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大阪地方裁判所 昭和45年(ワ)5433号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕請求の原因第一項、第二項の事実は当事者間に争いがないので、これによれば被告は自動車損害賠償保障法(以下自賠法という)第三条により、原告の損害を賠償すべき義務を負う。

そこで損害について考えるのに(本件における主要な争点は事故との因果関係の点であるので、これに重点をおいて考えることとする。)、<証拠>及び弁論の全趣旨を綜合すれば、

原告は右の事故により頸椎捻挫(外傷性頸部症候群)との傷害(なお診断書によれば、この他頭部外傷第二型、外傷性精神分裂症との傷病名が記載されているが、これについては後述参照)を負い、このためその主張のとおり以後入院していたが、昭和四四年八月一四日(事故の約二カ月半後、入院当初の診断では概ね二カ月の入院加療を要する見込とされていた模様である点と併せ考えると、これは重要な意味をもつものである)、病院から抜出して友人三名と共に、病院から非常に遠隔の地である三重県名張市の山林内において、極めて悪質、兇暴な強姦事件を犯し、他の三名はまもなく逮捕、処分(極めて厳しい刑事処分に処されている)を受けたこと、原告は右強姦事件以前は無断外出等も多かつたが、この事件を契機として外出等もなく入院をそのまゝ継続し、そのためもあつて同人のみ現在においても刑事責任の追求が保留されていること、その後精神科の治療、検査を要する面が多く現れ、その関係の専門的治療を受けつゝ現在に至つており、現症状としては耳鳴、発汗、頭痛、頸部痛、両側肩筋肉痛、反応性健忘症、精神分裂症があること(以上を綜合し、なお修理費、同乗者の受傷内容、結果等及び医師である福山証言並びに二カ月半という時期は所謂鞭打症にとり急性症状期を終る頃であることをも斟酌して判断すれば、原告の受傷、後遺症のうち本件事故と相当因果関係の範囲内にあるものは比較的軽微であるものという他なく、その余は拘禁性に準ずるもの、もしくは重大犯罪を犯したことによる極度の精神的緊張状態のため潜在的なものが顕在化したものと認めることが相当であつて、現に当裁判所の職務上の経験に照してもこのような例は相当数見ているところである。この見地からすれば前記診断書の「外傷性精神分裂症」との記載も、以上の経緯を知らない医師が関連もあり得るとの見地からこれを記載したものにすぎないとみることが相当である。問題はこの両者の限界をどこにおいて劃するかにあるわけであるが、上記経緯に照せば、原則として強姦事件惹起のときを以て区別するの他適当な基準はなく、この頃の前後を以て区別することとし、後遺症については前記のうち自賠法施行令別表第一二級該当の範囲内について相当因果関係あるものと認め、以上のうちその余の部分は慰藉料斟酌事情とするに止めることとする。なお、仮に因果関係の肯定を前提としても、原告らの過失で招いたものとして斟酌されゝば結論においては大差は生じないこととなる。)、これによつて蒙つた損害額は左のとおりであつたこと(但し、これについては上記判示に則り、被告に負担せしむべき相当性、必要性の範囲内の額に関する評価判断をも併せ加えることとする)、<中略>

(四) 得べかりし利益の喪失

一七五、〇〇〇円

原告はその主張の職業で、月収七万円(実収入)を挙げていたが、前記のとおり治療中、休業したが、このうち相当性の認められるのは二カ月半であるから、これは

7万円×2.5=175,000円

となる。 (寺本嘉弘)

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