大阪家庭裁判所 平成10年(家)6328号 1998年9月29日
主文
申立人の本件申立を却下する。
理由
1 申立の実情
申立人は、準禁治産者の親族として、保佐人の解任を求め、その理由として、<1>保佐人は、準禁治産者の土地の賃貸に関与しながら、契約の当初、保証金を受領しておらず、その後必要な時期に賃料の値上げをせず、管理の適切を欠く、<2>保佐人は上記賃貸借による賃料を自己名義の銀行口座で受領しながら、準禁治産者に収支明細の報告・説明をしたこともなく、賃料を引渡したこともない、<3>保佐人は上記の賃料を横領しているものと思われる等と述べる。
2 申立人は、保佐人には、その任務に違背する行為がある旨主張するが、保佐人の任務は民法第12条列挙の行為に対する同意のみであり、代理権も財産管理権も含まれないものである。そして、保佐人には、準禁治産者から前記行為につき同意を求められて、不当に同意を拒否するといった、準禁治産者との信頼関係を破壊する任務違背の行為があったものとは認められない。
なお、保佐人は準禁治産者所有の土地の賃貸借契約に関与して、その賃料の受領を受託して、受領した賃料を管理していることが認められるが、これは準禁治産者との別途の約定に基づくものと認められ、保佐人としての地位に基づくものではないと認められるところ、その管理行為には、その賃料が昭和60年以来据えおかれている点も含め、不適切な点は認められず、横領行為もなく、準禁治産者との信頼関係は維持されているものと認められる。
以上のとおりであって、申立人の本件申立は理由がない。
よって、主文のとおり審判する。