大阪地方裁判所 昭和58年(わ)809号 判決 1983年6月24日
裁判所書記官
東森隆一
本店所在地
大阪市東成区大今里二丁目五番一二号
法人の名称
カネキタ株式会社
(右代表者代表取締役 北村悦二)
本籍
兵庫県尼崎市東園田町三丁目三二番地の一
住居
同町三丁目二七番地の二
会社役員
北村悦二
昭和一六年一一月二四日生
右両名に対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官鞍元健伸出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
一、被告人カネキタ株式会社を罰金一八〇〇万円に、被告人北村悦二を懲役一年に、各処する。
一、被告人北村悦二に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人カネキタ株式会社(以下「被告会社」という。)は、大阪市東成区大今里二丁目五番一二号に本店を置き、鋼材の加工、販売等を目的とする資本金六〇〇万円の株式会社であり、被告人北村悦二は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人北村は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空仕入れを計上し、売上げ・棚卸の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿したうえ、
第一 昭和五四年一月一日から同五四年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際総所得金額が五七七一万七六〇七円(別紙(一)修正損益計算書参照)あつたのにかかわらず、同五五年二月二九日、大阪市東成区東小橋二丁目一番七号所在の所轄東成税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一九九六万九四七一円でこれに対する法人税額が六九〇万四〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額二二〇〇万三二〇〇円と右申告税額との差額一五〇九万九二〇〇円を免れ、
第二 同五五年一月一日から同五五年一二月三一日までの事業年度における被告会社の総所得金額が一億六一九五万一五九五円(別紙(二)修正損益計算書参照)あつたのにかかわらず、同五六年二月二八日、前記税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三二三七万五八七四円でこれに対する法人税額が一一七五万八六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額六三五八万九〇〇〇円と右申告税額との差額五一八三万四〇〇円を免れ、
第三 同五六年一月一日から同五六年一二月三一日までの事業年度における被告会社の総所得金額が四三〇一万七四三六円(別紙(三)修正損益計算書参照)あつたのにかかわらず、同五七年三月一日、前記税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二八一七万三七三円でこれに対する法人税額が一〇三六万八七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額一六六〇万四四〇〇円と右申告税額との差額六二三万五七〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
一 被告人北村悦二の当公判廷における供述
一 同被告人の検察官に対する供述調書
一 収税官吏の同被告人に対する質問てん末書二〇通
一 同被告人作成の「確認書」と題する書面三通
一 佐藤佳世子の検察官に対する供述調書
一 収税官吏の山本兼嗣、兼田利光、増田隆幸、相山治雄、森岡富一、迫田悦己、木下誠、向本猛、吉田嗣郎、佐藤佳世子(二通)に対する各質問てん末書
一 清水謙次、平田富義、佐藤佳世子(二通)、野田薫子各作成の「確認書」と題する書面
一 被告会社作成の「青色申告の承認申請書」と題する書面謄本
一 大蔵事務官作成の「証明書」と題する書面(証拠等関係カード検察官請求分番号10)
一 収税官吏作成の査察官調査書二四通
一 被告会社作成の法人税確定申告書謄本三通
一 収税官吏作成の脱税額計算書三通
一 大阪法務局登記官作成の法人登記簿謄本
(法令の適用)
被告人北村悦二の判示第一、第二の各所為は、いずれも行為時においては、昭和五六年法律第五四号脱税に係る罰則の整備等を図るための国税関係法律の一部を改正する法律による改正前の法人税法一五九条一項に、裁判時においては、改正後の法人税法一五九条一項に、各該当するが、犯罪後の法令により刑の変更があつたときにあたるから、刑法六条、一〇条によりいずれも軽い行為時法の刑によることとし、判示第三の所為は、改正後の法人税法一五九条一項に該当するが、所定刑中各懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人北村を懲役一年に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
被告人北村悦二の判示各所為は、いずれも被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については判示第一、第二の各所為につき、昭和五六年法律第五四号による改正前の法人税法一六四条一項により改正前の法人税法一五九条一項の罰金刑に、判示第三の所為につき右昭和五六年法律第五四号による改正後の法人税法一六四条一項により改正後の法人税法一五九条一項の罰金刑に、各処すべきところ、情状により同条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で被告会社を罰金一八〇〇万円に処すこととする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 金山薫)
修正損益計算書
自 昭和54年1月1日
至 昭和54年12月31日
<省略>
(販売費及び一般管理費)
<省略>
修正損益計算書
自 昭和55年1月1日
至 昭和55年12月31日
<省略>
(販売費及び一般管理費)
<省略>
修正損益計算書
自 昭和56年1月1日
至 昭和56年12月31日
<省略>
<省略>
(販売費及び一般管理費)
<省略>