大阪地方裁判所 昭和57年(行ウ)1号・昭57年(行ウ)2号・昭57年(行ウ)3号 判決
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【判旨】
二原告は、まず、本件各処分は、被告の違法な税務調査に基づくものであるから、違法であつて取り消されるべきであると主張する(請求原因2の(一))。
しかし、税務調査の手続に違法事由が仮にあつても、そのこと自体から、右税務調査に基づく課税処分が違法となることはないと解すべきであるから、原告の右主張は失当である。
のみならず、課税庁の職員が、納税者の事務所や店舗に臨場し、或いはその取引先を調査するなどの税務調査を行う際、事前に又は事後に納税者にその旨通知することは、法の一律に要求するところではなく、当該税務調査が、社会通念上相当な範囲を逸脱することがない限り、右調査は適法というべきである。また、所得税法一五四条二項は、所得税の更正一般(白色申告の場合)については、更正通知書に所得別の内訳を附記しなければならないと定めるのみで、更正理由の附記についての定めはなく(青色申告についての同法一五五条二項参照)、したがって、本件各処分のうち各更正処分の通知書に更正理由の記載がないことによつて右各更正処分が手続的に違法になるわけでもないと解すべきである。そして、本件に顕われた証拠を仔細に検討しても、本件各処分に至る税務調査が、社会通念上相当とされる範囲を逸脱したことを認めるに足りる証拠はない。
いずれにしても、原告のこの点に関する主張は、理由がない。
三6 そして、課税処分の取消訴訟において、納税者である原告が、雇人費、その他特別経費について実額を主張しているのに対し、被告がこれを争い、推計の方法により、右原告の主張する実額よりも低い額を主張している場合において、被告の主張額以上に原告主張の実額が認められないときは、被告主張の推計の適否を判断するまでもなく、右被告の主張する額を、当事者間に争いのない額として、これを原告の特別経費額と認めるのが相当である。けだし、雇人費等の特別経費は、本来原告側において立証すべきものであると解すべきところ、原告の主張する実額が認められない以上、被告主張の額の範囲内で、その額を当事者間に争いのないものとして、これを特別経費と認めても、原則的には、一般の民事訴訟と全く同様の弁論主義の支配する行政処分の取消訴訟の基本原理に反しないのみならず、むしろこれに合致することになるからである。そして、右のような解釈は、被告主張の推計による特別経費額を原告が認めて争わない場合には、右推計の適否を判断するまでもなく、被告主張の額を原告の特別経費額と認むべきであるとの法理(裁判上の自白の法理)にも合致するものというべきである。
してみると、原告の係争各年分の雇人費は、被告主張の各方式による推計額のうち、最も多い額であるE方式による推計額の限度を当事者間に争いのないものとして右の限度額すなわち、昭和五一年分は金一一四六万八七六六円、昭和五二年分は金一一八八万三六五六円、昭和五三年分は金一〇二二万九七〇一円であると認める(取扱う)のが相当であるから、右各金額を特別経費として計上すべきことになる。
(後藤 勇 八木良一 岩倉広修)