大阪地方裁判所 昭和51年(わ)4933号 判決 1977年5月06日
一本店所在地
大阪市南区河原町二丁目一五〇一番地
法人の名称
山文商行株式会社
右代表者の氏名
石井正治
代表者住居
大阪市南区河原町二丁目一五〇一番地
二本籍
大阪市南区河原町二丁目一五〇一番地
住居
右同所
会社役員
石井正治
大正三年六月一七日生(六二才)
主文
被告人山文商行株式会社を罰金一、二〇〇万円に処する。
被告人石井正治を懲役八月に処する。
被告人石井正治に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人山文商行株式会社は、大阪市南区河原町二丁目一五〇一番地に本店を置き、厨房器具及び家庭金物の卸売業を営むもの、被告人石井正治は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人石井正治は同会社従業員石井ひでと共謀のうえ同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、
第一 同会社の昭和四七年一一月一日から同四八年一〇月三一日までの事業年度において、その所得金額が二五、六五二、一五〇円で、これに対する法人税額が九、〇八一、八〇〇円であるのにかかわらず、架空仕入の計上及び棚卸の除外をするなどし、これによつて得た資金を仮名又は無記名の定期預金にするなどの行為により、右所得の一部を秘匿したうえ、同四八年一二月二八日、大阪市南区田島町二五番一一号所在南税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が五、〇九一、二八一円で、これに対する法人税額が一、五三八、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税七、五四三、六〇〇円を免れ
第二 同会社の同四八年一一月一日から同四九年一〇月三一日までの事業年度において、その所得金額が六五、二一四、七〇九円で、これに対する法人税額が二五、二二一、七〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得の一部を秘匿したうえ、同四九年一二月二八日、前記南税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が五、七九五、七八九円で、これに対する法人税額が一、五二二、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税二三、六九九、四〇〇円を免れ
第三 同会社の同四九年一一月一日から同五〇年一〇月三一日までの事業年度において、その所得金額が五〇、一三〇、四二四円で、これに対する法人税額が一九、〇九〇、九〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得の一部を秘匿したうえ、同五〇年一二月三〇日、前記南税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が八、九〇一、五三九円で、これに対する法人税額が二、六二〇、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税一六、四七〇、九〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
一、被告人石井の検察官に対する供述調書および大蔵事務官に対する各質問てん末書
一、上田幸子の検察官に対する供述調書および大蔵事務官に対する各質問てん末書
一、久保フミ子の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一、山口貞子、山口幸郎、三谷育生、小川一三、石井貞夫、小林 正の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一、石井ひでの検察官に対する供述調書および大蔵事務官に対する各質問てん末書
一、大蔵事務官金沢徳昭作成の脱税計算書三通
一、南税務署長山崎正五郎作成の証明書四通
一、山文商行株式会社の登記簿謄本
一、南消防署長作成のり災証明書
一、大蔵事務官尾崎剛作成の調査報告書
一、大蔵事務官金沢徳昭作成の各査察官調査書
一、上田幸子作成の在庫商品の品名・品種等の確認書
一、上田幸子作成の確認書三通(昭和五一年一〇月二一日付、同一日付、同年三月一六日付)
一、被告人作成の確認書
一、大蔵事務官小山和男作成の各査察官調査書
一、上田幸子作成の供述書
一、石井正治、石井ひで作成の確認書
一、丹羽久昌作成の確認書
一、大蔵事務官尾崎剛作成の査察官調査書
一、大阪国税局査察部長作成の「取引の照会について」と題する書面およびこれを郵送したときの封筒表紙記載の郵便局の文書いずれも七通
一、押収してあるメモ二枚(昭和五二年押第二三九号の一)、仕入帳写一綴(同号の二)、買掛金決算表四綴(同号の三)、集計資料一綴(同号の四)、ニユーカジアルノート一綴(同号の五)、給料台帳一綴(同号の六)、源泉徴収簿四綴(同号の七)、利息計算書一綴(同号の八)、定期預金利息計算書等一綴(同号の九)、利息計算書一綴(同号の一〇)。
(法令の適用)
被告人山文商行株式会社につき
法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項
被告人石井正治につき
刑法六〇条、法人税法一五九条一項、二項
刑法二五条一項
検察官 藤村輝子出席
(裁判官 池田良兼)