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大阪地方裁判所 昭和60年(わ)5373号 判決 1986年5月22日

本店所在地

大阪市鶴見区焼野三丁目二番七九号

株式会社大阪環境処理センター

(右代表者代表取締役吉村武雄)

本店所在地

大阪市東淀川区東中島一丁目一二番一八号

株式会社サンワ

(右代表者代表取締役吉村武雄)

本籍

大阪府八尾市山本町北三丁目六一番地

住居

大阪府吹田市藤白台四丁目二三番一号

会社役員

吉村武雄

大正一四年三月三〇日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官城祐一郎出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社大阪環境処理センターを罰金二億円に、被告人株式会社サンワを罰金一二〇〇万円に、被告人吉村武雄を懲役一年四月に処する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社大阪環境処理センター(以下、「被告会社大阪環境センター」という。)は、大阪市鶴見区焼野三丁目二番七九号に本店を置き、廃棄物処理などを目的とする資本金四八〇〇万円の株式会社であり、同株式会社サンワ(以下、「被告会社サンワ」という。)は、大阪市東淀川区東中島一丁目一二番一八号に本店を置き、旅館の経営を目的とする資本金七〇〇万円の株式会社であり、被告人吉村武雄(以下、「被告人」という。)は、右各被告会社の代表取締役としてその各業務全般を統括していたものであるが、被告人は、右各被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て

第一  一 被告会社大阪環境センターの昭和五七年一月二一日から同五八年一月二〇日までの事業年度における所得金額が六億七七〇九万七〇〇〇円(別紙(一)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、売上の一部を除外し、架空の支払捨場料を計上するなどの行為により右所得の一部を秘匿したうえ、同五八年三月一九日、大阪市城東区中央二丁目一三番二三号所在の所轄城東税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が九三四〇万二四七五円で、これに対する法人税額が三六三三万一〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告会社大阪環環センターの右事業年度における正規の法人税額二億八一四六万一七〇〇円と右申告税額との差額二億四五一三万〇七〇〇円(別紙(七)税額計算書参照)を免れ

二 被告会社大阪環境センターの同五八年一月二一日から同五九年一月二〇日までの事業年度における所得金額が七億〇五九九万六三九七円(別紙(二)修正損益計算書参照)あったにかかわらず、前同様の不正行為により右所得の一部を秘匿したうえ、同五九年三月一九日、前記城東税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一億〇四三八万〇三八二円で、これに対する法人税額が四〇九〇万五三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告会社大阪環境センターの右事業年度における正規の法人税額二億九三五六万五三〇〇円と右申告税額との差額二億五二六六万円(別紙(七)税額計算書参照)を免れ

三 被告会社大阪環境センターの同五九年一月二一日から同六〇年一月二〇日までの事業年度における所得金額が九億〇八七〇万五七六三円(別紙(三)修正損益計算書参照)であったのにかかわらず、前同様の不正行為により右所得の一部を秘匿したうえ、同六〇年三月一九日、前記城東税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一億三六七七万六三四九円で、これに対する法人税額が五六二〇万八三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告会社大阪環境センターの右事業年度における正規の法人税額三億九〇四三万九二〇〇円と右申告税額との差額三億三四二三万〇九〇〇円(別紙(八)税額計算書参照)を免れ

第二  一 被告会社サンワの昭和五七年二月一日から同五八年一月三一日までの事業年度における所得金額が四八九一万三五九九円(別紙(四)修正損益計算書参照)であったのにかかわらず、売上の一部を除外するなどの行為により右所得の一部を秘匿したうえ、同五八年三月二八月、大阪市淀川区木川東二丁目三番一号所在の所轄東淀川税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一一八万〇一四八円で、これに対する法人税額が三〇万〇一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告会社サンワの右事業年度における正規の法人税額一九五二万九五〇〇円と右申告税額との差額一九二二万九四〇〇円(別紙(九)税額計算書参照)を免れ

二 被告会社サンワの同五八年二月一日から同五九年一月三一日までの事業年度における所得金額が三九七一万四六四一円(別紙(五)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、前同様の不正行為により右所得の一部を秘匿したうえ、同五九年三月二六日、前記東淀川税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三三万六九八八円で、これに対する法人税額が八万〇三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告会社サンワの右事業年度における正規の法人税額一五六九万九四〇〇円と右申告額との差額一五六一万九一〇〇円(別紙(九)税額計算書参照)を免れ

三 被告会社サンワの同五九年二月一日から同六〇年一月三一日までの事業年度における所得金額が三三三一万七八七三円(別紙(六)修正損益計算書参照)であったのにかかわらず、前同様の不正行為により右所得の一部を秘匿したうえ、同六〇年三月三〇日、前記東淀川税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四〇三万〇四八三円で、これに対する法人税額が一二一万四八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告会社サンワの右事業年度における正規の法人税額一三四〇万七八〇〇円と右申告額との差額一二一九万三〇〇〇円(別紙(一〇)税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一  被告会社大阪環境センター、同サンワ各代表者兼被告人の当公判廷における供述

一  第一回公判調書中の被告会社大阪環境センター、同サンワ各代表者兼被告人の供述部分

一  被告人の検察官に対する供述調書四通(証拠等関係カード検察官請求分番号71、72、75、76)

一  被告人に対する収税官吏の質問てん末書二通(前記番号69、70)

判示第一の各事項について

一  被告人の検察官に対する供述調書二通(前記番号73、74)

一  被告人に対する収税官吏の質問てん末書三通(前記番号66ないし68)

一  高橋誠の検察官に対する供述調書六通(前記番号54ないし59)

一  高橋誠に対する収税官吏の質問てん末書二通(前記番号52、53)

一  収税官吏作成の査察官調査書一八通(前記番号8ないし11、13、14、17、18、21ないし30)

一  法人登記簿謄本(前記番号7)

判示第一の一の事実について

一  城東税務署長作成の証明書(法人税確定申告書写添付のもの)(前記番号4)

一  収税官吏作成の脱税額計算書(前記番号1)

一  河合義和に対する収税官吏の質問てん末書(前記番号78)

判示第一の一及び二の各事実について

一  収税官吏作成の査察官調査書(前記番号15)

判示第一の一及び三の各事実について

一  収税官吏作成の査察官調書(前記番号19)

判示第一の二の事実について

一  城東税務署長作成の証明書(法人税確定申告書写添付のもの)(前記番号5)

一  収税官吏作成の脱税額計算書(前記番号2)

一  収税官吏作成の査察官調書(前記番号12)

判示第一の三の事実について

一  城東税務署作成の証明書(法人税確定申告書写添付のもの)(前記番号6)

一  収税官吏作成の脱税額計算書(前記番号3)

一  収税官吏作成の査察官調書二通(前記番号16、20)

判示第二の各事実について

一  森塚順一の検察官に対する供述調書(前記番号60)

一  森塚政子の検察官に対する供述調書(前記番号64)

一  森塚政子に対する収税官吏のてん末書三通(前記番号61ないし63)

一  収税官吏作成の査察官調書一三通(前記番号38ないし40、42ないし51)

一  法人登記簿謄本(前記番号37)

判示第二の一の事実について

一  城東税務署長作成の証明書(法人税確定申告書写添付のもの)(前記番号34)

一  収税官吏作成の脱税額計算書(前記番号31)

判示第二の二の事実について

一  城東税務署長作成の証明書(法人税確定申告書写添付のもの)(前記番号35)

一  収税官吏作成の脱税額計算書(前記番号32)

判示第二の三の事実について

一  城東税務署長作成の証明書(法人税確定申告書写添付のもの)(前記番号36)

一  収税官吏作成の脱税額計算書(前記番号33)

(法令の適用)

一  罰条

1  被告会社大阪環境センター

判示第一の各所為につき法人税法一五九条一、二項、一六四条一項

2  被告会社サンワ

判示第二の各所為につき法人税法一五九条一、二項、一六四条一項

3  被告人

判示第一及び第二の各所為につき法人税法一五九条一項

二  刑種の選択

被告人につきいずれも懲役刑選択

三  併合罪の処理

1  被告人会社大阪環境センター

刑法四五条前段、四八条二項

2  被告会社サンワ

刑法四五条前段、四八条二項

3  被告人

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第一の三の罪の刑に加重)

(被告人に対し、刑の量定において、懲役刑につき実刑を相当とした理由)

本件は、廃棄物処理業を営む被告会社大阪環境センター及び旅館業を営む被告会社サンワの各代表取締役である被告人が、右各被告会社に関し、それぞれ三事業年度にわたり、合計八億七九〇〇万円余(うち、八億三二〇〇万円余は被告会社大阪環境センターに関するもの)の巨額の法人税額を免れた事案であり、そのほ脱率も被告会社大阪環境センターにつき平均約八六パーセント、被告会社サンワにつき平均約九六パーセントといずれも高率であるうえ、被告人において本件ほ脱の主たるものの一つである売上除外についてはその割合まで指示していたこと、本件ほ脱額の一部が被告人の奢侈のために使用されていたこと等の事情からすれば、被告人の責任は甚だ重いといわざるを得ない。

そうすると、本件中ほ脱額の多い被告会社大阪環境センターに関する犯行の主たる動機が、優良な産業廃棄物処理業者となるための資金の蓄積にあったこと、本件各ほ脱の手口も特別巧妙な手段を用いるとまではいえないこと、本件すべての違反に伴う修正本税、重加算税等が既に納付済みであること、被告人の反省の情等弁護人らの指摘する被告人に有利な諸事情を十分考慮にいれても、前記本件のほ脱額等に照らし、刑の執行を猶予するのは相当ではなく、主文記載の刑は免れないものと考えた。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 松本信弘)

別紙(一)

修正損益計算書

自 昭和57年1月21日

至 昭和58年1月20日

被告会社大阪環境センター分

<省略>

<省略>

別紙(二)

修正損益計算書

自 昭和58年1月21日

至 昭和59年1月20日

被告会社大阪環境センター分

<省略>

<省略>

別紙(三)

修正損益計算書

自 昭和59月1月21日

至 昭和60年1月20日

被告会社大阪環境センター分

<省略>

<省略>

別紙(四)

修正損益計算書

自 昭和57年2月1日

至 昭和58年1月31日

被告会社サンワ分

<省略>

別紙(五)

修正損益計算書

自 昭和58年2月1日

至 昭和59年1月31日

被告会社サンワ分

<省略>

別紙(六)

修正損益計算書

自 昭和59年2月1日

至 昭和60年1月31日

被告会社サンワ分

<省略>

別紙(七)

税額計算書

(被告会社大阪環境センター分)

<省略>

別表(八)

税額計算書

(被告会社大阪環境センター分)

<省略>

別表(九)

税額計算書

(被告会社サンワ分)

<省略>

別表(一〇)

税額計算書

(被告会社サンワ分)

<省略>

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