大阪地方裁判所 昭和46年(ワ)3409号 判決
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〔判決理由〕三、被告らの責任について、
(1)、<証拠>を総合すると、本件梯子は、被告中晃通信の従業員である右大平、杉山、四方兄弟らが、電話線架設工事に従事中にたてかけたものであるところ、たてかけに際しては、風などによつて倒れないように注意はしたものの、本件現場の道路の巾員は狭く、普通乗用車でさえ道巾一ぱいとなり路上に何らかの障害物があると通行不能となる状態であり、かつ車両の通行は少ないけれども全くないわけではなく、従つて、もし車両が通行するときは右たてかけた梯子が車両通行のじやまになり、誰かがこれを除去して通行する可能性があり、また本件現場の道路は、買物客の通行量が相当あるため、梯子の性状を知らない者が梯子を除去することも考えられるのであるから、梯子除去に際して事故が発生することが予見できるにもかかわらず、被告中晃通信の従業員は、右梯子を車両の通行の妨害になるような状態で立てかけたまま一時現場を離れたことが認められ右設定に反する証拠はないから被告中晃通信の従業員には、右の点において過失があつたものと認めるのが相当である。そして被告中晃通信の従業員の右過失がなかつたならば、訴外堀内が右梯子を除去する必要もなく従つて本件事故の発生もなかつたと考えられるから、右過失と本件事故の発生との間には因果関係が存することは明らかである。従つて、被告中晃通信は、右従業員の使用者として、本件事故によつて原告がこうむつた損害を賠償すべき責任がある。
(2)、前記電話線架設工事については、被告日本通信が元請で、被告中晃通信がその下請として作業にあたつていたことは、原告と被告日本通信および被告中晃通信との間においては争いがない。そして、<証拠>によると、被告日本通信は、右電話架設工事につき、被告中晃通信から、作業日報を徴したりして具体的に指揮監督していたことが認められ、右認定を覆えすにたりる証拠はない。そうすると被告日本通信も右被告中晃通信の従業員の使用者として、本件事故により原告がこうむつた損害を賠償すべき責任があることになる。
(3)、<証拠>によると、被告栄工業の従業員である多田怜は、同被告会社の車両を近くの空地に駐車させるべく普通貨物自動車(大阪四そ八一〇八号)を運転して本件現場にさしかかつたところ、右梯子が妨害となつて通行できなくなつていたが、たまたまそこへ被告栄工業の従業員堀内正己が通りかかり、この様子をみて右多田が被告栄工業の用務として運転している車両の通行を可能にするため右梯子を除去しようとして右梯子の下部をにぎつて垂直に持ち移動させようとしたが、梯子が意外に重かつたため安定を失い、道路西方に転倒させ、おりから同所を通行中の原告の頭部に激突させたことが認められ、右認定に反する証拠はないから、右堀内の梯子除去行為は、右梯子の性状等を十分考慮しておらず、買物客等通行人に危害を及ぼさないような方法をとりうるのにこれをとらなかつた点において過失があつたものと認めるのが相である。そして、外形的、客観的にみれば、被告栄工業の従業員である堀内は、同じく被告栄工業の従業員多田が、被告栄工業の業務の一環として運転していた自動車の通行を可能にするために右梯子を除去したのであるが、右堀内の梯子の除去は、被告栄工業の事業の執行につきなされたものと認めるのが相当である。従つて、被告栄工業は、右堀内の使用者として、本件事故により原告がこうむつた損害を賠償すべき責任がある。
(4)、ところで、被告中晃通信の従業員の不法行為と被告栄工業従業員堀内の不法行為とは客観的にみて関連共同しているから共同不法行為が成立し、責任は連帯となる。従つてその使用者である被告らの責任の法律的性質もまた連帯債務となるものと解される。 (増田定義)