大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。
官報全文検索 KANPO.ORG
月額980円・今日から使える・メール通知機能・弁護士に必須
AD

大阪高等裁判所 平成10年(ラ)463号 決定 1998年7月06日

主文

本件抗告を棄却する。

抗告費用は、抗告人の負担とする。

理由

第1  本件執行抗告の趣旨及び理由は、別紙「執行抗告状」(写し)記載のとおりである。

第2  当裁判所の判断

1  一件記録によれば、申立外松下電子部品株式会社が抗告人に対して負担する請負債務は合計2080万円であるが、そのうち1740万円は相手方が抗告人に対して売却したターボコンプレッサー(TX―210kw型)の代金であることが認められ、これは上記機械の転売代金であるといえるから、これに対応するものとして申立外松下電子部品株式会社が1575万円を供託し、抗告人が取得した供託金還付請求権を差押の対象としたのであるから、これは、物上代位の対象になるというべきである。

2  以上のとおりであって、抗告人の、本件請求債権に基づく差押の目的たる供託金還付請求権が物上代位の対象とならないとする主張は理由がないから、抗告人の本件申立ては失当である。

3  よって、抗告人の本件申立てを棄却し、抗告費用は抗告人の負担として、主文のとおり決定する。

(別紙)

執行抗告状

抗告の趣旨

大阪地方裁判所が、平成10年6月2日にした下記決定を取消すとの裁判を求める。

1 債権者の申立てにより、別紙請求債権の弁済に充てるため、別紙担保権目録記載の動産売買先取特権の物上代位に基づき、債務者が第三債務者に対して有する別紙差押債権目録記載の債権を差し押さえる。

2 債務者は、前項により差し押さえられた債権について、取立てその他の処分をしてはならない。

3 第三債務者は、第1項により差し押さえられた債権について、債権者に対し弁済をしてはならない。

4 債権者の申立てにより、支払に代えて券面額で第1項により差し押さえられた債権を債権者に転付する。

抗告の理由

1 差押債権は大阪地方裁判所平成10年(ヨ)第359号債権仮差押命令申立事件によって、仮差押された債務をその事件の第三債務者である申立外松下電子部品株式会社が本件の第三債務者に供託した大阪法務局平成9年度金第42270号金15,760,356円の供託金還付請求権である。

2 前記申立外松下電子部品株式会社が債務者に負担する債務は、前記仮差押決定から明らかなように、請負代金債務である。

3 従って、本件の請求債権に基づく物上代位の目的物とはならないものである。

4 よって、執行抗告の趣旨記載の裁判を求める。

(別紙請求債権、担保権目録、差押債権目録省略)

許可決定

申立人は、当庁平成10年(ラ)第463号債権差押及び転付命令に対する執行抗告事件について、当裁判所が平成10年7月6日にした決定に対し、抗告許可の申立てをした。申立ての理由によれば、右決定について、民事訴訟法337条所定の事項を含むと認められる。

よって、当裁判所は次のとおり決定する。

主文

抗告を許可する。

(平成10年9月10日 大阪高等裁判所第11民事部)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例