大阪地方裁判所堺支部 平成3年(ワ)1072号 判決 1993年9月17日
主文
一 原告の本訴請求を棄却する。
二 原告は被告に対し、金一五万七五八〇円とこれに対する平成三年一二月一七日から支払いずみまで年五分の割合による金員を支払え。
三 訴訟費用は、本訴、反訴を通じ、原告の負担とする。
四 この判決は、主文第二項に限り、仮に執行することができる。
事実
第一請求の趣旨
(本訴)
被告は原告に対し金二八二万九一三六円及びこれに対する平成三年四月四日以後支払済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。
(反訴)
原告は被告に対し、金一五万七五八〇円及びこれに対する反訴状送達の日の翌日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
第二主張
一 当事者間に争いのない事実
左記のとおりの交通事故(以下、本件事故という)が発生した。
記
1 発生日時 平成三年四月四日午前八時二〇分頃
2 発生場所 千葉県市川市高谷新町七番地先路上
3 被告車 大型貨物自動車(習志野八八け二五六一) 運転手 被告従業員長南優治
4 原告車 普通乗用自動車(習志野三三の八九一三) 運転手 原告本人
5 事故態様 原告車と被告車が衝突
二 争点
本件事故発生について、原告は被告車の運転手長南優治及び原告の双方に過失ありと主張し、民法七一五条により本訴請求として被告に対し、原告車の修理費用一八二万九一三六円、代車料三〇万円、評価損五〇万円、弁護士費用二〇万円合計二八二万九一三六円とこれに対する平成三年四月四日から支払いずみまで年五分の割合による金員の支払いを求め、被告は、原告の一方的過失により本件事故は発生したと主張し、民法七〇九条により反訴請求として原告に対し、被告車の修理費用一五万七五八〇円とこれに対する反訴状送達の翌日から支払いずみまで年五分の割合による金員の支払いを求める。
第三証拠
証拠関係は、本件記録中の証拠目録記載のとおりであり、ここに引用する。
理由
一 証拠(甲四、乙一の1、2、九、検乙号各証、原告、証人長南優治)によれば、次の事実が認められる。
1 本件事故現場は、南北に走る道路(以下、南北道路という)に西から東へ(以下、西接道路という)の道路が接するT字型交差点(信号はない)であり、南北道路は両側に歩道を有し、センターラインで走行車線が区切られており、南北道路の西側歩道の西側でT字型交差点の南側は二階建の立体駐車場が立つており、右西側歩道の西端より西側に目の位置がある場合には、西接道路から南北道路の南側の道路の見通しは悪い状態であつた。
また、南北道路が優先道路であつた。
2 原告車は西接道路を東へ進み、T字型交差点に近づき、一時停止したが、その位置は、原告の目の位置が南北道路の西側歩道の西端よりさらに西側であつたため、原告からは南北道路の南側への見通しは悪かつた。
3 原告が右一時停止をしたとき、南北道路の北方から西接道路に入るために右折車が一時停止していた。
4 被告車は、南北道路を南から北へ時速約四〇ないし四五キロメートル位で進み、T字型交差点の手前二五メートルの地点で、被告車の運転手長南は前記右折車、一時停止した原告車を発見したが、両車とも一時停止していたため、優先権のある被告車に道を譲つてくれるものと思い、そのまま進行した。
5 ところが、原告は右折車が停止しているのを見て、自己に道を譲つてくれているものと軽信し(右折車は直進する被告車に道を譲つたものと認められる)、右方確認もせず(その結果、被告車を発見できなかつた)、突然急角度で右折進行した。
6 そのため、自己の約二〇メートル手前に突然原告車が出てきたため、被告車は急制動をかけ右折の措置を構じたが、原告車左前部と被告車左前部が衝突した。
右認定事実によれば、原告には右方確認を怠つた過失があり、被告車の運転手長南には何ら過失はない。
したがつて、原告の本訴請求は理由がなく、原告は七〇九条に基づき被告に発生した損害を賠償する義務がある。
二 証拠(乙七、八、証人長南優治)によれば、被告所有の被告車は本件事故により破損し、金一五万七五八〇円の修理費用を要し、同額の損害を受けたことが認められる。
三 第一項で認定した事実によれば、過失相殺をなすべき事由はない。
四 以上によれば、原告の本訴請求を棄却し、被告の反訴請求を認容する(本件反訴状が原告に到達した日は平成三年一二月一六日であることは、記録上明らかである)。
(裁判官 新井慶有)