大阪家庭裁判所 平成6年(家ロ保)7号 1994年2月16日
主文
上記本案審判申立事件の審判が効力を生ずるまでの間、事件本人の未成年者らに対する職務の執行を停止し、住所大阪市○区○○○×丁目×番××号○○×号館○○共同法律事務所、弁護士○○○○をその職務代行者に選任する。
理由
(申立)
主文同旨
(当裁判所の判断)
一件記録によれば、申立人は、事件本人の前夫であり、未成年者らは、申立人と事件本人間の長女及び次女で、両名は、平成5年3月18日に未成年者らの親権者を事件本人と定めて協議離婚をしたこと、事件本人はそのころから、上記住所において内縁の夫、丙川竹夫と同棲し、未成年者らもここに同居していること、事件本人は保険の外交員として勤務し、丙川は、夜間トラックの運転手で、昼間は事件本人に代って自宅に居るようであるが、未成年者さちは、そのころから両名に暴行を受け、時々、青アザ(内出血)を作って保育園に登園するようになったこと、同じく未成年者みゆきも、同年7月ころから臀部や顔面に青アザを作って登園することがあったが、同年9月に頭部に瘤様のものを作り、保母が事件本人に尋ねたところ、同人は病院に連れていく旨、答えたこと、その後、同未成年者を連れて登園した祖父に対し、保母が診察の結果を尋ねたところ、直ちに丙川から保育園に対して、祖父にいらんことを言ったとして、これからこんなことをしたら唯ではおかない旨の抗議電話があったこと、同年10月21日に未成年者みゆきが、救急車により病院に運ばれる事態が発生し、CT検査の結果、頭部外傷、硬膜下血腫と診断され、他にも前頭部、顔面、左大腿部に古い内出血痕があったこと、付添っていた丙川は、同未成年者が泣いていても、心配する様子もなく放置したこと、同未成年者は、続いて同年11月2日にも救急車で同じ病院に搬送され、頭蓋骨縫合離乖、頭部外傷、硬膜下血腫と診断される重症で、事件本人は、本人がテーブルで頭を打った旨、説明したが、引続いて発生しており、傷害の程度が酷いことなどから、親達による虐待の事情が濃厚となったこと、未成年者みゆきは同月19日、退院後初めて登園したが、保育中に突然、倒れて意識を失ったため、保母が病院に運んだところ、丙川から抗議されたため、保育園側は事件本人らに対し、通園可能の診断書を提出するよう求めたこと、その後事件本人らは、同未成年者を通園させなくなったが、平成6年1月9日に心配した保健婦が、在宅中の丙川と未成年者みゆきに面接した結果では、同未成年者(1才10月)は弱っている様子で、目の下に隈が出来ており、外気に触れることなく養育されている様子であったこと、未成年者さちは通園を続けているが、しばしば青アザを作って登園することがあり、特に平成5年12月13日には、顔が変形する程の酷いアザを作って登園し、最近ではこれが完治せず、醜痕を残すに至っていること、事件本人も同未成年者を折檻した旨、肯認していることが一応認められる。
以上の疎明事実によれば、事件本人の親権者としての職務執行を停止させ、かつ、その停止期間中は、弁護士○○○○をその職務代行者に選任するのが相当である。
よって、本件保全処分の申立を認容することとし、家事審判法15条の3、同規則74条を適用して、主文のとおり審判する。