大阪高等裁判所 平成11年(行コ)47号 判決
主文
一 原判決を次のとおり変更する。
二 控訴人の被控訴人に対する平成九年九月一九日付け公文書一部非公開決定(ただし、既に公開された部分を除く。)は、次の部分を除き、これを取り消す。
1 原判決の別紙目録1番号9の「住所」、同目録番号20の「住所、年齢、電話番号」、同目録番号35の「住所」及び別紙目録2番号32の「住所、年齢、電話番号」の部分
2 原判決の別紙目録1番号26の「肩書、氏名、支出理由」、別紙目録2番号45の「肩書、氏名」、別紙目録1番号9、20及び別紙目録2番号32の各「氏名」の部分
三 被控訴人のその余の請求を棄却する。
四 訴訟費用は、第一、二審を通じて、控訴人の負担とする。
事実及び理由
第一申立て
一 控訴人
1 原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。
2 被控訴人の請求を棄却する。
3 訴訟費用は、第一、二審とも、被控訴人の負担とする。
二 被控訴人
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
(以下、ゴシック体の部分は原判決の記載と同一である。)
第二事案の概要及び当事者の主張
一 本件は、被控訴人が、京都市公文書の公開に関する条例(平成三年七月一日京都市条例第一二号。以下「条例」という。)に基づいて、平成六年及び七年度分の飲食を伴う接遇に関する清掃局分の経費支出決定書の公開を請求したのに対し、控訴人が一部を非公開とする旨の決定(以下「本件処分」という。)をしたため、その取消しを求めた抗告訴訟である。
二 争いのない事実等
1 当事者
(一) 被控訴人は京都市民であり、条例五条一項一号に基づき公文書の公開を請求することができる者である。
(二) 控訴人は条例二条一号の公文書の公開を実施する機関である。
2 本件処分
(一) 被控訴人は、控訴人に対し、平成九年八月六日、条例五条一項に基づき、「飲食を伴う接遇(茶菓のみのものを除く)に関する経費支出決定書平成六、七年度分」(清掃局分)の公開を請求した。
(二) これに対し、控訴人は、同年九月一九日付けで、右請求にかかる公文書を「経費支出について(九〇件)」と題する決定書(以下「本件支出決定書」という。)と特定し、そのうち原判決の別紙目録1及び2記載の文書の、(1) 相手方の個人を識別できる部分等は、公開することにより当該個人のプライバシーを侵害するおそれがあると認められるので条例八条一号に、(2) 国、他の地方公共団体等の職員の氏名等は、公開することにより、当該団体等との協力関係又は信頼関係を損なうと認められるので条例八条四号に、(3) 相手方の氏名等は、公開することにより、今後の京都市の清掃事業の公正かつ適切な執行に著しい支障が生じると認められるので条例八条七号に、それぞれ該当するとして、別紙目録1及び2記載の「非公開部分」を非公開とする決定(本件処分)をし、同日付けでその旨被控訴人に通知した。
(三) 控訴人は、本訴提起後、本件処分で非公開とした部分の一部(支出理由の全部又は一部、相手方の肩書及び職名の全部又は一部〔団体名〕)を公開し、これにより、非公開部分は原判決の別紙目録3及び4記載の「非公開部分」のとおりとなった(乙一、二の各号)。
被控訴人はこれに応じて、右公開された部分につき訴えを取り下げた。
(四) なお、原判決は、本件処分のうち、原判決の別紙目録1(以下「目録1」という。)番号9の「住所」、目録1番号20の「住所、年齢、電話番号」、目録1番号35の「住所」及び原判決の別紙目録2(以下「目録2」という。)番号32の「住所、年齢、電話番号」の部分について被控訴人の請求を棄却したところ、これに対して被控訴人は不服の申立てをしなかった。よって、右部分は当裁判所の審判の対象とならない。
3 条例が規定する非公開事由
条例は、八条で(公開しないことができる公文書)として、「実施機関は、次の各号の一に該当する情報が記録されている公文書については、公文書の公開をしないことができる。」と規定する。
(一) 条例八条一号(プライバシー情報)
個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)で、個人が識別され、又は識別され得るもののうち、公開しないことが正当であると認められるもの
(二) 条例八条四号(国等協力関係情報)
本市と国、他の地方公共団体又はこれらに準じる団体(以下「国等」という。)との間における協議、協力、依頼等により行う事務に関して作成し、又は取得した情報で、公開することにより当該国等との協力関係又は信頼関係を損なうと認められるもの
(三) 条例八条七号(行政運営支障情報)
本市又は国等が行う許可、認可、試験、争訟、交渉、渉外、入札、人事その他の事務事業に関する情報で、公開することにより次のいずれかに該当するもの
ア 当該事務事業の目的が著しく損なわれると認められるもの
イ 特定のものに不当に利益又は不利益を与えると認められるもの
ウ 関係当事者間の信頼関係が著しく損なわれると認められるもの
エ アからウまでに掲げるもののほか、当該事務事業又は同種の事務事業の公正かつ適切な執行に著しい支障が生じると認められるもの
三 争点
接遇の相手方の職名、肩書、氏名等が条例八条一号、四号、七号所定の非公開事由に該当するか。
四 争点に対する当事者の主張
1 控訴人
控訴人は、次の理由により本件公文書を一部非公開とした。なお、以下、目録1及び2記載の番号により公文書を特定する。
(一) 目録1番号1、7、13、23、26、28、39、目録2番号3、7、14、15、18、20、25、43、45(これらの文書を以下「公文書分類<1>」という。)の条例八条一号、七号該当性
これらの文書は、清掃局の既存もしくは計画中の施設等の地元関係者との協議懇談経費の支出決定書である。右協議懇談は、当該施設の稼働もしくは建設計画に関して、地元関係者と内密に個別折衝するために開催されたものである。
(1) 目録1番号1、28及び39並びに目録2番号7、14、15及び25の各文書にかかる会合について
(会合の趣旨、目的、協議内容)
a目録1番号1
東部山間埋立処分地建設事業に関して、平成五年度の事業である埋立地への進入道路の山間部工事と音羽川砂防ダム工事の進捗状況及び環境調査結果について地元関係者に報告するとともに、平成六年度の事業である本体工事(埋立用ダム工事等)について、地元の理解と協力を得るために地元関係者と協議を行ったものである。
b目録1番号28
東部山間埋立処分地建設事業に関して、平成六年九月に着手した埋立用ダム等の本体工事の概要、資材搬入のための車両ルート、それらの走行に対する安全対策、周辺河川の土木工事による濁水防止対策、今後の工事工程について、地元役員の理解と協力を得るために地元役員と協議を行ったものである。
c目録1番号39
東部山間埋立処分地建設事業に関して、工事車両等のルート変更や信号機設置などについての地元からの要望に対する再回答交渉を行い、今後の本体工事に対する地元の理解と協力を得るために開催したものである。
d目録2番号7
東部山間埋立処分地建設事業に関して、平成六年度事業である埋立地への進入道路工事、本体工事、環境調査について地元関係者に報告するとともに、平成七年度の工事に伴う工事工程、工事車両台数及びその車両ルート等を説明し、今後の本体工事に地元の理解と協力を得るために地元関係者と協議を行ったものである。
e目録2番号14
東部山間埋立処分地建設事業に関して、醍醐地域と工事協定を締結するに当たり、工事概要、工程等について地元役員に説明し、今後の工事について理解と協力を得るため地元役員と協議を行ったものである。
f目録2番号15
東部山間埋立処分地建設事業に関して、醍醐地域と工事協定を新たに締結することについて地元役員と事前協議を行い、建設事業への理解と協力を得るために地元役員と協議を行ったものである。
g目録2番号25
東部山間埋立処分地建設事業に関して、醍醐地域との工事協定締結の日、本体工事の工程、安全対策等について地元役員に説明を行い、今後の事業への理解と協力を得るために地元役員と協議を行ったものである。
(会合の趣旨等と接遇との関連)
これらの会合の相手方出席者は、いずれも地元住民であり、公務として出席するわけではないため、日中に協議の時間を設定することは困難である。更に、事前に個別折衝して、地元役員の率直な意見を引き出し、地元全体の了解を得ることにより、その後の事業進捗を円滑に進めるためには、四角張った雰囲気ではなく、それ相応の雰囲気の中での協議をし、あらかじめ根回しをすること等が効果的である。また、一般的に嫌悪施設である清掃施設については、公開の地元住民説明会のみで地元の同意を取り付けて事業を進捗させることは現実にはほとんど不可能である。清掃施設の必要性及び意義を地元有力者に理解してもらい、地元有力者から地元住民に日常の様々な機会を捉えて清掃施設の必要性及び意義を説いてもらい、協力を取り付けるという地元でのいわゆる「根回し」に期待し、依存する部分が大きい。右のような大きな役割を担うこととなる相手方に常識的な範囲内で接遇をもって対応することは、違法と評価されるべきものではない。
(同条一号の「公開しないことが正当であると認められる」事情)
清掃施設は地元住民から建設反対を含めて迷惑感情を抱かれるという特殊性を持つことから、その建設を進めるに当たっては住民の理解と協力を得るための対応が重要であり、その過程において、当該施設に係る地元役員と控訴人が内密の協議を前提として個別に折衝を行ったものであり、相手方は、地元の代表として公式な会合に出席しているわけではなく、当然、その氏名が第三者に公表されることも想定していない。また、このような迷惑施設を建設する控訴人と事前に会合を持ったということが公表されると、当該個人が誹謗中傷を受けたりして私生活の平穏を害されるおそれがあるので、当該個人の氏名及びそれを特定できる肩書は、個人に関する情報として、公開しないことが正当な情報に該当する。
(同条七号ウの「信頼関係が著しく損なわれる」事情及びエの「著しい支障が生じる」事情)
東部山間埋立処分地は、間もなく埋立完了となる水垂処分地に続く、控訴人唯一の埋立処分地であり、昭和五二年の計画発表から様々な協議を重ね、平成一一年一一月に竣工したところである。この建設事業に係る協議に出席した相手方は、氏名等の公表を想定しておらず、それらが公表されると、前述のような不当な結果が発生し、控訴人へ不信、不快の念を抱き、それまで築いてきた信頼関係が著しく損なわれる。
更に、協議を行ったこと自体を明らかにしていないことから、他の地元住民、例えば建設に反対する住民から不当に不利益な扱いを受けるおそれがあることや、協議の内容について様々な憶測が流れることを危惧して、東部山間埋立処分地の今後の維持管理運営に当たっての控訴人と地元との会合(稼働後も、最終処分ゴミの搬入方法等の協議をしていかなくてはならない。)への出席を拒んだり、仮に参加しても率直な意見交換が行えなかったりして、結果として事業への理解が得られない事態となれば、今後の事業の運営(最終処分場として使用継続すること)に著しい支障が生じることになる。
(2) 目録1番号7、13及び23並びに目録2番号3、18及び20の各文書にかかる会合について
(会合の趣旨、目的、協議内容)
a目録1番号7
昭和五五年の東清掃工場(現東部クリーンセンター)稼働に先立って地元と締結した公害防止協定に基づき、公害防止対策の実績を報告するとともに、今後の整備計画を説明し、当該工場が十分安全に稼働していることへの理解を得るためである。
b目録1番号13
昭和四三年竣工の北清掃工場(現北部クリーンセンター)は、既に施設の延命工事を実施しているが、平成一〇年度には三〇年の耐用年限を迎えることから、地元住民の間では廃止か建替えかの方針決定に関心が強まっており、これに関する質問が多く出されていた。
当時、控訴人は、東北部清掃工場で地元との話合いが難航していたこともあって、北清掃工場建替えの意向を持っていたものの、地元感情を考慮し、公の場での明確な意思表示は控えていたが、地元役員との間で控訴人の意向と地元の考え方を事前に協議、調整する必要があったためである。
c目録1番号23
平成六年七月に着工した北清掃事務所(現北まち美化事務所)改築工事について、工事の進捗状況、今後の工程を説明するとともに、地元要望について調整し、今後の工事に理解と協力を得るためである。
d目録2番号3
北清掃工場(現北部クリーンセンター)の稼働に関して、地元との協議書に基づく意見交換会を平成七年六月二〇日に控え、当時、マスコミが清掃工場のダイオキシン問題をこぞって取り上げていた背景から、いたずらに地元の不安を煽ることのないよう、意見交換会の場での当該工場のダイオキシン対策や濃度数値の取扱い等について、同工場の建替え展望も含めて地元を代表する役員と事前協議を行う必要があったためである。
e目録2番号18
昭和五五年の東清掃工場(現東部クリーンセンター)稼働に先立って地元と締結した公害防止協定に基づき、公害防止対策の実績を報告するとともに、今後の当該施設の整備計画を説明し、当該工場が十分安全に稼働していることへの理解を得るためである。
f目録2番号20
昭和五〇年竣工の南清掃工場(現南部クリーンセンター)第二工場は平成七年に耐用年限二〇年を迎えることから、平成六、七年の二か年にわたる大規模改修(延命工事)の実施のため、長年に渡って理解、協力してくれた地元役員に対して、工事に伴い増大する工事関係車両の通行や改修工事の概要等を説明し、引き続き理解と協力を求めていたところであるが、その大規模改修も半ばを過ぎた時点で、より高度な設備改修の内容やその進捗等について説明し、引き続きより一層の理解を得るためである。
(会合の趣旨等と接遇の関連)
前記(1) と同一である。
(同条一号の「公開しないことが正当であると認められる」事情)
前記(1) と同一である。
(同条七号ウの「信頼関係が著しく損なわれる」事情及びエの「著しい支障が生じる」事情)
クリーンセンターは現在市内に五施設あり、控訴人の一般廃棄物を衛生的に焼却処理するためにいずれも必要不可欠なものであり、まち美化事務所は、各行政区に設置し、廃棄物の収集を担う市民との窓口的な施設である。これらの事業に係る協議に出席した相手方は、氏名等の公表を想定しておらず、それらが公表されるとなると前述のような不当な結果が発生し、控訴人へ不信、不快の念を抱き、それまで築いてきた信頼関係が著しく損なわれる。更に、協議を行ったこと自体を明らかにしていないことから、他の地元住民、例えば建設に反対する住民から不当に不利益な扱いを受けるおそれがあることや、協議の内容について様々な憶測が流れることを危惧して、以後の会合への出席を拒んだり、仮に参加しても率直な意見交換が行えなかったりして、結果として事業への理解が得られない事態となれば、廃棄物の収集及び焼却処理に多大な影響を及ぼすことになる。
(3) 目録2番号43の文書にかかる会合について
(会合の趣旨、目的、協議内容)
控訴人は、安全かつ効率的なごみ収集を行うため、各戸収集から定点収集への切替えを推進しているが、新興住宅の密集する山科地域においては、まだ定点化が進んでおらず、定点化に向けた取組が早期に必要な状況にあった。そこで、景観的にも衛生的にも嫌悪感を持たれるのが必至である定点の決定方法等について、地元役員と協議を行ったものである。
(会合の趣旨等と接遇との関連)
前記(1) と同一である。
(同条一号の「公開しないことが正当であると認められる」事情)
前記(1) と同一である。自宅の玄関先がごみ収集の定点になることにはおそらく誰もが反対するであろうという状況の中、その方法等について住民の理解と協力を得るため十分な対応が必要となる。そのため、地元役員と事前に個別折衝を行ったものであり、相手方は、地元の代表として公式な会合に出席しているわけではなく、当然、氏名が公表されることも想定していない。したがって、当該個人の氏名及びそれを特定できる肩書は、個人に関する情報として、公開しないことが正当な情報に該当する。
(同条七号ウの「信頼関係が著しく損なわれる」事情及びエの「著しい支障が生じる」事情)
控訴人は右協議を行ったこと自体を明らかにしておらず、出席した相手方は氏名等の公表を想定していないことから、それらが公表されるとなると、他の地元住民、例えば定点の候補地と思われる場所の近隣住民から、この協議への出席者の進言により定点が決定した等の様々な憶測が流れるおそれがあり、地域内の人間関係にも影響が生じる可能性が高い。そうなると、出席した地元役員は、控訴人へ不信の念を抱くとともに、控訴人との信頼関係を著しく損ない、以後の協議への出席を拒んだり、仮に参加しても率直な意見交換が行えなかったりして、結果として廃棄物の収集事務に多大な影響を及ぼすことになる。
(4) 目録1番号26及び目録2番号45の各文書にかかる会合について
(会合の趣旨、目的、協議内容)
a目録1番号26
新規クリーンセンターの建設にあたっては、約二七ヘクタールの用地買収が必要であり、その用地測量に伴う境界確定についての現地立会い等への協力を得るために行ったものである。
b目録2番号45
新規クリーンセンターの建設については、現在、地元自治連合会等と協議を続けているところであるが、控訴人としては、広く地元の意見を聞き、協力を得る必要があるため、平成七年六月に結成された地元の協議会の役員との協議を行ったものである。
(会合の趣旨等と接遇との関連)
a目録1番号26
相手方出席者は地元住民であり、用地測量に係る関係者に集まってもらい、測量等の内容についての説明を行ったものである。参加者の日程上、昼食時と重ならざるを得なかったため、食事を伴う協議を実施したものである。
b目録2番号45
相手方出席者は地元住民であり、公務として出席するわけではないため、日中に時間を設置することは困難である。更に、事前の個別折衝として、地元役員の率直な意見を引き出し、その後の事業進捗を円滑に進めるためには、それ相応の雰囲気の中での協議が効果的である。
(同条一号の「公開しないことが正当であると認められる」事情)
当該クリーンセンターについては、一部の地元住民が建設に強く反対しており、差止訴訟も提起されている。更に、平成八年には、実名入りで住民を誹謗、中傷する文書が何者かによって各戸配布され、被疑者の氏名不詳のまま脅迫罪等で警察に告発する事態まで生起している。こうした施設の建設を進めるにあたっては、関係住民の理解と協力を得るための十分な対応が非常に重要となってくる。本件はこのような状況のもとで、当該施設用地測量関係者又は工場建設を受け入れる意向を表明した住民と個別に折衝を行ったものであり、相手方は、地元の代表として公式な会合に出席しているわけではなく、当然、第三者に氏名が公表されることを想定していない。また、前記のとおり反対住民も存在するから、それが公表されれば当該個人の私生活の平穏を害することとなる。現に、相手方の身体及び財産に不正な侵害が加えられるおそれが感じられる事態が事後に生じたのであり、当該個人の氏名及びそれを特定できる肩書は、個人に関する情報として、公開しないことが正当な情報に該当する。
また、bについては、前記(1) と同一の事情も存する。
(同条七号ウの「信頼関係が著しく損なわれる」事情及びエの「著しい支障が生じる」事情)
クリーンセンターについては、現在市内に五施設あるが、北部クリーンセンターが間もなく耐用年限を迎えることから、代替施設として建設を進めているものである。これらの事業に係る協議に出席した相手方は、氏名等の公表を想定しておらず、それらが公表されるとなると、前述のような不当な結果が発生し、控訴人へ不信、不快の念を抱き、それまで築いてきた信頼関係が著しく損なわれる。
更に、協議を行ったこと自体を明らかにしていないことから、他の地元住民、例えば建設に反対する住民から不当に不利益な扱いを受けるおそれがあることや、協議の内容について様々な憶測が流れることを危惧して、以後の会合への出席を拒んだり、仮に参加しても率直な意見交換が行えなかったりして、結果として事業への理解が得られない事態となれば、京都市全ての廃棄物の焼却処理に多大な影響を及ぼすことになる。
(二) 目録1番号10、43、目録2番号6、17、23、38(これらの文書を以下「公文書分類<2>」という。)の八条一号、七号該当性
これらの文書は、清掃局の既存もしくは計画中の施設等の地元関係者との協議懇談経費の支出決定書である。右協議懇談は、清掃事業推進のため、当該施設の稼働もしくは建設計画等に関して、地元関係者の理解を得るために開催されたものであり、右協議を開催したことは地元住民らにも明らかにしている。
(1) 目録1番号10及び目録2番号17の各文書にかかる会合について
(会合の趣旨、目的、協議内容)
a目録1番号10
地元関係団体に対し、東部山間埋立処分地建設の平成五年度事業である埋立地への進入道路山間部工事と音羽川砂防ダム工事の進捗状況及び環境調査結果について報告するとともに、平成六年度事業である埋立用ダム等の本体工事について理解と協力を得るため現地視察を実施したものである。
b目録2番号17
地元関係団体に対し、東部山間埋立処分地建設の平成六年度事業である埋立地への進入道路工事、本体工事、環境調査について報告するとともに、平成七年度の工事に伴う工程、工事車両台数、資材搬入のための車両ルート等を説明し、今後の本体工事に理解と協力を得るため現地視察を実施したものである。
(会合の趣旨等と接遇との関連)
五・一キロメートルの進入道路に一五〇万平方メートルを超える広大な面積の建設予定地の見学を行い、更に様々な事項について説明を行うことから、あらかじめ相当の時間を要することがわかっており、昼食を用意したものである。
(同条一号の「公開しないことが正当であると認められる」事情)
特に内密な会合ではない点を除いて、前記(一)(1) と同一である。
(同条七号ウの「信頼関係が著しく損なわれる」事情及びエの「著しい支障が生じる」事情)
これら説明会に出席した相手方は、氏名等の公表を想定しておらず、それらが公表されると、前述のような不当な結果が発生し、控訴人へ不信、不快の念を抱き、それまで築いてきた信頼関係が著しく損なわれる。また、建設に反対する住民から不当に不利益な扱いを受けるおそれがあることなどから、以後の会合への出席を拒んだり、仮に参加しても率直な意見交換が行えなかったりして、結果として事業の進捗に著しい支障が生じることになる。
(2) 目録2番号23及び38の各文書にかかる会合について
(会合の趣旨、目的、協議内容)
a目録2番号23
平成七年六月に高雄自治連合会から北清掃工場(現北部クリーンセンター)建替えに関して申入書の提出があり、控訴人は同年七月二七日に建替えの意思表示をする文書回答を行ったが、その他にも新規クリーンセンターの進捗状況や建替えの展望、ダイオキシン問題等について地元役員と協議する必要があったため開催したものである。
b目録2番号38
平成七年一〇月に宇多野地区から北部クリーンセンターに係る収集車両の通行問題について抗議文の提出があり、これを受けて控訴人では運転手に対する安全運転の徹底と毎月一回の現場通行指導を約する文書を同年一二月に回答するとともに、地元役員らと今後の対応についての具体的な協議を行う必要があったため開催したものである。
(会合の趣旨等と接遇との関連)
当該施設は昭和四三年の竣工で、地元には長年にわたって理解と協力をお願いしており、これまでの経過報告や建替え展望が話題となって、昼食時の前後に相当の時間を要することが考えられ、また、地元役員の率直な意見を聞くためにも、昼食を取りながらの協議としたものである。
(同条一号の「公開しないことが正当であると認められる」事情)
特に内密な会合ではない点を除いて、前記(一)(1) と同一である。
(同条七号ウの「信頼関係が著しく損なわれる一事情及びエの「著しい支障が生じる」事情)
これらの協議に出席した相手方は、氏名等の公表を想定しておらず、それらが公表されるとなると、前述のような不当な結果が発生し、控訴人へ不信、不快の念を抱き、それまで築いてきた信頼関係が著しく損なわれる。また、建設に反対する住民から不当に不利益な扱いを受けるおそれがあることなどから、以後の会合への出席を拒んだり、仮に参加しても率直な意見交換が行えなかったりして、結果として事業の推進に著しい支障が生じることになる。
(3) 目録1番号43及び目録2番号6の各文書にかかる会合について
(会合の趣旨、目的、協議内容)
a目録1番号43
控訴人は、平成八年一〇月から全市で空きびんの収集を実施しているが、その実施に当たり分別排出の効果的な方法等を研究するため、伏見区七学区においてびんを色分別せず排出するモデル回収を実施した。そこで、今後の回収事業の在り方について判断材料とすべく、環境意識の高い保健協議会関係者等と協議を行ったものである。
b目録2番号6
洛西地域においては空きびんの四色分別回収実験を実施していたが、全市に分別を拡大するためには、モデル地域の貴重な意見が必要であり、そのため、更に環境意識を高めモデル事業に理解と協力を得るために、製びん工場の見学を行ったものである。
(会合の趣旨等と接遇との関連)
当時、控訴人は、空きびん収集の全市拡大に向けて重点的に取り組んでいた時期であり、その効果的な方法等を把握するためには、協議に相当の時間を要することが考えられ、また、地元役員の率直な意見を聞くためにも、昼食を取りながらの協議としたものである。
(同条一号の「公開しないことが正当であると認められる」事情)
右各会合はモデル回収の実施地区からの意見の吸収、協力度合いを高めるための見学会に係るものであるが、相手方は、公式な会合に出席しているわけではなく、氏名が公表されることも想定していない。したがって、当該個人の氏名及びそれを特定できる役職名は、個人に関する情報として、公開しないことが正当な情報に該当する。
(同条七号ウの「信頼関係が著しく損なわれる」事情及びエの「著しい支障が生じる」事情)
これらの協議に出席した相手方は、氏名等の公表を想定しておらず、それらが公表されるとなると、控訴人へ不信の念を抱き、それまで築いてきた信頼関係が著しく損なわれる。それにより、以後の会合への出席を拒んだり、仮に参加しても率直な意見交換が行えなかったりして、結果として同様のモデル回収等の実施に多大な支障が生じる。
(三) 目録1番号3、5、6、8、12、14、19、24、31、33、34、38、40、41、42、目録2番号9、10、11、16、24、26、27、29、30、33、35、37、40、47、49(これらの文書を以下「公文書分類<3>」という。)の条例八条一号該当性
これらの文書は、清掃行政に関連する、民間企業の職員等との協議懇談経費の支出決定書である。
(1) 目録1番号5、12、19、33、34、38及び40並びに目録2番号11、24、30及び40の各文書にかかる会合について
(会合の趣旨、目的、協議内容)
a目録1番号5
清掃施設の整備に当たり環境の保全に配慮することは必要不可欠であり、最新技術の導入に関し、学識経験者から指導、意見を受けるべく、協議懇談会を開催したものである。
b目録1番号12
生ごみの減量化と有効利用を促進するため、市民を対象に生ごみ堆肥化の講習会を実施したが、その際の講師と事後に協議を行ったものである。
c目録1番号19
今後の廃棄物処理行政を円滑に進めるため、学識経験者に対し、東部山間埋立処分地の建設事業に係る環境調査及び工事についての調査研究、技術指導を依頼しており、これらの結果等について報告を受けるために協議懇談を行ったものである。
d目録1番号33
市民、事業者、行政が一体となって取り組むごみ減量の行動計画について、当時、ごみ減量化行動計画部会において検討を進めており、その中で行動計画の内容について学識経験者と協議を行ったものである。
e目録1番号34
新規清掃工場の建設事業に関連した環境保全対策について、学識経験者から指導、意見を受けることを目的として協議懇談を行ったものである。
f目録1番号38
適正処理困難物の処理方法等について、学識経験者から指導、意見を受けることを目的として協議懇談を行ったものである。
g目録1番号40
ごみの減量を進めていくため、行政と市民とのパイプ役となるごみ減量推進員にごみ減量やリサイクルに関する知識を深めてもらうため研修会を実施したが、その際の講師と事後に協議を行ったものである。
h目録2番号11
新規清掃工場に係る環境調査結果の分析等について、専門家、学識経験者と協議を行ったものである。
i目録2番号24
ごみ減量に関する知識を深め、自主的な取組を推進してもらうため委嘱したごみ減量推進員を対象に研修会を実施したが、その際の講師と事後に協議を行ったものである。
j目録2番号30
今後の廃棄物処理行政を円滑に進めるため、学識経験者に対し、東部山間埋立処分地の建設事業に係る環境調査及び工事についての調査研究、技術指導を依頼しており、これらの結果等について報告を受けるために協議懇談を行ったものである。
k目録2番号40
東部山間埋立ダム、治水利水ダムの岩盤検査を学識経験者に依頼して行ったが、その際に要した昼食経費である。
(会合の趣旨等と接遇との関連)
これらの協議等は日程上昼食時の前後に相当の時間を要し、また、関係者のより率直な意見を聞くために、昼食を取りながら協議を行ったものである。
(同条一号の「公開しないことが正当であると認められる」事情)
これらの協議等について、相手方は、控訴人の清掃事業に関し、本来業務外の立場で出席しているものであるため、どの協議に出席したかということは他人に知られたくないプライバシーに関する事項と判断される。したがって、当該個人の氏名及びそれを特定できる肩書等は、個人に関する情報として、公開しないことが正当な情報に該当するといえる。
(2) 目録1番号3、14、24及び42並びに目録2番号16、26及び33の各文書にかかる会合について
(会合の趣旨、目的、協議内容)
a目録1番号3
南清掃工場第一工場のクレーン性能検査(一度ピットに貯めたゴミを焼却炉に投入するためのクレーン及び焼却灰の搬出のためのクレーンの性能検査)に関して、京都市を訪れた関係者とその内容や状態等について協議を行ったものである。
b目録1番号14
南清掃工場第二工場のボイラー性能検査(焼却の際発生する排ガスを冷却するためのボイラーの性能検査)に関して、京都市を訪れた関係者とその内容や状態等について協議を行ったものである。
c目録1番号24
南清掃工場第一工場の圧力容器検査(発電等のために使用する高圧蒸気を蓄えておく圧力容器の検査)に関して、京都市を訪れた関係者とその内容や状態等について協議を行ったものである。
d目録1番号42
南清掃工場第一工場のクレーン性能検査に関して、京都市を訪れた関係者とその内容や状態等について協議を行ったものである。
e目録2番号16
南清掃工場第二工場のボイラー性能検査に関して、京都市を訪れた関係者とその内容や状態等について協議を行ったものである。
f目録2番号26
南清掃工場第一工場のクレーン性能検査に関して、京都市を訪れた関係者とその内容や状態等について協議を行ったものである。
g目録2番号33
南清掃工場第二工場ボイラー一号炉の使用再開に関して、京都市を訪れた関係者とその内容や状態等について協議を行ったものである。
(会合の趣旨等と接遇との関連)
これらの協議等は日程上昼食時の前後に相当の時間を要し、また、関係者のより率直な意見を聞くために、工場内で昼食を取りながら協議を行ったものである。
(同条一号の「公開しないことが正当であると認められる」事情)
これらの協議に出席した相手方は、控訴人の依頼業務のために出席したもので、公式な会合に出席しているわけではなく、どの施設を担当したかということは他人に知られたくないプライバシーに関する事項と判断される。したがって、当該個人の氏名及びそれを特定できる肩書等は、個人に関する情報として、公開しないことが正当な情報に該当する。
(3) 目録1番号6、8及び31並びに目録2番号9、10、27、29、35、47及び49の各文書にかかる会合について
(会合の趣旨、目的、協議内容)
a目録1番号6
京都市保健協議会環境整美部会の平成五年度の活動状況報告及び平成六年度の活動方針について協議を行ったものである。
b目録1番号8
京都市環境美化事業団に係る今後の事業計画等について、関係団体と協議懇談会を開催したものである。
c目録1番号31
公共下水道の整備が進捗する状況の中、し尿処理業務の縮小に関して、関係業者と協議を行ったものである。
d目録2番号9
京都市環境美化事業団に係る今後の事業計画等について、関係団体と協議懇談会を開催したものである。
e目録2番号10
京都市保健協議会環境整美部会の平成六年度の活動状況報告及び平成七年度の活動方針について協議を行ったものである。
f目録2番号27
古紙のリサイクルについて意見交換を行い、その対策を検討するため、関係団体と協議を行ったものである。
g目録2番号29
適正処理困難指定廃棄物のうち廃ゴムタイヤの処理体制について、関係業界の代表者と協議を行ったものである。
h目録2番号35
控訴人の環境美化事業に係る事業の進捗状況等について、関係団体と協議を行ったものである。
i目録2番号47
空きびん分別収集の実施に向け、現在モデル事業で回収を委託している組合をはじめとする関係者と、今後の方策について協議を行ったものである。
j目録2番号49
鮮魚店や中央卸売市場から発生する魚腸骨の再資源化ルートの確保や環境保全、廃棄物の発生抑制等について、関係者と協議を行ったものである。
(会合の趣旨等と接遇との関連)
これらの協議は出席者の日程上、昼食時の前後に相当の時間を要し、また、関係者のより率直な意見を聞くために、昼食を取りながら協議を行ったものである。
(同条一号の「公開しないことが正当であると認められる」事情)
これらは、清掃事業を遂行するうえで控訴人にとって必要な協議を関係団体と行ったものであって、相手方は、氏名が公表されることを想定しておらず、出席したということは他人に知られたくないプライバシーに関する事項と判断される。したがって、当該個人の氏名及びそれを特定できる肩書は、個人に関する情報として、公開しないことが正当な情報に該当する。
(4) 目録1番号41及び目録2番号37の各文書にかかる会合について
(会合の趣旨、目的、協議内容)
a目録1番号41
控訴人の環境美化事業についての調査のために京都市を訪れた他都市職員及び関係団体である空き缶処理対策協会の関係者と情報交換を行ったものである。
b目録2番号37
控訴人の環境美化対策に係る事業の事例調査及びごみ回収容器等の美化対策施設の研究のために京都市を訪れた他都市の市民運動推進協議会の関係者とその効果的な手法等について協議を行ったものである。
(会合の趣旨等と接遇との関連)
これらの協議は出席者の日程上昼食時しか時間が取れず、また、相手方から参考となる意見を聞くために、昼食を取りながら協議を行ったものである。
(同条一号の「公開しないことが正当であると認められる」事情)
これらの出席者は、控訴人の清掃事業に関する調査を目的として京都市を訪れたもので、どの都市の何について調査したかということは、相手方にとって他人に知られたくないプライバシーに関する事項と判断される。したがって、氏名及びそれを特定できる肩書は、個人に関する情報として、公開しないことが正当な情報に該当する。
(四) 目録2番号12、21(これらの文書を以下「公文書分類<4>」という。)の条例八条四号該当性
これらの文書は、清掃事業の遂行に関する、国又は国に準じる機関との意見交換のための協議懇談経費の支出決定書である。
国等がどの職員を出席させたかということは、当該国等の内部情報であり、相手方の職名、氏名を公開すると、当該国等との協力関係、信頼関係を損なうから、条例八条四号に該当する。
(五)目録1番号4、11、15、16、17、21、22、25、27、29、30、32、36、37、41、目録2番号1、2、4、5、8、13、19、22、28、29、31、34、36、37、39、41、42、44、46、48(これらの文書を以下「公文書分類<5>」という。)の条例八条四号該当性
これらの文書は、他の地方公共団体又はこれに準じる団体との意見交換、調査、視察等の懇談経費の支出決定書である。
清掃業務の推進に当たっては、他の地方公共団体等との経験交流、施設見学、意見交換等の協力関係が必要であり、地方公共団体等がどの職員を出席させたかということは、当該団体の内部情報であり、相手方の氏名を公開すると、当該地方公共団体等との協力関係及び信頼関係を損なうから、条例八条4号に該当する。
(六) 目録1番号35(以下「公文書分類<6>」という。)の条例八条一号該当性
右文書は、京都市がごみ減量推進員として委嘱している市民との協議懇談経費の支出決定書である。
ごみ推進員の住所は、個人のプライバシーに属する情報であり、条例八条一号に該当する。なお、右推進員らの氏名は既に公開している。
(七) 目録1番号9、20、目録2番号32(これらの文書を以下「公文書分類<7>」という。)の条例八条一号該当性
これらの文書は、京都市が主催した清掃施設見学会開催経費の支出決定書である。
(1) 目録1番号9及び20並びに目録2番号32の各文書にかかる会合について
(会合の趣旨、目的、協議内容)
a目録1番号9
「ごみ減量化推進週間」期間中の取組の一環として、ごみ減量化に対する啓発を目的として控訴人が主催した清掃施設見学会において一般参加者と昼食を共にしたものである。
b目録1番号20及び目録2番号32
「環境衛生週間」期間中の取組の一環として、環境衛生に対する啓発を目的として控訴人が主催した清掃施設見学会において一般参加者と昼食を共にしたものである。
(会合の趣旨等と接遇との関連)
これらは、いずれも、清掃行政への理解と啓発を目的とした清掃施設見学会で、一般市民から参加者を募集したものであり、それぞれ概ね午前一〇時から午後四時までの時間をかけて実施したものである。その途中、参加者と当該施設の会議室において昼食を取りながら参加者からの自由な発言を交換する等の場を設けたものである。このような施設見学会に積極的に参加した一般参加者に、常識的な範囲内で接遇をもって対応することは、何ら違法と評価されるものではない。
(同条一号の「公開しないことが正当であると認められる」事情)
これらの出席者は、公募等により本件清掃施設見学会に参加した一般参加者である。市民がどのような事業、イベント等に関心を持ち、自発的に参加するかということは、本来当該市民の自由な領域に属することであり、参加者にとって他人から自己のプライベートな活動を把握されることは、だれも望まないことが明白である。氏名のみであっても、これが公開されれば人物の特定がある程度可能となることは明らかであり、個人の情報として、公開しないことが正当な情報に該当する。
2 被控訴人
(一) 条例八条一号非該当性(公文書分類<1><2><3>について)
公文書分類<1>は、協議の性質から、出席者のプライバシーは保護の対象とならない。
公文書分類<2>は、協議を開催したことを地元住民らに明らかにしているから、出席者の氏名等を非公開にする理由はない。
公文書分類<3>の出席者は、民間人であったとしても、京都市が費用を負担して主催する公的な会合に出席して接遇を受けたものであるから、その氏名は純粋に個人的な情報とはいえない。
(二) 条例八条四号非該当性(公文書分類<4><5>について)
公文書分類<4><5>の会合はいずれも公的な会合であり、相手方は公務として出席したものである。また、出席者の氏名等を公開しても、発言内容等の協議内容は公文書に記載されておらず公開されないから、相手方との協力関係又は信頼関係を損なうことはない。
(三) 条例八条七号非該当性(公文書分類<1><2>について)
出席者の肩書、氏名を公開しても、そこでの発言内容等の協議内容が明らかになるわけではなく、また、右協議の開催は秘密にしなければならない性質のものではないから、これを公開しても、今後の京都市の同種の事務事業の公正かつ適切な執行に著しい支障が生じるとは考えられない。
(1) 公文書分類<1>について
協議の相手方である地元の有力者を、京都市がどのような基準で選んでいるのか、その人たちが本当に地元住民との「パイプ役」であるのか、明らかでなく、協議を行う必要があるかも疑問である。民間人といえども、特定の者への買収工作といわれないためには相手方の氏名等を公開する必要がある。
また、かかる協議を内密に行っていること自体に地域住民らは反感をもっているから、その出席者の氏名を公開することは、公正かつ適切な清掃事業の執行につながるものであって、支障になることはない。
(2) 同<2>について
説明会の開催を地元住民にも明らかにしている以上、そこへの出席が秘密にされる必要はないし、これらの文書には出席者の発言内容は記載されていないから、氏名が公開されたとしても、相手方との信頼関係を損なって清掃事業の執行に支障が生じることはない。
第三判断
一1 条例八条一号該当性(公文書分類<1><2><3><6><7>について)
条例八条一号が「個人が識別され、又は識別され得る情報のうち、公開しないことが正当であると認められるもの」を非公開としている趣旨は、個人のプライバシーが情報の公開により侵害されないよう保護を与えるものであるが、他方、市民の知る権利(情報の公開が、市政に対する理解と信頼を深めるとともに、市民参加を促進し、開かれた公正な市政の推進に資することを確信して、市民の知る権利を具体化したものであることは、条例の前文において明言されているところである。乙四)との調和を図るため、通常他人に知られたくないと望むことが正当であると認められる情報が記録されている公文書に限り非公開とすることを定めたものと解される。
相手方の職名、肩書、氏名、住所、年齢及び電話番号が、条例八条一号の「個人に関する情報で、個人が識別され又は識別され得るもの」に該当することは明らかである。
そこで、これらを公開しないことが正当であると認められるか否かを個別に検討することが必要になる。
2 条例八条四号該当性(公文書分類<4><5>)
国、地方公共団体又はこれらに準じる団体の職員の職名及び氏名が、条例八条四号の「市と国等との間における協議等により行う事務に関して作成した情報」に該当することは明らかである。
そこで、これらを公開することによりこれら国等との協力関係又は信頼関係を損なうと認められるか否かを個別に検討することが必要になる。
3 条例八条七号該当性(公文書分類<1><2>)
条例八条七号は、京都市又は国等が行う事務事業の中には、入札予定価格、試験問題、用地買収計画、交渉の記録など、事務事業の性質上、公開することにより、同号のアないしエ所定の不都合が生じるものがあるため、これらに関する情報を非公開とすることを規定したものである。
本件については、控訴人がその所管事務の遂行のために行う住民その他の者との会合には内密に実施する必要があるものが存することは否定できず、このような会合に参加した相手方の氏名等が公開されると、控訴人と住民等との信頼関係が著しく損なわれ、控訴人の事務の執行に支障が生じるものと認められ、このような情報は条例八条七号に該当するというべきである。ただし、内密の会合を開催すべき合理的な理由がないのに、控訴人が住民等に内密にすることを約して公費を支出した会合を実施したような場合において、それが公開されると控訴人と住民との信頼関係が損なわれたり、控訴人の事務の執行に支障を生じることも考えられるが、このような控訴人と住民等との信頼関係は法律上の保護に値しないし、「事業の公正かつ適切な執行」に支障を生じるものとはいえないから、右のような会合についての情報は条例八条七号に該当しないというべきである。
二 公文書分類<1>について
1 これらの文書は、控訴人の清掃局所管にかかる既存又は計画中の埋立処分地、清掃工場、清掃事務所などに関して、控訴人の清掃局の職員らが地元関係者と行った会合の経費の支出決定書である。
控訴人の職員との協議等の相手方となった出席者は私人であるが、その行為は、控訴人の行う行政事務の一部として公費を支出して開催された協議等に出席したものである以上、控訴人の行う行政事務に参加したものであるし、また、控訴人の主張によるとその大部分は地元役員であって(控訴人の主張上明らかではなく、また、証拠上肩書が公開されていない者も、地元役員あるいはこれに準ずる立場にある者であると推認される。)、控訴人は地元役員に控訴人の行う行政事務に協力してもらうためにこれらの会合を計画したもので、地元役員もこれを了解したうえでこれらの会合に出席したものと推認され、これらの会合への出席を純粋にプライベートなものとみることはできない。この点において、単に信頼関係ないし友好関係の維持、増進を目的として行われる公務員の交際事務の相手方となった場合とは、事情を異にするといわなければならない。
右の点を考慮すると、右会合に出席した者の氏名、肩書について、これを条例八条一号に該当するプライバシー情報として公開しないことが正当であると認めることはできない。
2 そこで、右各文書が条例八条七号に該当するかどうかを検討する。
(一) 前記控訴人の主張(一)(4) の各会合についての文書(目録1番号26及び目録2番号45)は、新規の(京都市東北部)クリーンセンターの建設に関し、平成六年一〇月二八日に施設用地測量への協力を得るために、平成八年三月一一日に用地確保のための地元との協議のために、それぞれ開かれた会合に関する支出決定書である(甲二の24、乙二の27)。
乙八によれば、右施設建設につき、地元では反対運動が強く、平成七年ころには控訴人と反対派との対立が明確になっていたこと、平成八年一一月に開催された地元での工事説明会は反対派が集まる中騒然とした雰囲気で行われたこと、同月ころ建設に協力的な住民を実名で誹謗中傷する文書が配布され、警察が捜査を開始する事態となったことが認められる。右認定の事実からすると、控訴人において、右事業を進めるために、内密の協議会をも開催せざるを得なかったものと認められる。
そして、右のような内密に行わざるを得なかった右各会合の出席者が公開されれば、右出席者と控訴人との信頼関係が著しく損なわれ、また、控訴人の右施設建設の交渉事務が進捗せず、右事務の執行に著しい支障が生ずると認められる。よって、右文書は条例八条七号ウ、エに該当するというべきである。
(二) 公文書分類<1>のその余の文書にかかる会合については、控訴人主張のような内密の会合を開催する合理的な必要性があったと認めるに足りる証拠はない。なお、控訴人が計画した事務のうちには地元住民などから反対の意向が表明されていたものがあることが認められるが(北清掃工場の建替え問題など)、一定の行政目的を遂行に当たって住民中に反対者が存する場合は決して稀ではなく、このような事情のみをもって一部住民との間において公費を支出して内密の会合を開催する合理的な理由があると認めることは困難である。
よって、公文書分類<1>のその余の文書については、条例八条七号に該当すると認めることはできない。
三 公文書分類<2>について
これらの文書は、控訴人の清掃局所管にかかる計画中の埋立処分地、既存の清掃工場の建替えあるいは運営、空き瓶の収集に関して、控訴人の清掃局の職員らが地元関係者と行った会合等の経費の支出決定書である。
控訴人の主張及び証拠(乙一の7・22、二の2・11・14・24)によると、これらの会合に出席した相手方は、地区の対策委員会、自治会、保健協議会、PTAなどの関係者であると認められ、同人らのこれらの会合への出席を純粋にプライベートなものとみることはできず、その氏名、肩書について、これを条例八条一号に該当するプライバシー情報として公開しないことが正当であると認めることができないことは、公文書分類<1>について述べたところと同様である。
控訴人は、地元関係者は氏名等が公開されることを前提として参加していないので、その肩書及び氏名を公開して誰と協議したかが明らかになると、相手方との信頼関係を著しく損なううえ、今後このような会合ができなくなって、清掃事業の公正かつ適正な執行に著しい支障が生じるとする。
しかし、これらの協議を開催したことは地元住民らに広く明らかにされているのであるから、その出席者の肩書及び氏名を公開したとしても、出席者との信頼関係が著しく損なわれたり、清掃事業の公正かつ適切な執行に著しい支障が生じるとは考えられず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。
したがって、公文書分類<2>の相手方の肩書及び氏名は、条例八条七号に該当しない。
四 公文書分類<3>について
1 前記控訴人の主張(三)(1) の各会合についての文書に記載された相手方は、控訴人の清掃事業に技術指導・協議・講師として参加している学識経験者であることは、控訴人の主張から明らかであるところ、これら相手方のこれら行事への参加は、同人らの本来の業務であるとはいえないものの、その有する専門的識見を控訴人の行政のために提供するものであって、その限度において公の行動であるといわざるを得ない。したがって、右各会合に出席した相手方の氏名、職名を条例八条一号にいうプライバシー情報と認めることはできない。
2 前記控訴人の主張(三)の(2) ないし(4) の各会合についての文書に記載された相手方は、京都市を訪問した清掃事業に関係する団体あるいは他都市の職員、右事業の関係業者などであり、控訴人の清掃事業につき情報交換・協議をしたものであることは控訴人も認めるところである。そうすると、これら相手方は全くの個人としてこのような席に出たものではなく、控訴人の行政に参加した点では公の行動であったというべきである。そうすると、その職名、氏名を個人情報として公開しないことが正当であると認めることはできず、これらが条例八条一号に該当するということはできない。
五 公文書分類<4>及び<5>の各文書について
これら文書に記載された相手方が公務員又はこれに準じる者であることは、右各文書の公開された部分の記載によって明らかであるが、その氏名及び職名(一部について)を公開すると国等との協力関係又は信頼関係を損なうことになるというべき事情については、具体的な主張立証はなく、これを認めることができないから、右各文書に記載された相手方の氏名、職名が条例八条四号に該当するとはいえない。
六 公文書分類<6>について
これは、目録1番号35の文書(甲二の33)であって、控訴人が公開しなかったのは右文書にかかる会合に出席した相手方の住所であるところ、前記のとおり、この点について被控訴人の請求を棄却した原判決に対して不服の申立てがないから、当裁判所の審判の対象とならない。
七 公文書分類<7>について
これら文書(甲二の8・18、三の32)に記載された相手方は、控訴人が主催した清掃施設見学会の一般参加者であるところ、右相手方の行為が公募に応じて控訴人の施設を見学したという以上のものであったと認めるに足りる証拠はないから、公費から支出された弁当の提供を受けているとはいえ、右相手方が控訴人の行政に参加したと評価することはできず、これらは右相手方の一般市民としてのプライバシーに属する情報であると認められる。したがって、右会合に関する文書に記載された情報は、「住所、年齢、電話番号」のみならず、「氏名」も公開しないことが正当であると認められるから、条例八条一号に該当するというべきである。
八 以上のとおり、被控訴人の請求は、原判決主文第一項の除外部分のほか、公文書分類<1>のうち目録1番号26の「肩書、氏名、支出理由」、目録2番号45の「肩書、氏名」、公文書分類<7>(目録1番号9、20、目録2番号32)のうち「氏名」部分については理由がないが、その余は理由がある。よって、本件控訴は一部理由があるから、原判決を変更することとして、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 妹尾圭策 裁判官 渡邊雅文 裁判官 宮本初美)