大判例

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大阪地方裁判所 昭和56年(わ)3009号・昭56年(わ)3990号・昭56年(わ)4588号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

(弁護人の主張について)

弁護人は、(一)<略>、(二)判示第六の事実につき、被告人は、売却する目的のほか、自己使用、無償譲渡の目的でも覚せい剤を所持していたものであり、営利目的で所持していた部分の特定ができない以上、全部につき営利目的の覚せい剤所持ということはできない旨各主張する。<中略>

次に、右(二)の主張について検討するに、関係各証拠によれば、判示第六の犯行(以下本件犯行という)において被告人が所持していたビニール袋入り覚せい剤一〇包合計2.81グラム(以下本件覚せい剤という)は、本件犯行日に、被告人が和泉鑑幸から代金五万円、金額後払いで譲り受けた約五グラムのうちの一グラム足らずと、同日金森某から代金五万円うち二万円は後払いで、五グラムあるものとして譲り受けた分(実際は約二グラム)とを、被告人の指示で右金森が、同人と被告人の使用分として約0.3グラムを別に残してまぜ合わせたうえ、これを一包約0.5グラムとして(実際は一包0.21グラムないし0.31グラム)一〇包に分包したものであること、被告人は、右のように分包した本件覚せい剤一〇包を、とりあえずビニール小袋の中にひとまとめにして入れ、随時その中から適当に取り出して自己使用したり、他に無償譲渡したり、あるいは、一包一万円(仕入値の約二倍)で密売して、少くとも自己使用分の代金程度は捻出する意図(後記のとおり、当時被告人は、ほとんど毎日のように五グラム単位で覚せい剤を購入していた点等からみて、本件覚せい剤が全部売れる場合にも、なおその一部を自己使用分等として留保するつもりであつたとまでは認められない)のもとにこれらを所持していたものであること、被告人は、覚せい剤の密売目的で、昭和五六年六月三〇日ころ本件犯行場所である新大阪コーポピアネーズ五三三号室を借り、同日ころから本件覚せい剤を購入するまでのわずか一週間ぐらいの間にも、五回にわたり合計二五グラムという多量の覚せい剤を前記和泉鑑幸から購入し、これらについても前同様に分包し、そのうち約半分は不特定多数の者に密売して利得していることなどが認められるのであつて、以上の事実を合わせ考えると、本件覚せい剤の中に後日自己使用等に充てられるものも含まれているとしても、これが具体的に特定されていない本件犯行時においては、被告人は本件覚せい剤全部について営利目的で所持していたものと認めるのが相当である。

よつて、弁護人の主張はいずれも採用し難い。<以下、省略>

(大野孝英 楢崎康英 河合健司)

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