大阪高等裁判所 平成11年(行コ)90号 判決 2000年4月27日
主文
一 本件控訴を棄却する。
二 控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第一申立て
一 控訴人
1 原判決中、控訴人関係部分を取り消す。
2 被控訴人の控訴人に対する請求を棄却する。
3 控訴人と被控訴人との間の訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。
二 被控訴人
主文同旨
第二当事者の主張
次のとおり改めるほか、原判決事実摘示(八頁三行目から二八頁八行目まで)のうち、控訴人関係部分のとおりであるから、これを引用する。
一 八頁七行目の「駐車場整備」を「駐車場整理」と、同頁九行目の「同年」を「平成九年」と、同行の「監視業務」を「監視等業務」と、九頁六行目の「日経サービス株式会社」を「株式会社日経サービス(以下「日経サービス」という)」と、それぞれ改める。
二 一三頁一行目及び三行目の「乙」をいずれも「乙1」と改め、一四頁八行目の「成人病センター事務局長として、」の次に「前記(一)のとおり本件各契約の締結について専決権限を有していたところ、」を加える。
三 一九頁一行目の「失格した」の前に「右落札価格と」を加える。
四 二八頁七行目の「六六万五六四五円」を「二〇万四三二〇円」と改める。
第三証拠
原・当審における証拠関係目録記載のとおりであるから、これを引用する。
第四判断
一 次のとおり改めるほか、原判決理由説示(二八頁九行目から五四頁一〇行目まで)のうち控訴人関係部分のとおりであるから、これを引用する。
1 三五頁二行目の「五〇」を「五一」と改め、同頁三行目の「51、」の次に「証人A、」を加え、同頁末行の「規定」を「規程」と改め、三六頁八行目の「事務」を「庶務」と、同行の「指揮」を「指揮監督」と、同頁九行目の「事務」を「業務」と、同頁一〇行目の「同規程六条によれば、」を「同規程六条により」と、それぞれ改める。
2 三七頁八行目の「同じく業務仕様書に基づいて」を「同じく成人病センターの定める業務仕様書(甲一〇)に基づいて」と改める。
3 四三頁一〇行目の「いわざるを得ない」の次に「(民法の契約類型である請負と委託(準委任)との間には、他人の労務を利用してその目的を達成する点において類似性があるとしても、本件各契約が『工事又は製造の』請負の性質を有する契約関係であるとすることは、解釈上は無理である)」を加える。
4 四三頁末行から四四頁四行目までを次のとおり改める。
「したがって、本件各契約は、法二三四条三項、施行令一六七条の一三、一六七条の一〇第二項によって、入札についての最低制限価格を設けることが許される場合に該当しないから、本件各入札について最低制限価格を設けたことは違法であるというべきである。」
5 四四頁末行の「全く否定できない」を「あり得る」と改める。
6 四六頁末行の「である。」の次に「したがって、施行令一六七条の一〇第二項は、控訴人が主張するような目的論的な解釈を持ち込む余地のない条文であり、このことは、その条文自体又はその前後の条文により明らかとなっているのである。」を加える。
7 四七頁二行目の「選択した上で」の次に「(すなわち、低廉な入札価格によって落札したがために、従業員の賃金をことさらに抑制せざるを得ず、その結果、従業員の士気を低下させて、結局は本件各契約の遂行に支障を招くような零細な業者を排除したうえで)」を、同頁五行目の「事情があったとはいえず」の次に「(右の『事後排除』によるのでは入札した業者間に混乱が生じるともいえず)」を、それぞれ加える。
8 五〇頁五行目の「認められる。」の次に「控訴人は、本件各入札に先立って他の大阪府立病院を調査したところ、『工事又は製造の請負』に該当しない契約についても指名競争入札にあたり最低制限価格を設定していることが判明したので、本件各入札においても本件各契約の性質上最低制限価格の設定が許されるものと判断したのであるから、この点につき控訴人に重過失はないと主張するが、前記のとおり、施行令一六七条の一〇第二項が目的論的な解釈を持ち込む余地のない条文であることは一見して明らかであることから、控訴人のような地位にある者は、同項の解釈につき大阪府庁の訟務担当者や自治省の係官に対して照会をすることなどは容易であったのであり、これを実行していれば最低制限価格の設定をしなかったであろうことは、たやすく推認することができるから、右照会などを怠り、漫然と他に倣って本件各入札においても最低制限価格の設定をしたことは、大阪府の健全な財政について責任の一端を担う事務局長として、重大な過失があったというべきである。」を加える。
9 五四頁七行目の「日経サービスの入札価格」の次に「(五一五万一六〇〇円であるが、消費税及び地方消費税相当額を加えると五四〇万九一八〇円となると認められる。)」を加える。
二 右の次第で、控訴人に対する本訴請求のうち、一二五万八三二〇円及びこれに対する平成一〇年四月二四日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める部分を認容し、その余を棄却した原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから、これを棄却することとし、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 妹尾圭策 裁判官 菊池徹 裁判官 宮本初美)