大判例

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大阪家庭裁判所堺支部 昭和41年(少)1885号

主文

少年を特別少年院に送致する。

理由

(非行事実)

少年は、昭和四一年四月○○日夜飲酒のうえ、遊び仲間のA(当時二一年)から旅館へ行き誰かが連れ込んでいる女を強姦しようと誘われるや、即座にこれに応じ翌五月○日午前二時過ぎ頃、大阪府貝塚市○○○○××××番地○○家旅館こと○田○江方に赴き、部屋(○の間)へ通されたところ、廊下を隔てた向側の部屋(△の間)に男女連れらしい泊り客がいるのを察知し、Aと共謀のうえ、同部屋の女を強姦しようと企て、少年が扉を叩き応答がないとみるや扉をこじ開け、たまたま同室で就寝していた○野○博(当時一七年)、○留○代(当時一八年)の姿を認めるや、Aが○野○博を同室外に連れ出して引き離す間に少年は○留○代に対し「俺にもさせ、ささんと首をしめるぞ」と脅し、起ち上ろうとする同女の襟首をつかんでその場に引き倒し、その上に乗りかかって反抗を抑圧し、強いて姦淫し、次いでAが同上の上に乗りかかり、その反抗を抑圧して強いて姦淫したものである。

(適用法条)

刑法第六〇条、第一七七条前段

(処遇について)

本件非行は前認定のように全く言語道断の悪質な犯行であり、人道上許しがたいものでその罪質、情状よりして刑事処分に付するを相当として検察官に送致され、大阪地方裁判所堺支部で審理された後、少年法第五五条により当裁判所に移送されたものである。今、少年がこのような非人道的な非行を犯すに至った原因を考えてみるに、少年は韓国人である父R・J、母R・R子の三男として出生し、生活貧困の中で養育されたため絶えず飢餓感にさらされ、昭和三九年三月朝鮮中級学校を卒業したが、家庭においては三年前から父親が結核療養のため入院中であり、実兄(長兄)R・Kも病気療養中であるため、母親が養豚を次兄R・Tが左官職人をして漸く糊口をしのぐという状態であり、その兄とは年齡差も少なく、保護能力は極めて低劣である。一方少年は知能も準普通級で、その性格は情緒不安定、軽佻、爆発的で意志薄弱なところがあり、中学在学中、すでに恐喝、傷害の非行を始め、中学卒業後は自動車修理工、バーテンとして一応住込就労をしているが一定持続せず、次第に不良仲間と交わって外泊し、飲酒、パチンコなどして夜遊びに耽るなど不健全な生活を送り、本年に入ってからは自宅において兄と共に左官の見習をするに至ったが、その間暴力団○○組々員と親交し、自らも入墨をするなど不良顕示性をあらわし本件非行直前には本件共犯者のAら前科ある者との交際が頻繁となり、その不良交友及び遊興癖は目に余るものがあった。もっとも、このような少年の生活態度については保護者においても苦慮しており、二年前には住居を移転して少年のため環境の改善は図ったこともあるが、その効があがらないばかりか、少年の家庭に対する親和性は失われる一方で、ついに本件非行をみるに至ったのである。しかも、少年が本件非行により鑑別所に収容された後に、係職員に対して示した言動(大阪少年鑑別所鑑別結果通知書の行動観察票参照)は前記の少年の性格偏倚を如実に反映しており、したがって本件非行については反省しているとの少年の言葉もにわかに信用することはできない。

しからば、保護者は今一度少年を家庭に引き取り保護したいと述べているけれども、以上のような保護能力の低劣さと、少年自身の生活観の崩壊、根強い社会不適性とを考え合わせると、その性格を矯正し、かつ犯罪的危険性を除きその健全な育成を図るには収容以外に方法はないと考える。そして、少年は末だ収容歴がないけれども、上記のように犯罪的傾向が著しく、その性格の矯正が極めて困難であること、その他少年院の実情に照すと、この際、施設経験がないからと言って段階的に処遇し、より軽いと思われる中等少年院に収容するよりも、特別少年院においてより強力な指導のもとにその性格の矯正と、少年の社会適応を図るのが相当と考える。

よって、少年法第二四条第一項第三号、少年審判規則第三七条第一項を適用して主文のとおり決定する。

(裁判官 葛原忠知)

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