大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所 昭和58年(行ウ)74号 判決 1986年6月26日

東大阪市近江堂二丁目四番一〇号

原告

和田末一

右訴訟代理人弁護士

佐藤哲

右復代理人弁護士

山田一夫

東大阪市永和二丁目三番八号

被告

東大阪税務署長

山下功

右指定代理人

矢野敬一

谷川利明

北山忠男

向山義夫

岸川信義

主文

被告が昭和五七年三月一日付でした原告の昭和五三年分所得税についての再更正処分及び過少申告加算税賦課決定(国税不服審判所長の昭和五八年四月一四日付裁決による一部取消後のもの)のうち、分離長期譲渡所得金額六九一八万三〇九八円を超える部分を取消す。

原告のその余の請求を棄却する。

訴訟費用は一〇分し、その八を原告の、その二を被告の各負担とする。

事実

一  当事者が求めた裁判

1  原告

被告が昭和五七年三月一日付でした原者の昭和五三年分所得税についての再更正処分及び過少申告加算税賦課決定(国税不服審判所長の昭和五八年四月一四日付裁決による一部取消後のもの)を取消す、訴訟費用は被告の負担とする、との判決

2  被告

原告の請求を棄却する、訴訟費用は原告の負担とする、との判決

二  原告の請求原因

1  原告が昭和五三年分所得税について昭和五四年三月一五日にした確定申告に対し、被告は同年七月二〇日に更正処分及び過少申告加算税賦課決定をし、原告の異議申立に対し昭和五五年五月二六日に一部取消の異議決定をした。原告はこれに対し国税不服審判所長に審査請求をしたが、同所長は昭和五六年二月二〇日に請求棄却の裁決をした。次いで被告は昭和五七年三月一日に再更正処分及び過少申告加算税賦課決定をし、原告の異議申立に対し同年七月二二日に異議棄却決定をしたが、原告の審査請求に対し、国税不服審判所長は昭和五八年四月一四日に一部取消の裁決をした。以上の経過及びその内容は別表1記載のとおりである。

2  右再更正処分及び過少申告加算税賦課決定(右裁決による一部取消後のもの。以下「本件処分」及び「本件決定」という。)は、原告所有地を東大阪市弥刀公民館建設事業用地及び弥刀小学校運動場拡張事業用地として東大阪市に譲渡したことによる譲渡所得に関し、前者の譲渡所得の帰属時期についての判断を誤っただけでなく、両者の譲渡所得につき必要経費の算定を誤り、かつ特別控除の特例を適用すべきであるのにこれをしなかった結果、原告の所得を過大に認定した違法がある。

3  そこで、原告は本件処分及び決定の取消を求める。

三  請求原因に対する被告の認否及び主張

1  請求原因1の事実は認めるが、同2の事実は争う。

2  原告は司法書士の業務を行う傍ら農業に従事し、昭和四九年から三年間長瀬農業協同組合の組合長を勤めたこともある者であるが、昭和五〇年一二月二三日木田オユウから、自己が耕作権を有する東大阪市近江堂一丁目二二六番一、二二七番、二二八番(以下地番のみで表示する。)の田三筆合計二四九一平方メートルについて、予め農地法三条の許可を受けた上、その所有権(いわゆる底地部分)を代金一億二三九一万五〇〇〇円で買受け、翌二四日所有権移転登記を経由し、同月二六日これらを合筆して二二六番一田とした。原告は右代金として同月二三日に一五〇〇万円、昭和五一年一月一九日に一億〇八九一万五〇〇〇円を木田に支払った。

3  原告は木田から取得した右農地を以前から耕地の用に供していたが、取得後も後記の東大阪市への譲渡までの間、その大部分を引続きみずからの耕作の用に供していた。このことは、当時原告所有の農地は右以外になかったところ、原告は昭和五一年から昭和五三年までの三年間にいずれも農業所得があったとして確定申告をしていること、右三年間に順次稲作から畑作に転換したとして毎年稲作転作補償金を受領していること、昭和五三、四年中に長瀬農協に農作物を売渡しており、昭和五三年中でも合計二一万七八六〇円の農業経費を支出していること等の事実から明らかである。

4  東大阪市はかねて弥刀公民館の建設と弥刀小学校のプール建設に必要な土地を物色していたが、原告が前記経過で取得した二二六番一の土地と隣接の株式会社天国所有二二五番一宅地九一六・一五九平方メートルが格好の候補地であったので、公民館建設事業と小学校運動場拡張事業の担当部局である市教育委員会において昭和五二年一〇月土地買収の交渉に着手することとし、東大阪市土地開発公社に右買収交渉を事実上依頼した。そこで、開発公社は同月一二日原告と天国に対する買収交渉を開始したが、原告がみずから交渉の場に臨むことはほとんどなく、原告の三男で天国の代表取締役である和田征彪が原告の代理人を兼ねて右交渉の相手方となった。従って、開発公社は右同日原告に対し租税特別措置法(昭和五四年法律一五号による改正前のもの、以下「措置法」という。)三三条の四第三項一号にいう買取り等の申出を行ったことになる。なお、東大阪市は開発公社に対し公民館建設事業につき同年一一月二一日付で、小学校運動場拡張事業につき昭和五三年一〇月一二日付で正式に用地買収交渉等の業務斡旋依頼をしており、また大阪府知事に対し公民館建設事業につき昭和五二年一一月一一日に土地収用法一六条による事業認定の申請をし、同年一二月一六日事業認定を受けている。

右交渉の結果、同年一一月二五日東大阪市と原告らとの間で、原告ら所有地をあわせた三四〇九・一五九平方メートルを公民館用地四九六・五七平方メートル、小学校用地二九一二・五八九平方メートルに区分し、前者を昭和五三年一月中に、後者を同年一〇月末までに東大阪市が買収する旨の合意が成立し、その旨の覚書が作成された。

5  右合意に基づき公民館用地について、原告は昭和五二年一二月一六日二二六番一の土地から二二六番二田三二九平方メートル(実測三二九・一七平方メートル)を分筆した上、同日東大阪市との間でこれを代金二九八七万二一七七円(坪当り三〇万円)で譲渡する旨の契約を締結し、昭和五三年一月一七日所有権移転登記と引渡を了し、右代金として昭和五二年一二月二六日に五九七万四〇〇〇円、昭和五三年一月三一日に二三八九万八一七七円を受領した。また天国も同時に二二五番一の土地から分筆した二二五番三宅地一六七・四〇平方メートルを代金一五一九万一五五〇円(単価は右と同じ)で東大阪市に譲渡し、所有権移転登記と引渡を了している。

次いで小学校用地について、原告は同年一〇月二六日二二六番一の土地から二二六番三田二一五九平方メートルを分筆の上、同月三〇日東大阪市との間でこれを代金一億九五九二万九二五〇円(単価は公民館用地と同じ)で譲渡する旨の契約を締結し、翌三一日所有権移転登記と引渡を了し、右代金を翌一一月一日受領した。また天国も同時に二二五番一の土地から分筆した二二五番四、五宅地計一七三・二八平方メートルを代金一五七二万五一六〇円(単価は右と同じ)で東大阪市に譲渡し、所有権移転登記と引渡を了している。なお、小学校用地の買収面積が右とあわせて二三三二・二八平方メートルとなり当初の合意内容と異なるのは、天国の譲渡面積が減少したためである。

右によれば、原告の東大阪市に対する両土地の譲渡による所得はいずれも昭和五三年分の譲渡所得となる。

6  原告は木田からの農地取得に関する附帯費用として、収入印紙代五万円、登録免許税七七万二〇〇〇円、不動産取得税四六万三二三〇円(計一二八万五二三〇円)を支出した。

なお、原告は木田に対する買受代金支払のため、長瀬農協から(一)昭和五〇年一二月二三日に一五〇〇万円、(二)昭和五一年一月一九日に一億四五〇〇万円を借入れ、(一)につき同日全額を、(二)につき昭和五三年一月三一日に一八九一万七六三〇円、同年一一月一日に一億二六〇八万二三七〇円を返済したほか、借入金利子として(一)につき昭和五〇年一二月三一日までに二万九五七九円、昭和五一年一月一九日までに六万〇六七七円(計九万〇二五六円)を、(二)につき同年一二月三一日までに一四八六万〇四七一円、昭和五二年一二月三一日までに一四七九万七七七二円、昭和五三年一一月一日までに九〇八万五〇六三円(計三八七四万三三〇六円)を支払っている。しかし、右借入金利子の額は、前記のごとく木田から取得した農地が以前から耕作の用に供され、取得後も東大阪市に譲渡されるまで引続き耕作の用に供されていたため、右農地から生ずる事業所得の金額の計算上必要経費に算入されるべきであり、譲渡所得金額の計算に当っては取得費に算入されることはない。

7  原告が東大阪市に対する土地譲渡に関し支出した譲渡費用は、両土地分として西川不動産株式会社に対する仲介手数料二五〇万円、小学校用地分として和田正徳に対する分筆登記費用二四万九七〇〇円である。右分筆登記費用は大阪土地家屋調査士会の報酬額運用規則及び取扱要領(乙第一六号証)に従い、別表2記載のとおり計算した額であり(算定のための条件、指数は別表3により、算定方法は別表4によった。)、仮に原告がこれをこえる額を支払ったとしても、譲渡所得金額の計算上譲渡費用となるのは右計算額に止まる。

なお、右のほかに原告が両土地分として天国に支払った仲介手数料四〇〇万円があり、これについては天国が宅地建物取引業者であるにせよ、本件の場合は売買交接の段階で取引業者を介在させる必要がなく、代表者の征彪も原告の三男として原告を代理して交渉に当ったに過ぎず、売買契約書にも取引主任者としての同人の記名押印がないこと等から、譲渡費用にはならないというべきであるが、予備的に譲渡費用に含まれると主張する。

8  前記の事実に基づいて公民館用地と小学校用地の譲渡による譲渡所得金額を計算し、損益通算を行うと、原告の昭和五三年分の譲渡所得金額(主位的主張額と予備的主張額)は別表5の<7>欄記載のとおりである。公民館用地の譲渡による譲渡所得金額の計算明細は別表6-1、その計算根拠は別表6-2に記載のとおり、小学校用地の譲渡所得金額の計算明細は別表7-1、その計算明細は別表7-2に記載のとおりであり、別表5の<1>ないし<5>欄記載の金額は別表6-1、7-1の<1>ないし<5>欄記載の金額を各欄ごとに合計したものである(別表5の<5>欄は右合計額をかっこ書で、損益通算後の金額を本書で記載した。)。

(一)  譲渡収入金額

原告が譲渡した土地の実質的な経済価値は、旧耕作権部分の経済価値と木田から買受けた底地部分の経済価値とから成り、前者の譲渡による所得は長期譲渡所得(措置法三一条一項)、後者の譲渡による所得は短期譲渡所得(同法三二条一項)になるから、譲渡所得の収入金額を長期譲渡所得の収入金額と短期譲渡所得の収入金額に区分する必要があるが、右区分計算に当っては、原告が底地部分を取得した後の該部分と旧耕作権部分の価額上昇割合が等しいものとして、収入金額を底地部分の売買成立日である昭和五〇年一二月二三日現在の底地部分の価額と旧耕作権部分の価額との割合によって区分することとした。

これによれば、短期譲渡所得の収入金額は、公民館用地、小学校用地別に、譲渡価額に右日時現在の更地価額のうち底地部分の価額の占める割合を乗じた金額であり、長期譲渡所得の収入金額は、右用地別に、譲渡価額から右金額を差引いた金額である(別表6-2、7-2の各1の(1)、(2)の計算式のとおり)。この場合、更地価額は譲渡時における木田から買受けた全面積の更地価額に基づいて時点修正し、右修正は日本不動産研究所発表の地域別全国市街地価額推移指数表に登載されている昭和五二年九月の指数三二〇二(公民館用地につき譲渡契約が成立した日時、小学校用地につき譲渡価額の合意ができた覚書作成日時に近接した時期のもの)と昭和五〇年九月の指数二九八五(買受日時に近接した時期のもの)との割合によって行った。

(二)  取得費

長期譲渡所得の取得費は、公民館用地、小学校用地別に、長期譲渡所得の収入金額の百分の五に相当する金額である(措置法三一条の三)。

短期譲渡所得の取得費は木田から買受けた底地部分の価額と附帯費用の合計額を、公民館用地、小学校用地別に、譲渡面積に応じて区分計算した金額である(別表6-2、7-2の各2の計算式のとおり)。

(三)  譲渡費用

譲渡費用は、西川不動産株式会社に対する仲介手数料(予備的にこれと天国に対する仲介手数料の合計額)を、公民館用地、小学校用地別に、譲渡価額に応じて区分し、小学校用地についてはこれに和田正徳に対する分筆登記費用を加えた額であり(別表6-2、7-2の各3の計算式のとおり)、これを長期譲渡所得、短期譲渡所得別に各収入金額に応じて区分計算した。

(四)  損益通算

原告の昭和五三年分の農業から生ずる事業所得の金額の計算は別表8の1記載のとおりであり、右金額の計算上生じた損失の金額を他の各種所得の金額から控除する損益通算は同表の2記載のとおりである(所得税法六九条一項、同法施行令一九八条一号、三号、措置法三一条三項二号、三二条四項、同法施行令(昭和五四年政令七一号による改正前)二〇条四項、二一条五項)。

(五)  特別控除額

分離長期譲渡所得についての特別控除額一〇〇万円は、右損益通算後の金額から控除される(措置法三一条一項本文、二項)。

なお、措置法三三条の四第一項による三〇〇〇万円の特別控除の特例については、原告は昭和五三年分の所得税の確定申告書に公民館用地の譲渡による譲渡所得につき右特例の適用を受ける旨の記載をせず、かつ必要な証明書を添付しなかったものであり、小学校用地の譲渡による譲渡所得については右特例の適用を受ける旨記載して必要書類のうち買取り証明書を添付したものの、右譲渡は買取り申出日である昭和五二年一〇月一二日から六か月を経過した後になされているので右特例の適用がなく(更に、その他の必要書類である買取り申出証明書、収用証明書の添付もされなかった。)、特別控除をすることができない。

9  以上によれば、原告の分離長期譲渡所得金額は主位的に八五〇三万五五八一円、予備的に八一〇三万五五八一円(分離短期譲渡所得金額は〇円)であるから、右の範囲内でなされた本件処分は何ら違法でなく、これを前提とする本件決定も違法ではない。

四  被告の主張に対する原告の認否と主張

1  被告主張の2の事実は認める。

2  同3の事実中、原告が木田から農地を取得するまでこれを耕作の用に供していたこと、右取得当時原告所有の農地は右以外になかったこと、原告が昭和五一年から昭和五三年までの三年間の農業所得につき確定申告をし、右三年間に毎年稲作転作補償金を受領したことは認めるが、その余は争う。原告は木田から農地を取得して一旦耕作を中止した後、東大阪市に譲渡するまでの間に一部を第三者に無償で耕作させ、一部を自ら休閑地利用の形で細々と耕作していたことがあるに過ぎない。

3  同4の事実中、東大阪市が開発公社に対し公民館建設事業と小学校運動場拡張事業につき用地買収交渉等の業務斡旋依頼をしたこと、東大阪市が公民館建設事業につき土地収用法による事業認定を受けたこと、東大阪市と天国との間で被告主張のような合意を記載した覚書が作成されたことは認めるが、その余は争う。

4  同5の事実中、原告と天国がそれぞれ東大阪市との間で公民館用地と小学校用地につき譲渡契約を締結して所有権移転登記と引渡を了し、原告が譲渡代金を受領したこと、小学校用地の譲渡による所得が昭和五三年分の譲渡所得になることは認めるが、その余は争う。原告は東大阪市との間で覚書記載の合意をしていないから、原告がした譲渡は右合意に基づくものではない。また公民館用地の譲渡による所得は昭和五二年分の譲渡所得となるものである。

5  同6の事実中、収入印紙代、登録免許税、不動産取得税の計一二八万五二三〇円が農地取得の附帯費用であること、長瀬農協からの借入と返済、利子支払状況は認めるが、その余は争う。

6  同7の事実中、西川不動産に対する仲介手数料二五〇万円と和田正徳に対する分筆登記費用が譲渡費用であることは認めるが、後者の額は争う。なお、天国に対する仲介手数料四〇〇万円も譲渡費用である。

7  同8の前段の事実は争う。同8の(一)の事実は認める。同8の(二)の事実中、長期譲渡所得の取得費は認めるが、その余は争う。同8の(三)ないし(五)の事実は争う。ただし、原告の昭和五三年分の農業所得の申告額、稲作転作補償金額、借入金利子の支払額、農業以外の事業の所得金額、給与所得金額はいずれも認める。

8  同9の事実は争う。

9  公民館用地の譲渡による所得は、譲渡契約が成立した昭和五二年一二月一六日に発生したものとして同年分の譲渡所得を構成する。もっとも、原告は同年分の確定申告に際し、公民館用地の譲渡所得について譲渡代金が三〇〇〇万円以下であり、特別控除によって譲渡所得金額が〇円となることから申告しなくてもよいと考え、申告書に記載しなかったが、同年分の申告もれにつき昭和五三年四月に事情聴収が行われた際、原告が右事情を説明したところ、被告担当職員はこれを了解し、申告があったものとして処理しておくから改めて申告する必要はない旨明言していたから、結局被告においても昭和五二年分の譲渡所得として容認していたものである。このことは、本件処分に先立つ更正処分が公民館用地の譲渡所得は前年分に属するとの前提で、小学校用地の譲渡所得だけを対象にしていたことからも明らかである。

指って、昭和五三年分の譲渡所得は小学校用地の譲渡に関するものだけであり、昭和五二年分に属する公民館用地の譲渡所得については、更正期限である昭和五六年三月一五日の経過により最早更正できないというべきである。

10  原告は木田所有の農地を転売目的で取得したのであり、引続き耕作の用に供するために取得したものではない。現に、原告は右農地を取得したのと同日の昭和五〇年一二月二三日宅地造成のため天国に代金一億五〇〇〇万円で売却し(後日解約された。)直ちに耕作を中止している。もっとも、右農地の宅地への地目変更が容易に実現しなかったことや、長瀬農協の組合長としての立場上、東大阪市に譲渡するまでの間、一部を第三者に無償で耕作させたり、原告自ら一部を休閑地利用の形で耕作していた時期があり、また昭和五一年から昭和五三年までの三年間に農業所得の確定申告をしたことがあるが、事業として農業に従事していたわけではない。原告が農業を事業として行うのであれば、何も巨費を投じて農地を取得する必要はなく、従前どおり永小作のままでよかったし、また借入金と利息をまかなって余りある農業収入を得られる見込みも全くなかったものである。

11  原告が木田からの農地取得に関し支払った附帯費用として、被告主張額以外に、和田正徳に対する実測費用四〇万〇四〇〇円と合筆登記費用二万六八〇〇円、弁護士立会料三〇万円、山本興業に対する造成費用二〇〇万円(計二七二万七二〇〇円)があり、これを取得費に入れるべきである。

更に、長瀬農協に対する借入金利子についても、前記の理由により農業所得の必要経費ではなく譲渡所取の取得費と認めるべきであり、その額は公民館用地分が昭和五二年一二月三一日までの支払にかかる二九七四万八四九九円、小学校用地分が昭和五三年一一月一日までの全期間の支払にかかる三八八三万三五六二円である。

12  原告が支出した譲渡費用は、公民館用地の譲渡につき西川不動産に対する仲介手数料一〇〇万円であり、小学校用地の譲渡につき西川不動産に対する仲介手数料一五〇万円、天国に対する仲介手数料四〇〇万円、株式会社信誠社に対する仲介手数料五〇万円、天国に対する売買解約に伴う違約金一五〇〇万円、和田正徳に対する分筆実測費用一三四万一四〇〇円(計二二三四万一四〇〇円)である。

13  原告は前記のように木田から買受けた農地を直ちに天国に転売したから、被告主張のように昭和五二年一〇月一二日に開発公社の買収交渉の相手方となったことはなく、覚書についても作成に関与せず、記載のような合意もしていない。原告が買収問題に直面したのは天国から同年一二月五日売買を解約されてからのことであり、後日覚書の存在を知ったものである。開発公社から原告に対する買取り等の申出日は、東大阪市の書類によれば公民館用地につき同年一一月二四日、小学校用地につき昭和五三年一〇月二五日である。従って、東大阪市に対する右両用地の譲渡はそれぞれ買取り等の申出日から六か月以内であり、いずれについても措置法三三条の四第一項による特別控除の特例が適用されるべきである。

14  前記の事実関係に基づき、昭和五二年分の公民館用地の譲渡所得と昭和五三年分の小学校用地の譲渡所得につき各別に譲渡所得金額を計算すると、別表9、10記載のとおりである。

(一)  譲渡収入金額

長期譲渡所得、短期譲渡所得の収入金額は被告主張額と同様である。

(二)  取得費

長期譲渡所得の取得費は被告主張額と同額である。

短期譲渡所得の取得費は、木田から買受けた底地部分の価額と附帯費用として被告主張額一二八万五二三〇円、前記11の二七二万七二〇〇円を加え、更に公民館用地分の借入金利子二九七四万八四九九円、小学校用地分の借入金利子三八八三万三五六二円を各別に加算した合計額(昭和五二年分が一億五七六七万五九二九円、昭和五三年分が一億六六七六万〇九九二円)を譲渡面積に応じて区分計算すべきである(別表9、10の各2の計算式のとおり)。

(三)  譲渡費用

譲渡費用は前記12の費用の長期譲渡所得、短期譲渡所得別に各収入金額に応じて区分計算すべきである。

(四)  特別控除額

公民館用地及び小学校用地の譲渡による譲渡所得金額の計算に当っては、前記のとおりいずれについても措置法三三条の四第一項による特別控除の特例が適用される。

15  以上によれば、原告の昭和五二年分の公民館用地の譲渡による長期譲渡所得金額、昭和五三年分の小学校用地の譲渡による長期譲渡所得金額はいずれも〇円(各短期譲渡所得金額も〇円)である。

五  原告の主張に対する被告の認否と反論

1  原告主張の9の事実は争う。譲渡所得の収入金額の権利確定の時期は、資産に対する現実の支配が相手方に移転した時期、すなわち資産の引渡があった日によるべきであるから、公民館用地の譲渡所得はその引渡がされた昭和五三年一月一七日が譲渡所得実現の時であり、小学校用地の場合と同様に同年分の譲渡所得を構成する。もっとも、税務実務上、資産の譲渡契約の効力発生日により総収入金額に算入して申告があったときはこれを認める取扱であるが、原告は昭和五二年分の確定申告において公民館用地の譲渡所得を申告していないし、同年分の申告についての事情聴取に際し、被告担当職員が原告に対して申告があったものとして処理しておくから改めて申告する必要がない旨述べた事実もないから、右例外的な取扱は認められない。本件処分に先立つ更正処分が公民館用地の譲渡所得を対象外にしていたのは、当時被告が右譲渡所得を把握していなかっただけのことであり、原告主張の正当性を裏付けるものではない。更正処分後の調査により右譲渡所得の把握もれが判明した以上、被告が再更正をするのは当然のことであって、右譲渡所得は昭和五三年分に属するから、本件処分は更正期限内である。

2  同10の事実中、原告が木田から取得した農地を天国に転売したことは認めるが、その余は争う。右売買については農地法五条一項三号の届出が受理されなかったため結局その効力を生せず、売買が成立しなかったものであり、原告が右農地を取得後東大阪市に譲渡するまでの間、その大部分を自ら耕作の用に供し、農業を営んでいたことは前記のとおりである。

3  同11の事実中、実測費用、合筆登記費用の支払の点は知らず、弁護士立会料、造成費用の支払の点は否認し、その余は争う。

4  同12の事実中、西川不動産に対する仲介手数料、天国に対する仲介手数料の支払の点は認めるが(ただし、これらは公民館用地と小学校用地の双方の譲渡に関するものである。)、その余は否認する。天国に対する仲介手数料と和田正徳に対する分筆実測費用についての被告の主張は前記のとおりである。

5  同13の事実中、東大阪市の書類上の公民館用地、小学校用地の買取り等の申出日は認めるが、その余は争う。右書類上の記載は事実関係を確認した上でなされたものではなく、真実ではない。

6  同14、15の事実は争う。

六  証拠関係

本件訴訟記録中の書証目録、証人等目録記載のとおりであるから、これを引用する。

理由

一  原告の昭和五三年分所得税についての確定申告に対する更正処分及び過少申告加算税賦課決定と異議決定並びに裁決、再更正処分及び過少申告加算税賦課決定とその異議決定並びに裁決に関する経過及びその内容が別表1記載のとおりであることは、当事者間に争いがない。

二  原告が司法書士の業務を行う傍ら農業に従事し、昭和四九年から三年間長瀬農協の組合長を勤めたこと、原告が昭和五〇年一二月二三日木田から自己が耕作権を有する二二六番一、二二七番、二二八番の田三筆合計二四九一平方メートルにつき、予め農地法三条の許可を受けた上その所有権(いわゆる底地部分)を代金一億二三九一万五〇〇〇円で買受け、翌二四日所有権移転登記を経由し、同月二六日これらを合筆して二二六番一田とし、右代金を木田に支払ったこと、東大阪市の弥刀公民館建設事業用地について、原告が昭和五二年一二月一六日二二六番一の土地から二二六番二田三二九平方メートル(実測三二九・一七平方メートル)を分筆の上、同日東大阪市との間でこれを代金二九八七万二一七七円(坪当り三〇万円)で譲渡する旨の契約を締結し、昭和五三年一月一七日所有権移転登記と引渡を了し、右代金として昭和五二年一二月二六日に五九七万四〇〇〇円、昭和五三年一月三一日に二三八九万八一七七円を受領したこと、株式会社天国も同時に二二五番一の土地から分筆した二二五番三宅地一六七・四〇平方メートルを代金一五一九万一五五〇円(単価は右と同じ)で東大阪市に譲渡し、所有権移転登記と引渡を了したこと、弥刀小学校プール建設のための運動場拡張事業用地について、原告が昭和五三年一〇月二六日二二六番一の土地から二二六番三田二一五九平方メートルを分筆の上、同月三〇日東大阪市との間でこれを代金一億九五九二万九二五〇円(単価は公民館用地と同じ)で譲渡する旨の契約を締結し、翌三一日所有権移転登記と引渡を了し、右代金を翌一一月一日受領したこと、天国も同時に二二五番一の土地から分筆した二二五番四、五宅地計一七三・二八平方メートルを代金一五七二万五一六〇円(単価は右と同じ)で東大阪市に譲渡し、所有権移転登記と引渡を了したこと、以上の事実は当事者間に争いがない。

三  右のとおり、原告は木田から取得した農地の一部を公民館用地として、一部を小学校用地として東大阪市に譲渡することにより譲渡所得を得たものであるところ、小学校用地の譲渡所得が昭和五三年分に属することは当事者間に争いがないので、まず公民館用地の譲渡所得の帰属時期について検討する。

1  譲渡所得に対する課税は、資産の値上りによりその資産の所有者に帰属する増加益を所得として、その資産が所有者の支配を離れて他に移転する機会にこれを清算して課税するというものである。従って、譲渡所得における収入すべき権利の確定時期の判定に当っては、その資産の所有権が相手方に移転する時期がひとつの重要な要素となることはいうまでもないが、課税の公平や担税力に応じた課税の実現という見地からすると、所有権の移転という法的評価だけでなく、資産の増加益の利得という経済的利得が確定的に発生する時期がいつであるかについても考慮を払う必要があり、これらを総合して収入すべき権利の確定時期を判定するのが相当である。

これを公民館用地の譲渡について見ると、右用地は登記簿上田であり、後に認定するように譲渡当時現に耕作されていた農地であるが、公共事業に供すべく土地収用法による事業認定がなされた土地であるから、転用による所有権移転につき知事の許可を要しないものであったところ、成立に争いがない乙第四、第八、九号証、第二四号証の一〇ないし一二、原告本人尋問の結果によれば、原告と東大阪市との間で取り交された昭和五二年一二月一六日付売買契約書には、(一)契約締結日をもって所有権を移転するものとし、(二)原告は抵当権その他所有権の完全な行使を妨げる権利を抹消して何等瑕疵のない完全な所有権を東大阪市に移転することとし、(三)原告は契約締結後速やかに登記に必要な書類を東大阪市に提出すべく、(四)東大阪市は右提出義務履行後、売買代金二九八七万二一七七円の内金五九七万四〇〇〇円を速やかに支払い、移転登記完了後昭和五三年一月三一日に残金二三八九万八一七七円を支払うものとし、(五)原告は地上に支障物件がある場合は右同日までに除去した上東大阪市に占有を移転すべき旨が記載されていたこと、右契約書は東大阪市が作成した文案に基づき双方が調印したものであること、公民館用地(二二六番二)が分筆される前の二二六番一の土地には、長瀬農協に対する代物弁済予約を原因とする所有権移転請求権仮登記と極度額一億五六〇〇万円の根抵当権設定契約を原因とする根抵当権設定登記が付されていたが、昭和五二年一二月一六日付で東大阪市の代位による登記嘱託に基づき二二六番二が分筆され、同日付で右仮登記と根抵当権登記が二二六番二につき消滅した旨の付記登記がなされたこと、次いで東大阪市の登記嘱託に基づき、同月二〇日付で売買を原因とする所有権移転仮登記が、昭和五三年一月一七日付で右仮登記の本登記として売買を原因とする所有権移転登記が経由されたことが認められる。

右事実と前記二の当事者間に争いがない事実を総合して判断すると、原告は公民館用地の売買契約締結と共に右用地の所有権を東大阪市に移転することを約し、右用地の分筆登記、仮登記及び本登記に必要な関係書類一切を東大阪市に提出したので、東大阪市はこれに基づいて分筆登記を嘱託し、長瀬農協の仮登記と根抵当権登記が抹消された後の昭和五二年一二月二〇日付で売買による仮登記を嘱託した上で、同月二六日売買代金の二割に相当する内金を支払い、昭和五三年一月一七日付で右仮登記の本登記を嘱託し、かつ引渡を受けた後の同月三一日に残金の支払を完了したものであって、かかる経緯からすれば、原告は登記関係書類を東大阪市に提出し、長瀬農協に対する負担を抹消したことによって自己の契約上の義務をほとんど履行し終えたことになり、一方東大阪市としても、右仮登記を付することなくその時点で直ちに所有権移転登記を経由することも可能であったというべきである。そうすると、原告の東大阪市に対する公民館用地の譲渡に伴う資産の増加益の利得という経済的利益は、遅くとも東大阪市が何等負担のなくなった右用地につき右仮登記を経由したことによって確定的に発生したものと解するのが相当であり、従って、右用地の譲渡による収入すべき権利の確定時期は右仮登記がなされた昭和五二年一二月二〇日であるから、右用地の譲渡所得は昭和五二年分に帰属するというべきである。

2  被告は、譲渡所得の収入金額の確定時期は資産に対する現実の支配が相手方に移転した時期である資産の引渡日によるべく、公民館用地の譲渡所得はその引渡がされた昭和五三年一月一七日に実現したものとして、昭和五三年分に帰属する旨主張する。確かに一般論としては、資産の引渡があればそれまでに所有権も相手方に移転しているのが通常であり、また引渡によって売買代金を相手方に請求できることが確定的になるところから、契約内容上他によるべき判定基準がない場合には、引渡時期をもって収入すべき権利の確定時期とする右見解にも合理性があると認められ、所得税基本通達(昭和四五年七月一日直審(所)三〇号国税庁長官通達)三六-一二本文が「譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は、譲渡所得の基因となる資産の引渡しがあった日による」旨定めているのも、かかる立場に立っているものと解される。

しかし、本件にあっては当事者間の合意により契約締結日をもって所有権を移転することが約定され、その後売買による仮登記まで経由されたのであって、これにより本登記や引渡をまたずに資産の譲渡による利得という経済的利益が確定的に発生したことを明確に把握することが可能となったのであるから、一般的な基準である引渡時期によるのは相当でないというべきである。

3  ところで、原告は公民館用地の譲渡所得は譲渡契約成立日の属する昭和五二年分に生じたとし、原告は同年分の確定申告に際して右譲渡所得を申告しなかったが、その後の事情聴取の機会に被告担当職員から申告があったものとして処理しておく旨聞かされた旨主張している。

右主張は前記基本通達三六-一二ただし書が「当該資産の譲渡に関する契約の効力発生の日により総収入金額に算入して申告があったときは、これを認める。」として、右通達三六-一二本文による引渡基準に対する例外的取扱を規定しているのに依拠しようとするものと解されるが、右取扱をまつまでもなく、公民館用地の譲渡所得が昭和五二年分に帰属すると解すべきことは前述のとおりである。そして、成立に争いがない乙第一八号証の一、第四〇、四一号証、証人松本道夫(第一、二回)、高岩進の証言を総合すると、原告が昭和五二年分の確定申告に際し公民館用地の譲渡所得を申告しなかったことについて、被告の資産税担当部門から原告に対し昭和五三年四月一三日付の往復はがきでその理由を照会したところ、その直後頃原告の税務面の相談に与っていた松本道夫が原告の依頼を受けて担当職員に面接し、右譲渡所得につき措置法三三条の四第一項による特別控除の特例の適用が受けられるかどうかが分らなかったので申告しなかった旨を説明したことが認められるが、松本証言中、右職員が同人に対し、右特例が適用される場合には税金がかからないから申告があったものとして処理しておく旨を述べたので、右特例の適用を受けるに必要な証明書類を提出したとの点は、高岩証言に照らしてたやすく措信できず、他に原告主張事実を認めるに足りる証拠はない。

従って、これによれば結局原告は公民館用地の譲渡所得を昭和五二年分として申告しなかったことになるが、右譲渡所得が同年分に属するものである以上、右無申告の是正は同年分の更正処分によって行うべきであり、これを昭和五三年分に属するとしてなされた本件処分は右譲渡所得の帰属年分を誤認したものとして、その限度で違法たるを免れない。

四  そこで、以下小学校用地の譲渡所得について判断するが、右譲渡所得は公民館用地の譲渡所得とも密接な関連があるので、必要に応じこれにも言及しながら検討を加えることとする。

まず、小学校用地の譲渡所得にかかる取得費用に関連して、原告が木田から取得した農地を東大阪市に譲渡するまでの使用状況等について検討する。

原告が右農地を取得するまでこれを耕作の用に供していたこと、右取得当時原告所有の農地は右以外になかったこと、原告が昭和五一年から昭和五三年までの三年間農業所得につき確定申告をし、右三年間に毎年稲作転作補償金を受領したことは当事者間に争いがなく、右事実に成立に争いがない甲第一号証、乙第一号証の一、第一五、第一七号証、第一八号証の一、第三二ないし第三五号証、第四八号証、弁論の全趣旨により成立を認めうる乙第三六、七号証、証人和田征彪の証言、原告本人尋問の結果(後記措信しない部分を除く。)を総合すると、

1  原告が木田から農地を取得したのは、隣接地で同じく木田所有の二二五番一宅地一二六八・八五平方メートルと合わせ、原告の三男和田征彪が代表取締役をしている天国が買取った上で宅地造成する計画であったところ、右農地の転用が実現するには若干時間がかかり、かつ原告自身も長瀬農協の組合長としての立場上当分の間農業を継続する必要があったためであり、このような事情から天国が右宅地を買受けると同時に原告が右農地を買受けた上で、即日天国との間で右農地につき代金一億五〇〇〇円と定めて売買契約を締結したが(原告と天国間の売買の事実は当事者間に争いがない。)、宅地転用のための許可申請は五年以内にすることが約定されており、天国は原告が右農地を引続き耕作の用に供することを了解していたこと、

2  右農地は水田と畑地であったが、天国が水田の一部を埋立てた後、原告は残余の一部を付近住民三名に耕作させることにしたほかは、原告がみずから稲作と畑作を行い、作物を長瀬農協に出荷していたこと、そのため原告は右出荷の売渡代金として昭和五三年六月一〇日現在で二四万二八六〇円、昭和五四年三月三日現在で二七万〇一〇〇円の債権を有し、昭和五三年中の農業経費として農機具代一式一〇万円、電気代二万四二四六円、種苗代二万二〇四四円、農薬肥料代七万一五七〇円を支出していること、

3  原告の農業所得申告金額は昭和五一、二年分が各五万円、昭和五三年分が二万五〇〇〇円であること(昭和五三年分については当事者間に争いがない。)、また原告が受領した稲作転作補償金は、水田総合利用対策としての転作実施計画に基づくものであり、交付額は昭和五一年分が三万二六七〇円、昭和五二年分が六万五六七〇円、昭和五三年分が八万五八〇〇円であったこと(昭和五三年分については当事者間に争いがない。)、

以上の事実が認められ、右認定に反する原告本人尋問の結果の一部は措信できない。

右事実によれば、原告は木田から取得した農地を天国に転売したとはいえ(右売買が効力を生じていないことはいうまでもない。)、その後も大部分を引続き耕作の用に供していたことが明らかであって、右耕作の形態、規模は単なる休閑地利用の域を出たものであり、原告は右農地に依存して事業として農業を営んでいたものと認めざるを得ない。

五  次に、小学校用地の譲渡所得につき措置法三三条の四第一項による特別控除の特例の適用があるかどうかに関し、原告が木田から取得した農地を東大阪市に譲渡した経緯について検討する。

東大阪市と天国との間で、原告、天国の所有地を合せた三四〇九・一五平方メートルを公民館用地四九六・五七平方メートル、小学校用地二九一二・五八九平方メートルに区分し、前者を昭和五三年一月中に、後者を同年一〇月末までに東大阪市が買収する旨の合意を記載した昭和五二年一一月二五日付覚書が作成されたことは当事者間に争いがなく、右事実に前記乙第八号証、成立に争いがない甲第四号証、乙第七、第一〇、第二三号証、第二四号証の一ないし一二、第二五号証の一ないし一七、証人和田征彪(後記措信しない部分を除く。)、高津俊一の証言、原告本人尋問の結果(後記措信しない部分を除く。)を総合すると、次の事実が認められる。

1  東大阪市教育委員会は原告、天国の所有地が公民館建築と小学校プール建設の適地と判断していたが、昭和五二年度予算で公民館用地を取権することが可能となったので、同年九月頃西脇総務部長が開発公社常務理事高津俊一に面談し、公社に対し右用地の買収交渉を事実上依頼した。そこで公社は登記簿により対象地の所有者が原告と天国であることを確認した上、同年一〇月初旬頃から買収交渉に入った。その後数回にわたる右交渉の相手方は、天国の代表取締役和田征彪と同人が同行した西川不動産の代表取締役西川敬三であったが、征彪は原告の代理人としての立場も兼ねて右交渉に臨んでいた。

2  右交渉に際し、征彪から小学校用地についても買収予定があるならば早急に提示してほしいとの希望が出たため、東大阪市では小学校用地の買収は未だ予算化されていなかったが、右希望に沿い公民館用地と共に買収交渉をするよう公社に依頼した。

3  同年一〇月一二日の交渉の席上で、公社から小学校用地の買収計画をも提示し、次年度予算が成立する年度末まで解決を待ってほしい旨説明したのに対し、征彪から小学校用地の買収時期の繰上げ、公民館用地の内金の年内支払、両用地の買収価額の一律化等を希望した。かかる経過を経て、東大阪市と原告、天国との間で前記覚書が作成され、これにより今後の買収計画の方針が具体化されるに至ったが、その内容は前記のとおり当事者間で両用地の買収面積と買収時期を定めて合意すると共に、買収代金の支払時期につき、公民館用地分は内金二割を同年一二月に、残金は昭和五三年一月中に支払い、小学校用地分は同年一〇月末に一括支払う旨を合意するというものであった。

4  東大阪市は公民館建設事業につき開発公社に対し同年一一月二一日付で用地買収交渉等の業務斡旋依頼を正式文書で行い、大阪府知事から同年一二月一六日に土地収用法一六条による事業認定を受けた(右事実は当事者間に争いがない。)。その間公社は所要の手続を経て右業務を行った結果、右同日東大阪市と原告、天国との間で前記のように公民館用地の譲渡契約が締結されたが、その内容は前記覚書記載の合意に沿ったものであった。

また、東大阪市は小学校運動場拡張事業について、昭和五三年度予算で右事業予算が計上されたので、公社に対し同年一〇月一二日付で用地買収交渉等の業務斡旋依頼を正式文書で行い(右依頼の事実は当事者間に争いがない。)、公社は所要の手続を経て右業務を行った結果、同年同月二六日東大阪市と原告・天国との間で前記のように小学校用地の譲渡契約が締結された。その内容は、譲渡面積が一部減少したほかは前記覚書記載の合意に従ったものであり、右減少は天国が譲渡予定地の一部に建売住宅を建築したためであった。

以上の事実が認められ、右認定に反する証人和田征彪の証言、原告本人尋問の結果の各一部は措信しない。

右認定のとおり、原告と東大阪市との間の小学校用地の譲渡契約は、公民館用地の譲渡契約と共にいずれも前記覚書に記載の合意に従ったものであって、右合意に至るまでの買収交渉には原告自身が出席することはなかったが、天国の代表取締役である征彪が原告の代理人を兼ねて交渉に臨んだものである。そして、東大阪市から小学校用地の買収交渉を事実上依頼された開発公社が征彪に対し、右用地の買収につき具体的な計画を提示したのは遅くとも昭和五二年一〇月一二日の交渉時であったから、右日時が措置法三三条の四第一項による特別控除の特例の適用要件に関連する買取り等の申出日(同条二項)に該るというべきである。なお、右買取り等の申出は事実上の行為で足りるから、右申出が東大阪市から公社に対する買収交渉の依頼に基づいてなされている以上、正式文書による依頼が後日になされたことは、右申出の効力を左右するものではない。

一方、東大阪市が発行した公共事業用資産の買取り等の申出証明書、買取り等の証明書(甲第一〇号証の二、三)には、原告に対する小学校用地の買取り等の申出日が昭和五三年一〇月二五日である旨が記載されており、原告は右記載の日が買取り等の申出日であると主張する。しかし、証人高津俊一の証言によれば、右記載の日時は買収交渉を担当した開発公社において記入したものであるが、記入担当者は東大阪市から正式文書で買収交渉を依頼された日時との形式を合わせるべく、記録上その日以後に相手方と何らかの折衝を行った日時を記入したに過ぎないことが窺われるから、右記載の日時をもって真実の買取り等の申出日と認めることはできず、原告の主張は失当である。

六  小学校用地の譲渡所得にかかる取得費について検討する。

1  原告が木田から農地を取得するにつき、その代金のほかに附帯費用として収入印紙代五万円、登録免許税七七万二〇〇〇円、不動産取得税四六万三二三〇円(計一二八万五二三〇円)を支出したことは、当事者間に争いがない。

2  原告主張の附帯費用のうち、和田正徳に対する実測費用四〇万〇四〇〇円については、甲第一五号証に右支出の記載があるが、弁論の全趣旨により成立を認めうる乙第四六号証、原告本人尋問の結果によれば、土地家屋調査士の正徳は原告の長男であること、原告が木田から農地を買受けた際に原告や木田が実測に立会ったことはないことが認められる上、甲第一五号証に記載の金額は弁論の全趣旨により成立を認めうる乙第四七号証(大阪土地家屋調査士会の報酬額計算資料)に照らして算定の根拠が明らかでなく、原告が真実実測を正徳に依頼して右費用を支出したものとは認めがたい。また正徳に対する合筆登記費用二万六八〇〇円については、甲第一六号証に右支出の記載があり、原告が木田から買受けた農地三筆を合筆したことは前記のとおりであるが、右合筆は土地の維持管理上必要であったとしても、取得のために必要であったとは認めがたいから、右費用は取得費に該当しないというべきである。

次に、弁護士費用三〇万円については、前記乙第三号証によると、木田と原告間の売買契約書には中西清一弁護士が立会人として署名押印していることが窺われるが、原告本人の供述中原告が同弁護士に立会料として右費用を支払ったとの点は措信できず、却って前記乙第四八号証、弁論の全趣旨により成立を認めうる乙第四九号証によれば、同弁護士は天国が買受けた宅地の一部につき木田と占有者との間で訴訟が係属していたために、右宅地の売買契約に木田側から立会った関係上、木田と原告間の売買契約にも木田側の立会人となったものであり、同弁護士自身原告からの金員受領の事実を否定していることが認められるから、右費用の支出はなかったといわざるを得ない。

更に、山本興業に対する造成費用二〇〇万円については、原告本人尋問の結果によっても原告が木田から買受けた農地を天国に転売した後、天国においてその一部を埋立てたことが認められるに過ぎず(これに反する証人和田征彪の証言は措信できない。)、右埋立にかかる費用の額やその精算関係を明らかにする証拠がないから、原告が右費用を支出したものとは認められない。

3  原告主張の借入金利子については、原告が木田に対する買受金支払のため長瀬農協から昭和五〇年一二月二三日に借入れた一五〇〇万円、昭和五一年一月一九日に借入れた一億四五〇〇万円につき、被告主張のごとく昭和五三年一一月一日までに合計三八八三万三五六二円(同年中は九〇八万五〇六三円)の借入金利子を支払ったことは、当事者間に争いがない。しかし、原告が木田から買受けた農地を以前から耕作の用に供し、買受後も東大阪市に譲渡するまでその大部分で引続きみずからの耕作の用に供し事業として農業を営んでいたことは、先に認定したところである。

このような場合には、右農地は事業所得を生ずべき業務の用に供する資産であるから、右借入金利子は農業にかかる事業所得金額の計算上必要経費に算入されるべきものであって、原告が右農地を買受けた目的が将来これを他に転売するためであったとしても、譲渡所得金額の計算に当ってこれを取得費に算入することはできないというべきであり、右借入金利子が農業収入の額をはるかに超えたからといってこの理に変りはない。従って、右借入金利子を取得費として認めることはできない。

七  次に、小学校用地の譲渡所得にかかる譲渡費用について検討する。

1  原告が東大阪市に公民館用地、小学校用地を譲渡するにつき、西川不動産に支払った仲介手数料二五〇万円、小学校用地分として和田正徳に支払った分筆登記費用が譲渡費用となることは、当事者間に争いがない。

原告は、右仲介手数料は公民館用地分一〇〇万円、小学校用地処一五〇万円であると主張する。成程、甲第一八、第二五号証には公民館用地譲渡後の昭和五三年三月二五日に二二六番二の仲介手数料として一〇〇万円を、小学校用地譲渡後の同年一二月二六日に二二六番一(三の誤記と認められる。)の仲介手数料として一五〇万円を西川不動産が領収した旨の記載があるが、同社の代表取締役西川敬三は両用地を通じた買収交渉に立会っていた者であるから、仲介契約はひとつと見るのが自然であり、譲渡代金と仲介手数料との均衡から考えても、両用地分の仲介手数料が二五〇万円であり、これが二回に分けて支払われたものと認めるのが相当である。

また、小学校用地の分筆登記費用の額につき、甲第一七号証、第一九ないし第二一号証には(一)同年一月三一日に分筆実測杭入費三二万三二〇〇円、同年一一月一日に(二)分筆費三三万八二〇〇円、(三)分筆実測費二八万円、(四)実測費四〇万円(計一三四万一四〇〇円)を正徳が領収した旨の記載があるが、原告が右用地を分筆したのは同年一〇月二六日であるから、(一)の支出と右用地の譲渡との関連性がしかく明確でない上、(一)ないし(四)の支出を通じてその計算明細は、成立に争いがない乙第一六号証(大阪土地家屋調査士会の報酬額運用規則及び取扱要領)に照らし算定根拠が明らかでなく、不当に高額であって、正徳が原告の長男であることを合せ考えると、(一)ないし(四)の金額が譲渡に必要であったかどうかは疑問である。そこで、小学校用地の譲渡に必要な分筆登記費用を乙第一六号証に基づき算定すると、別表2記載のとおり合計二四万九七〇〇円となり(算定のための条件、指数は別表3により、算定方法は別表4による。)、右金額が譲渡費用としての分筆登記費用であるというべきである。

2  次に、原告が天国に対し両用地分の仲介手数料として四〇〇万円を支払ったことは当事者間に争いがなく、成立に争いがない甲第二三号証、乙第三〇号証、証人和田征彪の証言によれば、右支払は同年一一月一日になされているが両用地に関するものであること、天国は不動産売買、仲介業を営む会社であって、前記のように原告の三男征彪が代表取締役であるが、会社としても西川不動産と共に本件譲渡を仲介したこと、征彪は原告から受ける報酬につき西川不動産と協議して、取引への関与程度その他の事情を勘案し天国が四〇〇万円、西川不動産が二五〇万円を請求することにしたものであり、右金額を合わせても昭和四五年建設省告示一五五二号に定める報酬の最高限度額以内であることが認められる。なお、原告と東大阪市との両用地の売買契約書(前記乙第八、第一〇号証)に天国や征彪が仲介業者ないし取引主任者として記名押印していないことは、天国が右売買を仲介したとの認定の妨げになるものでなく(西川不動産も記名押印していない。)、その他天国の仲介が不必要であったことを窺わせる事情も存しない。

そうすると、右仲介手数料は譲渡費用になるというべきであるから、この点に関する被告の主位的主張は理由がない。

3  原告が小学校用地の譲渡費用として主張する信誠社に対する仲介手数料五〇万円については、甲第二二号証に右支出の記載があり、成立に争いがない乙第三一号証、証人和田征彪の証言によると、信誠社(代表取締役和田久司は原告の四男)は不動産売買、仲介業を営む会社であることが認められるが、同社が原告から西川不動産や天国と並んで仲介を依頼され、仲介業務を遂行したことを認めるに足りる証拠はない。

また、天国に対する売買解約に伴う違約金一五〇〇万円については、甲第四号証に天国が昭和五二年一二月五日原告に農地の売買契約を解約する旨申入れた旨の、甲第二四号証に天国が昭和五三年一一月一日原告から右違約金を受領した旨の記載があるものの、原告と天国との売買契約につき原告に債務不履行があったことを認めるに足りる証拠はなく、むしろ右契約は宅地転用のための許可申請に至らないまま契約の効力を生じなかったものであって、天国が右売買を解約したのはこのことを形式的に確認する趣旨に出たものと解されるから、原告が天国に違約金を支払う必要は全くないというべきであり、違約金名下に金員を支払ったとしてもこれを譲渡費用と認めることはできない。

八  以上認定の事実に基づき小学校用地の譲渡による譲渡所得金額を計算するに、原告が譲渡した土地の旧耕作権部分の経済価値の譲渡による所得は長期譲渡所得(措置法三一条一項)、木田から買受けた底地部分の経済価値の譲渡による所得は短期譲渡所得(同法三二条一項)になるから、小学校用地の譲渡収入金額を長期譲渡所得の収入金額と短期譲渡所得の収入金額に区分する必要があり、右区分された収入金額から必要経費としての取得費と譲渡費用を控除した上で、所要の損益通算を行い、特別控除額を控除することになる。

1  譲渡収入金額

小学校用地の短期譲渡所得と長期譲渡所得の収入金額が被告主張の計算方法(別表7-2の1の(1)、(2)の計算式)により、別表7-1の<1>欄記載の金額となることは、当事者間に争いがない。

2  取得費

小学校用地の長期譲渡所得の取得費が別表7-1の<2>欄記載の金額となることは当事者間に争いがなく、短期譲渡所得の取得費は、木田から買受けた底地部分の価額と前記六で認定した附帯費用の合計額を小学校用地の譲渡面積に応じて区分計算した同表<2>欄記載の金額となる(別表7-2の2の計算式のとおり。)

3  譲渡費用

小学校用地の譲渡費用は、前記七で認定した西川不動産と天国に対する仲介手数料の合計額を小学校用地の譲渡価額に応じて区分し、これに和田正徳に対する分筆登記費用を加えた額(別表7-2の3の計算式中予備的主張額の式のとおり)を、長期譲渡所得、短期譲渡所得の各収入金額に応じて区分計算した別表7-1の<3>欄中予備的主張額欄記載の金額となる。

4  損益通算

小学校用地の長期譲渡所得、短期譲渡所得別に、右認定の譲渡収入金額から必要経費としての取得費及び譲渡費用を差引いた金額は、長期譲渡所得につき七四二五万九三三八円、短期譲渡所得につき三二三万〇四五六円となるところ、原告の昭和五三年分の農業から生ずる事業所得の金額を計算すると別表8の1記載のとおりであって(申告所得金額、稲作転作補償金、借入金利子支払額の基礎となる同年中の支払総額は前記のとおり当事者間に争いがない。)、右金額の計算上生じた損失の金額は七七三万三六九六円であり、また原告の同年分の農業以外の事業の所得金額二一万五〇〇〇円、給与所得金額が二一万二〇〇〇円であることは当事者間に争いがない。従って、右農業から生じた損失の金額を農業以外の事業の所得金額、給与所得金額と損益通算した総所得金額計算上の損失金額を、右短期譲渡所得金額、長期譲渡所得金額の順で損益通算すると、短期譲渡所得金額は〇円、長期譲渡所得金額は七〇一八万三〇九八円となる。

5  特別控除額

長期譲渡所得についての特別控除額一〇〇万円は右損益通算後の金額から控除されることになる。

原告は措置法三三条の四第一項による特別控除の特例の適用を主張するが、成立に争いがない乙第一号証の一、三によると、原告は昭和五三年分の所得税の確定申告書に小学校用地の譲渡所得を計上して右特例の適用を受ける旨の記載をしたが、必要な証明書類として収用証明書、買取り等の申出証明書、買取り等の証明書の三通を添付する必要があるのに、買取り等の証明書を添付しただけであることが認められるのみならず、もともと小学校用地の譲渡は先に認定した買取り等の申出日である昭和五二年一〇月一二日から六か月経過後の昭和五三年一〇月三〇日になされたものであるから、いずれにしても右特例の適用要件を欠いており、原告の主張は失当である。

6  以上によれば、原告の分離長期譲渡所得金額は、六九一八万三〇九八円(分離短期譲渡所得金額は〇円)となる。

九  そうすると、本件処分及び決定中、分離長期譲渡所得金額六九一八万三〇九八円を超える部分は違法であるから、本訴請求のうち右部分は取消すべきであるが、その余は失当として棄却すべきであり、訴訟費用の負担につき行訴法七条、民訴法九二条を適用した上、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 青木敏行 裁判官 古賀寛 裁判官 松田亨)

別表1 課税の経過及びその内容

<省略>

(注) 所得控除額(4)は、先ず総所得金額(1)から控除し、控除しきれない金額があるときは分離短期(長期)譲渡所得金額(2)(3)から控除する。

別表2

土地報酬額計算書

年 月 日

<省略>

別表3

<省略>

別表4

報酬額算定方法

<省略>

別表5

譲渡所得金額の計算明細書

<省略>

(注) 「<5> 差引金額」欄の金額は、損益通算前の金額をかっこ書し、損益通算後の金額を本書した。

<3>ないし<7>欄の各左欄は主位的主張額、各右欄は予備的主張額である。

別表6-1

弥刀公民館建設事業用地の譲渡に伴う譲渡所得金額の計算明細書

<省略>

買取り等の申出年月日 昭52.10.12 買取り年月日 昭53.1.17

(注) <3>、<4>、<5>の各左欄は主位的主張額、各右欄は予備的主張額である。

別表6-2 弥刀公民館建設事業用地の譲渡に伴う譲渡所得金額の計算根拠

<省略>

別表7-1

東大阪市立弥刀小学校拡張事業用地の譲渡に伴う譲渡所得金額の計算明細書

<省略>

買取り等の申出年月日 昭52.10.12 買取り年月日 昭53.10.31

(注) <3>、<4>、<5>の各左欄は主位的主張額、各右欄は予備的主張額である。

別表7-2 東大阪市立弥刀小学校拡張事業用地の譲渡に伴う譲渡所得金額の計算根拠

<省略>

別表8

1. 原告の農業から生ずる事業所得の金額の計算

<省略>

2. 損益通算

<省略>

(注) <5>、<6>、<7>の各上段は主位的主張額、各下段は予備的主張額である。

別表9

1. 昭和52年分 譲渡所得金額の計算明細書

(原告主張、公民館用地分)

<省略>

(注) <5>差引金額欄の金額は、損益通算前の金額をかっこ書し、損益通算後の金額を本書した。

2. 短期譲渡所得の取得費の計算と内訳

<省略>

<省略>

3. 譲渡費用の内訳

<省略>

別表10

1. 昭和53年分 譲渡所得金額の計算明細書

(原告主張、小学校用地分)

<省略>

(注) <5>差引金額欄の金額は、損益通算前の金額をかっこ書し、損益通算後の金

額を本書した。

2. 短期譲渡所得の取得費の計算と内訳

<省略>

<省略>

3. 譲渡費用の内訳

<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例