大判例

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大阪高等裁判所 平成12年(ネ)1797号 判決

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一当事者の求めた裁判

(控訴人)

一  原判決を取り消す。

二  控訴人が、破産者株式会社三和衣料に対し、貸付金債権七〇六九万八六五八円のうち異議にかかる三五〇万円を破産債権として有することを確認する。

三  訴訟費用は、第一、二審とも、被控訴人の負担とする。

(被控訴人)

主文一項と同旨

第二事案の概要

原判決「事実及び理由」中の「第二 事案の概要」欄に記載のとおりであるから、これを引用する(ただし、原判決書三頁六行目の「二目」を「二日」に、同六頁一〇行目の「一六目」を「一六日」にそれぞれ改め、同八頁一行目の「付け」を削り、同頁二行目の「二七目付」を「二七日」に改める)。

第三争点に対する判断

控訴人は本件破産宣告の当時本件破産債権を有していたが、本件破産宣告後智彦から破産債権の一部弁済を受けた。智彦は、本件破産債権を被担保債権とする根抵当権が設定されている不動産を破産宣告前に取得していた第三取得者であった。本件の争点は、破産法二四条の解釈上、智彦が破産宣告後にした右弁済後も、控訴人は、本件破産債権全額について権利を行使することができるかどうかにある。そして、控訴人は、破産法二四条によって、いわゆる全部義務者が破産宣告を受けたときには、破産債権者は、破産宣告時において有する債権の全額につき各破産財団に対し破産債権者として権利を行使し得るとされているから、この場合には、その後に他の全部義務者から弁済あるいは破産配当などによって債権の一部について満足を得ても、依然として破産宣告当時の破産債権全額について破産債権を行使し得るが、右規定は、破産債権を被担保債権とする物上保証がされているときの物上保証人による弁済の場合にも準用ないし類推適用すべきであり、したがって、この物上保証人から担保不動産の譲渡を受けた者(智彦)による一部弁済があった場合にも当てはまる旨主張する。

しかし、破産法二四条の規定は、数人が各自全部の履行をすべき義務を負う場合の規定であることがその文言上明らかである上、同法二六条一項及び二項の規定については同条三項により物上保証人に準用することが定められていながら、同法二四条の規定についてはこのような準用規定が置かれていないのであるから、控訴人主張のように解するのは困難であるといわざるを得ない。

控訴人は、全部義務者も物上保証人もともに信用を与えた者である点で共通性があること、したがってまたこれらの者はともに破産手続上求償権を行使し得ないとされるべき点でも共通性があること、破産手続上も一般破産債権者に望外の利得を与える結果となることは避けるべきであり、破産管財人に担保の有無及び担保物件の処分結果等を調査する負担を与え、配当時期の決定もしにくくなることは避けるべきことなどの諸点を前記主張の理由としている。しかし、破産債権の額をどのような方法で固定するかは、控訴人の右主張のような見解があり得ることも踏まえて立法政策的に決定され得るところであり、前記関連規定の文言によると、同法二四条の規定については、文理解釈上、控訴人主張の場合に準用ないし類推適用することには無理があるといわざるを得ない。控訴人の主張は法律解釈の限界を超えるものであるというべきである。なお、破産法二四条は、右のとおり、複数の全部義務者の存在を前提とし、この種の破産債権の効力を破産手続上強化することを目的とした規定である。すなわち、右破産債権の額を破産宣告の時点で固定し、その後の他の全部義務者による一部弁済は破産債権には影響を及ぼさないとすることによって、全部義務者に対する債権の破産手続上の効力の強化が図られている。そして、複数の全部義務者が存在する債権は、実体法上強い債権であるから、この点に着目してこれを破産手続上にも反映させることとすることに合理的な理由があることは明らかである。物上保証人は、その全財産をもって債務の履行の責任を負うのではなく、債権の担保として物的担保を提供し、担保として提供した物件の限度でのみ責任を負う者であって、全部義務者とは性格が異なるから、破産法二四条が前者を含まないものとしたことに理由がないとはいえない。以上の次第で、物上保証人及び担保物件の第三取得者のした弁済に破産法二四条は準用ないし類推適用されないというべきである。

第四結論

以上によると、控訴人の本件請求は理由がないからこれを棄却すべきところ、これと同旨の原判決は相当である。よって、本件控訴は理由がないから、これを棄却することとし、控訴費用の負担につき民訴法六七条一項本文、六一条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 加藤英継 裁判官 伊東正彦 裁判官 窪田正彦)

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