大阪地方裁判所 昭和57年(ワ)7841号 判決
二1 被告がイ号物件(ただし、その構成及び図面には争いがある)を業として譲渡し又は譲渡のために展示していることは当事者間に争いがない。
2 弁論の全趣旨により真正に成立したと認められる甲第三、四号証、原本の存在及び成立共争いのない甲第五号証、弁論の全趣旨により真正に成立したと認められる甲第六ないし第一〇号証、成立に争いのない甲第一一ないし第一七号証、同第二五号証の一、二、弁論の全趣旨により真正に成立したと認められる甲第二六号証、同第二八号証の一、二、弁論の全趣旨によりイ号物件と認められる検甲第一号証、弁論の全趣旨により昭和五六年七月一三日当時の倉庫保管のイ号物件の写真と認められる検甲第三号証の一ないし一五、成立に争いのない乙第一号証、イ号物件に争いのない検乙第一号証及び弁論の全趣旨によれば、イ号物件は別紙目録(一)記載の説明及び図面のとおり表現するのが相当である。
なお、被告は、イ号物件はゴム用接着剤4、ゴム板3、ゴム用接着剤4の三層構造になつているとして、別紙目録(二)図面「B部拡大図」のように表現すべきであると主張する。
しかし、イ号物件のゴム質層の厚さは約四ミリメートルであり、必ずしも未加硫ゴムとゴム用接着剤との境界は明確ではなく(検乙第一号証)、しかもイ号物件はゴム用接着剤としてタイロツクPR―50、タイロツクCO―20を使用していたものであるところ(成立に争いのない乙第四号証及び弁論の全趣旨)、タイロツクPR―50の乾燥塗膜の厚さは一〇ないし二〇μ(μは一〇〇〇分の一ミリメートル)を標準とし、また右タイロツクPR―50の上塗り液であるタイロツクCO―20の乾燥塗膜の厚さは二〇ないし二五μであり、両者合計してもその厚さは三〇ないし四五μで極く薄い膜であること(乙第一号証)、またゴム用接着剤は、未加硫ゴムとの共加硫によりゴムと鉄及びセラミツクとの界面の化学的結合を可能とし、したがつて加硫後の製品中の接着剤は大部分が加硫ゴム中に移動拡散されて一体化されるものであり(甲第一五号証№4、№6)、タイロツクと同じくゴム用接着剤であるケミロツク二〇五とケミロツク二二〇を使用した摩耗防止用内張板のゴムと金属の加硫接着断面の光学顕微鏡写真の結果では金属板に対しゴム自体が直接接着していることが認められ(甲第一七号証)、それらは、接着剤がタイロツクから別のものに変更されたイ号物件においても同様と推認される(被告は企業秘密として、その変更後の接着剤を開示しないが、タイロツクと同様の働きをなすものとして採用し使用していることは優に推認でき、かつゴム用接着剤である以上、上記一般的性質から外れないものと推定して妨げない)こと、以上の事情を総合すると、被告主張のような三層をもつて表現するのは妥当でなく、別紙目録(一)のイ号図面第3図のようにゴム質層は単層をもつて表現するのが相当であり、いずれも弁論の全趣旨により真正に成立したと認められる乙第二、三号証中右認定に反する部分は採用できない。
なお、イ号物件に使われていたタイロツクPR―50、タイロツクCO―20は接着剤であり(乙第一号証)、また、被告がイ号物件のサンプルとして提出した(ただし、右がイ号物件のサンプルであることを認めるに足りる証拠はない)検乙第四、五号証はゴムが白色で、接着剤が黒色と色分けされているものの、前記のとおりのゴム用接着剤の厚さや、ゴム用接着剤が未加硫ゴムと共加硫されることなどに照らすと、右のことからゴム用接着剤が未加硫ゴムと別に層をなしているものと認めることは困難である。
3 右認定の別紙目録(一)記載の説明及び図面によればイ号物件の構成は次のとおりと認められる。
(イ)´ 裏面に取付ボルト102を備えた金属性保持板101の表面に耐摩耗性磁器板103を接着した摩耗防止用内張板において、
(ロ)´ 金属性保持板101と耐摩耗性磁器板103との間には、予め耐摩耗性磁器板103と金属性保持板101の各接着面側に塗布された極めて薄膜のゴム用接着剤104´と厚い未加硫ゴム104´´とを、加熱加圧して一体化してできたゴム質層104を有し、
(ハ)´ 緩衝並びに防音効果を奏するようになしたことを特徴とする
(ニ)´ 摩耗防止用内張板
(構成(ロ)´、(ハ)´、(ニ)´は被告の認めるところである。)
三 そこでイ号物件が本件考案の技術的範囲に属するか否かについて考える。
1 イ号物件の構成(イ)´、(ハ)´、(ニ)´がそれぞれ本件考案の構成要件(イ)、(ハ)、(ニ)を充足することは明らかである(構成(ニ)´が構成要件(ニ)を充足することは被告において認めるところである。)。
2 構成(ロ)´が構成要件(ロ)を充足するか否かにつき検討するに、まず本件公報(甲第二号証)中の「ゴム質接着剤層」に関する記載をみてみると、次のとおりである。
「3は前記金属製保持板1の全表面に伸縮弾性を有する所要厚さのゴム質接着剤層4を介して敷設され且つ焼付固定された耐摩耗性磁器板である。」(第一欄三五ないし第二欄一行目)
「金属製保持板1と耐摩耗性磁器板3とは伸縮弾性を有する所要厚さのゴム質接着剤層により互いに固着されていて、耐摩耗性磁器板3は充分な緩衝効果を保有する状態で金属製保持板1に固着されているので、運転時落下する鉱石等から受ける衝撃によつて耐摩耗性磁器板3が剥離・破損するようなことが皆無となり、また鉱石等が磁器板3上に落下した際発する衝撃の騒音を著しく減少することが可能となつたのである」(第二欄二ないし一一行目)
「ゴム質接着剤を用いた本考案製品」(第二欄二七、二八行目)
「(ⅱ)ゴム質接着剤による本考案製品
磁器板の大きさ 一〇〇mm×一〇〇mm
磁器板の厚さ 二二mm
金属製保持板(鉄板)の厚さ 四・五mm
ゴム質接着剤層の厚さ 四mm」(第三欄六ないし一〇行目)
図面の簡単な説明では「4はゴム質接着剤層」とされ、右図面第2図では4の部分は単一の層から成り、また右ゴム質接着剤層4は第1、2図では耐摩耗性磁器板3の隣接空間に目地を充填形成している。
また、前記乙第二号証(添付資料)によれば、本件考案の出願審査経過は別紙出願経過表のとおりであると認められ、右乙第二号証によれば、原告の昭和四九年二月二七日付願書添付の明細書(原始明細書)では、実用新案登録請求の範囲には「…金属性保持板の表面に、ゴム質接着剤層を介して、耐摩耗磁器よりなる板を敷設し焼付け固定したことを特徴とする…」と記載され、詳細な説明中ではゴム質接着剤層4はゴム質よりなることが記載されており(一頁一七行目、二頁一一行目)、昭和四九年一二月二四日付手続補正書では右請求の範囲中の「ゴム質接着剤層」を「天然ゴム・合成ゴム等のゴム質接着剤層」と補正している。
更に、前記甲第一五号証、甲第二六号証、甲第二八号証の一、二によれば、焼付固定とは加硫接着と同義であり、ゴム接着法の常用手段であつて、加硫とは「生ゴムにイオウその他の加硫剤を加え、又は加えないで加熱その他の適当な処理をほどこし、ゴム分子間に強固な結合を行なわせ、その広い温度範囲にわたつて塑性流れを減少し、弾性及び引張強さなどを増大し、かつ耐油性を増大させる変化」をいい、焼付固定に使用されるゴムは未加硫ゴムであることが認められ、前記乙第三、四号証中右認定に反する部分は採用できない。
以上の事情を総合すると、本件考案の「ゴム質接着剤層」とはゴム質で、作用効果(a)を奏するに充分な伸縮弾性を有すべく形成された単層をいうものと解し得られ、本件公報の実施例ではこれを焼付手段により、厚さは四ミリメートルほどになしかつ目地を形成するものとして開示しているが、前示のとおり焼付固定と加硫接着とは同義語であるから、右実施例は結局、右単層の形成手段としての未加硫ゴムを焼付けにより加硫接着する手段を開示したものであることが認められ、かかる技術によつて形成されたものは、本件考案のゴム質接着剤層に属するというべきである。
なお、被告は「焼付固定」の文字は本件公報に一ケ所記載されているのみで、未加硫ゴムの文字は記載されていないと主張しているが(被告の主張三4)、前記のとおり原始明細書では「焼付け固定」の文字は請求の範囲中に使用されており、焼付固定が加硫接着と同義語である以上、実施例開示の「焼付固定」が未加硫ゴムを加硫接着する手段を指すことは明らかである。そして本件考案は製造方法ではなく物について権利が付与されているのであるから、焼付固定(加硫接着)後ゴム質接着剤層を形成するのであれば、その原料の形状が何であれ問うところではなく、未加硫ゴムの形状如何はシート状であれ何であれ関係のないものである。
3 イ号物件のゴム質層104もゴム質で作用効果(a)を奏するに充分な伸縮弾性を有し、未加硫ゴム「104´´をゴム」用接着剤104´と共に加熱加圧して一体化し焼付固定(加硫接着)し(完成品のゴム質層104は加硫ゴムである)、その厚さは約四ミリメートルで目地を形成しているものであるから、本件考案のゴム質接着剤層に該当するものということができる。
したがつて構成(ロ)´は構成要件(ロ)を充足する。
もつともイ号物件は本件公報中に明記されていないゴム用接着剤を未加硫ゴムとあわせて使用しているが、未加硫ゴムによる焼付固定(加硫接着)に際してゴム用接着剤を用いることは本件考案出願時すでに周知であり(甲第一五号証)、当業者にとつて自明のことと認められ、本件公報中右ゴム用接着剤を排除する記載もなく、また前記のとおりゴム用接着剤は未加硫ゴムと加熱加圧により一体となるものであるから、イ号物件がゴム用接着剤を使用していることはイ号物件のゴム質層をゴム質接着剤層と称することの妨げとはならない。
また、被告は、未加硫ゴム自体は接着能力を有さず、ゴム用接着剤が接着剤であり、未加硫ゴムシートは被着材であると主張し(被告の主張三3、5)、右主張は結局、イ号物件のゴム用接着剤を本件考案のゴム質接着剤層と対比し充足しない旨を主張することになるところ、なるほどタイロツクはゴム用接着剤で接着能力を有し(乙第一号証)、他方、理論上は未加硫ゴムのみによる加硫接着も不可能ではないものの、実務的には接着剤が併用されることの方が多い(甲第二八号証の二)。しかし、本件は本件考案の「ゴム質接着剤層」の用語の解釈の問題であり、右は単なる「接着剤」ではなく、「ゴム質」であり、また「層」であり、これにより作用効果(a)を奏するのであつて、極薄膜のゴム用接着剤のみではその厚さからみて作用効果(a)を奏することは困難である(甲第一五証№16)ばかりか、イ号物件の未加硫ゴムはゴム用接着剤と共に加熱加圧されて、未加硫ゴム自体加硫ゴムに変化し、一体化して単層をなし、右加硫ゴムは直接金属性保持板に接着しているのであるから、イ号物件のゴム質層を全体として観察すべきであり、単にゴム用接着剤が接着剤で接着能力を有することのみをもつて、これをゴム質接着剤層と対比しようとする被告の前記主張は採用できない。
4 更に被告は、イ号物件の形成技術は、原告が本件考案の出願審査手続中に除外した技術であり、本件考案のゴム質接着剤層を充足しないと主張する。
本件考案の出願経過は別紙出願経過表のとおりであること、当初の原始明細書では、実用新案登録請求の範囲には「ゴム質接着剤層を介して」と記載されていたことは前記のとおりであり、前記乙第二号証によれば、以下の事実が認められる。
(一) 原告は昭和五二年四月四日の手続補正書で全文補正し、請求の範囲を「ゴム質弾性材より成る所要厚さの層を介在形成して、」とし、考案の詳細な説明中には「ゴム質接着剤(4)は、図示の如くその厚さを適当に選定し、互いに接着される金属製保持板(1)と耐摩耗性磁器板(3)との間には、ゴム質弾性材より成る所要厚さの層が介在形成され、必要な緩衝ならびに防音効果を奏するようになされている。なお、金属性保持板(1)と耐摩耗性磁器板(3)との間に所要厚さのゴム質弾性材の層を介在形成するための手段としては、上述の如くゴム質接着剤層(4)の厚さを所要に選定する以外に、前記保持板(1)と磁器板(3)との間に所要厚さのゴム質弾性板を介装し、ゴム質接着剤層(4)を介してその両面をそれぞれ保持板(1)と磁器板(3)の対応表面に接着するようにしても勿論よいわけである。」(二頁六ないし一八行目)と記載した。
(二) しかし、右は特許庁で「所要厚さのゴム質弾性板を介装し、ゴム質接着剤層を介してその両面をそれぞれ保持板と磁気(「器」の誤り)板の対応表面に接着させるという技術事項が新たに付加されたが、補正前の明細書又は図面には、金属製保持板と耐摩耗性磁気(「器」の誤り)板との間に、ゴム質接着剤層を介在させるという技術事項が記載されているだけで、付加された上の技術事情については何ら記載されておらず、またその記載からみてかかる技術事項が当業者に自明の事項とも認められない」とし、要旨を変更するものと認められ、右補正は昭和五二年五月二〇日却下された。
(三) その後、原告は昭和五三年五月六日付意見書で「昭和五二年五月二〇日付の補正却下の決定において御指摘のあつた『金属製保持板と耐摩耗性磁器板との間に所要厚さのゴム質弾性板を介装する実施例』の記載はこれを取り止めました。」(二頁一〇ないし一四行目)と記載し、昭和五二年四月四日付手続補正書の詳細な説明中の前記認定部分を削除した。
右の出願経過から本件考案のゴム質接着剤層には、所要厚さのゴム質弾性板を介装し、ゴム質接着剤層を介してその両面をそれぞれ保持板と磁器板の対応表面に接着させるという技術は含まれないということができる。なお、被告は本件考案から「金属製保持板と耐摩耗性磁器板との間にゴム質弾性材により成る所要厚さの層を介在形成」するものは除外される旨主張するが、昭和五二年四月四日付の手続補正は、所要厚さのゴム質弾性板を介装し、ゴム質接着剤層を介してその両面をそれぞれ保持板と磁器板の対応表面に接着する実施例の故に却下され、また、原告も昭和五三年五月六日付意見書で右実施例について取り止めたにすぎず、被告主張の前記技術について原告が除外したものとは認められない(ちなみに、右ゴム質弾性材にはゴム質接着剤層からなる場合も含まれている、昭和五二年四月四日付手続補正書二頁一三、一四行目)。
そこで、除外された前記技術のゴム質弾性板が加硫ゴムか否か、その意味につき検討するに、
(一) 加硫ゴムは未加硫ゴムを加硫して得られたゴムであり、加硫されることにより塑性流れを減少し、弾性及び引張り強さなどが増大する(甲第二六号証)。
(二) 昭和五二年四月四日付手続補正書では、「ゴム質弾性板」は「ゴム質接着剤層」と区別されて用いられており、ゴム質接着剤層については焼付固定する旨の記載があるが(二頁五行目)、右ゴム質弾性板についてはかかる記載がない。
(三) 仮に右ゴム質弾性板が未加硫ゴムとすると、前記のとおり焼付固定する「ゴム質接着剤層」の中に未加硫ゴムを加硫させた層を含めることは可能であるから、しいてゴム質弾性板についての具体例を記載する意味がない。
以上の事情に照らすと、「ゴム質弾性板」とはゴム質接着剤層と共に焼付固定処理される前から弾性を有している加硫済のゴム板状体を意味するものと解するのが相当である。
そうすると、イ号物件はゴム質層の形成に未加硫ゴムを使用するものであるから、補正却下され、出願人である原告が除外した前記技術とは異なつており、右補正却下等の事実はイ号物件が本件考案のゴム質接着剤層を充足することを左右するものではない。
5 よつて、イ号物件の各構成は本件考案の各構成要件をすべて充足し、イ号物件は本件考案と同一の作用効果を奏するから本件考案の技術的範囲に属する。
被告の主張に副う乙第二号証(意見書)は前示認定・判示に照らし採用できない。
四 以上のとおり、被告がイ号物件を業として譲渡し、又は譲渡のために展示することは本件実用新案権を侵害することになる。
よつて、本訴請求は理由があるからこれを認容する。
〔編註その一〕本件における請求原因は左のとおりである。
1 原告は次の実用新案権(以下これを「本件実用新案権」といい、その考案を「本件考案」という)を有している。
考案の名称 摩耗防止用内張板
出願 昭和四九年二月二七日(実願昭四九―二四八六〇)
公告 昭和五四年一一月二日(実公昭五四―三六四五六)
登録 昭和五五年五月三〇日(第一三二九三九九号)
実用新案登録請求の範囲
「裏面に取付用ボルトを備えた金属製保持板の表面に耐摩耗性磁器板を接着した摩耗防止用内張板において、伸縮弾性を有する所要厚さのゴム質接着剤層により耐摩耗性磁器板を金属製保持板に固着し緩衝ならびに防音効果を奏するようになしたことを持徴とする摩耗防止用内張板。」
2 本件考案の構成要件及び作用効果は次のとおりである。
(一) 構成要件
(イ) 裏面に取付用ボルトを備えた金属製保持板の表面に耐摩耗性磁器板を接着した摩耗防止用内張板において
(ロ) 伸縮弾性を有する所要厚さのゴム質接着剤層により耐摩耗性磁器板を金属製保持板に固着し
(ハ) 緩衝ならびに防音効果を奏するようになしたことを特徴とする
(ニ) 摩耗防止用内張板
(二) 作用効果
(a) 金属製保持板1と耐摩耗性磁器板3とは伸縮弾性を有する所要厚さのゴム質接着剤層により互いに固着されていて、耐摩耗性磁器板3は充分な緩衝効果を保有する状態で金属製保持板1に固着されているので、運転時落下する鉱石等から受ける衝撃によつて耐摩耗性磁器板3が剥離・破損するようなことが皆無となり、また鉱石等が磁器板3上に落下した際発する衝撃の騒音を著しく減少することが可能となつた。
(b) 耐摩耗性磁器板3自体にはボルトが植設されていないので、ボルト2を利用して内張板をシユートの壁5等に締着する場合、脆い磁器板3にボルト締着時の応力が伝わらず、従来型内張板と同様取付作業を容易かつ確実に行うことができる。
〔編註その二〕本件に関する目録は左のとおりである。
目録(一)
別紙イ号図面に示す摩耗防止用内張板
一 図面の説明
第一図は、摩耗防止用内張板の正面図、
第二図は、略実測寸法で示す第一図のA―A線拡大断面図、
第三図は、第二図のB部を拡大して示す拡大断面図、
第四図は、成形手順を示す説明図である。
二 符号の説明
(101)…金属製保持板、(102)…取付用ボルト、(103)…磁器板、(104)…ゴム質層、(104a)…目地、(104´)…ゴム用接着剤、(104´´)…未加硫ゴム。
三 技術的内容の説明
摩耗防止用内張板は、裏面に取付用ボルト(102)を備えた金属製保持板(101)の表面に耐摩耗性磁器板(103)を接着したものである。これら磁器板(103)と保持板(101)との間にはゴム質層(104)が形成されており、このゴム質層(104)は一体に延出して相隣する磁器板(103)(103)の間および磁器板(103)の周縁に至り充填された目地(104a)を有する。而して摩耗防止用内張板は、ゴム質層(104)によつて緩衝ならびに防音効果を奏する。
前記ゴム質層(104)は、予じめ耐摩耗性磁器板(103)と金属製保持板(101)の各接着面側に塗布された極めて薄膜のゴム用接着剤(104´)と、厚い未加硫ゴム(104´´)とを、加熱加圧して一体化されて成る層である。
この成形手順は、金属製保持板(101)と耐摩耗製磁器板(103)との各接着面側にゴム用接着剤(104´)を塗布乾燥し(具体的には未加硫ゴム焼付用の接着液であり、下塗液を塗布乾燥の後、その上に上塗液を塗布乾燥した複数層の塗膜により極薄膜とし)、これら保持板(101)と磁器板(103)との間に可塑性の未加硫ゴム(104´´)を介在させ(第四図)、これを金型内で、保持板(101)と磁器板(103)とを未加硫ゴム(104´´)を挟んで押接しつつ加熱する。これにより、可塑性の未加硫ゴム(104´´)は相隣する磁器板(103)(103)の間および「磁器板」(103)の周縁に進入して目地(104a)を形成した後(第三図矢印)、加硫されて弾性のある厚さ略四ミリメートルのゴム質層(104)となる。ゴム用接着剤(104´)は、保持板(101)および磁器板(103)との各界面にて相互拡散及びもしくは吸着して一体結合し、未加硫ゴム(104´´)との界面では相互拡散と共に化学反応してゴム質層(104)に混然一体化する。
尚、摩耗防止用内張板は、金属製保持板(101)として形状寸法の異なるものが各種用意され、これに対し所定個数選ばれた耐摩耗性磁器板(103)が右の如く接着されたものである
イ号図面
<省略>
<省略>
目録(二)
イ号物件の構成
(1) 裏面に取付用ボルト5を備えた金属製保持板1の表面に耐摩耗性磁器板2を備えた摩耗防止用内張板において、
(2) 金属製保持板1と耐摩耗性磁器板2の間に所要厚さのゴム板3を介在させ、
(3) 金属製保持板1とゴム板3、及びゴム板3と耐摩耗性磁器板2を、それぞれゴム用接着剤4で接着し、
(4) 緩衝並びに防音効果を奏するようになしたことを特徴とする
(5) 摩耗防止用内張板