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大阪家庭裁判所堺支部 平成11年(少)1221号 1999年9月16日

主文

少年を中等少年院に送致する。

理由

(罪となるべき事実)

検察官作成の平成11年8月27日付け送致書(甲)記載の犯罪事実を引用する。

(法令の適用)

刑法204条、60条

(処遇の理由)

1  本件は、暴走族「○○」の構成員であった少年が、右「○○」を中傷したとするAに対し、総長のBや他の構成員であるCらと共謀の上、平成10年9月28日午後10時ころから翌29日午前4時ころまでの間、大阪府松原市○○×丁目所在の○○公園において、右Aの顔面、身体を手挙や金属バットで殴打し、その頭部、顔面、身体を足蹴にし、さらに右Cにおいては原動機付自転車を運転してその前輪を右Aの腹部等に衝突させたうえ、その前輪を同人の身体に当てたまま右原動機付自転車を運転して、同人の後頭部を付近のコンクリートの縁石に打ち付けるなどの暴行を加え、よって同人に対して入院加療24日間を要する外傷性クモ膜下血腫等の傷害を負わせた事案である。

2  本件犯行は、多数の暴走族構成員らが、長時間にわたって兇器となる金属バットで右Aを殴打する等し、さらには原動機付自転車の前輪を同人の身体に当てたまま右原動機付自転車を運転するという極めて悪質な態様のものである上、同人の被った傷害は生命も危ぶまれるようなものであって、匂いが嗅ぎわけられないという後遺症が残るという重大な結果を招いている。少年自身は金属バットで殴ることはしていないが、手挙で顔面を殴り、身体を足蹴りする等の暴行を加えており、その責任は看過できない。

3  そこで、保護処分の種類について考えるに、少年に対する少年調査票、大阪少年鑑別所長作成の鑑別結果通知書及び審判の結果等を併せ考えると、少年は、本件後に起こした強盗致傷保護事件によって平成11年1月14日に中等少年院送致(処遇勧告特修短期)の決定を受け、その間の少年院での教育及びこの間の内省によって深い反省の気持を持つに至り、また期待にこたえて頑張ろうとする意欲が持てるようになって、前向きの更生意欲を持つに至ったことが認められるが、少年に対しては、より一層の自制力や責任感を培うように教育する必要性が認められる。本件犯行の重大性及び少年の資質等を考慮すると、少年を矯正施設へ収容し、規律正しい生活環境の下で、内省をさらに深めさせて十分な規範意識を確立させ、主体性や自律性を培うよう働きかけることが相当である。

よって、少年法24条1項3号、少年審判規則37条1項を適用して、主文のとおり決定する。

なお、少年の非行性及び要保護性の程度、年齢、性格等に照らし、少年に対しては一般短期処遇が相当であると思料するので、別途その旨勧告する。

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