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大阪地方裁判所 昭和61年(わ)1511号・昭61年(わ)1512号・昭61年(わ)1786号・昭61年(わ)1845号・昭61年(わ)1846号 判決

右中谷善秋に対する法人税法違反、物品税法違反、右末村寛治に対する法人税法違反各被告事件につき、当裁判所は、検察官藤村輝子出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

1  被告人中谷善秋を懲役二年八月及び罰金二億円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金四〇万円を一日に換算した期間、同被告人を労役場に留置する。

2  被告人末村寛治を懲役一年六月に処する。

同被告人に対し、この裁判確定の日から四年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人中谷善秋(以下、被告人中谷ともいう。)は、大阪府豊中市寺内二丁目三番四号に本店を置き、遊技機の販売等を目的とする資本金三〇〇〇万円の分離前の相被告人オスカー物産株式会社(以下、オスカーともいう。)、同府羽曳野市向野三丁目一一番三号(判示第一の二及び判示第二の二の各犯行当時。その後大阪市淀川区西中島四丁目四番一一号に移転)に本店を、大阪市淀川区西中島四丁目五番二〇号に事務所を置き、第二種課税物品であるスロットマシンを含む遊技機の製造販売等を目的とする資本金四〇〇〇万円(昭和六一年二月一九日までは一〇〇〇万円)の分離前の相被告人東京パブコ株式会社(以下、東京パブコともいう。)、同市淀川区西中島四丁目五番二〇号(判示第一の三の各犯行当時。その後同区西中島四丁目四番一一号に移転)に本店を置き、娯楽遊技機の製作、販売等を目的とする資本金四〇〇万円(昭和五八年三月二日までは一〇〇万円)の分離前の相被告人株式会社エル・アイ・シー(昭和五八年三月三〇日、株式会社レジャー・インスツルメント・クリエイターから商号変更。以下、エル・アイ・シーともいう。)及び同市生野区巽中一丁目二番一二号(昭和六〇年六月一日、同区巽北三丁目一二番一〇号から移転)に本店を置き、娯楽機械の製造等を目的とする資本金五〇〇万円の分離前の相被告人株式会社グローバル・ハイテック(昭和六〇年一二月一日、株式会社マックス製作所から商号変更。以下、グローバル・ハイテックともいう。)の各税務申告等に、被告人末村寛治(以下、被告人末村ともいう。)は、オスカー、東京パブコ及びエル・アイ・シーの各税務申告等に、それぞれ関与していたものであるが、

第一被告人両名は、

一、オスカーに関する法人税法違反の事実(被告人中谷に対する昭和六一年五月一日付起訴状「同年(わ)第一五一一号」記載の公訴事実、被告人末村に対する同月二六日付起訴状「同年(わ)第一八四六号」記載の公訴事実第一)

オスカーの代表取締役等をしていた分離前の相被告人左近戸憲治及び同古田収二と共謀の上、オスカーの業務に関し、その法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得の一部を秘匿した上

1 オスカーの昭和五七年四月一日から同五八年三月三一日までの事業年度における実際所得金額が二億八七六一万一六〇九円(別紙(一)修正貸借対照表参照)あったのにかかわらず、同五八年五月二六日、大阪府池田市城南二丁目一番八号所在の所轄豊能税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二七一万八七一〇円でこれに対する法人税額が三七万二〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、オスカーの右事業年度における正規の法人税額一億一九三九万一四〇〇円と右申告税額との差額一億一九〇二万一二〇〇円(別紙(三)税額計算書参照)を免れ

2 オスカーの昭和五八年四月一日から同五九年三月三一日までの事業年度における実際所得金額が五億六五四〇万三三七三円(別紙(二)修正貸借対照表参照)あったのにかかわらず、同五九年五月二八日、前記豊能税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一六二〇万六二二五円でこれに対する法人税額が四九五万七六〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、オスカーの右事業年度における正規の法人税額二億三五六二万四〇〇円と右申告税額との差額二億三〇六六万二八〇〇円(別紙(三)税額計算書参照)を免れ

二  東京パブコに関する法人税法違反の事実(被告人中谷に対する昭和六一年五月二六日付起訴状「同年(わ)第一八四六号」記載の公訴事実第二、被告人末村に対する同月一日付起訴状「同年(わ)第一五一二号」記載の公訴事実)

東京パブコの代表取締役である分離前の相被告人古田収二と共謀の上、東京パブコの業務に関し、その法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得の一部を秘匿した上

1 東京パブコの昭和五七年九月一日から同五八年八月三一日までの事業年度における実際所得金額が六億六八九七万一五四円(別紙(四)修正貸借対照表参照)あったのにかかわらず、同五八年一〇月二七日、大阪府富田林市若松町西二丁目一六九七番地一所在の所轄富田林税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一三九万一五四円でこれに対する法人税額が三八万七四〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、東京パブコの右事業年度における正規の法人税額二億七九九七万七八〇〇円と右申告税額との差額二億七九五九万四〇〇円(別紙(六)税額計算書参照)を免れ

2 東京パブコの昭和五八年九月一日から同五九年八月三一日までの事業年度における実際所得金額が八億九七七一万七一〇八円(別紙(五)修正貸借対照表参照)あったのにかかわらず、同五九年一〇月二九日、前記富田林税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一二八万六五八九円でこれに対する法人税額が二八万四三〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、東京パブコの右事業年度における正規の法人税額三億八七六一万三一〇〇円と右申告税額との差額三億八七三二万八八〇〇円(別紙(六)税額計算書参照)を免れ

三  エル・アイ・シーに関する法人税法違反の事実(被告人中谷及び被告人末村に対する昭和六一年五月二六日付起訴状「同年(わ)第一八四六号」記載の公訴事実第三)

エル・アイ・シーの代表取締役である分離前の相被告人山田正明及び分離前の相被告人古田収二と共謀の上、エル・アイ・シーの業務に関し、その法人税を免れようと企て、加工収入の一部を除外するなどの方法により所得の一部を秘匿した上

1 エル・アイ・シーの昭和五七年一〇月一日から同五八年九月三〇日までの事業年度における実際所得金額が六億五九八二万三七七一円(別紙(七)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五八年一一月三〇日、大阪市淀川区木川東二丁目三番一号所在の所轄東淀川税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二〇一万三五六三円でこれに対する法人税額が五二万一〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、エル・アイ・シーの右事業年度における正規の法人税額二億七六〇八万一九〇〇円と右申告税額との差額二億七五五六万一八〇〇円(別紙(九)税額計算書参照)を免れ

2 エル・アイ・シーの昭和五八年一〇月一日から同五九年九月三〇日までの事業年度における実際所得金額が五億六五八万二九九五円(別紙(八)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五九年一一月二〇日、前記東淀川税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一三一万七二三六円でこれに対する法人税額が二八万八〇〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、エル・アイ・シーの右事業年度における正規の法人税額二億一八二四万五七〇〇円と右申告税額との差額二億一七九五万七七〇〇円(別紙(九)税額計算書参照)を免れ

第二被告人中谷は、

一  グローバル・ハイテックに関する法人税法違反の事実(被告人中谷に対する昭和六一年五月二六日付起訴状「同年(わ)第一八四五号」記載の公訴事実)

グローバル・ハイテックの代表取締役である分離前の相被告人佐藤哲夫、グローバル・ハイテックの共同経営者である分離前の相被告人角野博光及び分離前の相被告人古田収二と共謀の上、グローバル・ハイテックの業務に関し、その法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得の一部を秘匿した上、グローバル・ハイテックの昭和五八年五月一日から同五九年四月三〇日までの事業年度における実際所得金額が四億四六〇三万九七九九円(別紙(一〇)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五九年六月二八日、同市生野区勝山北五丁目二二番一四号所在の所轄生野税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が九一七万七九九円でこれに対する法人税額が一六五万六二〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、グローバル・ハイテックの右事業年度における正規の法人税額一億九〇八二万五〇〇円と右申告税額との差額一億八九一六万四三〇〇円(別紙(一一)税額計算書参照)を免れ

二  東京パブコに関する物品税法違反の事実(被告人中谷に対する昭和六一年五月二二日付起訴状「同年(わ)第一七八六号」記載の公訴事実)

東京パブコの代表取締役である分離前の相被告人古田収二と共謀の上、東京パブコの業務に関し、その物品税を免れようと企て、別紙(一二)物品税犯罪一覧表記載のとおり、昭和六〇年九月から同六一年一月までの間の各月において、東京パブコがエル・アイ・シー等に対し、第二種課税物品であるスロットマシンの製造に必要なIC基板等の主要材料の全部を供給してスロットマシンの製造を委託し、大阪府羽曳野市河原城二六番地の七所在のエル・アイ・シー第二工場等の製造場から移出したスロットマシンは合計四万一六二五台(課税標準額合計一〇二億二八四九万二〇〇〇円、物品税額合計二〇億四五六九万八四〇〇円)であるにもかかわらず、右各月の翌々月末日までに、前記所轄富田林税務署において、同税務署長に対し、当該移出各月において、エル・アイ・シー等の製造場から移出したスロットマシンは合計二三八六台(課税標準額合計一億五九一二万円、物品税額合計三一八二万四〇〇〇円)である旨の内容虚偽の物品税納税申告書を提出するなどし、いずれもそのまま法定納期限を徒過させ、もって、それぞれ不正の行為により、物品税合計二〇億一三八七万四四〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

〔注〕 各証拠標目の下欄の括弧内にある算用数字は証拠等関係カード検察官請求番号を、漢数字は右同カード弁護人請求番号をそれぞれ示す。

判示全事実につき

一  被告人中谷の当公判廷における供述

一  第一回公判調書中の被告人中谷の供述部分

一  被告人中谷の検察官に対する供述調書三通(89、99、100。ただし、被告人末村関係では99、100を除く。)

一  分離前の相被告人東京パブコ株式会社代表者兼分離前の相被告人古田収二の当公判廷における供述

一  第一回及び第一九回各公判調書中の右古田収二の供述部分

一  分離前の相被告人古田収二の検察官に対する供述調書三通(106ないし108。ただし、107については不同意部分を除く。)

一  別件被告事件における中谷善秋の証人尋問調書七通(九四ないし一〇〇。ただし、被告人末村関係では除く。)

判示第一の一及び判示第二の一の各事実につき

一  別件被告事件における中谷善秋(四通。205ないし208)及び古田収二(三通。209ないし211)の各証人尋問調書

判示第一の二及び第二の二の各事実につき

一  分離前の相被告人古田収二の検察官に対する供述調書(105)

一  法人登記簿謄本(16)

判示第一の三及び第二の二の各事実につき

一  第一回公判調書中の分離前の相被告人株式会社エル・アイ・シー代表者兼分離前の相被告人山田正明の供述部分

一  分離前の相被告人山田正明の検察官に対する供述調書二通(139、140)

判示第一の各事実につき

一  被告人末村の当公判廷における供述

一  第一回及び第一八回各公判調書中の被告人末村の供述部分

一  被告人末村の検察官に対する供述調書三通(123、129、130。ただし、129は被告人中谷関係の判示第一の一の事実関係では除く。)

一  別件被告事件における末村寛治の証人尋問調書(一〇三。ただし、被告人中谷関係では除く。)

判示第一の二及び第一の三の各事実につき

一  芝田美恵子の検察官に対する供述調書(48)

判示第一の一の各事実につき

一  被告人中谷の検察官に対する供述調書(90)

一  被告人末村の検察官に対する供述調書(128)

一  第一回、第一五回ないし第一七回各公判調書中の分離前の相被告人オスカー物産株式会社代理人兼分離前の相被告人左近戸憲治の供述部分

一  分離前の相被告人左近戸憲治(八通。78ないし85)及び同古田収二(112。ただし、不同意部分は除く。)の検察官に対する各供述調書

一  久保田義廣の検察官に対する供述調書二通(32、33)

一  収税官吏作成の査察官調査書六通(19ないし22、29、161)

一  法人登記簿謄本二通(15、220)

一  法人登記簿閉鎖役員欄の用紙の謄本三通(221ないし223)

判示第一の一の1の事実につき

一  収税官吏作成の査察官調査書(27)

一  豊能税務署長作成の証明書(法人税確定申告書写添付のもの、8)

一  収税官吏作成の脱税額計算書(1)

判示第一の一の2の事実につき

一  収税官吏作成の査察官調査書七通(23ないし26、28、30、31)

一  豊能税務署長作成の証明書(法人税確定申告書写添付のもの、9)

一  収税官吏作成の脱税額計算書(2)

一  押収してある第二期S57・4・1~S58・3・31と題する書面及びこれに添付された書面一綴(昭和六二年押第八九一号の1)、第三期S58・4・1~S59・3・31と題する書面及びこれに添付された書面一綴(同押号の2)、会計伝票等一綴(同押号の3)、昭和58年3月31日で始まるオスカー物産株式会社の社名入り書面及びこれに添付された書面一綴(同押号の4)、仕訳日記帳(57/6~58/3期分)一綴(同押号の5)、仕訳日記帳(58/4~59/3期分)一綴(同押号の6)、ファイルノート(はさみ込み書類共)一冊(同押号の7)、一覧式総勘定元帳(オスカー物産(株)58・4・1~58・9・30)一綴(同押号の8)、一覧式総勘定元帳(オスカー物産(株)58・10・1~59・3・30)一綴(同押号の9)、オスカー物産(株)補助元帳(58・5・1~58・5・31B/S記載の本社分)一綴(同押号の10)、オスカー物産(株)補助元帳(第三期決算調整と記載分)一綴(同押号の11)及び普通預金出納帳(S58・4・1~S59・3・31第3期池田B/K緑地公園BRと記載のあるもの)一綴(同押号の12)

判示第一の二の各事実につき

一  被告人中谷の検察官に対する供述調書二通(91、92)

一  被告人末村の検察官に対する供述調書(126)

一  分離前の相被告人古田収二の検察官に対する供述調書(111)

一  第三回ないし第五回各公判調書中の証人龍繁雄の供述部分

一  龍繁雄(46、47)及び江座暲(192)の検察官に対する各供述調書(ただし、192は被告人末村関係では除く。)

一  収税官吏作成の査察官調査書一二通(34ないし42、160、189、193。ただし、37は被告人中谷関係で、189、193は被告人末村関係では除く。)

一  岩佐勝三郎(四通。183、187、195、196)、中津正勝(184)、堤敏朗(185)、日下佳行(186)、松本幸篤(188)、永瀬又一(190)、内海利夫(191)、杉山公広(194)、濱本黎二(197)、寺門一(203)及び井上和良(204)作成の各確認書(ただし、被告人末村関係では除く。)

一  押収してある手形受払帳二冊(前同押号の13、14)、集計表一綴(同押号の15)、損益計算書と題する書面(東京パブコ(株)南事務所昭58・9・1~59・8・31と記載)二枚(同押号の16)、貸借対照表と題する書面(東京パブコ(株)昭58年8月31日現在と記載のもの)五枚(同押号の17)、貸借対照表と題する書面(東京パブコ(株)本社昭和59年8月31日現在と記載のもの)一七枚(同押号の18)及びオスカー物産(株)60・1・16No.0001ヴァイキングⅢ等記載された書面二枚(同押号の19)(ただし、以上は被告人末村関係では除く。)

判示第一の二の1の事実につき

一  収税官吏作成の査察官調査書(44)

一  富田林税務署長作成の証明書(法人税確定申告書写添付のもの、10)

一  収税官吏作成の脱税額計算書(3)

判示第一の二の2の事実につき

一  収税官吏作成の査察官調査書二通(43、45)

一  富田林税務署長作成の証明書(法人税確定申告書写添付のもの、11)

一  収税官吏作成の脱税額計算書(4)

判示第一の三の各事実につき

一  被告人中谷の検察官に対する供述調書(98)

一  被告人末村の検察官に対する供述調書三通(124、125、127)

一  分離前の相被告人古田収二(110。ただし、不同意部分は除く。)及び同山田正明(五通。134ないし138)の検察官に対する各供述調書

一  証人山田一郎に対する当裁判所の尋問調書

一  収税官吏作成の査察官調査書三通(51、53、56)

一  法人登記簿謄本(17)

判示第一の三の1の事実につき

一  山田一郎に対する収税官吏の質問てん末書(57)

一  収税官吏作成の査察官調査書二通(49、52)

一  検察事務官作成の捜査報告書(232)

一  東淀川税務署長作成の証明書(法人税確定申告書写添付のもの、12)

一  収税官吏作成の脱税額計算書(5)

判示第一の三の2の事実につき

一  第三回公判調書中の被告人中谷及び同末村の各供述部分

一  第三回公判調書中の分離前の相被告人東京パブコ株式会社代表者兼分離前の相被告人古田収二及び分離前の相被告人株式会社エル・アイ・シー代表者兼分離前の相被告人山田正明の各供述部分

一  山田一郎に対する収税官吏の質問てん末書(58)

一  収税官吏作成の査察官調査書三通(50、55、158)

一  岸本正純作成の確認書二通(201、202)

一  東淀川税務署長作成の証明書(法人税確定申告書写添付のもの、13)

一  収税官吏作成の脱税額計算書(159)

判示第二の一の事実につき

一  被告人中谷の検察官に対する供述調書二通(94、95)

一  第一回公判調書中の分離前の相被告人株式会社グローバル・ハイテック代表者兼分離前の相被告人佐藤哲夫及び分離前の相被告人角野博光の各供述部分

一  分離前の相被告人古田収二(117。ただし、不同意部分は除く。)、同佐藤哲夫(四通。144ないし147)及び同角野博光(四通。152ないし155)の検察官に対する各供述調書

一  井野勝哉の検察官に対する供述調書(61)

一  収税官吏作成の査察官調査書(60)

一  検察事務官作成の捜査報告書謄本(219)

一  生野税務署長作成の証明書(法人税確定申告書写添付のもの、14)

一  収税官吏作成の脱税額計算書(7)

一  法人登記簿謄本(18)

判示第二の二の各事実につき

一  被告人中谷の検察官に対する供述調書二通(96、97)

一  分離前の相被告人古田収二の検察官に対する供述調書七通(113ないし116、118ないし120。ただし、115については不同意部分を除く。)

一  峰晴正行(68、69)、江座暲(70)、松江進(71)及び佐々木庄二(72)の検察官に対する各供述調書

一  収税官吏作成の調査書六通(62ないし67)

一  検察事務官作成の捜査報告書(230)

なお、東京パブコに係る法人税法違反の罪(判示第一の二の2の事実)について、別紙(五)の修正貸借対照表中に「訴因調整勘定」の科目を設定した理由を若干補足して説示する。

検察官は、東京パブコの昭和五九年八月期物品税支払い分として経理処理された金額のうち、実際に物品税として納付された分を除く残額(以下「架空物品税相当額」という。)について、手形、小切手の取り立て名義や入金先口座による追跡が可能な分は、それぞれの名義に従ってその取得者を振り分け、他方、小切手が直ちに現金化されたため取得者が必ずしも明らかでない分は、古田と中谷が四対六の割合でその現金を分配したものとして按分(一万円以下端数切捨て)した上、これらを合算した古田の取得分を同人に対する「貸付金」として、また、中谷の取得分を「脱税経費」として、それぞれ貸付金勘定及び脱税経費勘定の借方の当期増減金額欄に計上している。

しかしながら、前掲の関係各証拠によると、右の直ちに現金化された小切手分については、むしろ、そのほとんどを古田が取得した可能性さえあって、検察官主張のような按分は必ずしも事実にそぐうものとはいえず、いずれにしても、実際の帰属額を個々に確定することはできない。他方、同期における中谷の手形、小切手の取得分については、違算の結果実際より一〇〇〇円多く計上されていることが明らかである。そこで、これらの点を是正するため、当裁判所は、前記修正貸借対照表において、新たに「古田・中谷の架空物品税取得分」という勘定科目を設け、その借方の当期増減金額欄に架空物品税相当額を計上した上、貸付金勘定の借方の当期増減金額欄記載の金額から古田取得分を控除するとともに、脱税経費勘定の借方の当期増減金額欄記載の金額から中谷取得分を控除することとした。しかし、そうした場合、借方の当期増減金額の合計額は、前記の端数切捨て分と違算分との差額に相当する七〇〇〇円が増加し、実際のほ脱所得額が訴因のそれを上回ることとなるので、更に「訴因調整勘定」という科目をも設けてその貸方の当期増減金額欄に右七〇〇〇円を計上し、もって訴因との調整を図ることとした次第である。

(法令の適用)

被告人両名の判示第一の各所為及び被告人中谷の判示第二の一の所為はいずれも刑法六五条一項、六〇条、法人税法一五九条一項に、被告人中谷の判示第二の二の各所為は、消費税法(昭和六三年法律第一〇八号)附則二七条によりそれぞれ刑法六五条一項、六〇条、消費税法による廃止前の物品税法四七条一項、四四条一項一号に該当するところ、被告人中谷については、いずれもその所定の懲役刑と罰金刑とを併科し、かつ、情状により判示第一及び第二の一の各罪には法人税法一五九条二項を、判示第二の二の各罪には右廃止前の物品税法四四条二項を各適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の二の別紙(一二)物品税犯罪一覧表番号1の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については同法四八条二項により判示各罪所定の罰金額を合算し、その刑期及び金額の範囲内で被告人中谷を懲役二年八月及び罰金二億円に処し、右罰金を完納することができないときは、同法一八条を適用して金四〇万円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置することとし、被告人末村については、いずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第一の二の2の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役一年六月に処し、情状により同法二五条一項を適用して、この裁判確定の日から四年間右刑の執行を猶予することとする。

(弁護人らの主張に対する判断)

一  被告人中谷の弁護人らは、東京パブコに係る法人税法違反の罪(判示第一の二の各事実)について、物品税の納付を要する法人の所得認定に当たっては、損益計算法により課税物品の販売台数、販売単価等を特定した上物品税額を特定、控除しなければ正しい所得認定ができないから、検察官の主張するような財産増減法をもってしては真の法人所得が不明のままであって、その立証がなされたものとはいえず、同被告人は無罪であると主張する。

しかしながら、物品税といえども、申告納税方式による租税であり、その税額債務は申告をまって確定するのが原則であるから、本件にみられるように、たとえ法律的には物品税の納税義務が成立している場合であっても、いまだその税額が確定していないときにおける当該物品税相当額は、そもそも、これを法人の所得算定上損金に算入すべきではない(法人税法二二条三項二号)。のみならず、ほ脱所得金額を立証する方法としては、財産増減法を用いることも許容されるべきであり(最高裁判所昭和六〇年一一月二五日第二小法廷決定・刑集三九巻七号四六七頁)、もともと実額以外の金額の認定のできないほ脱所得金額について、ことさら損益計算法のみを原則的な立証方法とすべき理由もない。

したがって、弁護人らの右主張は採用できない。

二  被告人両名の弁護人らは、東京パブコに係る法人税法違反の罪(判示第一の二の各事実)について、検察官は物品税経費支出を全額経費否認の上益金算入して法人所得を算出しているが、物品税額は実際に納付されていなくとも法人の所得算定に当たり法理論上当然に損金に算入されるべきものであるから、右の算出方法は誤っていると主張する。

しかしながら、東京パブコにおいて物品税支払い分として経理処理された金額のうち実際に物品税として納付された金額については、修正貸借対照表の借方には計上されておらず、当該事業年度における正当な支出として認容されているのであるから、検察官が全額経費否認したとの主張はその前提を欠いている。さらに、物品税については、単に納税義務が成立しただけであっていまだ税額が確定していないため未納付となっている物品税相当額を法人の所得算定上損金に算入すべきものでないことは、前説示のとおりである。しかも、本件では、物品税支払い分として経理処理された金額から前記の検察官が認容した金額を控除した残額は、すべて古田・中谷の両名に支払われているのであるから、その実質は架空物品税というものであり、かかる架空経費が損金に算入されないことはいうまでもない。

したがって、右架空物品税相当額を修正貸借対照表の借方に計上した検察官の右算出方法に誤りはなく、弁護人らの右主張も理由がない。

三  被告人両名の弁護人らは、本件起訴に係るほ脱額に関し、被告人両名において、分離前の相被告人会社の各事業年度の法人所得金額あるいは各月ごとの物品税課税標準額について(後者は被告人中谷についてのみ)、その認識を超える部分があり、その部分に対応するほ脱税分については無罪であると主張し、被告人両名もこれに沿う弁解をしている。

しかしながら、法人税ほ脱犯については各事業年度ごとに、物品税ほ脱犯については各月ごとにそれぞれ単純一罪が成立するものと解されるところ、関係各証拠によれば、分離前の相被告人である共犯者らにおいて、事業年度の法人所得金額あるいは各月ごとの物品税課税標準額全額につきその認識を超える部分はなく、本件起訴に係るほ脱額全額につきほ脱犯が成立することが明らかであるから、仮に弁護人ら主張の事情が存在するとしても、分離前の相被告人である共犯者らと共謀の上右の単純一罪の一部に現に加功した被告人両名にあっては、実際のほ脱額がその認識を超えていることを情状として考慮されるべきは格別、これをもって、当該認識を欠く部分についての刑事責任までも免れることはできない。

(量刑の理由)

本件各犯行は、部落解放大阪府企業連合会(以下、単に「大企連」という。)の会員で、大阪府中小企業連合会(以下、単に「中企連」という。)南事務所長の肩書をも有していた被告人中谷が、東京パブコの代表取締役である分離前の相被告人古田の誘いを受け、東京パブコ及びその関連会社の法人税や物品税の申告に際し、大企連の組織と勢威を利用して虚偽過少申告の発覚、摘発を免れさせることにより多額の報酬を得ようと企て、法人税については所得額の約一割ないし二割、物品税については正規の税額の約半額のうち六割を報酬とする約束の下に、右古田及び東京パブコの関連会社の代表取締役等であった分離前の相被告人ら、並びに、税理士事務所に勤務するかたわら、中企連南事務所嘱託の肩書で税務指導等を担当していた被告人末村とそれぞれ共謀の上、被告人中谷については合計三七億一〇〇〇万円余り、被告人末村については合計一五億一〇〇〇万円余りの各法人税及び物品税をほ脱したもので、そのほ脱率も、法人税については九九パーセント余り、物品税についても九八パーセント余りに達するという、稀に見る巨額かつ高率のほ脱事犯である。同和団体等の活動の本来の趣旨、目的を逸脱して常習的に犯行を繰り返し、もって、善良な納税者の心情と申告納税制度に対する信頼を害し、広く同和団体との間における徴税上の不公平感を助長することとなった点も合わせ考慮すると、犯情まことに悪質というほかない。

とりわけ、被告人中谷は、母テル子を東京パブコ及びその関連会社の名目的な代表取締役として送り込むなどして、あらかじめこれらの会社を大企連に加入させ、東京パブコ、オスカー及びエル・アイ・シーの三社については、被告人末村に対し内容虚偽の申告書の作成を命じるなどした上、でき上がった申告書に大企連の印をもらって提出させ、あるいは自ら作成した申告書に大企連の印をもらって提出するなどの行為に及び、その対価として約七億円という多額の報酬を得たものであって、その刑責はすこぶる重いといわざるを得ない。他方、被告人末村は、正しい納税を指導すべきことが当然期待される立場にあったのに、被告人中谷の命じるがまま、虚偽申告書の作成という法人税のほ脱に不可欠な行為を担当したものであって、これまた刑責は相当に重いといわなければならない。

しかしながら、被告人らの各犯行関与の態様は、前記古田その他の分離前の相被告人らが脱税の報酬を低額に抑えるためあらかじめ圧縮、提示した所得額等を前提として、その申告書の作成ないし提出のみに関与したものが多く、それ自体は必ずしも巧妙で悪質なものとまでは評し得ないのみならず、具体的に認識していた合計ほ脱額にも実際の額とはかなりの隔たりがあること、同和団体の組織を利用するこの種ほ脱事犯については、従前の税務当局の対応にも問題がなかったとはいえず、これがまた本件各犯行の重大な背景事情となっていたことも否定できないこと、関係各社においては、本税は既に全額納付済みであり、附帯税についても、グローバル・ハイテックにおいては全額納付済であるほか、他の三社において逐次その残額を納付の予定であること、被告人中谷については、業務上過失傷害罪による罰金以外の前科がない上、本件各犯行の前後において、中企連に対し五億円近い多額の寄付をしていること等に照らしても、その動機に単なる個人的利欲を超えるものがあったことがうかがわれること、検挙後は、素直に事実を認めるとともに、余罪分も含めてこれまで得た脱税報酬のほとんどを返還し、自己の所得税について周到な調査の上修正及び再修正申告を行い、羽曳野市向野所在の不動産を同市に寄付するなど、反省の情が顕著であること、また、被告人末村についても、前科前歴がない上、その各犯行関与の態様も、当時事務員として勤務していた税理士事務所の重要な顧問先であった被告人中谷の指示に基づき、前述した事情の下で申告書の作成を行ったものにすぎず、これによって得た報酬もそのほとんどを右事務所に納めていたものであること、反省の情ももとより顕著であることなど、被告人両名のために酌むべき事情も多々存するので、これら諸般の事情を総合考慮して、被告人両名をそれぞれ主文掲記の刑に処し、なお、被告人末村に対してはその刑の執行を猶予するのが相当と考えた。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 白井万久 裁判官 的場純男 裁判官松本信弘は転補のために署名押印することができない。裁判長裁判官 白井万久)

別紙(一)

修正貸借対照表

<省略>

別紙(二)

修正貸借対照表

<省略>

別紙(三)

税額計算書

<省略>

別紙(四)

修正貸借対照表

<省略>

別紙(五)

修正貸借対照表

<省略>

別紙(六)

税額計算書

<省略>

<省略>

別紙(七)

修正損益計算書

<省略>

別表(1)

製造原価の内訳書

<省略>

別表(2)

一般管理費及び販売費の内訳書

<省略>

別紙(八)

修正損益計算書

<省略>

別表(3)

製造原価の内訳書

<省略>

別表(4)

一般管理費及び販売費の内訳書

<省略>

別紙(九)

税額計算書

<省略>

<省略>

別紙(一〇)

修正損益計算書 No.1

<省略>

No.2

<省略>

別紙(一一)

税額計算書

<省略>

別紙一二

物品税犯罪一覧表

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

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