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大阪地方裁判所 昭和52年(ワ)7504号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

原告 株式会社 大築

右訴訟代理人 村林隆一

外四名

被告 大阪ロイヤル株式会社

被告 国際鋲螺株式会社

被告両名訴訟代理人 及川昭二

〔主文〕

被告両名は、別紙(一)記載の釘が別紙(二)の実用新案権を侵害するものであるとの事実を、文書又は口頭で第三者に言いふらしてはならない。

【判旨】

二イ号製品が被告らの実用新案の技術的範囲に属するかどうかについて検討する。

1  本件実用新案の目的、構成、作用効果が原告主張のとおりであること(請求原因第5項(一)の(1)、(3)、(4)の各事実)は当事者間に争いがなく、右の事実と<証拠>によれば、本件考案にかかる「打込用ピン」とは、コンクリート、鋼材等の表面に部材を取付けるために、それを打込工具の銃身に装填し、その後方から爆発ガスの圧力または機械的な力を衝撃的に加えることによつて打込むものを指称していることが認められ、他意に解することはできない。

2  しかるに、イ号製品は、別紙(一)記載のとおり、ポリエン化ビニール材による柱状圧着材を中間に備えた細い釘であつて、これに原告主張のようなかり釘であることに争いのない検甲第一号証を検した結果と弁論の全趣旨を総合すると、その使用目的と方法も、壁画等に装飾化粧板を接着剤により接着させるに際し、それらが固着するまでの間化粧板が壁画から剥離するのを防ぐために一時的に使用されるもので、金鎚で頭部を叩いて打込むものであることが窺われ、他の使用方法、目的が存するとの確証もない。ことに前記「打込用ピン」のような使用方法、目的に耐えるものとは全く考えられない。

3  してみると、原告の本件イ号製品は、もともと被告らの本件実用新案の対象である「打込用ピン」の概念にあてはまらないものであることが明らかであるから、すでに右の点で右実用新案の登録請求の範囲の外にあるといわなければならない。すなわち、本件イ号製品は被告らの本件実用新案がその構成要件とする「打込用ピン」(その登録請求の範囲の最終文言参照)の構成を欠くものである。

4  のみならず、いまイ号製品のさらに具体的な構成を被告らの本件実用新案の構成要件に照らして検討してみても、(イ)まず、本件考案では、套管4の外径は頭部2と同径またはこれより小径であることを要するが、一応套管に相当すると思われるイ号製品の柱状圧着材の外径は、別紙(一)のイ号図面記載のとおり、一見して釘の頭部の外径と同径またはこれより小径であるとはみられないし、(ロ)また、イ号製品には本件考案の座金5に相当するものを全く欠いていることも明らかである。すなわち、イ号製品は、本件考案の前記、の要件を具備していないことも明らかである。

5  以上、原告のイ号製品はいかなる点からみても被告らの実用新案の技術的範囲に属しないものといわなければならない。

三また、それゆえ、被告らがイ号製品は本件実用新案権を侵害している旨原告の取引先等に通知したのは、虚偽の事実を陳述、流布したものというべく、これにより被告らと競争関係にある原告が営業上の利益を害される虞のあることも容易に推認し得るところである。

四被告らは、イ号製品が本件実用新案権を侵害している旨原告の取引先等に通知した被告らの行為は、適法な行為であると主張する。

そしてその理由の一は、原告は、かねてからの製造販売する製品が原告の特許権を侵害している旨虚偽の事実を流布宣伝し、原告の営業を妨害したので、これを排除するため、これに対抗して右のように通知をしたというのである。しかし、仮に、被告ら所論のとおり被告ら側の製品が何ら原告の特許権を侵害するものではなく、それゆえ原告の宣伝内容が虚偽であつたとしても、そのことだけで、被告らがこれに対抗して、原告の営業妨害となる虚偽の事実を陳述流布することが許されるものでないことはいうまでもない。

理由の二は、原告のイ号製品に関する特許出願の経過中にはかつて特許庁から、被告らの実用新案公報等を引用した拒絶理由通知が発せられたという事実があるぐらいであるから被告らが、イ号製品は本件実用新案権の技術的範囲内に属するものであると考えたのも無理からぬことで、前記の通知行為に過失はないというにあると解される。しかしながら、かりにかつて原告が本件イ号製品を実施品とする特許出願をし、その経過中に所論のようなことがあつて、被告らとしてはこれをしんしやくして本件所為(通知行為)に及んだとしても、もともと不正競争防止法一条一項六号に基づく差止請求権は、相手方の故意過失如何にかかわらず認めるべきものであること明らかである。

(畑郁夫 中田忠男 小圷眞史)

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