大阪地方裁判所 昭和46年(む)441号 決定 1971年12月07日
主文
原裁判中、勾留場所を大阪府大淀警察署とした部分を取り消す。
被告人に対する勾留場所を大阪拘置所と指定する。
理由
一、本件準抗告申立の理由は別紙準抗告申立書写記載のとおりである。
二、一件記録によると、被告人に対する頭書窃盗被告事件について昭和四六年一一月四日大阪区検察庁検察官事務取扱検察事務官から大阪簡易裁判所に対し、勾留場所を大阪府大淀警察署とされたい旨の勾留請求がなされ、同日同裁判所裁判官により勾留場所を右警察署として勾留の裁判がなされ、次いで、同年同月一二日、同区検察庁検察官事務取扱検察事務官から同裁判所に対し、身柄付で公訴の提起がなされたことを認めることができる。
三、ところで、被疑者を勾留する場合、勾留場所は原則として拘置監たる監獄とすべきものであり、特段の事由が認められる場合に限って例外的に代用監獄たる警察署付属の留置場を指定しうるものと解すべきであるから、本件につき右特段の事由が認められるか否かについて判断するに、一件記録によると、本件窃盗事件については、原裁判時すでに被害者および賍品質受者の取調べが終わり、賍品も押収され、被告人(当時被疑者)も全面的に事実を認めていたもので、被害付けのため被告人を現場に連行する必要も存しなかったものと認められ、検察官の主張する余罪捜査の必要性は未だもって勾留場所を代用監獄に指定するための特段の事由とは認め難いうえに、その余罪も、原裁判時においては、他に三、四件の盗みをしている旨の被告人の自供がなされていたのみであり、この程度では被害付けのための現場同行等の必要があるか否かさえも明らかでなく、又、当時、具体的に大阪拘置所における設備等の関係から被告人の収容ないし取調べが不可能又は著しく困難であったと認めるべき確たる証左もない。
四、してみると、原裁判中勾留場所を大阪府大淀警察署と指定した部分は、違法であるから、刑事訴訟法四三二条、四二六条二項により主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 角敬 裁判官 佐々木条吉 下司正明)