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大阪地方裁判所 昭和56年(ワ)4728号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【主文】

一 被告は、別紙目録記載の広告電話帳を製作、頒布してはならない。

二 被告は、その所有にかかる第一項記載の広告電話帳を廃棄せよ。

三 被告は原告に対し、金八万円及びこれに対する昭和五六年七月一二日から支払いずみに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

四 原告のその余の請求を棄却する。

五 訴訟費用は、これを五分し、その一を原告の、その余を被告の各負担とする。

六 この判決の第一ないし第三項は、仮に執行することができる。

【説明】

原告の請求原因は、次のとおり。

「一 差止請求

(一) 原告の著作権

1 原告は、左記広告電話帳(以下原告電話帳という)を編集著作し、現にその編集著作権を有するものである。

(1) 題号 烏山町電話帳(一九八〇年版)

(2) 第一発行年月日 昭和五五年七月

(3) 発行者 原告

(4) 体裁 A四版左綴じ。本文三四頁、前付け六頁、後付け四頁。

2 すなわち、原告は、その発意に基づいて原告従業員にその職務として原告電話帳を作成させ、これを原告の著作名義で公表したものである。

また、原告電話帳は、その表紙の冒頭に原告(従業員)の撮影にかかる写真を掲載するとともに、表紙のその余の部分及びこれに続く前付け六頁、並びに裏表紙及びこれに先立つ後付け四頁の部分に各スポンサーの広告を配し、かつ本文においても、各頁の上欄及び下欄に広告を掲載し、本文中のスポンサーの名称及び番号は特に太字で表記し、右欄外に五十音順の見出しを付ける等、素材の配列に特別の工夫を凝らしたものであり、その点において、日本電信電話公社の電話帳にはない独自の創作性を有するものである。

3 原告電話帳が著作権法にいう著作物(編集著作物)に該当し、原告がその著作者兼著作権者であることはいうまでもない。

(二) 被告の出版

1 被告は、昭和五六年三月頃、別紙目録記載の広告電話帳(以下被告電話帳という)を製作し、同年四月頃からこれを頒布している。

2 そこで、被告電話帳と原告電話帳を対比してみるに、被告電話帳は、その表紙、裏表紙及び前付け、後付けに掲載されている収録素材(広告等)が一部相違している点を除き、原告電話帳とほとんど同一といつてよいものである。すなわち、被告電話帳の表紙冒頭には、原告電話帳の表紙冒頭の写真がそのまま転載されているほか、その本文における上欄及び下欄の広告欄の配列と内容、右欄の見出しの態様等は、原告電話帳のそれと同一であり、かつ、本文三四頁の各頁における収録素材とその割付け等は、全て原告電話帳の本文と同一であつて全く異るところがない。のみならず、被告電話帳には、被告と広告掲載契約を締結していない者の広告まで、原告電話帳に掲載されているとおりのまま掲載されている。

3 右の点からみれば、被告電話帳は、原告電話帳に依拠しこれと同一性のあるものを再生したものであるというべきであり、被告電話帳の製作が、原告電話帳の複製にあたることは明白である。

(三) 原告の差止請求権

そうすると、被告は、被告電話帳を製作、頒布することにより、原告の前記著作権(複製権)を侵害し、また侵害するおそれがある者であり、原告は、被告に対し、右行為の差止めと被告電話帳の廃棄を請求する権利を有するものである(著作権法一一二条一、二項)。

二 損害賠償請求

(一) 被告の違法行為と故意、過失

被告による被告電話帳の製作、頒布が、原告の前記著作権を侵害する違法行為となることは、前記のとおりであり、右侵害行為の態様に照らせば、被告は、原告の前記著作権を侵害することを知りながら、又は過失によりこれを知らないで、右侵害行為を行なつたものというべきである。

(二) 原告の損害

しかるところ、被告は、被告電話帳を製作、頒布することにより、昭和五六年三月頃から同年四月末日頃までの間総額一三〇万円を超える広告料を取得し、これより諸経費を控除するとしても最低一〇〇万円を下らぬ利益を得た。

そうすると、原告は、被告の右著作権侵害行為により、これと同額の損害を受けたというべきであり(著作権法一一四条一項)、被告はこれを賠償すべき義務がある。

三 本訴請求

よつて、原告は、被告に対し、(1)被告電話帳の製作、頒布の差止めと被告所有にかかる被告電話帳の廃棄、並びに(2)前記損害金一〇〇万円及びこれに対する本件訴状が被告に送達された日の翌日である昭和五六年七月一二日から支払いずみに至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める。」

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