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大阪地方裁判所 昭和50年(わ)349号 判決 1980年3月19日

本籍

大販市東成区玉津二丁目八二番地の四

住居

堺市大美野六五番地の一

仏壇仏具販売業

倉本斉也

昭和一一年八月八日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき当裁判所は検察官藤村輝子出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年六月及び罰金四、〇〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は全部被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、大阪市東成区玉津二丁日五番八号及び堺市草尾四六〇番地の一等において「倉本実践堂」の名称で仏壇仏具販売業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、

第一  昭和四六年分の所得金額が一五四、二二六、一四二円で、これに対する所得税額が一〇二、六四一、一〇〇円であったのに、架空名義で仏壇仏具を仕入れ、その売上げによって得た資金を架空名義の預金にするなどの行為により右所得を秘匿したうえ、右所得税申告期限である昭和四七年三月一五日までに所得税確定申告書を所轄東成税務署長に提出せず、もって、不正の行為により同年分の所得税一〇二、六四一、一〇〇円を免れ、

第二  昭和四七年分の所得金額が一九二、四八〇、八二九円で、これに対する所得税額が一三一、四七八、二〇〇円であったのに、前同様の行為により右所得の一部を秘匿したうえ、昭和四八年三月一三日大阪市東成区東小橋二丁目一番地の七所在の東成税務署において、同署長に対し、同年分の所得金額が一、〇三九、六二二円で、これに対する所得税額が三一、八〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により同年分の所得税一三一、四四六、四〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一、被告人の検察官に対する各供述調書並びに収税官吏作成の被告人に対する各質問てん末書

一、東成税務署長作成の証明書二通

一、左記収税官吏作成の各査察官調査書

伊丹義浩(八通)、向山和夫、万谷正治(八通)

一、大阪国税局査察部作成の「預金元帳」と題する調査書(記録二〇-一四号と表示されているもの)

一、収税官吏万谷正治作成の「銀行取立状況調」と題する書面

一、収税官吏神尾守、同伊丹義浩各作成の調査報告書

一、収税官吏作成の現金預金有価証券等現在高検査てん末書一四通

一、収税官吏作成の左記の者に対する各質問てん末書

村岡道久、山川博巳、蒋野茂彦、笠井治、小浜金作、西田豊、工藤弘、梶田新次、江本賢治(三通)、倉本清恵(五通)、門田茂子、寺沢豊、中瀬雅光(二通、第一九回公判期日で取調べた添付書面を含む)、倉本興一(八通)、浅地栄吉、小林義隆

一、倉本清恵、倉本興一の検察官に対する各供述調書

一、左記の者の作成した各確認書

岩井隆(七通)、工藤弘、種子田稔、山口明(二通)、油木研太(三通)、鈴木克宗、秦哲也、滝山利治、浦野忠雄、波多野敬栄(五通)、小林清、堀昭弘、小田信行、倉本興一、中瀬雅光、浅地栄吉、被告人(二通)

一、左記の者の作成した各回答書

村上寛治、三和銀行大美野支店、大阪地方貯金局、進和産業株式会社(二通)、袋建次、辻利章、日産サニー京都南販売株式会社、株式会社宮本商店、樋本兼弘、高橋陽子、利光孝三、土倉実正(二通)、谷本暎子、船越節子、木村正次、浅野武、矢倉、小田修三、堺府税事務所長(三通)、泉北府税事務所長、阿倍野府税事務所長、南河内府税事務所長、大阪府知事、東成税務署長、堺市長、名古屋市千種区長、徳島市長、青木真也、出村谷長治、栗原治夫

一、左記の者作成の各供述書

鈴木政信、渡部嘉明、杉山竜山、小浜金作、宮崎ミツ子

一、大阪市東成区長作成の証明書六通

一、押収してある昭和五一年押九八号の一ないし三九の各物件

(法令の適用)

被告人の判示各所為はそれぞれ所得税法二三八条に該当するところ、いずれも所定の懲役刑及び罰金刑を併科し、かつ罰金刑については免れた所得税の額に相当する金額以下で処断することとし、右は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、罰金刑については同法四八条二項により右各金額の合算額の範囲内で被告人を懲役一年六月及び罰金四、〇〇〇万円に処し、右罰金を完納することができないときの労役場留置につき同法一八条を、右懲役刑の執行猶予につき同法二五条一項を、訴訟費用の負担につき刑訴法一八一条一項本文を各適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 青木暢茂)

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