大阪地方裁判所 昭和54年(わ)297号 判決 1979年3月14日
本籍
福井県坂井郡芦原町北潟第三九号九番地
住居
大阪市東住吉区杭全三丁目一番一号
医師
有馬英之
大正一五年七月一五日生
右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官上野富司出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役一年および罰金四、〇〇〇万円に処する。
この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。
右罰金を完納することができないときは金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、大阪市東住吉区杭全三丁目一番一号において有馬外科医院を経営するものであるが、自己の所得税を免れようと企て、
第一、昭和五〇年分の所得額が一一四、〇八四、七三五円で、これに対する所得税額が六三、七〇九、三〇〇円であるのにかかわらず、診療収入の一部を除外し、架空の経費を計上するなどの行為により所得を秘匿した上、昭和五一年三月一五日、大阪市平野区平野西二丁目二番二号東住吉税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が四一、八三六、九七三円で、これに対する所得税額が一二、四六二、七〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により所得税五一、二四六、六〇〇円を免れ、
第二、昭和五一年分の所得金額が一三八、一六六、五五一円で、これに対する所得税額が八〇、五五二、〇〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により右所得の一部を秘匿した上、昭和五二年三月一五日、前記税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が四八、三二六、八九四円で、これに対する所得税額が一五、四六七、四〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により所得税六五、〇八四、六〇〇円を免れ、
第三、昭和五二年分の所得金額が一五九、一二一、八四九円で、これに対する所得税額が九四、〇七六、九〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により右所得の一部を秘匿した上、昭和五三年三月一五日、前記税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が五五、二二九、五〇四円で、これに対する所得税額が一八、〇〇四、八〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により所得税七六、〇七二、一〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
一、被告人の当公判廷における供述、検察官に対する供述調書、大蔵事務官に対する各質問てん末書
一、被告人作成の各確認書
一、松本和雄、橘己喜雄の検察官に対する各供述調書、大蔵事務官に対する各質問てん末書
一、三鹿昌喜の検察官に対する供述調書
一、野中光雄、布野彰男、高尾次男、有馬規子の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一、松本和雄作成の確認書
一、各査察官調査書
一、所得税確定申告書写についての各証明書
一、青色申告書提出承認取消決定の通知済についての証明書
一、各脱税額計算書
(法令の適用)
一、判示各所為
各所得税法二三八条一項、二項(各懲役と罰金を併科)
一、併合罪処理
刑法四五条前段、懲役刑につき同法四七条本文、一〇条(判示第三の罪の刑に法定の加重)、罰金刑につき同法四八条二項
一、懲役刑の執行猶予
同法二五条一項
一、労役場留置
同法一八条
よつて主分のとおり判決する。
(裁判官 栗原宏武)