大阪地方裁判所 昭和48年(わ)1570号 判決 1973年9月28日
一、本店所在地
東大阪市高井田本通四丁目一番地の二
商号
藤本タイル株式会社
代表者氏名
藤本治一
二、本籍
東大阪市昭和町六一七番地
住居
同市同町八番一九号
職業
藤本タイル株式会社専務取締役
氏名
藤本正治
昭和四年二月二五日生
右の者らに対する法人税法違反被告事件につき当裁判所は検察官高橋哲夫出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
被告人藤本タイル株式会社を罰金一、〇〇〇万円に、被告人藤本正治を懲役八月に処する。
被告人藤本正治に対し、この裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人藤本タイル株式会社は、東大阪市高井田本通四丁目一番地の二(昭和四六年五月二四日以前は大阪市浪速区元町一丁目七四二番地)に本店をおき、タイルの販売ならびにタイル工事の施行業等を営むもの、被告人藤本正治は同会社の専務取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人藤本正治は同会社の業務に関し法人税を免れようと企て
第一、昭和四四年四月一日から昭和四五年三月三一日までの事業年度において、その所得金額が六、七三二万八、六二七円で、これに対する法人税額が二、二八一万八〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上架空の仕入および外注工賃を計上すると共に決算に際し帳簿の一部を改ざんして決算書類に利益を過少に計上するなどの行為により、右所得金額中四、四六二万四、二二七円を秘匿したうえ、同年六月一日大阪市浪速区船出町一丁目三五番地所在浪速税務署において、同税務署長に対し右事業年度の所得金額が二、二七〇万四、四〇〇円で、これに対する法人税額が七一九万七、七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税一、五六一万三、一〇〇円を免れ
第二、昭和四五年四月一日より昭和四六年三月三一日までの事業年度において、その所得金額が六、三〇九万四、一四九円で、これに対する法人税額が二、二二一万一、六〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により右所得金額中三、六一五万一、八三七円を秘匿したうえ、同年五月三一日前記浪速税務署において、同税務署長に対し右事業年度の所得金額が二、六九四万二、三一二円で、これに対する法人税額が八九三万二、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税一、三二七万九、四〇〇円を免れ
第三、昭和四六年四月一日から昭和四七年三月三一日までの事業年度において、その所得金額が九、一五三万、八八九円で、これに対する法人税額が三、二〇八万九、七〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により右所得金額中六、一五一万一、四二四円を秘匿したうえ、同年五月三一日東大阪市永和二丁目三番地所在東大阪税務署において、同税務署長に対し右事業年度の所得金額が三、〇〇二万四、四六五円で、これに対する法人税額が九四九万一、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税二、二五九万八、六〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全事実につき
一、登記官作成の商業登記簿謄本
一、藤本タイル株式会社代表取締役社長藤本治一作成の同会社定款についての証明書
一、被告人藤本正治の収税官吏に対する質問てん末書七通及び検察官に対する供述調書二通
一、国田紳一郎の収税吏に対する質問てん末書七通及び検察官に対する供述調書三通
一、折田郁夫の収税官吏に対する質問てん末書二通及び検察官に対する供述調書
一、佐々木潔の収税官吏に対する質問てん末書三通
一、小西邦弘の収税官吏に対する質問てん末書六通及び検察官に対する供述調書
一、藤本良治の収税官吏に対する質問てん末書二通及び検察官に対する供述調書
一、藤本タイル株式会社社長藤本治一、同専務取締役藤本正治作成の上申書
一、同会社代表取締役藤本治一作成の上申書
一、国税査察官井上睦美作成の査察官調査書類
判示第一の事実につき
一、大蔵事務官喜多進作成の証明書(但し、昭和四四年四月一日より昭和四五年三月三一日までの期に関する法人税確定申告書写を添付したもの)
一、山本和子の収税官吏に対する質問てん末書二通
判示第一、第二の事実につき
一、福井明政の収税官吏に対する質問てん末書三通及び検察官に対する供述調書
判示第二の事実につき
一、大蔵事務官喜多進作成の証明書(但し、昭和四五年四月一日より昭和四六年三月三一日までの期に関する法人税確定申告書写を添付したもの)
判示第二、第三の事実につき
一、村田凌一の収税官吏に対する質問てん末書六通
判示第三の事実につき
一、大蔵事務官喜多進作成の証明書(但し、昭和四六年四月一日より昭和四七年三月三一日までの期に関する法人税確定申告書写を添付したもの)
(法令の適用)
被告人両名の判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項、七四条一項二号(法人の処罰につき、なお一六四条一項)に該当するところ、被告人藤本タイル株式会社につき、以上の罪は刑法四五条前段の併合罪なので同法四八条二項により所定罰金額を合算した金額の範囲内で同被告人を罰金一、〇〇〇万円に処し、被告人藤本正治につき、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上の罪は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四七条、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役八月に処し、諸般の情状に鑑み同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予することとする。
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 橋本達彦)
右は謄本である。
昭和四八年一一月五日
大阪地方裁判所第一二刑事部三係
裁判所書記官 田村剛