大阪地方裁判所 昭和59年(ワ)1436号 判決
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【判旨】
二責任原因
1 被告大阪日電及び被告神戸屋
(運行供用者責任)
被告大阪日電が甲川車を所有し、被告神戸屋が海田車を所有していたことは、関係当事者間に争いがないからそれぞれ自己のために運行の用に供していたものと推認される。従つて、自賠法三条により、いずれも免責の主張が認められない限り、本件事故による原告らの損害を賠償する責任がある。
そこで、右被告らの免責の主張につき判断するに、被告甲川に過失の存すること2で認定のとおりであるから、その余について判断するまでもなく、被告大阪日電の右主張は理由がない。他方、本件事故の発生については、賢一及び被告甲川に過失があつたもので、被告海田に過失がないこと2で認定のとおりであり、<証拠>によれば、海田車には構造上の欠陥及び機能の障害がなかつたと認められるから、被告神戸屋には損害賠償責任はない。
2 被告甲川及び被告海田(一般不法行為責任)
(一) <証拠>によれば、次の事実が認められる。
本件道路は、アスファルト舗装の南北に通じる二車線(幅員は南行車線が3.5メートル、北行車線が3.3メートル)で、中心線は黄色、東西各0.4メートル幅のゼブラゾーンが描かれている中央分離線及び車道東側に二メートル、西側に1.6メートルの各路側帯があり、本件事故現場付近において、西側の路側帯は29.2メートルにわたり最大6.1メートルにまで広がつてバス停留所が設けられている。本件事故現場付近は市街地であり、本件道路は、最高速度が時速四〇キロメートルに指定され、駐車及びはみ出し禁止の規制がなされている。なお、前記バス停留所の南端からさらに約三〇メートル南方には交差点がある。
本件事故当時、被告甲川は、甲川車を運転して、前記バス停留所北端付近の本件道路西側路側帯から北行車線西側に約六〇センチメートルくい込むようにして甲川車を停車させていたものであるが、甲川車を発進させ、甲川車両全体を北行車線内に進入させようとしていたところ、停車位置から約4.4メートル前進し、甲川車右前部が北行車線西端から約1.6メートルにまで達したとき、その右側約一メートルの地点を通過しようとしている賢一車に初めて気付いたが、その直後、約1.8メートル前進し、東方にも約0.6メートル進んだ地点で、賢一車ハンドル左先端部に甲川車右側ドア付近を衝突させ、賢一を転倒させ、さらに約3.9メートル前進して停止した。賢一は、賢一車を運転して、友人の万場治の運転する自動二輪車(以下「万場車」という。)の約一〇ないし二〇メートル後方を追従して、本件道路北行車線を走行していた。ところで、北行車線上には、万場車及び賢一車の前方を坂田嘉満運転の普通乗用自転ママ車(以下「坂田車」という。)が時速約四〇キロメートルで走行していたが、万場治は、前記バス停留所の南方の交差点を通過した辺りで、時速約七〇キロメートルに加速しながら北行車線西端付近を走行して坂田車を追い抜き、さらに右転把して、発進し始めた甲川車の右側を追い抜いていつた。坂田は、万場車に追い抜かれたとき甲川車が発進しようとしているのに気付き、これに追従していこうと考え、時速二五ないし三〇キロメートルにまで減速し始めた。ところが、賢一は、時速約五〇キロメートルで北行車線西端付近を走行して坂田車を追抜き、今度は右転把して、前記のとおり、北行車線内に進入してきた甲川車の右側を通過しようとしたがこれと衝突し、賢一は転倒しながら北方に約二一メートル滑走していき、中央分離線を越えて南行車線内に入り、南進走行してきた海田車前部と衝突したものである。被告海田は、海田車を運転し、時速四〇キロメートル以下で本件道路南行車線中央部分を南進走行してきたが、前記バス停留所の北端から約三九メートル北方の地点に至つた際、前方約14.2メートルの地点を滑走してくる賢一を認め、急制動の措置を講じたが及ばず、八メートル進行した地点で海田車前部を賢一の身体に衝突させ、さらに約3.5メートル前進してから停止したものである。
(二) 右認定によれば、被告甲川は、本件道路西側の前記状況で停車させていた甲川車を発進させるにあたり、後方から北進走行してくる車両の動静を十分注視しないまま発進して、北行車線内に甲川車両を進入させていつた過失があると認められるから、民法七〇九条により、本件事故による原告らの損害を賠償する責任がある。他方、賢一は、原動機付自転車である賢一車を運転するに当り、法定の最高速度三〇キロメートルをはるかに超える時速五〇キロメートルで走行し、前方を十分注視せず、かつ、先行する坂田車を左側から追い抜いた後右に急転把して中央分離線付近を進行して甲川車を追い抜こうとした過失があると認められる。これに対し、被告海田は、海田車を運転して、指定最高速度の時速四〇キロメートル以下で本件道路南行車線を走行していたところ、時速五〇キロメートルで北進走行していた賢一車から転倒して、中央分離線を越えて滑走してきた賢一を発見し、急制動の措置を講じたが及ばず衝突してしまつたものであるから、本件事故発生につき過失はないものと認められる。
(長谷川誠)