大阪地方裁判所 昭和61年(わ)5383号 判決 1988年9月08日
本店所在地
大阪市都島区大東町二丁目一三番二二号
商号
興和紙器株式会社
代表者
朝岡和豊
本籍
愛知県幡豆郡吉良町大字吉田字八ツ田三番地
住居
大阪府寝屋川市本町一七番一七号
会社役員
朝岡和豊
昭和五年四月一日生
右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官藤村輝子出席の上審理をして、次のとおり判決する。
主文
被告人興和紙器株式会社を罰金三八〇〇万円に、被告人朝岡和豊を懲役一年六月に処する。
被告人朝岡和豊に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人興和紙器株式会社は、大阪市都島区大東町二丁目一三番二二号に本店を置き、紙器製造業を営む資本金三〇〇〇万円の株式会社、被告人朝岡和豊は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人朝岡和豊は、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空の決算賞与及び給与等を計上する等の方法によりその所得の一部を秘匿した上、
第一 昭和五七年二月一日から同五八年一月三一日までの事業年度における被告会社の所得金額が二億七一一二万五三九八円(別紙1から3参照)あったのにかかわらず、同年三月三〇日、同市旭区大宮一丁目一番二五号所在の所轄旭税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一億四七〇四万五九六八円でこれに対する法人税額が五七三六万八〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額一億九四七万二〇〇円と右申告額との差額五二一〇万九四〇〇円を免れ
第二 同五八年二月一日から同五九年一月三一日までの事業年度における被告会社の所得金額が三億一八七二万一三八円(別紙4から6参照)あったのにかかわらず、同年三月三〇日、前記旭税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一億四九四五万九一六六円でこれに対する法人税額が六〇八六万六二〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額一億三一九五万三〇〇〇円と右申告額との差額七一〇八万六八〇〇円を免れ
第三 同五九年二月一日から同六〇年一月三一日までの事業年度における被告会社の所得金額が一億八二九五万八八〇四円(別紙7から9参照)あったのにかかわらず、同年三月二九日、前記旭税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一億一五三六万二八二円でこれに対する法人税額が四七一二万八九〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額七六三九万六五〇〇円と右申告額との差額二九二六万七六〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示事実全部について
一 被告人朝岡和豊の当公判廷における供述
一 第三回公判調査中の被告人朝岡和豊の供述部分
一 被告人朝岡和豊の検察官に対する供述調書及び同被告人に対する収税官吏作成の質問てん末書八通(検察官請求分証拠等関係カード番号39から41、43から45、52、53)
一 証人岡崎秀雄に対する当裁判所の尋問調書
一 岡崎秀雄、朝岡英男(一部不同意部分を除く。)及び村上喜康の検察官に対する各供述調書
一 収税官吏作成の岡崎秀雄(五通、ただし、同カード番号29、31から33につき一部不同意部分を除く。)、朝岡英男(三通、ただし、同カード番号35につき一部不同意部分を除く。)、森本克世及び村上喜康に対する各質問てん末書
一 収税官吏作成の査察官調査書一〇通(同カード番号14、16、17、19から22、24、26、27)
一 旭税務署長作成の証明書(同カード番号8)
一 登記官作成の法人登記簿謄本
判示第一及び第二の各事実について
一 収税官吏作成の査察官調査書二通(同カード番号9、25)
判示第一の事実について
一 収税官吏作成の被告人朝岡和豊に対する質問てん末書(同カード番号42)
一 収税官吏作成の査察官調査書五通(同カード番号10から13、23)
一 収税官吏作成の脱税額計算書(同カード番号1)
一 旭税務署長作成の証明書(同カード番号4)
判示第二及び第三の各事実について
一 収税官吏作成の被告人朝岡和豊に対する質問てん末書(同カード番号46)
一 収税官吏作成の査察官調査書二通(同カード番号15、28)
判示第二の事実について
一 収税官吏作成の脱税額計算書(同カード番号2)
一 旭税務署長作成の証明書(同カード番号5)
判示第三の事実について
一 収税官吏作成の査察官調査書(同カード番号18)
一 収税官吏作成の脱税額計算書(同カード番号3)
一 旭税務署長作成の証明書(同カード番号6)
(法令の適用)
被告人朝岡和豊の判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項に該当するので、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人朝岡和豊を懲役一年六月に処し、情状により同法二五条一項を適用して、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。
さらに、被告人朝岡豊の判示各所為は興和紙器株式会社の業務に関してなされたものであるから、同被告人会社については、法人税法一六四条一項により判示各罪につきいずれも同法一五九条一項の罰金刑に処すべきところ、情状によりそれぞれにつき同条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により合算した金額の範囲内で、同被告人会社を罰金三八〇〇万円に処することとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 的場純男)
別紙1 修正損益計算書
興和紙器株式会社
自 昭和57年2月1日
至 昭和58年1月31日
<省略>
別紙2 修正損益計算書(製造原価)
興和紙器株式会社
自 昭和57年2月1日
至 昭和58年1月31日
<省略>
別紙3 修正損益計算書
興和紙器株式会社
自 昭和58年2月1日
至 昭和59年1月31日
<省略>
別紙4 修正損益計算書(製造原価)
興和紙器株式会社
自 昭和58年2月1日
至 昭和59年1月31日
<省略>
別紙5 修正損益計算書
興和紙器株式会社
自 昭和59年2月1日
至 昭和60年1月31日
<省略>
別紙6 修正損益計算書(製造原価)
興和紙器株式会社
自 昭和59年2月1日
至 昭和60年1月31日
<省略>