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大阪家庭裁判所 平成12年(家)3959号 2001年12月25日

主文

1  相手方X1の被相続人B及び被相続人Cに関する寄与分を定める処分申立てをいずれも却下する。

2  被相続人Bの遺産を、次のとおり分割する。

(1)  別紙B遺産目録Aの1の賃借権は、申立人Y1、同Y2及び同Y3が各21分の2、相手方Y4及び同Y5が各7分の2、相手方X2が7分の1の各割合による取得とする。

(2)  同目録Aの2の土地は、相手方X2の単独取得とする。

(3)  同目録Aの3の土地並びに<1>ないし<4>の建物、同目録Aの6の土地は相手方Y6の単独取得とする。

(4)  同目録Aの4の土地並びに<5>及び<6>の建物、同目録Aの7の土地及び<8>の建物、同目録Aの9及び10の土地並びに<12>の建物は、相手方X1の単独取得とする。

(5)  同目録Aの5の土地及び<7>の建物は、相手方Y4及び同Y5の各2分の1の持分による共有取得とする。

(6)  同目録Aの8の土地並びに<9>ないし<11>の建物は、申立人Y1が8分の2、同Y2及び同Y3が各8分の3の各持分による共有取得とする。

(7)  同目録Bの1、2、8、17、19及び21の預貯金は、相手方Y6の取得とする。

(8)  同目録Bの3、14、18及び20の預金は、相手方Y4の取得とする。

(9)  同目録Bの4、11、12及び22の預金は、相手方Y5の取得とする。

(10)  同目録Bの5及び10の預金は、申立人Y2の取得とする。

(11)  同目録Bの7の預金は、相手方X1の取得とする。

(12)  同目録Bの9及び16の預金は、申立人Y3の取得とする。

(13)  同目録Bの13の預金は、相手方X2の取得とする。

(14)  同目録Bの15の預金は、申立人Y1の取得とする。

3  被相続人Cの遺産を、次のとおり分割する。

別紙C遺産目録Bの預金は全て申立人Y2の取得とする。

4  申立人Y1は、第2項の遺産取得の代償金として、この審判確定の日から1か月内に、同Y2に対し229万円、同Y3に対し293万円支払え。

5  相手方X1は、第2項の遺産取得の代償金として、この審判確定の日から1か月内に、申立人Y2に対し84万円、相手方Y6に対し23万円支払え。

6  相手方X2は、第2項の遺産取得の代償金として、この審判確定の日から1か月内に、相手方Y6に対し9万円、同Y4に対し23万円、同Y5に対し26万円を支払え。

7  申立人Y2は、第3項の遺産取得の代償金として、この審判確定の日から1か月内に、申立人Y3、相手方Y4及び同Y5に対し各206万2019円、相手方X1、同Y6及び同X2に対し各412万4038円をそれぞれ支払え。

8  本件手続費用中、鑑定人Dに支払った鑑定料60万円は、申立人Y1が3万円、申立人Y2及び同Y3が各4万5000円、相手方Y4及び同Y5が各6万円、相手方X1、同Y6及び同X2が各12万円の負担とし、その余の手続費用は各自の負担とする。

理由

本件記録及び当庁平成9年(家イ)第××××号遺産分割調停事件(以下、「旧調停」という。)の記録に基づく当裁判所の事実認定及び判断は次のとおりである。なお、以下、当事者の氏名は姓を略して称する。

1  相続の開始、相続人及び相続分

被相続人B(以下、単に「被相続人B」という。)は、1995(平成7)年12月27日死亡し、その法定相続人は、別紙身分関係図のとおり、本件当事者全員である。各当事者の法定相続分は、申立人Y1が20分の1、申立人Y2及び同Y3が各40分の3、相手方Y4及び同Y5が各10分の1、相手方X1、同Y6及び同X2が各5分の1である。

また、被相続人C(以下、単に「被相続人C」という。)は、2001年(平成13)年4月20日死亡し、その法定相続人は、別紙身分関係図のとおり、申立人Y1を除く本件当事者らである。各当事者の法定相続分は、申立人Y2、同Y3、相手方Y4及び同Y5が各10分の1、相手方X1、同Y6及び同X2が各5分の1である。

2  遺産の範囲

(1)  被相続人Bの遺産

記録によれば、別紙B遺産目録の財産が被相続人Bの遺産であることが認められる。金銭債権である預貯金も分割の対象とすることにつき、全当事者に黙示の合意があるから、これらも分割の対象とするのが相当である。

なお、同目録Bの13ないし15の預金は被相続人Cの名義であるが、これも被相続人Bの遺産であることにつき全当事者は黙示の合意をしているから、これも同相続人の遺産とするのが相当である。

また、同目録Bの12ないし14、16及び20の預金は、被相続人Bの相続開始時には存在しなかったものであるが、これも遺産に含めることにつき全当事者の黙示の合意があり、さらに、同目録Bの22の預金は、相続開始後の遺産不動産からの賃料を入金した口座であり、相手方X1名義であるが、これも遺産として分割することにつき全当事者は合意しているから、これらも遺産として分割するのが相当である。

(2)  被相続人Cの遺産

記録によれば、別紙C遺産目録の財産が被相続人Cの遺産であることが認められ、金銭債権である預金も分割の対象とすることにつき、被相続人Cの全相続人の黙示の合意があるから、これらを分割の対象とするのが相当である。

3  遺産の評価

(1)  不動産の評価

当事者全員は、別紙B遺産目録Aの1の借地権を除く不動産につき、遺産分割時の評価額を2000(平成12)年度の固定資産税評価額とすることに合意しているので、その額とするのが相当である。また、同目録Aの1の借地権については、鑑定によれば、その評価額は別紙B遺産目録の「評価額」欄記載のとおりであると認められる。

(2)  預金の評価

記録によれば、預金の遺産分割時の各残額は、別紙B遺産目録及び別紙C遺産目録の「残高」欄記載のとおりであると認められる。

4  特別受益

(1)  被相続人Bから亡Eに対する住宅建築資金の贈与

相手方Y5及び同Y4は、被相続人Bが申立人らの父ないし夫であった亡Eに対し、被相続人Bが、住宅建築資金2000万円を贈与したと主張するが、仮にその事実が存在したとしても、亡Eは既に死亡し、被相続人Bの相続人ではないから、これを申立人らの特別受益と認めることはできない。

(2)  相手方Y6及び同X2への結婚の際の贈与

相手方Y5及び同Y4は、被相続人Bが、相手方Y6及び同X2に対し、それぞれ、結婚の際に、持参金及び支度金を贈与し、これが特別受益に該当すると主張するが、その事実を認めるに足りる資料はないから、この主張を認めることはできない。

(3)  相手方X1への贈与

相手方Y5及び同Y4は、被相続人Bが、相手方X1に対し、e電力からの線下補償金500万円及び自動車購入資金200万円を贈与したと主張する。しかし、それらを認めるに足りる資料はないから、この主張を認めることはできない。

(4)  相手方Y6の特別受益

相手方Y5及び同Y4は、相手方Y6が、1995(平成7)年8月24日、被相続人B名義のc銀行d支店の定期預金2236万8363円を解約し、それを自己のものにしたから、それは、同被相続人から同相手方への贈与であると主張する。しかし、同相手方は、同口座から同額の解約金を引き出したことは認めているが、その解約金を自己のものにしたことを認めるに足りる資料はないから、同主張を認めることはできない。

5  寄与分

(1)  相手方X1の不動産管理による寄与

相手方X1は、被相続人Bに依頼されて、1994(平成6)年4月から、同被相続人の不動産を管理することになり、賃料の管理、賃貸物件の修理、賃借人からの苦情の処理、賃料の督促、賃貸契約の交渉等を行い、同被相続人の遺産の維持に寄与したと主張する。

しかし、記録によれば以下の事実が認められる。

イ  賃貸物件の管理は、相手方X1だけが行ったのではなく、申立人Y1も1988(昭和63)年4月から1991(平成3)年12月までの間、賃貸物件の管理を手伝っていた。

ロ  賃貸物件からの賃料のほとんどは口座振り込みであり、賃貸契約の業務は業者に任せていた。

ハ  相手方X1の妻真知子は、同相手方と一緒に賃貸物件の管理を手伝っていたが、その給料として1994(平成6)年2月から1995(平成7)年12月まで、毎月5万円を被相続人Bから受領していた。

ニ  被相続人Bの生活費は、賃貸物件からの収入や被相続人Bの預金口座から支出されていたところ、相手方X1が被相続人Bの賃貸物件の管理を始めた1994(平成6)年4月から被相続人Bが死亡した1995(平成7)年12月末までの期間内、その生活費の額は1か月平均約51万円にもなり、被相続人一人の生活費とは到底考えられず、この生活費は相手方X1の家族の生活費も含まれていて、同相手方は、賃料から利益を得ていたと推認できること。

以上の点を総合すると、相手方X1は、被相続人Bの賃貸物件を管理したが、それに対する報酬を得ていたと認めることができるから、その管理行為は被相続人Bの遺産に対する特別の寄与と解することはできない。

(2)  被相続人Bへの介護による寄与

相手方X1は、被相続人Bと同居した1994(平成6)年4月から同被相続人が死亡した1995(平成7)年12月までの間、同被相続人を介護することにより、同被相続人の遺産の維持に寄与したと主張する。

記録によれば、以下の事実を認めることができる。

イ  同被相続人は、1994(平成6)年7月ころから痴呆症状が出てきて、幻聴を聞いたり、食事をしたことをすぐ忘れたり、自分のいる場所が分からなくなったり、自分がだれだか分からないことや、失禁が多くあったが、それにより、相手方X1が特に経済的な負担を負ったことは認められない。

ロ  同被相続人は、同年10月ころから、大便の失禁をして、布団や体中を汚したりすることが多くなり、風呂の浴槽内で失禁することもあった。また、夜間に何度も風呂に入り、浴槽内で寝入ったり、夜間に徘徊することもあった。

ハ  相手方X1は、被相続人Bと同居した際、それまでケアハウスに預けていた被相続人Cも引き取ったが、同被相続人は、足が悪く寝たきりであったものの、昼夜が逆転し、しかも痴呆症状があって、夜間に大声で奇声を出すため、一緒に寝ていた被相続人Bはストレスから腹を立て、相手方X1の家族を呼ぶため、窓をドンドン激しくたたくなどすることが度々あった。

ニ  しかし、土、日曜日には、相手方Y6や同X2が介護を手伝っていた。

ホ  また、被相続人Cは、毎月1、2週間は、ショートステイやデイサービスで、施設に介護してもらっていたから、その間は、被相続人Bのストレスも少なく、相手方X1らへの負担も少なかった。

ヘ  被相続人Bは、前立腺の手術のため、1995(平成7)年9月14日から25日、同月27、28日、同年10月18日、19日の間、入院したが、病院でも痴呆症のため些細なことで腹を立てたりするので、夜間は相手方X1が、昼間は相手方Y6や同X2、亡Fの妻Gが付き添った。

以上の事実によれば、相手方X1、またはその妻は、被相続人Bの介護に多大な労力を要したことが推認できる。しかし、それによる遺産に対する寄与を認めるには、もし、相手方X1またはその妻が同被相続人を介護しなければ、同被相続人が自身の支出で付添婦等を依頼しなければならなかったところ、相手方X1またはその妻がその介護を行ったため、その支出を免れたことにより、遺産の減少を防いだ、ということがなければならない。そして、本件で被相続人Bの介護に付添婦を要したであろう日は、大便の失禁が多くなった1994(平成6)年10月ころから、死亡した1995(平成7)年12月27日までの土、日曜日を除いた日である約323日であり、その費用を多く見ても、1日1万円の割合で合計323万円程度であると推認できる。ところが一方、相手方X1は、前記の(1)のニのとおり、被相続人Bの賃貸物件や同被相続人名義の預金から少なくない額の利得を得たから、相手方X1は、その介護に要した労力に対し被相続人Bから対価を取得したと解することができる。

そうすると、相手方X1ないしはその妻による被相続人Bへの介護は、特別の寄与と認めることはできない。

(3)  被相続人Cへの介護による寄与

相手方X1は、被相続人Bと同居した1994(平成6)年4月から1995(平成7)年10月までの間、被相続人Cを介護することにより、同被相続人の遺産の維持に寄与したと主張する。

記録によれば、以下の事実を認めることができる。

イ  相手方X1は、被相続人Bと同居した際、それまでケアハウスに預けていた被相続人Cも引き取ったが、同被相続人は、足が悪く寝たきりであったものの、昼夜が逆転し、しかも痴呆症状があったため、夜間に大声で奇声を出したが、それ以外で、相手方X1の家族に重い負担をかけるような行動はなかった。

ロ  ただ、同被相続人の夜間のおしめ替えが、被相続人Bが一緒に寝ていたことから、困難なことがあった。

ハ  被相続人Cは、1995(平成7)年10月からは、再び施設に預けられた。

以上の事実によれば、被相続人Cへの介護は必ずしも、相手方X1ないしはその妻に対し、重い負担をかけたとは認められないから、特別の寄与があったとは認められない。

6  遺産の先取り

記録によれば、相手方X1、同Y6及び同X2は、被相続人Bの遺産から、自己の相続税各82万2200円を既に支払ったことが認められ、これは、遺産の先取りとして評価することができる。したがって、これは、具体的相続分の算定においては、特別受益と同様に算入することが相当である。

7  被相続人Bの遺産についての各当事者の具体的相続分

以上の判断を基礎に、各当事者の被相続人Bの遺産に関する相続分を算定する。まず、遺産合計に前項の遺産先取分を合計した額をみなし相続財産とし、それに各当事者の法定相続分を乗じ、その額を本来的相続分とし、その本来的相続分から遺産先取りをした当事者について先取分額を控除した額が、具体的相続分となる。その額は、別紙B遺産目録の各当事者の「具体的相続分」欄に記載のとおりであると認められる。

8  被相続人Bの遺産に関する各当事者の分割方法に関する意見

申立人らは、別紙B遺産目録Aの9及び10の土地並びに<12>の建物の取得を希望し、二次的に、申立人Y1が2分の1、申立人Y2と同Y3が各4分の1の持分でもって同目録Aの8の土地並びに<9>ないし<11>の建物を共有取得することを希望している。

相手方X1は、1994(平成6)年4月に被相続人Bと同居するまで家族と共に居住していたという理由で、申立人らと同様、同目録Aの9及び10の土地並びに<12>の建物の取得を希望している。また、同相手方は、定年間近であるから賃料を老後の生活資金としたいという理由で、同目録Aの5の土地及び<7>の建物の取得も希望している。

相手方Y6は、賃貸借契約締結に関与したという理由で、同目録Aの6の土地の取得を希望し、同X2は同目録Aの5の土地及び<7>の建物の取得を希望している。

相手方Y4及び同Y5も、同X1及び同X2と同様、同目録Aの5の土地及び<7>の建物の取得を希望している。

9  被相続人Bの遺産に関する当裁判所の定める分割方法

申立人らは、別紙B遺産目録Aの9及び10の土地並びに<12>の建物の取得を希望しているが、相手方X1もその取得を希望しているところ、相手方X1はかつてそこに居住していて同各不動産に愛着を有していることを考慮すると、同各不動産は、相手方X1に取得させるのが相当である。したがって、申立人らには、二次的に取得を希望している同目録Aの8の土地並びに<9>ないし<11>の建物を、法定相続分に応じた持分で共有取得をさせるのが相当である。

相手方X1は、同目録Aの5の土地及び<7>の建物の取得も希望しているが、相手方X2、同Y4及び同Y5も同各不動産の取得を希望しているところ、相手方X1が同各不動産の取得を希望する理由は、同各不動産からの賃料を取得したいというものであり、他の相手方らも同一の理由に基づいて同各不動産の取得を希望していると予想される。しかし、相手方Y4及び同Y5は、子供のころに父親と死別していることを考慮すると、賃料収入のある同各不動産は、同相手方らに各2分の1の持分により共有取得させるのが相当である。

また、同目録Aの4の土地並びに<5>及び<6>の建物は、相続税を被担保債務とする抵当権が設定されているが、将来、各相続人が相続税を納入すれば、完全な所有権を取得できるところ、相手方X1は男兄弟の中での長子であり相続人の中では中心的な存在であって、各相続人に相続税を納入させるように働きかけることが容易であると考えられるから、同各不動産は同相手方に取得させるのが相当である。

相手方Y6は、同目録Aの6の土地の取得を希望しているので、同相手方には同土地を取得させるのが相当である。

相手方X2は、賃料収入が得られる同目録Aの5の土地の取得を希望していたので、同相手方には、同じく賃貸物件である同目録Aの2の土地を取得させるのが相当である。

そして、以上の分割方法で不動産の取得評価額が少ない相手方Y6には、同目録Aの3の土地並びに<1>ないし<4>の建物を取得させ、また、同目録Aの7の土地及び<8>の建物は、抵当権設定という不利な条件のある同目録Aの4の土地並びに<5>及び<6>の建物を取得した相手方X1に取得させるのが相当である。

また、同目録Aの1の借地権は、いずれの当事者もその取得を希望しておらず、また、同借地権は将来、地主との交渉により土地の一部と交換されて土地所有権となる可能性があるものの、その評価額は不確定的であることなどを考慮すると、その不利益はできるだけ多くの相続人で分担するのが相当である。そこで、他の当事者と対立の大きい相手方X1及び多額の不動産を取得した相手方Y6を除く他の当事者での共有取得とする。そして、その各持分は、各当事者の取得不動産の評価額が等しくなるように、相手方Y4及び同Y5が各7分の2、相手方X2が各7分の1、申立人Y1、同Y2及び同Y3が各21分の2とするのが相当である。

次に、預金については、各当事者の不動産の取得評価額と具体的相続分との差額にほぼ等しい金額を取得するように分割するのが相当であるから、同目録の通りとするのが相当である。

以上のとおり分割すると、同目録の「過不足額」欄記載のとおり、申立人Y1、相手方X1、同X2は具体的相続分よりも多くの遺産を取得することになる(なお、1万円未満の差額は、不動産の評価に幅があるので、切り捨てる。)。そこで、申立人Y1には、同Y2に対し229万円、同Y3に対し293万円、相手方X1には、申立人Y2に対し84万円、相手方Y6に対し23万円、相手方X2には、相手方Y6に対し9万円、同Y4に対し23万円、同Y5に対し26万円の各代償金支払債務を負わせるのが相当である。

10  被相続人Cの遺産の分割方法

被相続人Cの遺産は預金しかなく、その口座数もわずか3口であるから、これらは全て丙事件の申立人の一人である申立人Y2に取得させ、同申立人に対して、丙事件の他の相続人の具体的相続分に応じた代償金支払債務を負担させるのが相当である。そして、同被相続人の遺産の預金の合計金額は2062万0191円であるから、各相続人の具体的相続分は、申立人Y2、同Y3、相手方Y4及び同Y5が各206万2019円、相手方X1、同Y6及び同X2が各412万4038円となる。したがって、申立人Y2の他の相続人への代償金支払債務の額は、その具体的相続分と同額となる。

11  調停費用の負担

鑑定に要した費用60万円は、その鑑定が被相続人Bの遺産に関する鑑定であったから、被相続人Bの遺産に関する法定相続分に応じ、申立人Y1が3万円、申立人Y2及び同Y3が各4万5000円、相手方Y4及び同Y5が各6万円、相手方X1、同Y6及び同X2が各12万円をそれぞれ負担するのが相当である。そして、その余の費用は各自の負担とするのが相当である。

以上により、主文のとおり審判する。

(家事審判官 岡文夫)

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