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大阪地方裁判所 昭和49年(モ)7139号 決定 1974年11月14日

右当事者間の当庁昭和四九年(ヨ)第二三一三号団体交渉応諾仮処分命令申請事件の仮処分決定正本に基づく昭和四九年(モ)第七一三九号間接強制申立事件について、当裁判所は次のとおり決定する。

主文

被申請人は、本決定の告知を受けた日から七日以内に申請人分会および申請人分会が委任した全国自動車運輸労働組合大阪合同支部の交渉委員と一九七四年度夏季一時金につき誠実に団体交渉をせよ。

もし、被申請人が右期間内に前項の履行をしないときは、申請人に対し、右期間満了の日から右履行のあるまで遅延一日につき金五万円の割合による損害金を支払え。

理由

一一件記録ならびに被申請人会社代表者審尋の結果によれば、当庁昭和四九年(ヨ)第二三一三号仮処分命令が被申請人に告知されてから本件間接強制申立事件の最終の審尋期日である昭和四九年一一月一日までの間において、右当事者間で数回の団体交渉が持たれたか又は持たれようとしたが結局、被申請人は夏季一時金の支給額と支給基準の一端を既定のものとして一方的に申し渡すのみで、申請人側の要求や質疑事項に対しては黙殺を続け誠意ある回答を行なつていないものと認められる。

二右認定事実によれば、被申請人が前記仮処分決定正本に表示された交渉事項について、誠実に団体交渉をしたものとは到底認め難いから、申請人の本件申立を相当と認め、主文のとおり決定する。 (宮本定雄)

当事者の表示

申請人 全国自動車運輸労働組合大阪合同支部

芦原運送分会

右代表者 松浦正治

右代理人 桐山剛

外二名

被申請人 芦原運輸機工株式会社

右代表者 左崎充

(参考)

主文

一 被申請人は、申請人分会および申請人分会が委任した全国自動車運輸労働組合大阪合同支部の交渉委員と、一九七四年度夏季一時金につき、ただちに誠実に団体交渉をせよ。

二 申請費用は、被申請人の負担とする。

理由

一 被保全権利について

疎明によれば、当庁昭和四八年(ヨ)第二二二五号事件和解調書記載の和解条項第一項(申請人分会が今後議題を特定して事前に団体交渉の申入れをした場合には、被申請人会社は団体交渉に誠実に応ずることを確認する。)に基づく、昭和四九年度夏季一時金についての団体交渉請求応諾義務の存在が一応認められる。

二 必要性について

疎明によれば、申請人は前記の具体的団体交渉請求権を侵害されているものと一応認められるので、このまま放置されるときは申請人組合の基本的な使命である使用者との団体交渉をなし得ず、労働組合としての重要な機能を失なうものと推認されるから、即時右請求権実現の必要性ありというべきである。

三 よつて、申請人の本件申請は正当であるから、保証を立てしめずしてこれを認容することとし、申請費用の負担につき、民訴法八九条を適用して、主文のとおり決定する。 (宮本定雄)

当事者の表示

申請人 全国自動車運輸労働組合大阪合同支部

芦原運送分会

右代表者 松浦正治

右代理人 高藤敏秋

外二名

被申請人 芦原運輸機工株式会社

右代表者 左崎充

(参考)間接強制申立書

申請の趣旨

被申請人が申請人分会および申請人分会が委任した全国自動車運輸労働組合大阪合同支部の交渉委員と昭和四九年度夏季一時金につき誠実に団体交渉をしないときは、申請人分会に対し、誠実に団体交渉をなすまで一日につき金二〇万円の割合による金員を支払え。

との決定を求める。

申請の理由

一、申請人分会は被申請人に対し、御庁昭和四九年(ヨ)第二、三一三号団体交渉応諾仮処分命令申請事件につき、仮処分決定を有している。

二、申請人分会は被申請人に対し、右債務名義に基づき昭和四九年八月七日、一〇日、一三日、一四日とそれぞれ団体交渉の申入れをなしたが、被申請人は、右仮処分決定を一顧だにせず、誠実に団体交渉に応じようとしないで、同年夏季一時金として極めて低額な金員を一方的に支給しようとしている。

三、被申請人は従来から裁判所の命令を平然と無視し続けていて遵法精神にまつたく欠けており、少額の金員の支払をもつてしては右仮処分決定の実効を期し難いので、間接強制として相当額の金員の支払を求める必要性がある。

よつて、本件申立に及んだ次第である。

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