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大阪地方裁判所堺支部 平成21年(ワ)2783号 判決 2011年4月22日

原告

X1

原告

X2

上記両名訴訟代理人弁護士

坂田宗彦

増田尚

谷真介

被告

Y株式会社

同代表者代表取締役

同訴訟代理人弁護士

野口善國

福田和美

中島健治

二島豊太

黒澤佳代

藤井奏子

主文

1  被告は、原告X1に対し、30万3835円及びうち8万3575円に対する平成21年12月4日から、うち22万0260円に対する平成23年2月10日から、各支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。

2  被告は、原告X2に対し、12万9501円及びうち1万7873円に対する平成21年12月4日から、うち11万1628円に対する平成23年2月10日から、各支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。

3  原告らのその余の請求をいずれも棄却する。

4  訴訟費用は、これを2分し、その1を被告の負担とし、その余を原告らの負担とする。

5  この判決は、第1、2項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由

第1請求

1  主文第1、2項と同旨

2  被告は、原告X1(以下「原告X1」という。)に対して30万3835円、原告X2(以下「原告X2」という。)に対して12万9501円及びこれらに対する本判決確定の日の翌日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2事案の概要

本件は、被告との間で労働契約を締結する原告らが、原告らに対して定額で支給される無事故手当と運行手当について、これらの半額についてのみ割増賃金の算定基礎に算入し、残りの半額については割増賃金として支払うことを定める被告の就業規則(給与規程)は労働基準法37条に反し無効である、又はそのような給与規程への変更は労働契約法9条に反し無効であるなどと主張して、被告に対し、労働契約に基づき、平成21年5月から平成22年12月までの間、上記無事故手当と運行手当の全額を割増賃金の算定基礎に算入して計算した割増賃金から、既に支払われた割増賃金を控除した未払額合計(原告X1については上記期間の未払額合計30万3835円、原告X2については上記期間の未払額合計12万9501円)及びうち平成21年5月から同年9月までの間についての未払額合計(原告X1については8万3575円、原告X2については1万7873円)に対する各割増賃金支払日の後であり、訴状送達の日の翌日である同年12月4日から、同年10月から平成22年12月までの間についての未払額合計(原告X1については22万0260円、原告X2については11万1628円)に対する各割増賃金支払日の後であり、請求の趣旨拡張申立書送達の日の翌日である平成23年2月10日から、各支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに、労働基準法114条に基づき、上記未払割増賃金合計と同一額の付加金(原告X1については30万3835円、原告X2については12万9501円)及びこれらに対する本判決確定日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

1  前提事実(以下の事実は、当事者間に争いがないか、後掲の証拠及び弁論の全趣旨によれば容易に認められる。)

(1)  当事者

ア 原告ら

原告らは、a1株式会社(以下「a1社」という。)との間で労働契約を締結し、郵便輸送業務に従事していた者である。a1社は、平成21年1月1日付けでa2株式会社(以下「a2社」という。)に吸収合併され(以下「本件第1合併」という。)、a2社は、同年2月1日付けで被告に吸収合併された(以下「本件第2合併」という。)。原告らは、現在、被告との間で労働契約を締結し、引き続き郵便輸送業務に従事している。(弁論の全趣旨)

イ 被告

被告は、平成19年11月30日に「Y準備会社」との商号で設立され、平成21年1月1日付けで現在の商号である「Y株式会社」に商号変更し、郵便輸送に携わる株式会社である。上記アのとおり、被告は、同年2月1日付けでa2社を吸収合併した。(弁論の全趣旨)

(2)  本件第2合併に至る経緯

a1社やa2社は、その取引のほとんどがb株式会社(旧日本郵政公社・旧郵政事業庁・旧郵政省)を荷主とするもので、長年の間、郵便物専門の運送事業を展開してきたが、平成13年ころからの郵政民営化の流れを受け、郵便物専門の運送事業を展開する事業者が統合されることとなった。そこで、b株式会社が、平成19年10月1日、郵便に係る業務等を担当する会社として設立され、同社が、従来から郵便物専門の運送事業を展開してきたa1社やa2社を含む14社を統合することとなった。b株式会社は、同年11月30日、上記14社を吸収合併する会社として「Y準備会社」との商号で被告を設立した。統合の手順としては、上記14社の中でもっとも大きな会社であったa2社が、平成21年1月1日にa1社を含む13社を吸収合併し、その後、被告が、同年2月1日に、上記13社を吸収合併したa2社を吸収合併することとされた。(弁論の全趣旨)

(3)  原告らに対する給与規程の変更経緯

ア 被告は、a1社やa2社を含む14社を統合するに当たり、各社の労働条件を統一すべく、新たな就業規則としての給与規程を策定することとした。新たに制定する給与規程(書証<省略>、以下「本件給与規程1」という。)については、本件第1合併の際の平成20年9月ころから、被告とa2社の協議のもとで作成された。本件第1合併の際のa2社の非正規社員を含めた労働者数は約4800人であり、その売上げは約526億円であったところ、その他の上記13社の同時期の労働者数は合計で約1600人であり、その売上げも合計で約190億円にすぎなかった。そこで、本件給与規程1を作成するに当たっては、上記13社と比べて圧倒的な規模を持つa2社の給与規程が基本とされた。もっとも、本件給与規程1の内容については、上記13社の労働者に不利益にならないように配慮され、経過措置調整額を設けて年収や割増賃金単価について、本件給与規程1による方が従前のそれらを上回るように設計された。その結果、本件給与規程1においては、a2社は、原告らを含むa1社の労働者に対して、月額3万6000円の調整額を上乗せして支払うこととし(書証<省略>)、この調整額は割増賃金の算定基礎に算入されることとした(書証<省略>)。本件給与規程1は、所定の手続を経たうえで、平成21年1月1日、a2社の給与規程として有効に実施された(以下「本件給与規程変更1」という。)。本件給与規程1は、同日付けでa2社に吸収合併されたa1社の労働者(原告らを含む。)に対する給与規程としても有効に実施され、原告らの労働契約の内容となった。(書証<省略>、弁論の全趣旨)

イ 本件給与規程1においては、以下のとおり、給与の種類及び構成が定められた。(書証<省略>、弁論の全趣旨)

(給与の区分)

第2条 給与の種類及び構成は次の各号のとおりとする。

(1)  基準内給与

基本給

ア 一般職の社員(以下「一般社員」という。)の基本給は、職務給、勤続給及びエリア給とする。

イ 管理職の社員(以下「管理社員」という。)の基本給は、職務給、職責給及びエリア給とする。

(2)  基準外給与

扶養手当、通勤手当、住宅手当、超過勤務手当、代休手当、深夜作業手当、単身赴任手当、無事故手当、管理業務手当、運行手当及び適性診断受診手当

(3)  賞与

ウ 本件給与規程1における無事故手当は、給与計算期間内の1か月間において無事故であった場合に月額1万5000円の定額で支給される手当である(書証<省略>)。また、本件給与規程1における運行手当は、実際に便を運行する服務に従事した労働者に対して、その運行距離に応じて支給される手当であるが、原告らを含むa1社の労働者に対しては、本件第1合併に伴う経過措置として、月額4万7805円の定額で支給される(書証<省略>、弁論の全趣旨)。a2社では、昭和63年ころ以降、無事故手当と運行手当の各半額のみを割増賃金の算定基礎として算入する運用をしており(以下「a2社の従来運用」という。)、平成17年3月には、a2社は、a2社の労働者全員が加入する労働組合である日本郵政公社労働組合との間で、上記各手当の半額を通常単価とし、残る半額を割増賃金に充当する旨の合意もした(書証<省略>)。そこで、a2社は、本件第1合併をした平成21年1月1日以降、新たにa2社の労働者となったa1社の労働者に対しても、a2社の従来運用のとおり、無事故手当と運行手当について、事故手当と運行手当の各半額のみを割増賃金の算定基礎として算入し、残る半額を割増賃金に充当する運用を実施した。(書証<省略>、弁論の全趣旨)

エ a1社では、a2社に吸収合併されるまでの間、無事故手当と運行手当についても、その全額を割増賃金の算定基礎に算入する運用がされていたため、原告らの所属する労働組合である全日本港湾労働組合関西地方阪神支部(以下「本件組合」という。)は、本件第1合併後に、無事故手当と運行手当の各半額のみを割増賃金の算定基礎として加算するa2社の従来運用に不満を持った。また、a2社も被告も、本件第1合併までの間に、本件組合に対して、a2社の従来運用を説明したことがなかった。そこで、本件組合は、平成21年2月1日以降、被告に対し、無事故手当と運行手当の半額を割増賃金の算定基礎から除外することは労働基準法37条、同法施行規則21条に違反する旨指摘し、上記各手当の全額を割増賃金の算定基礎に算入した結果、未払となる割増賃金の支払を求めた。なお、a2社は、同日、本件第2合併により、被告に吸収合併されているが、本件第2合併の際には給与規程は変更されておらず、被告は、本件給与規程1を承継している。(書証<省略>、弁論の全趣旨)

オ 被告は、同年4月1日から、原告らの同意を得ないまま、以下のとおり、給与規程67条を新設し、a2社の従来運用を給与規程上に明確にするためとして、同月7日、原告らに対し、新たな給与規程(以下「本件給与規程2」という。)を示し、社内に掲示した(以下「本件給与規程変更2」という。)。(書証<省略>、弁論の全趣旨)

(諸手当計算方法)

第67条

第44条に定める無事故手当、第45条に定める管理業務手当及び第46条に定める運行手当については、各手当単価のうち、半額を通常単価とし、残る半額は通常単価半額分を割増賃金基礎額に算入することによって生ずる割増賃金に相当する分とする。

カ 被告は、平成21年5月8日、労働基準監督署から、a2社の従来運用を明文化しなかったことは相当でなく、割増賃金の基礎額に無事故手当と運行手当等を加算した計算方法で割増賃金を算定し、その不足額を支払うよう是正勧告を受けた。被告は、本件給与規程変更1における説明が不十分であったとして、原告らを含むa1社の従業員に対し、割増賃金の基礎額に無事故手当と運行手当等を算入した計算方法で割増賃金を算定し直し、同年1月分から同年4月分までの不足額を支払った。(弁論の全趣旨)

2  争点

(1)  本件給与規程2の有効性

(原告らの主張)

一般に、割増賃金の算定基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金のみが除外され、これ以外の手当を除外することは許されない(労働基準法37条5項、同法施行規則21条)。原告らに支給されていた給与のうち、無事故手当(月額1万5000円)と運行手当(月額4万7805円)はいずれも定額で支給される手当であったところ、本件給与規程2は、これらの手当の各半額を割増賃金の算定基礎から除外することとしている。また、被告では、給与明細上、無事故手当と運行手当について、割増賃金相当部分と賃金相当部分が明確に区別されていない。本件給与規程2の内容は、労働基準法37条に違反するものであって、同法92条1項により無効である。本件給与規程2がa2社の従前運用を明文化したものであったとしても、そのa2社の従前運用自体が同法37条に反しているのであるから、本件給与規程2は同法92条1項により無効である。

(被告の主張)

本件給与規程2は、a2社の従来運用を明文化したにすぎない。a2社では、昭和63年ころから、a2社の労働者全員が加入する労働組合である日本郵政公社労働組合との間で、無事故手当と運行手当の各半額を通常単価とし、残る半額を割増賃金として支給する旨の合意をしていた。a2社では、労働者との合意のもと、無事故手当と運行手当の各半額を割増賃金として支給してきたのであって、a2社の従来運用を原告らに適用した場合にも、原告らは、労働基準法所定額以上の割増賃金の支給を受けているのであるから、本件給与規程2は、同法37条に違反するものではない。

(2)  本件給与規程変更2の有効性

(原告らの主張)

本件給与規程変更2は、本来支給されるべき時間外手当を一方的に減額するものであって、労働者に不利益な変更であるところ、労働契約法10条所定の要件を満たさず、同法9条に反し無効である。本件給与規程変更2は、無事故手当と運行手当の各半額を割増賃金の算定基礎から除外する点で原告らの受ける不利益は大きく、その不利益変更に際して、何らの代償措置が講じられていない。また、本件給与規程変更2は、労働基準法37条違反のa2社の従来運用を明文化したにすぎず、その変更に高度の必要性はないし、本件給与規程変更2によっても、同条違反の状態が解消されることはないから、内容としても相当性を欠く。さらに、被告は、本件給与規程変更2を実施するに当たって、本件組合と事前に協議しなかった。

被告は、本件給与規程変更2を本件給与規程変更1と一体的に考えて、給与支給額や割増賃金単価がa1社のそれらよりも上がった旨主張するが、これは本件給与規程変更1において実施されたものであって、本件給与規程変更2によって被る原告らの不利益を填補するものではない。

(被告の主張)

被告は、本件第1合併に当たって、統合する14社の給与規程を統一するために本件給与規程1を作成したが、その際、原告らを含むa1社を含む14社の労働者に不利益が生じないよう、各労働者の現給保障に配慮した。被告は、a2社の給与規程を基本として本件給与規程1を作成したところ、上記14社の各労働者の現給保障を実現するために、a2社の従来運用に従って、無事故手当と運行手当の各半額を割増賃金の算定基礎から除外して、各労働者の賃金等を試算した。この試算結果を踏まえて、本件給与規程1では、a2社は、原告らを含むa1社の労働者に対して、月額3万6000円の調整額を上乗せして支払うこととし、この調整額は割増賃金の算定基礎に算入されることとした。その結果、a2社の従来運用に従った場合の本件給与規程1による年収や割増賃金単価は、原告らがa1社の労働者であったときのそれらを上回っている。このように、本件給与規程1は、a2社の従来運用を踏まえて作成されたものであり、本件給与規程1がa2社の従来運用に従って実施された結果、原告らの年収や割増賃金単価は増額されたのであるから、a2社の従来運用を踏まえた本件給与規程1は、原告らにとって有利な変更である。本件給与規程2は、本件給与規程変更1に、a2社の従来運用を書き加えたにすぎず、このような本件給与規程変更2は不利益変更ではない。また、仮に、本件給与規定変更2が不利益変更であったとしても、本件給与規定変更2は、本件給与規定変更1を明確化するために必要であったし、本件給与規定変更2が無効とされると被告に与える影響が甚大である。さらに、本件給与規定変更2には、その手続に瑕疵がない。

原告らは、本件給与規程1の内容を前提としたうえで、本件給与規程2の無効を主張するが、本件給与規程1と本件給与規程2は一体として考えるべきである。仮に、本件給与規程変更2(本件給与規程2への変更)が無効であれば、本件給与規程1で定められた月額3万6000円の調整額なども無効となるのであって、上記調整額を受領しながら本件給与規程変更2のみの無効を主張することは、全体の中から良いところのみを取り出しているに等しく、妥当でない。

なお、被告が本件給与規程1の実施に当たり、被告は、原告らを含む本件組合に対し、a2社の従来運用について説明しなかった。これは、本件給与規程1が極めて限られた時間内で整えられたことと、a2社の従来運用を熟知していない者が本件組合に対する説明を担当したことによる。被告としては、a2社の従来運用はa2社の労使協定の形で明確に確認されており、a2社の従来運用による割増賃金額が労働基準法所定の計算方法による割増賃金額を上回っていたことなどから、a2社以外の13社の労働者に対してもa2社の従来運用を実施することにも問題がないと考えていた。もっとも、被告は、本件給与規程1の実施に当たり、原告らを含む本件組合に対し、a2社の従来運用について説明しなかったことにかんがみて、割増賃金の基礎額に無事故手当と運行手当等を加算した計算方法で割増賃金を算定し直し、原告らに対し、平成21年1月分から同年4月分までの不足額を支払っている。

(3)  未払割増賃金額

(原告らの主張)

ア 割増賃金の計算方法

被告の給与規定39条では、超過勤務手当(休日、泊明日、所定超過時間)は、以下の計算式で算出されることとなっている。

【計算式 基準内給与×1.25÷172(月間所定労働時間)×時間数】

ただし、週休日(法定休日)労働については、基準内給与の1.35倍とすることが決められている。

また、上記規定41条では、深夜作業手当について、午後10時から翌朝5時までの勤務については、以下の計算式で算出されることとなっている。

【計算式 基準内給与×0.25÷172(月間所定労働時間)×深夜作業時間数】

イ 給与の支払日等

被告における給与は、月末締め、当月25日支払であるが、割増賃金については、翌月25日支払である。

ウ 原告X1の未払割増賃金額

平成21年6月(労働期間は同年5月)から同年10月(労働期間は同年9月)までの間に原告X1に支払われた基準内賃金、調整額、無事故手当、運行手当は、別紙未払割増賃金計算表<省略>(原告X1分)の各欄に記載のとおりである。

また、同年5月から同年9月までの間の原告X1の超過勤務時間(休日労働を除く)、所定休日の労働時間、法定休日の労働時間は、上記計算表の各欄に記載のとおりである。

そうすると、原告X1に支払われるべき通常割増賃金(超過勤務時間と所定休日の労働時間に対応する割増賃金)、法定休日労働の割増賃金、深夜労働の割増賃金は、上記計算表の通常割増賃金、法定休日割増賃金及び深夜割増賃金の各欄に記載のとおりとなる。被告は、原告X1に対し、上記計算表の支払割増賃金欄に記載のとおりの賃金を割増賃金として支払っているから、上記計算表の未払割増賃金欄に記載のとおりの賃金が未払である。

よって、原告X1は、被告に対し、労働契約に基づき、未払割増賃金合計30万3835円及びうち平成21年5月から同年9月までの間の未払割増賃金合計8万3575円に対する各割増賃金支払日の後であって、訴状送達の日の翌日である同年12月4日から、うち同年10月から平成22年12月までの間の未払割増賃金合計22万0260円に対する各割増賃金支払日の後であって、請求の趣旨拡張申立書送達の日の翌日である平成23年2月10日から、各支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。

エ 原告X2の未払割増賃金額

平成21年6月(労働期間は同年5月)から同年10月(労働期間は同年9月)までの間に原告X2に支払われた基準内賃金、調整額、無事故手当、運行手当は、別紙未払割増賃金計算表<省略>(原告X2分)の各欄に記載のとおりである。

また、同年5月から同年9月までの間の原告X2の超過勤務時間(休日労働を除く)、所定休日の労働時間、法定休日の労働時間は、上記計算表の各欄に記載のとおりである。

そうすると、原告X2に支払われるべき通常割増賃金(超過勤務時間と所定休日の労働時間に対応する割増賃金)、法定休日労働の割増賃金、深夜労働の割増賃金は、上記計算表の通常割増賃金、法定休日割増賃金及び深夜割増賃金の各欄に記載のとおりとなる。被告は、原告X2に対し、上記計算表の支払割増賃金欄に記載のとおりの賃金を割増賃金として支払っているから、上記計算表の未払割増賃金欄に記載のとおりの賃金が未払である。

よって、原告X2は、被告に対し、労働契約に基づき、未払割増賃金合計12万9501円及びうち平成21年5月から同年9月までの間の未払割増賃金合計1万7873円に対する各割増賃金支払日の後であって、訴状送達の日の翌日である同年12月4日から、うち同年10月から平成22年12月までの間の未払割増賃金合計11万1628円に対する各割増賃金支払日の後であって、請求の趣旨拡張申立書送達の日の翌日である平成23年2月10日から、各支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。

(被告の主張)

原告らの主張ア(割増賃金の計算方法)、イ(給与の支払日等)は認める。原告らの主張ウ、エのうち、原告X1及び原告X2への給与支給額、原告X1及び原告X2の超過勤務時間、所定休日の労働時間、法定休日の労働時間、原告らの主張を前提とした場合の未払額は認め、その余は争う。

(4)  付加金

(原告らの主張)

被告は、原告らに対し、労働基準法37条に規定する割増賃金を支払わないのであるから、原告らは、被告に対し、労働基準法114条に基づき、未払割増賃金合計と同一額の付加金(原告X1については30万3835円、原告X2については12万9501円)及びこれらに対する本判決確定日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。

(被告の主張)

争う。

第3当裁判所の判断

1  争点(1)(本件給与規程2の有効性)について

(1)  本件給与規程2は、原告らに支給されていた手当のうち、無事故手当と運行手当の各半額が、割増賃金の算定基礎から除外されることを定めたものである(前提事実(3)オ)。

一般に、割増賃金については、労働基準法所定の割増賃金に替えて一定額の手当を支払うことも、同法所定の計算方法による割増賃金を下回らない限り、適法であると解される。もっとも、同法所定の計算方法によらない場合であっても、割増賃金として、同法所定の計算方法による割増賃金が支払われたか否かを判定できるように、割増賃金相当部分とそれ以外の賃金部分とを明確に区別することが必要であるものと解される。

本件給与規程2の第67条においては、無事故手当と運行手当の各半額が、割増賃金の算定基礎から除外されることが明確に記載されており(前提事実(3)オ)、割増賃金相当部分とそれ以外の賃金部分とを明確に区別することができるものと認められる。そして、本件給与規程2における無事故手当と運行手当の各半額は、これまでの被告の労働者の就業状況に照らして、同法所定の計算方法による割増賃金を下回らないものと認められる(書証<省略>)。そうすると、本件給与規程2の内容自体が同法37条に違反するとは認められないというべきである。

(2)ア  原告らは、本件給与規程2における無事故手当と運行手当は全額が割増賃金の算定基礎に算入されるべきものであって、各半額のみを割増賃金の算定基礎に算入するとする本件給与規程2は、労働基準法37条に違反する旨主張する。

しかし、原告らの上記主張は、無事故手当と運行手当の全額が労働基準法所定の割増賃金に替えて支払われる手当でないことを前提としているものと理解されるところ、就業規則で定められた手当が割増賃金の算定基礎に算入されるべきものであるか否かは、その名称にかかわらず、その実質によって判断されるべきである。そして、労働者の労働契約の内容を定める就業規則の一部である本件給与規程2の第67条では、無事故手当と運行手当の各半額を割増賃金として支払う趣旨が明確に示されているから(前提事実(3)オ)、これらの各半額部分については、労働基準法所定の割増賃金に替えて支払われる手当であると解釈するほかない。そうすると、原告らの上記主張は、その前提を欠くというべきである。原告らの上記主張は採用できない。

イ  原告らは、被告では、給与明細上、無事故手当と運行手当について、割増賃金相当部分と賃金相当部分が明確に区別されていない旨も主張する。

しかし、上記アのとおり、本件給与規程2の第67条では、無事故手当と運行手当の各半額を割増賃金として支払う趣旨が明確に示されているから、給与明細上、割増賃金相当部分と賃金相当部分を明確に区別されていなくても、労働基準法所定の計算方法による割増賃金が支払われたか否かを判別できるものと認められる。そうすると、給与明細上、無事故手当と運行手当について割増賃金相当部分と賃金相当部分が明確に区別されていなかったとしても、上記判断を左右しない。原告らの上記主張は採用できない。

2  争点(2)(本件給与規程変更2の有効性)について

(1)  一般に、労働契約の内容である労働条件を変更するためには、原則として、合意による必要があり(労働契約法8条参照)、労働者の合意なくされた労働者に不利益な労働契約の内容である労働条件の変更は、原則として、無効であるものと解される(同法9条本文参照)。

本件給与規程変更2は、被告の労働者である原告らと合意することなく、本件給与規程1に、無事故手当と運行手当の各半額のみを通常単価として、割増賃金の算定基礎に算入し、残る各半額を割増賃金に充当する旨を書き加えたものであるから(前提事実(3)オ)、労働契約の内容である労働条件を変更したものであると評価できる。もっとも、被告は、本件給与規程変更2は労働者に不利益でなく、有利な変更であると主張するので、まず、上記労働条件の変更が労働者に不利益か否かを検討する。

ア 上記のとおり、本件給与規程変更2は、本件給与規程1に、無事故手当と運行手当の各半額のみを通常単価として、割増賃金の算定基礎に算入し、残る各半額を割増賃金に充当するというa2社の従来運用を書き加えたものである(前提事実(3)オ)。

一般に、割増賃金の算定基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金は算入しないとされており(労働基準法37条5項、同法施行規則21条)、この除外賃金は限定列挙であって、上記1(2)アのとおり、その名称にかかわらず、その実質によって判断されなければならないものと解される。そして、扶養家族の有無・数、通勤距離・費用、別居の有無、要教育子女数以外の個人的事情で額が決まるその他の手当は、上記除外賃金には該当しないものと解される。本件給与規程1においては、無事故手当は無事故であった場合に月額1万5000円の定額で支給されるものであり(前提事実(3)ウ)、運行手当は運行距離に応じて支給され、かつ、原告らに対しては本件第1合併に伴う経過措置として月額4万7805円の定額で支給されるものとされているから(前提事実(3)ウ)、これらの手当は上記除外賃金に該当しないものと認めるのが相当である。なお、本件給与規程1では、給与区分上、無事故手当と運行手当が基準外手当として明記されているが(前提事実(3)イ)、仮に、基準外手当という言葉が上記除外賃金との意味合いで使用されているとしても、就業規則は法令に反してはならないものとされているから(労働基準法92条1項)、上記判断を左右しない。そうすると、本件給与規程1においては、無事故手当と運行手当は、割増賃金の算定基礎に算入されなければならないものと認められるから、これらの手当の各半額のみを通常単価として割増賃金の算定基礎に算入する旨を書き加えた本件給与規程2は、割増賃金の算定基礎に算入すべき手当の額を削減するものといえ、労働者に不利益なものと認められる。

イ(ア) 被告は、本件給与規程2は、本件給与規程1にa2社の従来運用を書き加えたものにすぎないから、本件給与規程1への変更(本件給与規程変更1)が労働者にとって利益である以上、本件給与規程2も労働者にとって利益である旨主張する。

しかし、被告の上記主張は、a2社の従来運用が、本件給与規定1が実施された際に既に原告らの労働契約の内容になっていることが前提となるものと解されるところ、原告らは、本件給与規程1が実施された平成21年1月1日に勤務先のa1社がa2社に吸収合併され、同日に初めてa2社の労働者になったものであるから(前提事実(1)ア)、本件給与規程1に記載されていないa2社の従来運用が、原告らに対する就業規則として有効に適用されるものではない。しかも、被告もa2社も、本件給与規程1を実施するに当たり、原告らに対し、a2社の従来運用について説明したことがなかったこと(前提事実(3)エ)に照らすと、被告又はa2社が原告らとの間でa2社の従来運用について合意したこともないものと認められる。そうすると、a2社の従来運用が、原告らとの労働契約の内容になる根拠は見当たらず、被告の主張は、その前提を欠くというべきである。被告の主張は採用できない。

なお、a2社とその従業員全員が加入する日本郵政公社労働組合との間でa2社の従来運用が合意されていたとしても(前提事実(3)ウ)、それは、a2社の従業員でなかった原告らがa2社の従来運用に従うべき根拠とはならない。原告らの労働契約の内容については、a2社が、a1社を吸収合併することによって、原則として、a1社と原告らとの労働契約の内容をそのまま引き継ぐものであり、原告らとの労働契約の内容を変更するためには、就業規則に記載するか、原告らとの間で、個別に合意する必要があるものと認められる。本件では、これらのいずれもがないうえ、a1社と原告らとの間では、無事故手当と運行手当の全額を割増賃金の算定基礎に算入する運用であったことが認められるから(前提事実(3)ウ)、a2社の従来運用が原告らの労働契約の内容になることはないというべきである。

(イ) 被告は、本件給与規程変更1と本件給与規程変更2は一体であり、原告らが本件給与規程変更1を認めておきながら、本件給与規程変更2を認めないのは、全体の中から良いところのみを取り出しているに等しく、妥当でない旨主張する。

確かに、本件給与規程変更1が実施されてから本件給与規程変更2が実施されるまでの期間が4か月ほどと短いこと(前提事実(3)ア、オ)に照らすと、被告とa2社は、本件給与規程変更1の際に、本件給与規程変更2の内容で給与規程の変更をしようとしていたことがうかがわれ、被告が本件給与規程変更1と本件給与規程変更2を別個に考えることに納得できないのも理解できないわけではない。

しかし、本件給与規程1は就業規則の一部であるところ、就業規則は労働者との労働契約の内容を定める基本的なものであり、原則として、労働者との合意のもとで変更されるべきものであるから(労働契約法8条参照)、変更される就業規則の解釈に当たって、労働者に明らかにされていない使用者の意思を忖度することを認めると、労働者が不測の不利益を被ることになり妥当でない。本件では、被告及びa2社が原告らの同意なく本件給与規程1を作成し、a2社の従来運用を明文化しなかったうえ(前提事実(3)ア、オ)、原告らに対してa2社の従来運用について説明しなかったことが認められる(前提事実(3)エ)。そうすると、被告が本件給与規程変更1の際に、本件給与規程変更2の内容で給与規程の変更をしようとしていたとしても、それが原告らに対して知らされることがなかったのであるから、本件給与規程1の解釈に当たって、上記被告の意図を忖度することは、原告らに不測の不利益を与えることになり、妥当でない。そもそも、原告らが本件給与規程変更1を認めておきながら、本件給与規程変更2を認めないという対応に出ることができたのは、上記のとおり、被告が本件給与規程1を作成する際に、a2社の従来運用を明文化しておかなかったというもっぱら被告側の事情に起因するものであって、そのような被告が原告らの対応を批判することはできないというべきである。本件給与規程変更1と本件給与規程変更2が一体であるとは認められず、被告の上記主張は採用できない。

(2)  もっとも、労働契約の内容が、労働者の合意なく、労働者にとって不利益に変更されたとしても、事前にその内容を従業員に周知させ、かつ、その変更が従業員の受ける不利益の程度、労働条件変更の必要性、変更内容の相当性、労働組合等との交渉の状況等の諸事情に照らして、合理的なものであるときは、例外的に労働条件の変更は有効と解される(労働契約法10条本文参照)。

しかし、被告は、本件給与規定変更2の必要性について、本件給与規定変更1の明確化を主張するにとどまり、本件給与規定変更2が原告らの賃金を引き下げるものであるにもかかわらず、本件給与規定変更2を実施した当時の被告の財務状況等に基づく必要性を何ら主張立証しない(弁論の全趣旨)。本件給与規定変更2により原告らの賃金を引き下げる必要性は乏しいといわざるを得ず、原告らの受ける大きな不利益にかんがみると、本件給与規定変更2による原告らの年収や割増賃金単価が、原告らがa1社の労働者であったときのそれらを上回ること(書証<省略>)や、被告が原告らに対し、本件給与規定変更2を周知し、その後平成21年1月分から同年4月分までの不足額を支払ったこと(前提事実(3)オ、カ)、本件給与規定変更2が無効とされた場合の被告に与える影響の大きさなどを考慮しても、本件給与規程変更2が合理的であるとは認められないというべきである。そうすると、本件給与規定変更2が労働契約法10条本文によって例外的に有効になるとも認められない。

なお、被告における労働条件を統一する必要性については、本件給与規定変更1の必要性として考慮される事情であって、本件給与規定変更1と別個である本件給与規定変更2の必要性として考慮することはできない。

(3)  以上によれば、本件給与規程変更2は無効であるものと認められる。

3  争点(3)(未払割増賃金額)について

(1)  上記2で検討したとおり、本件給与規程変更2は無効であるから、原告らと被告との間の労働契約の内容は、本件給与規程1に記載のとおりと認められる。そして、上記2(1)アのとおり、上記本件給与規程1においては、無事故手当と運行手当は、割増賃金の算定基礎に算入される賃金であると認められる。

また、被告は、原告らの主張する割増賃金の計算方法、給与の支払日等、原告X1及び原告X2への給与支給額、原告X1及び原告X2の超過勤務時間、所定休日の労働時間、法定休日の労働時間を認めている。

そうすると、原告らの主張するとおり、原告X1については、別紙未払割増賃金計算表<省略>(原告X1分)の未払割増賃金欄<省略>に記載のとおりの賃金が未払であるものと認められ、原告X2については、別紙未払割増賃金計算表<省略>(原告X2分)の未払割増賃金欄<省略>に記載のとおりの賃金が未払であるものと認められる。

(2)  よって、被告は、労働契約に基づき、原告X1に対しては、未払割増賃金合計30万3835円及びうち平成21年5月から同年9月までの間の未払割増賃金合計8万3575円に対する各割増賃金支払日の後であって、訴状送達の日の翌日である同年12月4日から、うち同年10月から平成22年12月までの間の未払割増賃金合計22万0260円に対する各割増賃金支払日の後であって、請求の趣旨拡張申立書送達の日の翌日である平成23年2月10日から、各支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払義務を負い、原告X2に対しては、未払割増賃金合計12万9501円及びうち平成21年5月から同年9月までの間の未払割増賃金合計1万7873円に対する各割増賃金支払日の後であって、訴状送達の日の翌日である同年12月4日から、うち同年10月から平成22年12月までの間の未払割増賃金合計11万1628円に対する各割増賃金支払日の後であって、請求の趣旨拡張申立書送達の日の翌日である平成23年2月10日から、各支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払義務を負う。

4  争点(4)(付加金)について

本件では、被告は、本件第1合併に当たって、14社の給与規程を統一しようとして、本件給与規程変更1を実施したことが認められるから(前提事実(2)、(3)ア)、被告が本件給与規程変更1を実施しようとしたことには合理性が認められるというべきである。また、被告は、本件給与規程変更1に際し、a1社の労働者であった原告らにも不利益にならないよう経過措置調整額を設けるなど、年収や割増賃金単価について本件給与規定1の方が従前のそれらを上回るように設計している(前提事実(3)ア)。そして、前記2(1)イ(イ)のとおり、被告は、もともと本件給与規程1を作成する際に本件給与規程2の内容を念頭に置いていたことがうかがわれるうえ、本件給与規程2の内容によっても、原告らの年収や割増賃金単価は、a1社の労働者であったときのそれらを上回っているものと認められる(書証<省略>)。加えて、前記1、2で検討したことを併せ考えると、原告らは、被告が本件給与規程変更1の際に、本件給与規程1にa2社の従来運用を明文化し忘れたからこそ、本件請求をし得るのであって、仮に、被告が本件給与規程変更1の際に、本件給与規程1にa2社の従来運用を明文化していれば、その給与規程の変更は、原告らにとって有利なものとして無効にならず、原告らは本件請求をし得なかったものと認められる。このような状況においては、被告が原告らとの間で本件給与規程変更2の有効性を争って、原告らに対して被告の独自の計算によって算出される未払賃金のみを支払い、原告ら主張の未払割増賃金の支払を拒んだことには、一定程度斟酌すべき事情があるというべきである。また、被告は、労働基準監督者から、a2社の従来運用を明文化していない点について是正勧告を受けた際に、本件給与規程変更1における説明が不十分であったとして、本件給与規程1における無事故手当と運行手当を割増賃金の算定基礎に算入した計算方法で割増賃金を算定し、原告らに対し、是正勧告を受けるまでの4か月分の不足額については既に支払っており、被告に遵法精神がないとも認め難いところである。

これらによると、被告について、付加金という制裁を課すことが必ずしも相当とはいえないから、当裁判所は、被告に対し、労働基準法114条に基づく付加金の支払を命じないこととする。

5  結論

以上によれば、原告X1の請求は、未払割増賃金合計30万3835円及びうち平成21年5月から同年9月までの間の未払割増賃金合計8万3575円に対する各割増賃金支払日の後であって、訴状送達の日の翌日である同年12月4日から、うち同年10月から平成22年12月までの間の未払割増賃金合計22万0260円に対する各割増賃金支払日の後であって、請求の趣旨拡張申立書送達の日の翌日である平成23年2月10日から、各支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからその限度でこれを認容し、原告X2の請求は、未払割増賃金合計12万9501円及びうち平成21年5月から同年9月までの間の未払割増賃金合計1万7873円に対する各割増賃金支払日の後であって、訴状送達の日の翌日である同年12月4日から、うち同年10月から平成22年12月までの間の未払割増賃金合計11万1628円に対する各割増賃金支払日の後であって、請求の趣旨拡張申立書送達の日の翌日である平成23年2月10日から、各支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからその限度でこれを認容し、原告らのその余の請求はいずれも理由がないからこれらをいずれも棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法65条1項本文、64条本文、61条を、仮執行の宣言につき同法259条1項を、それぞれ適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 林圭介 裁判官 大藪和男 裁判官 甲元雅之)

別紙<省略>

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