大判例

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大阪高等裁判所 平成元年(ネ)1894号 判決

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人らの負担とする。

理由

一  当裁判所も、本件訴えの利益を肯定し、かつ、被控訴人らの控訴人に対する本件各請求をいずれも正当として認容すべきであると判断するが、その事実認定並びにこれに伴う判断は、原判決七枚目裏末行の「客観的事情」を「客観的形状」に、同一〇枚目裏一〇行目の「AB全体」を「AB両建物全体」にそれぞれ改め、次の説示を加えるほか、原判決理由説示のとおりであるから、これを引用する。

「控訴人らは、本件滅失登記及び表示登記の抹消登記手続を求める訴えの利益を争い、行政訴訟において被控訴人らの請求が認容されなければ、右各登記の抹消登記手続は実際上なしえない旨主張する。

しかしながら、もともと一個の建物として表示登記されていた建物につき、簡易な隔壁を設けて建物区分登記の申請をし、その一か月半後に右隔壁を取り除いて建物合体をしたとして区分建物滅失登記の申請をし、その結果、従前の建物が現実には滅失していないのに、既存の表示登記簿の閉鎖により従前の建物に付されていた根抵当権設定登記の効力がその権利者の承諾なしに消滅しているということは、右区分建物滅失登記の「申請」に不法性があるからであるといわざるを得ない(不法性があるとの詳しい理由は原判決理由説示のとおりである。)。

右のような場合、右根抵当権者である被控訴人らが、右不法な「申請」をした控訴人らを相手方とし、根抵当権の妨害排除請求権に基づいて、本件滅失登記及び表示登記の各抹消登記の申請をするよう訴求することは適法であり、訴えの利益があるというべきである。

また、本件のように、合体の事実の存否につき争いがあるときには、登記官は、抵当権者の申請があつたとしても、表示に関する登記の抹消を容易にするとは考え難く(登記官の調査には制度上の限界がある。)、そのような場合には、合体の事実の存否を右申請人と登記官との間で争わせるよりも、抵当権に対する妨害の有無についての争いとして実質的に争いのある関係当事者間で争わせることの方がより適当であるというべきである。

確かに、抵当権者が登記官を相手どつて滅失登記及び表示登記の受理処分を行政訴訟により争う途がないわけではないが、他に争訟の方法があるからといつて直ちに訴えの利益が失われるとはいえないから、被控訴人らが現に行政訴訟を提起、追行しているとしても、本件における被控訴人らの訴えの利益がなくなるものではない。」

二  よつて、原判決は相当であり、控訴人らの本件控訴は理由がないからこれを棄却する

(裁判長裁判官 日野原昌 裁判官 前川鉄郎 加藤誠)

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