによる得べかりし利益の喪失額の現価をホフマン式計算によつて算定(係数は9.215)すれば、次のとおり金三、七一五、四八八円となる。

60,000×12×0.56×9.251=3,715,488

(四)慰藉料 金二、〇八六、〇〇〇円

原告は本件事故による受傷のため、事故直後より箕面正井病院で治療を受け、昭和四四年八月末頃まで通院し、同年九月一日より箕面観光開発株式会社に復職したが、同年一二月上旬頃より両手特に左手にしびれを感ずるようになり、更に左足にも痛みを覚え歩行困難となつた。そして、その後昭和四五年二月一四日より近藤病院に入院し、同年九月二八日に退院したが、七級の後遺症を残し、また、前記のとおり勤務先会社を退職せざるを得なくなるなど、その受けた精神的、肉体的苦痛は甚大であり、慰藉料は金二、〇八六、〇〇〇円を下らない。

(五)弁護士費用 金七九〇、〇〇〇円

(六)損害の填補

原告は自賠責保険後遺障害補償として金三一〇、〇〇〇円を受領したので、これを右損害金の内金に充当した。

四、よつて、原告は被告らに対し第一記載どおり判決を求める。

第三、請求原因に対する答弁および主張

一、請求原因一の(一)ないし(五)、二の各事実は認めるが、一の(六)を否認し、三の損害額を争う。

二、示談

被告らと原告との間で、昭和四四年八月一四日、次の如き示談が成立した。

(一)、被告らは原告の同月二一日までの治療費を支払う。

(二)、被告らは原告の本件事故による休業補償、慰藉料として金四〇〇、〇〇〇円を支払う。

(三)、後日原告に後遺症が発現した場合は被告らにおいて責任を負う。

右は、原告が当時治療を受けていた箕面正井病院の医師の意見を聞き原告の勤務先会社の事故係の社員の仲介で原告の要求通りの内容で成立したもので、被告らは金四〇〇、〇〇〇円を支払済みである。従つて、原告としては後遺症が発現した場合にのみ損害賠償の請求が可能であるところ、原告主張の後遺症は原告が事故以前に潜在的に頸椎の老化現象(変形性背椎症)があり、脊髄管が狭窄していたため、事故を契機に症状が顕在化したにすぎず、本件事故を相当因果関係があるとは考えられないので、原告の本訴請求は失当である。

三、損害額について

本件事故は極めて軽微な追突事故であり、右の事故によつて原告主張の如き後遺症が生ずるはずがなく、原告主張の後遺症はこれがあるとすれば、前記の如くひとえに事故前から存在していた素因が顕在化したにすぎず、これによる損害を全部被告らに負担させることは相当でない。その他主張の損害額はいずれも過大である。

四、弁済

前記二記載の金四〇〇、〇〇〇円を支払つている。

第四、右主張に対する答弁

被告ら主張どおりの示談が成立したことは認めるが、本訴は示談の後に発現し示談の際予見しえなかつた後遺症に基づく損害を請求しているものであり、右の後遺症は本件事故によつて生じたものである。なお、被告らより右示談による金四〇〇、〇〇〇円の支払いを受けたことは認めるが、右は後遺症発現前の原告の本訴請求外の損害金に充当したものである。

第五、証拠<略>

理由

第一、請求原因一の(一)ないし(五)、二の各事実は当事者間に争いがない。

第二、傷害、後遺症

一、<証拠>によれば、次の事実が認められ、右認定に反する措信すべき証拠はない。

原告は本件事故当時池田タクシー株式会社にタクシー運転手として勤務していたが、本件事故により頸部にむちうち機転を受け、箕面正井病院に頸部捻挫の傷病名により事故日の昭和四四年五月三一日より同年八月二一日まで八三日中実通院日数四五日の通院治療を受け、同月中旬頃には愁訴も消え症状が軽快し、担当医師からも治ゆしたものと診断されたので、その頃から前記池田タクシー株式会社に復職し平常通りに勤務するようになり、同月一四日には後記のように被告らとの間で示談を締結し、その後同年九月、同訴外会社を退職して箕面観光開発株式会社の社長専用車の運転手に転職し、自動車運転手として通常の勤務に就いていた。

ところが、同年一一月頃、手のしびれ、左足が長く感ずる、両手の掌がちかちかするなどの身体の変調があるのに気付き、そのうちに足の力が抜けて歩行困難となるに至つた。そこで、昭和四五年一月頃、前記箕面正井病院で診断を受けたところ、入院を勧められたので、同年二月一四日、友人の紹介で近藤病院に入院し、頸部外傷性バレール症候群の傷病名で治療を受け、同年九月二八日まで二二七日間入院し、退院後も昭和四六年五月まで(実通院日数二〇日)通院し、その間昭和四五年六月に神戸市立中央病院で診断を受け、外傷性頸椎症候群で両上下肢に脊髄症状のあることが認められ、昭和四六年六月に大阪赤十字病院で診断を受け、原告にはもともと頸椎骨軟骨症があつたところ本件事故によつて悪化し脊髄症状を呈するに至つたものであることが指摘された。

そして、昭和四七年一月一九日当時(鑑定時)においてもレントゲン所見で第四、第五、第六、第七各頸椎椎間板は著しく狭少で椎体前縁および後縁に骨棘形成がみられ、第五、第六頸椎の後縁の突出は強くこの部を中心に後従靱帯の骨化像もみられ、また、整形外科的所見では、頸椎の運動は背屈および側屈が中等度に、回旋は左右共に軽度に、それぞれ制限され、両上肢とくに手掌、指全般に知覚と触覚の鈍麻があつて指先の細い運動が拙劣であり、下肢にも運動障害があり歩行は痙性で階段の昇降が困難である状態であることが認められ、更に脳神経外科的所見では、頸髄に弛緩性麻痺とその部分より下方に痙性麻痺の存することが認められ、以上のほかは、耳鼻科、眼科、精神科の各所見では特段の異常は認められないので、従つて、原告には頸椎および頸髄の機質的な損傷があり、これが原告の自覚的、他覚的症状を残存させているものと考えられる。このように、原告には脊髄の症状が極めて明瞭であり、事故前に頸椎の老化現象(変形性脊椎症、頸椎骨軟骨症)によつて脊髄管の狭窄の起つているところへ外傷が加つたため、骨棘の進展や後従靱帯の骨化が進み、これによつて脊髄管が更に狭少となり脊髄症状を発現させるに至つたものと認められる。

右の脊髄症状およびこれに起因する頸部の運動制限、上肢の運動制限、下肢の運動障害は、神経系統の機能に著しい障害を残し軽易な労務以外の労務に服することができない程度のもので、その各症状は昭和四五年五月頃にはほぼ固定したものと認められるが、なお、今後ささいな動機によつて悪化する可能性があり、その危険性を避け、更に症状を軽快させることを期待するならば、第四、第五、第五、第六頸椎の前方固定術をなす余地がないでもないが、前方固定術を施行すれば、頸部には決定的な運動障害が起り、また症状が軽快する十分な保障はない。

二、被告らは本件事故が軽微な追突事故であるから原告に右の如き後遺症が生ずるはずがないと主張し、また、前記認定のように、原告は事故後一旦症状が軽快、治ゆしたのに、その後三ケ月後に種々の神経症状が発現しだしついには歩行困難となつて、事故後八ケ月半後から入院して治療を受けているので、事故との因果関係につき疑問がないわけではないので判断するに、前掲杉本侃の鑑定の結果によれば、原告の事故による受傷直後の症状は比較的軽微な捻挫症状のみであつたため通院治療によつて充分これに対応していたが、前記のように原告には受傷前から頸椎に骨症(変形性脊椎症)があり、受傷時にはその症状を顕わしていなかつたが、追突によつて受傷した椎間板の周囲に骨棘を増生し脊髄管を徐々に圧迫して症状を発現させるに至つたものと認められ、このことは、原告の事故直後とその後約一年後のレントゲン像の対比によつてその間に第四、第五、第六頸椎後縁の骨石炭化が進展したことが明白に現われており、また、後従靱帯と思われる部分に石灰化が起り脊随がこの部分で圧迫されはじめていることからも、明らかであり、これらの骨石灰化や石灰化が受傷半年後から進展することは稀有なことではなく医学的にも充分説明できることがらであることが認められるので、本件事故と原告の後遺症状との間に因果関係はあるものと認めるのが相当である。

三、以上のように、原告の前記後遺症状は、原告に事故前にもともと骨軟骨症のあつたことが大きな原因であり、右鑑定の結果によれば、このような素因を有する者は外傷を経験しなくても病状が発展し症状を露呈する可能性はあるが、逆に何の症状も顕わすこともなく天寿を全うする場合も少くないけれども、原告の揚合は骨軟骨症のある状態に外傷が加つて顕髄の障害を発生させたもので、本件外傷がいわゆる引き金となつたものであることが認められ、従つて、本件事故と原告の症状との間の因果関係自体は否定できないが、原告の前記症状は本件事故のみによつて生じたものではなく、原告の経年性の体質変化(潜在的に存した骨軟骨症)と本件事故とが競合して発現、増悪したものと認めるのが相当である。そして、このような場合、原因(本件交通事故)が生じた結果(原告の脊髄症状)に寄与した限度において相当因果関係を認め、その限度において賠償責任を負担させるのが相当と考える(東京高裁昭和四六年八月一〇日判決、判例時報六四三号四〇頁、大阪地裁昭和四六年三月一九日判決、判例タイムズ二六五号二五八頁参照)。しかして、以上認定の原告の受傷時の状況、その後の治療経過、脊髄症状の発現状況と治療経過、その程度、内容その他一切の事情を考慮して、原告の症状に対する本件事故の寄与した割合を七〇パーセントとするを相当と認め、後記原告の全損害額の七〇パーセントの限度をもつて本件事故と相当因果関係のある損害として被告らに賠償責任を負担させるを相当と認める。

第三、示談について

被告らと原告との間で被告ら主張どおりの示談が成立したことは当事者間に争いがない。しかして、これによれば右の示談の成立日は昭和四四年八月一四日であり、右示談は原告の後遺症が発現した場合の損害を除いて締結されたものであるところ、原告が本訴で求める損害は同日以後に生じた原告の後遺症による損害であることが原告の主張自体に照して明らかであるから、被告らの示談の抗弁は採用できない。

第四、損害

一、療養関係費

(一)  近藤病院治療費 金一、七七四、〇六〇円

<証拠>により、原告の同病院における治療費が金一、七七四、〇六〇円であることが認められる

(二)  同病院通院交通費 金九、二〇〇円

<証拠>によれば、原告が同病院に通院するに際し、電車、バスを使用して一回往復金四六〇円を要した事実が認められるので、前記同病院への通院回数が二〇回であるから、通院交通費は金九、二〇〇円となる。

(三)  同病院後遺症診断書代 金一、〇〇〇円

<証拠>による。

(四)  同病院入院雑費 金六八、一〇〇円

前記認定の同病院での二二七日の入院期間中一日につき金三〇〇円程度の雑費を要したであろうことは容易に推認されるので、入院雑費は金六八、一〇〇円となる。右に認定した以外の原告主張の雑費は本件事故と因果関係あるものと認めるに足りない。

(五)  南条治療院治療費 金四、八〇〇円

<証拠>によれば、同治療院でのマッサージ費用が金四、八〇〇円であることが認められる。なお、原告は同治療院への通院費の請求をするが、原告本人尋問の結果によるもその額を認めるに足りない。

(六)  大阪赤十字病院治療費等 金七、一五〇円

<証拠>によれば、原告の同病院における治療費、診断書代が金七、一五〇円である事実が認められる。なお、原告は同病院への通院費の請求をするが、原告本人尋問の結果によるもその額を認めるに足りない。

(七)  大阪大学附属病院 金九六〇円

<証拠>によれば、同病院へ検査のため八回通院し、一回往復金一二〇円を要した事実が認められるので、同病院への通院費は金八六〇円となる。なお、原告は箕面正井病院への通院交通費の請求をするが、原告本人尋問の結果によるもその額を認めるに足りない。

二、休業損害

<証拠>によれば、原告は昭和四五年九月一日より箕面観光開発株式会社に自動車運転手として勤務し、毎月平均金六〇、〇〇〇円の収入を得ていたが、昭和四五年二月一四日本件事故により発現した前記第二認定の頸部外傷後遺症のため近藤病院に入院して以来、同会社を欠勤し、昭和四五年六月一三日休職期間満了によつて解雇され、その後も昭和四六年六月頃再就職するまで稼働できず、その間収入を得ていないことが認められる。そして、前記第二認定のように原告の後遺症状は同年五月頃にはほぼ固定していた事実が認められるので、休業期間は昭和四五年二月一日より昭和四六年五月中旬まで一五ケ月間とするを相当と認める。原告は昭和四五年度の賞与として給料の五ケ月分金三〇〇、〇〇〇円の請求をするが、前掲甲第一四号証によれば、原告は賞与をも含めて毎月平均金六〇、〇〇〇円程度の収入を得ていたものと認められるので、賞与損を別個に認定しないこととする。以上により休業による損害を算定すれば、金九〇〇、〇〇〇円となる。

60,000×15=900,000

三、逸失利益

<証拠>によれば原告は、昭和四六年六月より食堂の雑役夫として稼働するようになつたが、従前に比べかなりの減収となり一ケ月金二〇、〇〇〇円程度の収入しかえてない月もあるほどであること、昭和四六年六月頃、原告は満五三才であることが認められる。そして、前記第二認定のとおり原告の後遺症は労働者災害補償級別七級該当と認められるので、労働能力が五〇パーセント程度喪失したものと認めるのが相当であり、その期間は前記症状固定時期より一〇年間は継続するものと認めるのが相当である。以上により原告の逸失利益の現価をホフマン複式年別計算により算定(係数は7.944)すれば、次のとおり金二、八五九、八四〇円となる。

四、慰藉料

前記第二認定の傷害の部位、程度、入・通院期間、後遺症の程度、内容、その他本件に顕れた事情を考慮して、慰藉料を金二、〇〇〇、〇〇〇円とするを相当と認める。

五、以上合計金七、六二五、一一〇円となるところ、前記第二認定のように、その七〇パーセントをもつて被告らに賠償を求めうる額とするを相当と認めるので、金五、三三七、五七七円となるが、原告が自賠責保険金として金三一〇、〇〇〇円の支払いを受けたことは当事者間に争いがないので、これを差し引けば、金五、〇二七、五七七円となる。

被告らは、金四〇〇、〇〇〇円を支払つたと主張するが右は前記第三の示談に基づき、示談成立前(昭和四四年八月一四日以前)の原告の損害金の支払いに充てられたものであることが被告らの主張自体に照して明らかなところ、原告は本訴において、後遺症による昭和四五年二月一四日以降の損害金の損害金の支払いを求めているのであるから、被告らの右弁済の主張は理由がない。

六、弁護士費用 金五〇〇、〇〇〇円

本件事故と相当因果関係のある損害として被告らに賠償を求めうる弁護士費用は本件事案の内容、認容額等を考慮して金五〇、〇〇〇円とするを相当と認める。

第五、以上によれば、被告会社は加害車の運行供用者として被告村上は不法行為者として、各自、原告に対し合計金五、五二七、五七七円および弁護士費用を除く、金五、〇二七、五七七円のうち、金一、九七〇、五八〇円に対する本件訴状送達の日の翌日であることが本件記録上明らかな昭和四五年一〇月二九日から、うち金三、〇五六、九九七円に対する昭和四六年六月二五日付訴え変更申立書送達の翌日であることが記録上明らかな昭和四六年六月二六日から、各支払済まで年五分の割合による遅延損害金の支払義務のあることが明らかである。

よつて原告の請求は主文第一項掲記の限度でこれを認容し、その余の請求を棄却し、訴訟費用の負担につき、民事訴訟法第八九条、第九二条、第九三条、仮執行の宣言につき同法第一九六条をそれぞれ適用して主文のとおり判決する。

(吉崎直弥)

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