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大阪家庭裁判所 昭和39年(少イ)24号 判決 1965年1月20日

被告人 佐納末子

被告人 佐納義美

主文

被告人佐納末子を懲役八月に、被告人佐納義美を罰金一万円に処する。

但し、被告人佐納末子につきこの裁判確定の日より三年間右刑の執行を猶予する。

被告人佐納義美が右罰金を完納することができないときは金四〇〇円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置する。

理由

(犯罪事実)

被告人佐納末子は大阪市生野区一帯に勢力を張る博徒国定組々長、被告人佐納義美は末子の長男で同組幹部であつて、共に同組員等を指揮統卒し、同区林寺新家町二二番地の同組事務所二階で賭場を開いていたものであるが、法定の除外事由がないのに拘らず、被告人両名共謀の上、児童を自己等の支配下に置き、右賭場でいわゆる下足番として賭場の準備賭客の案内接待賭博の合力等をさせる目的をもつて、別紙犯罪一覧表のとおり昭和三九年三月一〇日頃より同年八月一六日頃までの間児童である○田○彦他五名を自己等の乾分として右事務所内に(○口については被告人義美方にも)起居させ、これを統卒して前記のように賭場の下足番等をさせ、以て児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる目的を以て児童を自己等の支配下に置いたものである。

(証拠の標目)

右の事実は、

一、○田○彦、石○唯、○村○俊、渡○修、○口○夫、○下○夫の司法警察職員に対する各供述調書(原本)並びに各戸籍謄本

一、被告人両名の当公廷における各供述

一、被告人佐納末子の司法警察員に対する供述調書四通、検察官に対する供述調書

一、被告人佐納義美の司法警察員に対する供述調書二通、検察官に対する供述調書

を綜合してこれを認める。

(被告人佐納義美の確定裁判)

被告人佐納義美は暴力行為等処罰に関する法律(改正前のもの)第一条第一項違反により堺簡易裁判所において昭和三九年一一月四日罰金二万円に処せられ、同月一九日この裁判が確定したものであつて、このことは同被告人の当公廷における供述と同被告人についての前科照会書に対する回答書により認めることができる。

(法律の適用)

法律に照らすと、被告人両名の各判示行為は児童福祉法第三四条第一項第九号第六〇条第二項刑法第六〇条に各該当するところ、被告人佐納末子につき所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから同法第四七条本文第一〇条により最も重いと認める別紙一覧表(1)の罪の刑に併合罪の加重をした範囲内で同被告人を懲役八月に処し、情状により同法第二五条第一項を適用して、この裁判確定の日より三年間右刑の執行を猶予し、被告人佐納義美については、前示確定裁判上の罪と本件各罪は刑法第四五条後段の併合罪であるので、同法第五〇条により未だ確定裁判を経ない本件各罪につき更に処断することとし、本件各罪につき罰金刑を選択し、以上は同法第四五条前段の併合罪であるので同法第四八条第二項を適用して同被告人を罰金一万円に処し、右罰金を完納できないときは同法第一八条を適用して金四〇〇円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置することとし、主文のとおり判決する。

(裁判官 松沢博夫)

別紙

犯罪事実一覧表

支配下に置いた児童

児童の生年月日

(当時の年齢)

支配下に置いた期間

○田○彦

昭和二二年一〇月一日

(一六歳)

昭和三九年三月一〇日頃より同年四月一五日頃までの間と同年六月二日頃より同年八月一六日頃までの間

石○唯

昭和二二年一二月七日

(一六歳)

昭和三九年四月六日頃より同月一五日頃までの間

○村○俊

昭和二二年三月五日

(一七歳)

昭和三九年四月六日頃より同月一五日頃までの間と同年五月一〇日頃より同月一九日頃までの間

渡○修

昭和二二年一〇月二日(一六歳)

昭和三九年四月二〇日頃より同年五月一九日頃までの間

○口○夫

昭和二一年七月一六日

(一七歳)

昭和三九年四月末頃より同年五月二五日頃までの間

○下○夫

昭和二一年七月二一日

(一七歳)

昭和三九年五月一一日頃より同月一九日頃までの間

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