大判例

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大阪地方裁判所 昭和46年(ワ)3247号・昭45年(ワ)4280号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕二、責任原因

(二) 被告会社

被告会社は、自動車の販売を業とするものであり、被告嶋岡に対し、加害車を代金は割賦払とし、完済まで所有権を被告会社に留保する約束で販売し、昭和四二年一〇月二日、大阪市浪速区役所において、運行の経路自社から奈良県北葛城郡まで、運行の期間同日から同月六日まで、運行の目的廻送なる自動車臨時運行許可(いわゆる仮ナンバー)を得、同月二日、同県北葛城郡の被告嶋岡方まで加害車を廻送したところ、被告嶋岡が仮ナンバーのまま加害車を運転して本件事故を発生させたこと、被告会社は、被告嶋岡に対し、加害車の登録を被告会社がなすことを約していたことは当事者間に争いがない。

<証拠>を綜合すると、被告会社の販売担当社員播田真一は、被告嶋岡に対し、加害車の登録手続をしたうえ昭和四二年一〇月一〇日ごろに納車する予定であつたが、被告嶋岡が被告会社に再三早期引渡を求めてきたので、被告会社従業員の森田達也が加害車を被告会社営業所から被告嶋岡の自宅まで廻送するために臨時運行許可を得て同月二日に加害車を被告嶋岡方まで運行し、加害車とその鍵を引渡し、受領書を受け取つて帰つたことが認められる。

以上の事実によれば、被告会社は、昭和四二年一〇月二日、被告嶋岡に対し、加害車を契約上の債務の履行として引渡したものと認められ、被告会社は、右引渡のため加害車を被告会社営業所から被告嶋岡方まで運行する目的で臨時運行許可を得ており、売買契約上被告会社が右引渡後に加害車の登録手続を了する義務があつたことが認められるけれども、被告会社は、売買契約上の債務の履行として加害車を被告嶋岡に引渡したことによつて加害車の運行支配を失つたものというべきであつて、加害車の登録手続を了する債務を被告嶋岡に対して負担していることをもつて被告会社が加害車の引渡後まで加害車についての運行支配を有していたものとすることはできない。

従つて原告の被告会社に対する請求は理由がない。<中略>

(七) 過失相殺

<証拠>を綜合すると、本件事故現場は東西に通ずる幅六、七メートルの道路上であり、附近の最高速度は毎時五〇キロメートルと指定されていたこと、被告嶋岡は、運転免許がないのに、飲酒のうえ加害車を運転し、時速約八〇キロメートルで東から西に向つて進行中、前方を十分注視するべき注意義務を怠つたため、道路の南端からその南側の空地部分にかけて西向きに駐車中の普通貨物自動車に気づかず、ブレーキをかけることなく右貨物自動車の後部に激突したこと、被告嶋岡は、事故当日二ケ所で友人とともにビールを飲んだあと、同日午後九時ごろから奈良県北葛城郡当麻町の飲食店「お多福」に入つたこと、被告嶋岡は、右「お多福」で飲酒し、原告は、同店において、臨時の仲居として被告嶋岡に酒食のサービスをしたこと(このことは原告、被告嶋岡間に争いがない)、原告は、その席で同店経営者の奥本千代子とともに被告嶋岡と同席して飲酒したこと、被告嶋岡は、同日午後一一時ころ、友人四名と奥本千代子および原告とともに同店を出て、加害車を運転して友人らと大阪市内に食事に出かけることとなつたが、原告の依頼で原告を近くの駅まで送つていくこととして加害車の乗車定員は五名であるのに、原告を他三名とともに加害車の後部座席に同乗させ、助手席に友人二人を乗せてハンドルおよびチェンジレバーの操作もきゆうくつな状態で加害車を運転し、高田駅まで行つたところ終電車が既に出たあとであつたので、更に原告を大阪市住吉区の自宅まで送つて行くこととし、加害車に原告ほか五名を同乗させて加害車を運転中本件事故を発生させたことが認められ、右認定を左右しうべき証拠はない。以上の事実によれば、原告は、被告嶋岡が相当飲酒しており、自動車の運転をしてはならないことを十分知りながら深夜に定員を二名もこえるきゆうくつな状態で、しかも相当長距離を走行することとなる加害車にあえて同乗したものであるから、原告には事故によつて損害を蒙つたことについて重大な不注意があつたものと認められ、原告の損害額算定については右事情をしんしやくしてこれを減額すべきものであつて、その減額の割合は五割とするのが相当であると認められる。 (山本矩夫)

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