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大阪地方裁判所 昭和56年(ワ)1722号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

「<証拠>を総合すると次の事実が認められる。

原告は、昭和三六年五月一六日生で、昭和五二年四月一〇日、日生学園高校に入学したが、同年八月三一日同校を退学し、昭和五三年四月に大阪府立野崎高校普通科に入学した。

原告は、本件事故による後遺症の固定時(昭和五三年四月二五日)は満一六才であり、昭和五六年三月に右野崎高校を卒業して同年四月に特別の配慮によつて社会福祉法人守口市社会福祉協議会(以下、「協議会」という。)に事務職員として就職した。

協議会の職員には、一般職員と嘱託職員がおり、職員の職務は、複雑、困難および責任の度合に基づき、これを給与表に定める職務の等級に分類され、職務の等級は一等級から四等級まである。四等級は、定型的な業務を行う職務であり、三等級は相当高度な知識又は経験を必要とする職務、二等級は主幹の職務又はこれに相当する職務、一等級は、事務局長および施設長の職務又はこれに相当する職務である。

原告は、協議会の事務職員として、予算、人事、給与等の係として職務に従事しているものである。協議会には、右の係のほかに(一)、厚生資金貸付係、(二)、心配事相談係、(三)、結婚相談係、(四)、善意銀行係もあるが、原告は、本件事故による後遺症として、昭和五九年三月現在においても、職場において一週間に約一回の割合で頭痛が起こり、目まいがして気分が悪くなり、意識朦朧状態となる場合があるために、右(一)ないし(四)の係の業務に従事することは無理である。なお、原告は、意識朦朧状態となつた場合には応接室で休み、回復を待つて再び職務に従事している。

協議会では、職員が勤務しないときは、その勤務しないことにつき、特に承認のあつた場合を除くほか、その勤務しない時間についての給与額を減額して給与を支給することになつており、職員が現に受けている号給を受けるに至つた時から一二月を下らない期間を良好な成績で勤務したときは、一号給上位の号給に昇給させることができることになつている。

なお、守口市の職員の給与に関する条例によると、同市職員の最低の給与は、六等級一号で、給料月額は一〇万四〇〇〇円であるのに対し、協議会の職員の最低の給与は四等給一号で給与月額は七万七四〇〇円であり、守口市の職員の最高の給与は一等級二一号で給料月額は三九万一一〇〇円であるのに対し、協議会の最高の給与は一等級一九号で給料月額は三三万九五〇〇円である。

原告は、前記のとおり、昭和五六年四月に協議会に就職し、同年四月から一二月までの間は合計一二八万一二四九円(手取額は合計一一五万〇〇一二円)、昭和五七年一月から同年一二月までの間は合計一九七万三五三九円(手取額は一五〇万二二六三円)、昭和五八年一月から同年一二月までの間は合計一八三万六八四四円(手取額は合計一六〇万五六七五円)、昭和五九年一月から六月までの間は合計九六万五四八〇円(手取額は八三万一八一三円)の給与収入を得ており、(なお、昭和五九年六月現在の給料月額は本俸が九万三四〇〇円である。)現在までのところ、協議会の他の職員に比して勤務条件や給与の面において特別の扱いはされていない。

<証拠判断省略>

右の事実によると、原告は前記後遺症により、現在までのところ、協議会において、金銭的損害を受けているとは明確には認め難い。しかしながら、長期的にみた場合には、労働可能な職種は制限されるため、配置転換、転職などの際に不利益を受ける可能性もあり、また、体力の低下、前記後遺症に基因する傷病の発生などにより勤務能率の低下によつて昇給等で不利益を受ける可能性は認められ得るので、これらの事情および前記三の1認定の原告の傷害の部位、程度、後遺症の部位、程度等を考慮すると、原告は、前記後遺症のため将来の就労可能期間を通じて、労働能力の三〇パーセントを喪失したものと認めるのが相当である(なお、被告らは、原告は新高卒の平均以上の収入を得ているから、後遺症による逸失利益については考える必要はない、旨主張するけれども、右判示の理由により、被告らの右主張は採用しない。)。

ところで、前記のとおり、原告は、本件事故当時は、日生学園高校を中退していたが、本件事故後の昭和五三年四月に野崎高校に入学したのであるから、現実に就労できるのは、前記後遺症の固定時である昭和五三年四月二五日より後の昭和五六年四月からであり、その就労可能年数は四八年と認めるのが相当である(なお、被告らは、仮に、後遺症による逸失利益を認めるにしても、労働能力喪失の継続期間はせいぜい五年として計算すべきである、旨主張するけれども、原告の本件事故による受傷は、いわゆるむちうち損傷に該当するものとは認め難いから、被告らの右主張は採用しない。)。そして、昭和五六年賃金センサス第一巻第一表産業計・企業規模計・学歴計男子労働者の一八才から一九才までの平均年収額は、一五八万七五〇〇円であることが認められるから、原告の後遺症による逸失利益を年別のホフマン式により年五分の割合による中間利息を控除して算定すると、一一〇一万一九四八円となる。」 (喜如嘉貢)

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