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大阪家庭裁判所 昭和44年(家)1196号 審判 1969年4月11日

申立人 久保敏子(仮名)

相手方 久保光夫(仮名) 外一名

事件本人 久保まり子(仮名)

主文

事件本人の親権者を相手方久保光夫から同松村京子に変更する。

理由

本件調査の結果によると、つぎの事実が認められる。

相手方両名は昭和四一年四月一三日婚姻をし京都市○区○○条○○町○番地○○住宅○階○○○号室に居住し、翌四二年三月二九日長女まり子が生れたが、昭和四三年一一月四日事件本人の親権者を父である相手方久保光夫とする協議離婚届出が為された。離婚直後一か月程は相手方松村京子が連れて帰つていたが、以前から事件本人を養子にしてもらおうと話ができていたので申立人は事件本人をむかえに行き同人を申立外上田利夫その妻クニ子に引渡した。上記上田利夫は大工職で、茨木市大字○○○△△△番地の○○の持家に妻と事件本人と共に居住しており、月収は八万円ほどであり、妻クニ子との間には子供はなく将来生れるということも期待できない。現在事件本人は上記中上夫妻のもとで可愛がられて養育されており、同人らは事件本人と正式に養子縁組をしたいと望んでいる。

事件本人の実母である相手方松村京子は福知山市字○○○△△△△に居住していて上記養子縁組には異議なく、その代諾権者になるための本件親権者変更についても同意している。

事件本人の親権者である相手方久保光夫は昭和四四年一月世帯道具を上記○○住宅へ残し「仕事を探しに行く。」といつて出たまま行方不明である。

以上の諸事実を総合すると、事件本人を相手方久保光夫、同松村京子のいずれに監護養育さすのも不適当で、それよりもむしろ親権者を相手方久保光夫より同松村京子に変更した上同人の代諾によつて事件本人と上記上田利夫、同クニ子との養子縁組をさすのが事件本人に幸福をもたらす途であると認められる。

よつて本件申立を認容し、主文のとおり審判する。

(家事審判官 古川秀雄)

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