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大阪高等裁判所 平成12年(ネ)3377号 判決 2001年2月27日

控訴人(原告) X

右訴訟代理人弁護士 住井雅義

被控訴人(被告) Y1

被控訴人(被告) Y2

右両名訴訟代理人弁護士 川﨑清隆

同 薮口隆

主文

一  原判決を次のとおり変更する。

1  控訴人の主位的請求を棄却する。

2  控訴人と被控訴人両名との間で、別紙物件目録1ないし7<省略>の不動産につき控訴人が3億2,506万3,602分の4,202万9,939の割合による共有持分権を有することを確認する。

3  被控訴人らは、それぞれ控訴人に対し、別紙物件目録2ないし7<省略>の土地につき、平成9年5月24日遺留分減殺を原因とするそれぞれ3億2,506万3,602分の2,101万4,969の割合による共有持分一部移転登記手続をせよ。

4  控訴人のその余の予備的請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は第一、第二審を通じてこれを4分し、その1を被控訴人らの、その余を控訴人の各負担とする。

事実及び理由

第一当事者の求めた裁判

一  控訴人

(主位的請求)

1 訴外亡A、同亡B共同作成名義の昭和45年9月15日付自筆証書2通による遺言はいずれも無効であることを確認する。

2 被控訴人Y1は、控訴人に対し、別紙物件目録2ないし7<省略>の各土地につきなされた別紙登記目録一<省略>の各登記の抹消登記手続をせよ。

3 被控訴人Y2は、控訴人に対し、別紙物件目録2ないし7<省略>の各土地につきなされた別紙登記目録二<省略>の各登記の抹消登記手続をせよ。

(予備的請求第1次)

1 被控訴人Y1は、被相続人亡Aの遺産につき相続権を有しないことを確認する。

2 被控訴人Y2は、遺贈者亡Aの遺産につき遺贈を受ける権利を有しないことを確認する。

3 被控訴人Y1は、控訴人に対し、別紙物件目録2ないし7<省略>の各土地につきなされた別紙登記目録一<省略>の各登記の抹消登記手続をせよ。

4 被控訴人Y2は、控訴人に対し、別紙物件目録2ないし7<省略>の各土地につきなされた別紙登記目録二<省略>の各登記の抹消登記手続をせよ。

(予備的請求第2次)

1 被控訴人Y1は、被相続人亡Aの遺産につき相続権を有しないことを確認する。

2 被控訴人Y1は、控訴人に対し、別紙物件目録2ないし7<省略>の各土地につきなされた別紙登記目録一<省略>の各登記の抹消登記手続をせよ。

3 別紙物件目録1ないし7<省略>の各土地建物について、被控訴人Y2の有する共有持分につき、控訴人が4億8,582万7,028分の6,376万0,360の割合による共有持分権を有することを確認する。

4 別紙物件目録2ないし7<省略>の各土地について、被控訴人Y2の有する共有持分につき、被控訴人Y2は控訴人に対し、平成9年5月24日遺留分減殺を原因とする4億8,582万7,028分の6,376万0,360の割合による共有持分一部移転登記手続をせよ。

(予備的請求第2次のうち3、4についての予備的請求)

被控訴人Y1は、控訴人に対し金6,376万0,360円及びこれに対する平成6年12月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

(予備的請求第3次)

1 別紙物件目録1ないし7<省略>の各土地建物について、控訴人が4億8,582万7,028分の1億2,448万8,738の割合による共有持分権を有することを確認する。

2 別紙物件目録2ないし7<省略>の各土地について被控訴人らの有する共有持分につき、被控訴人らは各自控訴人に対し、平成9年5月24日遺留分減殺を原因とする4億8,582万7,028分の6,224万4,369の割合による共有持分一部移転登記手続をせよ。

(予備的請求第4次)

被控訴人Y1は、控訴人に対し、金1億2,448万8,738円及びこれに対する平成6年12月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

(全請求共通)

訴訟費用は第一、第二審とも被控訴人らの負担とする。

仮執行宣言(金銭請求部分)

二  被控訴人ら

1  本件控訴を棄却する。

2  控訴費用は控訴人の負担とする。

第二事案の概要

以下のとおり付加するほか、原判決の「事実及び理由」中の「第二 事案の概要」覧に記載のとおりであるから、これを引用する。

一  原判決17頁4行目の次に以下のとおり加える。

「A名義の財産は、別紙財産一覧表1ないし24<省略>のとおりであるところ、相続開始の1年より前の贈与(同表8ないし24<省略>の土地)についても当事者双方が遺留分権利者を害することを知って贈与をしたものであるから、遺留分算定の基礎となる財産に算入すべきである。固定資産課税標準額をもとに算出した遺留分算定の基礎となる財産の総額は、同表記載のとおり9億9,590万9,907円となり、控訴人の遺留分はその8分の1に当たる1億2,448万8,738円となる。

ところで、本件1ないし7土地建物の価額合計は、同表①ないし③の事由により修正した価額の合計4億8,582万7,028円となるところ、被控訴人Y1又はY2が相続又は受遺の欠格者と認められた場合には、控訴人の法定相続分は被控訴人Y1及び被控訴人Y2の取得価格それぞれにつきその4分の1である6,072万8,378円となり、右1億2,448万8,738円から6,072万8,378円を控除した6,376万0,360円が遺留分侵害額となる。

仮に、被控訴人らがいずれも相続又は受遺の欠格者ではないとすれば、前記1億2,448万8,738円が控訴人の遺留分侵害額となり、被控訴人らに対する遺留分減殺請求額は各6,224万4,369円となる。」

二  同18頁8行目の次に以下のとおり加える。

「6 仮定的相殺の抗弁

(一)  被控訴人Y1

被控訴人Y1は、控訴人名義で賦課された相続税(本税、利子税、加算税、延滞税)の全額4,063万9,700円を支払ったところ、控訴人の主位的請求又は予備的請求第1次が認められれば、右同額の不当利得返還請求権を有するし、予備的請求第2次が認められれば3,098万3,707円の、予備的請求第2次のうち3、4についての予備的請求が認められれば2,031万9,850円の、予備的請求第3次又は4次が認められれば2,132万7,714円の各不当利得返還請求権を有する。被控訴人Y1は、平成11年8月25日の第11回原審弁論準備手続期日において右の相殺を主張する。」

第三当裁判所の判断

当裁判所は、控訴人の請求は、本判決主文一の2、3の限度で理由があるが、その余の請求はいずれも理由がないものと判断する。

その理由は以下のとおりである。

一  争点1について

この点の判断は、原判決の「事実及び理由」中の「第三 判断」欄の「一 争点1について」に記載のとおりであるからこれを引用する。

二  争点2について

1  甲1の審問調書に記載されている被控訴人Y1の陳述の内容及び被控訴人Y1本人尋問の結果によれば、被控訴人Y1は昭和45年9月ころAから本件遺言書を手渡され、これを金庫に保管していたものであること、被控訴人Y1は、Aから知らされていなかったため、本件遺言書にいかなる内容が記載されているかについては認識していなかったことが認められ、また、証人Cの証言及び控訴人本人尋問の結果によれば、遺産分割の交渉経過中、被控訴人Y1又は被控訴人Y2が本件遺言書が存在することを一言も述べていなかったこと、控訴人は、平成9年2月18日大阪家庭裁判所から本件遺言書の検認期日通知書を送付されて初めて本件遺言書の存在を知ったことがそれぞれ認められ、この認定に反する証拠はない。

2  甲17、22、証人Cの証言によれば、Aの遺産分割につき、被控訴人Y1は今日まで、控訴人やCに対し、具体的な分割案を示して真摯な申入れをしたことがなく、A死亡後の昭和60年4月ころ、右両名に対し、自分が遺産の全てを相続したいから、実印と印鑑証明書2通を持参して遺産分割協議書に捺印するよう強く求め、これに応じられないとする両名に対し、Dを通じ、同様の意向を電話や口頭で告げ、捺印を催促したり、Cに対し、捺印すれば金銭が通帳に振込まれるとして捺印を求めさせたり、叔父のEを通じて非難めいたことを言ったりしたことがあるほか、Aの3回忌(昭和61年)、母Bの13回忌(平成2年)などにも遺産分割の話をしなかったこと、平成8年Aの13回忌前である同年2月23日D宅に控訴人及びCを呼出し、同様に捺印を求め、「親の財産を取ろうとしたらうまくいかんぞ。」などと申し向け、権利主張をする控訴人と諍いとなったこと、その後も同年3月15日にD方で印を押すようにせよなどと言って来たり、F税理士の職員を遣わして話合いを求めてきたが、控訴人は、体調が思わしくなかったことから出席しなかったり、前記同様の申し入れには応じられないとして結局話合いには応じなかったことの各事実が認められ、この認定に反する証拠はない。

3  右事実によれば、控訴人及びCは真摯な協議を求めているのに、被控訴人Y1は、Aの遺産の全てを同被控訴人に相続させることを一貫して主張し、これを前提とする分割協議書に控訴人らの捺印を求め、これに応じない控訴人らを無視してきたものであり、今日まで遺産分割協議が整わなかった原因は、控訴人らの相続権を無視し、真摯な申入れと話合いをしなかった被控訴人Y1の言動にあることは明らかである。

被控訴人Y1は、20年間の営農継続申告に伴う奨励金又は還付金を女性相続人に分けてやるつもりだったと供述し、Dの前記言動はその趣旨であったとも認められないではないが、証人Cの証言によれば、被控訴人Y1はDの右申入れに関与したことを否定しており、結局、被控訴人Y1が具体的な金額を示したり、代償金の説明をした事実を認めることはできないし、仮に被控訴人Y1の意向がそのようなものであったとしても、後記遺産総額と控訴人を含む女性相続人(以下「控訴人ら」という。)の法定相続分に照らし、これが社会通念上相当な遺産分割の申出であるとは到底認め難い。

4  そして、被控訴人Y1は、Aから本件遺言書を受領し金庫内に保管していたが、その存在を認識しながら平成9年までその検認を経ようとしなかったのであるから、右の行為は遺言書を隠したことに該当するというべきである。

被控訴人Y1は、G税理士から、遺言書は公正証書によるものでなければ無効であると言われたため、その存在は認識していたものの、遺産分割に有用なものとは思わず、検認手続をしなかったと主張し、これに沿う乙10及び同被控訴人本人尋問の結果があるが、いやしくも相続税の税務申告にも携わる専門家の税理士が、遺言の方式中最も一般的な自筆証書遺言の効力を否定する発言をしたものとは到底思われず、また、甲10の7ないし23によれば、被控訴人らはAの生前から、贈与を原因としてその所有財産を同被控訴人ら名義ないしX名義に移転登記している事実が認められ、これは相続対策として、A所有財産を被控訴人ら一家のために確保する目的に出たものと認められるから、被控訴人らにおいて遺言書の効力につき無知であったとは考え難い。

前記認定の経緯とこれらの事実によれば、被控訴人Y1は、本件遺言書を使用することなく、わずかな代償財産を控訴人らに与えることにより、全ての遺産を同被控訴人が単独取得することを企図していたものと解され、本件遺言書を隠していた理由は、本件遺言書の記載内容が同被控訴人らにとって有利なものであると確信できなかったことによるものと推認される。

また、被控訴人Y2についても、Aの死亡後、被控訴人Y1から遺言書の存在を知らされた事実が認められるところ(乙10)、受遺者にも民法965条により891条の規定が準用されるから、同被控訴人も客観的には遺言書を隠したものと認める余地があるが、同被控訴人は本件遺言書の保管者とは認められないから、同被控訴人に検認手続をとるべき義務は認められず、本件遺言書を隠したものとは認められない。

5  しかし、被控訴人Y1が本件遺言書を隠した行為があったにしても、本件遺言書の記載内容は前記のとおりAの遺産の全てを被控訴人Y1及び同Y2に相続させるとするもので、右行為はAの遺産にかかる最終的な処分意思を害したものとはいえないから、右行為が相続法上不当な利益を得る目的に出たものといえず、したがって民法891条5号にいう隠匿に該当するとはいえないことに帰する。

なお、控訴人は、被控訴人Y1に本件遺言書の開披があったから本件遺言書の存在を告げなかったことが不当な利益を得る目的に出たことが裏付けられる旨主張し、確かに、同被控訴人が最終的に本件遺言書の検認を求めたのは開披によりその内容を認識したからではないかとの疑いを否定することはできないが、これについても右の判断と同様に、結果として不当な利益を得る目的に出たものといえないことに帰するし、更に、仮に同被控訴人が検認前に開披したとしても、前記認定したように、同被控訴人は、Aの死後10年経過後も控訴人らに対し自己の要求する遺産分割協議書に署名押印を求めていたことに徴すれば、同被控訴人が控訴人の遺留分減殺請求権を消滅させる目的で本件遺言書の存在を告げなかったとは認め難いから、控訴人の右主張は採用できない。

以上から、被控訴人らが相続又は遺贈につき欠格者であるとは認められない。

また、引用にかかる原判決の争点1についての説示のとおり、本件遺言書にその効力を否定すべき点はないから、被控訴人両名は、別紙物件目録1ないし7<省略>の不動産につき遺贈により各2分の1の所有権を取得したものと認められる。

三  争点3について

被控訴人らは、控訴人が被控訴人Y1からの遺産分割の申入れに応じず、相続開始から10年以上分割協議の申し入れもすることなく無視ないし拒否の態度をとり続けたものであるから、民法1042条後段の規定により、遺留分減殺請求権は消滅したと主張し、控訴人は右消滅時効の主張は権利の濫用に当たる旨主張する。

そこで検討するに、前記のように控訴人が主体的に遺産の分割を求める具体的言動をした事実は認められないが、前記二の認定事実によれば、本件では、相続人であり受遺者である被控訴人Y1が、被相続人の死後12年間もの間本件遺言書の存在を隠し、遺言書検認手続をとることなく放置しながら、他方では、自己が遺産の全てを取得せんとして控訴人らに対し、その旨の遺産分割協議書への捺印を強要し、これを拒否した控訴人らをその後無視する態度に出ていたため、控訴人は、自己の遺留分侵害の事実を遺言書検認手続に至るまで知ることができなかったということができる。

そしてこの間、控訴人は、被控訴人Y1の申し出に反対し、遺産分割協議書に捺印しないという行動により自己の相続分を主張していたものと評価することができるところ、被控訴人Y1から真摯な分割協議の申し出がなかったとみられることも前記のとおりである。

しかも、被控訴人Y1は、本件遺言書を隠していたと判断されることは前記のとおりであって、その肝心な理由についても、税理士から無効であると指摘されたなどというおよそ措信し難い弁明をしており、これらの事実を総合勘案すれば、同被控訴人は、自ら検認手続を経ないまま本件遺言書を隠すことにより、控訴人に対し遺留分侵害事実を知る機会を奪ったに等しいと判断される。

他方、前記のとおり控訴人としても積極的に遺産分割審判を求めるなどの行為に出なかった点を指摘することはできるが、これは、要するに遺産の全ての取得を画策し、強要していた被控訴人Y1の意向に対する拒否の意思の表現ともみられるもので、その原因は同被控訴人にあるほか、本件遺言書の検認により自己の遺留分が侵害されたことを知って、直ちに減殺請求をしているのである(甲12の1、2)。右考察した事実関係に鑑みると、控訴人の前記消極的な行動をもって、遺留分減殺請求権又は遺産に関する全ての私法上の請求権が消滅したものとすることは正義・公平の理念に明らかに反するといわなければならない。

以上によれば、被控訴人Y1が遺留分減殺請求権につき消滅時効の援用をすることは権利の濫用に当たり、許されないというべきである。

次に、被控訴人Y2は、本件遺言書の保管者と認められず、受遺者として本件遺言書を隠匿したとまで認められないことは前記判断のとおりであるが、同被控訴人もA死亡後本件遺言書の存在を知らされており、如何なる理由からかは認定できないものの、結果として被控訴人Y1が本件遺言書を隠したことに事実上加担していると認められるから、同被控訴人の消滅時効の援用も権利の濫用に当たるものと判断される。

以上によれば、控訴人の本件遺留分減殺請求は理由がある。

四  争点4について

1  遺留分減殺請求は、相続開始の時点における財産の価額から債務を控除し、一定の贈与の価額を加えて算定した遺留分減殺請求の基礎となる財産価額に遺留分を乗じて算定される(民法1029、1030条)ところ、乙2の1、2によれば、Aの相続開始時点における遺産の価額は3億2,666万3,602円、債務の額は41万1,100円であり、甲10の7ないし23によれば、別紙財産一覧表の登記年月日欄記載のとおり8ないし24の不動産がAの生前に贈与されている事実が認められる。

これによれば、相続開始の1年前以内に贈与がなされた同表16、17及び24の不動産価額を加算すべき贈与額と認めるべきである。

なお、控訴人は同表の他の不動産全部を加算すべき贈与額とすべき旨主張するが、贈与当事者の双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたとの事実は認められない。

2  甲15の1ないし6によれば、平成9年度の固定資産評価額は同表記載のとおりであるところ(同24についてのみ昭和62年度)、その相続時点の価額は不明であるが、同時点における別紙物件目録1ないし7<省略>の不動産の価格は乙2の1、2によれば合計3億2,506万3,602円であり、右平成9年度時点での固定資産評価額(6億2,613万8,280円)との比率から同表16、17及び24の不動産の相続開始時点での価額を求めると998万7,012円となる。

3  以上から遺留分算定の基礎となる価額は、3億2,625万2,502円(相続時の積極財産価額)+998万7,012円(同表16、17、24の相続時価額)=3億3,623万9,514円となり、控訴人の遺留分はその8分の1である4,202万9,939円となる。

前記のとおり、別紙物件目録1ないし7<省略>の不動産の相続開始時点の価額は3億2,506万3,602円であるから、控訴人は、同不動産につき3億2,506万3,602分の4,202万9,939の割合による遺留分権を有し、被控訴人らそれぞれに対し、同目録2ないし7<省略>の土地につきその2分の1である3億2,506万3,602分の2,101万4,969の割合の共有持分移転登記請求権を有する。

五  争点5について

右四の説示のとおり控訴人に遺留分が肯定される以上、判断の必要はない。

六  争点6について

被控訴人Y1は相続税を立て替え支払ったとして、予備的相殺の抗弁を主張するが、そもそも、控訴人が相続税の支払義務を負うに至るのは、同被控訴人作成にかかる相続税の申告書(乙2の2)のとおり遺産相続をした場合であるが、これまで控訴人が右のような遺産相続をした事実がないことは明らかであるほか、前記遺留分の判断は割合的認定に止まり、かつ、同被控訴人から価額弁償の抗弁(民法1041条1項)が援用されている事実もないから、右の主張は理由がない。

第四結語

以上によれば、控訴人の主位的請求及び予備的第1次、第2次請求は理由がないが、同第3次請求は右認定の限度で理由がある。

よって、これと一部異なる原判決を本判決のとおり変更することとして、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 武田多喜子 裁判官 正木きよみ 三代川俊一郎)

<以下省略>

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