大阪地方裁判所 昭和48年(わ)2807号 判決 1978年12月22日
(一)本店所在地
大阪府和泉市善正町三一〇番地
法人の名称
西野建設株式会社
代表者の氏名
西野一富こと 井之上一富
代表者住居
大阪府和泉市善正町三一七番地
(二)本籍
大阪府和泉市善正町三一七番地
住居
右同所
職業
西野建設株式会社代表取締役
氏名
西野一富こと 井之上一富
昭和四年五月五日生
右両名に対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官藤村輝子出席のうえ審理をとげ、つぎのとおり判決する。
主文
被告人西野建設株式会社を罰金二、〇〇〇万円に処する。
被告人井之上一富を懲役一〇月に処する。
この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。
訴訟費用は全部被告人井之上一富の負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告人西野建設株式会社は、大阪府和泉市善正町三一〇番地に本店をおき、砕石ならびに土木建築請負業を営むもの、被告人西野一富こと井之上一富は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人井之上一富は、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、
第一 昭和四四年七月一日から同四五年六月三〇日までの事業年度において、その所得金額が一六九、〇七一、七三七円で、これに対する法人税額が六一、八一九、九〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上砕石の売上げの大部分を除外し、これによつて得た資金を架空名義の預金にするなどの行為により、右所得金額中一六七、一六二、九三四円を秘匿したうえ、同四五年八月三一日泉大津市二田町一丁目一五番地の二七所在泉大津税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一、九〇八、八〇三円で、これに対する法人税額が四八三、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税六一、三三六、九〇〇円を免れ、
第二 同四五年七月一日から同四六年六月三〇日までの事業年度において、その所得金額が九四、九二五、九七六円で、これに対する法人税額が三四、五七四、七〇〇円であるのにかかわらず、前同様行為のほか、決算に際し砕石の売上げの一部を翌事業年度に繰延べ利益を過少に計上するなどの行為により、右所得金額中七九、九三八、三八八円を秘匿したうえ、同四六年八月三一日前記泉大津税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一四、九八七、五八八円で、これに対する法人税額が五、一九七、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税二九、三七七、二〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全部につき
一、登記簿謄本(記録第一〇号)
一、西野一富作成の証明書(記録第一一号)
一、第七、八、九、一〇、一一、一二、一三回公判調書中の証人岸脇義一の供述部分
一、証人岸脇義一、同土井輝雄の当公判廷における各供述
一、岸脇義一作成の六月一二日付、同一五日付、同二二日付、同二六日付各確認書
一、鍵泰司の検察官に対する供述調書
一、木原祐他一名作成一月三〇日付確認書
一、東軍二作成の各確認書
一、長谷部尚作成の確認書
一、岸脇安治作成の各確認書
一、葛城敏明作成の各確認書
一、飯坂一夫作成の各確認書
一、小森康司、森口剛男各作成の各確認書
一、中谷憲市作成の供述書
一、大蔵事務官野村一夫作成六月三〇日付査察官調査書(記録第二一-一四号)
一、大蔵事務官中村貞雄作成六月三〇日付査察官調査書(記録第二一-一三号)
一、大蔵事務官野村一夫作成六月三〇日付査察官調査書(記録第二一-一五号)
一、大蔵事務官野村一夫作成各調査報告書(記録第二一-二七号、同三〇号、同三一号、同三二号)
一、押収してある総勘定元帳一綴(昭和五一年押第七六九号の一一)、集金帳一冊(同号の一四)、売掛銀行貸付帳一綴(同号の一五)、定期預金期日管理カード四枚(同号の一七)、訪問カード三枚(同号の一八)、支店長引継先リスト一枚(同号の一九)、手帳三冊(同号の二〇)、代金取立手形預り帳八冊(同号の二一ないし二三)、支払一覧一綴(同号の二四)、担当者別定期期日管理表一綴(同号の二七)、砕石売上金一覧表一枚(同号の二八)、支払調書綴(同号の三四)、振替伝票綴二綴(同号の三五)、試算表一綴(同号の三六)、総勘定元帳三綴(同号の三七ないし三九)、振替伝票綴一綴(同号の四〇)
一、被告人の検察官に対する各供述調書
一、被告人の大蔵事務官に対する各質問てん末書
判示第一につき
一、泉大津税務署長作成の証明書(記録第八号)
一、押収してある集金帳一冊(昭和五一年押第七六九号の一)、銀行帳一冊(同号の二)、売上帳二綴(同号の三)、売上台帳一綴(同号の四)、請求台帳一綴(同号の五)、鹿島建設売上台帳一綴(同号の六)、支払調書四綴(同号の九)収入伝票一綴(同号の一〇)、振替伝票一綴(同号の一二)担当者別定期々日管理表三枚(同号の一六)
判示第二につき
一、泉大津税務署長作成の証明書(記録第九号)
一、岸脇義一作成六月二九日付、三月一六日付各確認書
一、鍵泰司の大蔵事務官に対する質問てん末書
一、土肥政夫作成の供述書
一、堀宜勝の大蔵事務官に対する質問てん末書
一、押収してある請求台帳一綴(昭和五一年押第七六九号の七)、売上台帳一綴(同号の八)、元帳一綴(同号の一三)
弁護人はいわゆる跡地処理の費用を損金として認めるべきだと主張するが、本件全証拠によるも本件各申告時期において、当該費用額を具体的に見積り得たことを認めることができないから採用の限りでない。
なお、税額および所得金額の計算内容は別紙のとおりである。
(法令の適用)
被告人会社につき
罰条 各法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項
併合罪加重 刑法四五条前段、四八条二項
訴訟費用 刑事訴訟法一八一条一項但書
被告人井之上一富につき
罰条 各法人税法一五九条一項
併合罪加重 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条
執行猶予 刑法二五条一項
訴訟費用の負担
刑事訴訟法一八一条一項本文
(裁判官 池田良兼)
税額計算書
<省略>
所得金額の計算
<省略>
受取利息の明細
<省略>