大阪地方裁判所 昭和59年(ワ)820号 判決
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【判旨】
第四過失相殺
一原告は、訴外宋の運転する原付車の後部荷台に同乗していたこと、ヘルメットを着用していなかつたことは、当事者間に争いがない。
二<証拠>によれば
原告は、事故当日の夜、来訪した中学時代からの友人である訴外宋を誘い、原告の私用のため金井某方を訪ねるべく、二人で一緒に原付車の保有者である松本某から原付車(ヤマハパッソル五〇cc)を借り、友人の安田某も誘つて三名で二台の単車に分乗して出発しようとしたが、その際、右安田某の体重が三名のうちでは一番重いことから、右安田某は原告所有の単車(ホンダカレン五〇cc)に一人乗りし、訴外宋と原告とで一台の単車に二人乗りすることとなつた。ところが、原告は、当時、運転免許証は所持していたものの、交通違反が重なつて、行政処分としての免停までの持ち点が少なくなつていたことから、訴外宋が運転することとなり、原告は原付車の後部荷台部に同乗して出発し、金井某方を訪ね、同日午後九時すぎに右の金井方を出発して原告方へ帰宅途中に本件事故が発生した。
<証拠判断省略>
三ところで、前記第二の二に認定した訴外宋の過失を被害者側の過失として過失相殺により原告の損害を減ずることができるのは、訴外宋と原告との間に身分上ないしは生活関係上一体をなすとみられる関係にあることを要するものと解すべき(最判昭和四二年六月二七日判決・民集二一巻六号一、五〇七頁)ところ、右にみた訴外宋と原告との間には、友人関係にあること、法令により禁止されていることを承知のうえで原付車に二人乗りをしていること及び訴外宋と原告との間で、原付車を共同で借入れたこと、原付車を運転する者の選定につき話し合いが持たれて、訴外宋が、友人である原告の免停を恐れ、自身が法令で禁止された原付車二人乗りの運転をすることとしたことは認められるものの、右事実のみでは、訴外宋と原告とが経済的に同一とまでいえないことは明らかであるのみならず、訴外宋を被告らと同列に賠償請求の相手方とするよりも、むしろ被害者側の内部関係の問題として処理するのが加害者と被害者との関係を処理するうえで公平であると考えるべき一体となつた地位にある者、すなわち、訴外宋と原告との間に身分上ないしは生活関係上一体をなすとみられる関係にあるものとまではいえない。本件事故発生については、原告に対する関係で、訴外宋と被告牧野とは共同不法行為者であつて、原告の損害につき、連帯して責任を負うものというべきである。
しかしながら、右の事実によれば、原告は、原付車の二人乗りが法令により禁止されていることを知悉しながら、訴外宋の運転する原付車の荷台に乗車し、かつ、右の乗車により本件事故による損害が拡大したことが認められ、また、原告の本件事故による傷害の主たる部位が大腿部及び腓骨の骨折にあることは認められるものの、原告には、頭部にも外傷(Ⅰ型)を負つており、原告の損害の拡大につき、原告がヘルメットを着用していなかつたことが寄与していたことも否定しえず、その他諸般の事情を考慮すると、過失相殺として原告の損害の二割五分を減ずるのが相当と認められる。
(坂井良和)