大阪高等裁判所 平成13年(ネ)3438号 判決 2002年11月29日
大阪府枚方市<以下省略>
控訴人
X
上記訴訟代理人弁護士
斎藤英樹
同
田端聡
東京都中央区<以下省略>
被控訴人
新光証券株式会社
上記代表者代表取締役
A
大阪府枚方市<以下省略>
被控訴人
Y1
上記両名訴訟代理人弁護士
木村保男
同
的場悠紀
同
川村俊雄
同
中井康之
同
福田健次
同
青海利之
同
飯島奈絵
同
林邦彦
同
大川治
同
森本麻維子
同
柴野高之
同
山本淳
同
野村祥子
同
小関伸吾
主文
1 原判決を次のとおり変更する。
(一) 被控訴人らは,控訴人に対し,各自1171万7213円及びこれに対する平成12年7月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(二) 控訴人のその余の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は第1,2審を通じてこれを2分し,その1を被控訴人らの,その余を控訴人の各負担とする。
3 主文1(一)は仮に執行することができる。
事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
1 控訴人
(一) 原判決を取り消す。
被控訴人らは控訴人に対し,各自2311万7327円及びこれに対する平成12年7月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(二) 訴訟費用は第1,2審とも被控訴人らの負担とする。
(三) 仮執行宣言
2 被控訴人ら
(一) 本件控訴を棄却する。
(二) 控訴費用は控訴人の負担とする。
第2 事案の概要
本件事案の概要は,次のとおり付加,訂正するほか原判決の「事実及び理由」中の「第2 事案の概要」及び「第3 争点」のとおりであるから,これを引用する。
1 原判決2頁20行目の「損害賠償」の次に「(訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を含む。)」を,同24行目末尾の次に「光通信株は,平成14年2月13日には1029円となり,本件株式の時価は10万2900円となったが,控訴人は従前と同額の一部請求をする。」を,同4頁8行目の「買えない。』」の次に「『万一今晩発表がない場合でも3月中にはある。』」をそれぞれ加える。
2 同7頁10行目を次のとおり改める。
「2 損害及び過失相殺
(一) 控訴人
(1) 損害
受渡代金2153万7327円から上記本件株式の時価10万2900円を控除した残額2143万4427円と弁護士費用210万円の合計額2353万4427円が損害となる。
(2) 過失相殺について
控訴人は,堅実な投資意向に基づいて慎重な取引を行っていた顧客であるが,被控訴人Y1が内部情報に基づく断定的判断の提供をし,かつ即断を迫る勧誘行為をし,これにより短時間での決断を余儀なくされたものであり,また損害が具体化した段階においても,控訴人は株式売却の経験が殆どない顧客であるから独力で好機を逃さず売却を行うべき義務はなく,被控訴人Y1から損害拡大を防止するため本件株式を売却するよう勧められていないばかりか,却って同被控訴人から株価の回復を待つよう助言されて,これに従っていたものであるから,控訴人には責任を問われるべき落ち度はなく,過失相殺はすべきでない。
(二) 被控訴人ら
(1) 損害は争う。
(2) 過失相殺について
仮に被控訴人らに不法行為責任及び使用者責任に基づく損害賠償義務があるとしても,控訴人の株式取引に関する知識経験,本件株式買付の経緯などによれば,損害の発生及び拡大については控訴人にも相当な過失があったというべきであるから,大幅な過失相殺がなされるべきである。
第3 争点に対する判断
当裁判所は,控訴人の本件請求は主文の限度で理由があると判断するが,その理由は次のとおりである。
1 争点1(被控訴人Y1の違法行為)について
(一) 本件株式購入の経緯など
証拠(甲3,4,7の2・3,10,12,15,19ないし21,乙2,5,10ないし13,控訴人本人,被控訴人Y1本人)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
(1) 控訴人は最終学歴が高卒の女性(本件当日時45歳)で,職歴としてスポーツ関係のインストラクターをしたことがある程度で,Bと婚姻して以後は主婦として家事労働に従事しており社会経験に乏しかった。控訴人は昭和57年にBと離婚し,昭和61年に同人と再婚して,平成11年8月25日には再度離婚したが,以後もBと同居を継続しており,被控訴人Y1は控訴人とBが離婚した事実を知らなかった。
(2) 控訴人は昭和60年ころ被控訴人会社枚方支店に証券取引口座を開設して公社債などを購入したほか,JR東海などの公募株を長期間保有する目的で購入していた。また控訴人及びBは,平成10年10月ころ,携帯電話などの事業を営むNTT移動通信網(NTTドコモ)株を390万円で各1株購入し,Bは平成11年5月これを売却して約325万円の利益を得たが,控訴人はこれを保有し続けた結果,株式分割により5株となり,本件当日ころその時価合計は約1850万円となっていた。以上のように本件株式買付までの控訴人の投資態度は,堅実な株式などを長期的に保有して利得を得ることを基本としており,これまで株式信用取引などの経験もなかった。
(3) 他方,Bは,控訴人以上に株式取引に関心が強く,株式取引の知識や信用取引の経験が豊富であり,インターネット証券取引をするDLJdirectSFG証券株式会社にも口座を設けており,控訴人も,平成12年初めころ,同証券に口座を設けて父親から相続した平和不動産株,同和火災株を被控訴人会社から移管し,平成12年1月31日に300万円を預託したが,本件当日までの間同口座を利用して株式の売買を行ったことはなかった。
(4) 被控訴人Y1は,平成11年1月被控訴人会社枚方支店に赴任して,控訴人及びBの担当となった。以後控訴人は,平成11年9月9日,被控訴人Y1の勧めでトミー株100株を受渡金額80万0550円で買い付けた。なお控訴人は,それ以外に,同月16日,ジャスコ株1000株を受渡金額202万1525円で買い付け,さらに同月28日,トミー株100株を受渡金額74万3874円で買い付けたが,被控訴人Y1の勧誘によるものではなく,控訴人が,ジャスコ株については店舗の状況や株主優待制度などを,トミー株についてはその知名度などを考慮して,いずれもBに相談することもなく独自の判断で行ったものであった。
(5) 光通信は,携帯電話などの加入手続代理店をしていたほか,衛星放送であるスカイパーフェクトTVの加入手続も業務とする会社で,光通信株は東京証券取引所第1部に上場された銘柄であって,IT関連銘柄として成長が見込まれていた。同株の株価は平成11年10月ころには5万円台であったが,同年11月末ころには15万円から20万円の間を推移し,同年12月には20万円を超えるなど急激に上昇し,平成12年1月中旬には一時15万円台に下落したが,再度値上がりを続けていた。被控訴人Y1は,平成11年7月ころから,Bや控訴人に,過去株式分割により高い投資効果を上げた例として,マイクロソフト,インテル,サンマイクロシステムズなどのインターネット関連会社の事例を説明するとともに,日本ではソフトバンク,グッドウィル,光通信などの会社がこれに類似する旨の話をし,光通信の特徴として,携帯電話を扱う企業として将来性があること,同社社長が将来性のある企業に出資してこれを育成する経営方針で臨んでおり,アメリカの経営者の発想と似ているなどと説明し,光通信株の上昇が話題となった際には,グッドウィル株が20分割をして一時ストップ高になった例があることや,新聞などに大幅株式分割銘柄の候補として光通信株があげられており,アナリストレポートに光通信株が株式分割を検討している旨の記載があったことなどを紹介し,光通信株も株式分割の可能性があり,これによりさらに株価の上昇が見込まれることなどを話した。控訴人は,これらの情報を得て同株に関心を抱き,平成11年12月ころ,売買手数料が比較的安価な被控訴人会社のインターネット取引口座を開設し,主として登録銘柄の株価照会に利用していたが,これを利用した株式取引をするには至らなかった。もっとも,他方では,インターネットなどの情報通信関連株が急騰していることにつき,関連企業数が増えると過当競争が起きることから,インターネット関連株は値動きが激しく,乱高下しやすいなどの指摘が新聞紙上(平成12年1月5日付け毎日新聞)でなされていた。
(6) 被控訴人Y1は,平成12年2月1日ないし3日,控訴人方を訪れ,光通信株の購入を控訴人らに勧誘し,手持ちの株式を売却して購入資金を調達する場合の予算などについて説明した。これに対し,控訴人は関心を示したが,買付の決断をするには至らず,被控訴人Y1が引き続き同株の値動きを控訴人に伝えることになった。本件当日の午前中,被控訴人Y1は,控訴人に電話をし,光通信株の前日終値が19万4000円であったものがさらに値上がりを続けていることを伝え,今日中にも株式分割がされる噂があるなどと告げて勧誘を続けた結果,午後1時7分,控訴人は本件株式の買付を決断して,午後1時9分に買付約定が成立した。
(7) 光通信株は最低単位100株として2153万7327円の買付資金が必要であり,控訴人にとっては本件株式の買付は従前にはない多額の取引ではあったが,控訴人の所有株を処分することにより買付資金を捻出することも可能であったものの,光通信株の株式分割などによる株価上昇を見込んで比較的短期間に同株を売却する予定でいたため,堅実な株式を保留して流動資産を買付資金の一部に充てることとし,NTT移動通信網株のうち,3株を残して2株を売却し,さらに日本電気株1000株,JR東海株1株を売却したほか,生活資金として貯蓄していた約1140万円を買付資金に充てた。なお控訴人は当時他に600万円程度の郵便貯金と,父親から相続した,同和火災株1000株,平和不動産株4000株のほか,トミー株,ジャスコ株など2千数百万円の有価証券類を所有していた。
(8) 結局,本件当日光通信株の株式分割発表はなかったが,控訴人は,平成12年2月7日光通信株の買付不足残代金1140万9580円を被控訴人会社に振込んで支払った。本件当日以後も同株は値上がりを続け,平成12年2月15日に24万円台となり,同年3月初めまでは20万円台で推移したが,それ以降は急落し,同月半ばには10万円台を割り,さらに同年5月半ばころには1万円台を割り,平成14年2月13日には1029円となり,本件株式の時価は10万2900円となった。
(二) 適合性原則違反について
前記認定の控訴人の従前の株式取引状況,資産の内容程度,光通信株が東京証券取引所第1部上場銘柄の現物株であることなどの事情に照らせば,被控訴人Y1が控訴人に対して同株式の購入を勧誘したことが適合性原則に違反するとまではいえず,控訴人のこの点の主張は採用できない。
(三) 断定的判断の提供,虚偽又は誤解を生ぜしめる表示について
(1) 被控訴人Y1の勧誘文言
控訴人は,被控訴人Y1が本件当日突然控訴人に電話したうえ,「光通信が株式分割を行う見込みです。」,「アナリストがC社長に会って確認している。」,「株式分割の予定は,今日の夜から夕方にかけて発表される。」,「あっと驚く分割で,グッドウィルのように20分割も考えられる。」,「決心がつきましたか。」,「今晩分割が発表されると,月曜はストップ高で買えない。」,「万一今晩発表がない場合でも3月中にはある。」などと述べて,光通信株の購入を勧めたと主張し,甲11,19,20,控訴人本人にはこれに沿う供述記載及び供述がある。そして上記証拠に甲15(録音テープ反訳録)の会話内容を総合すると,被控訴人Y1は,本件当日控訴人に対し,「噂によれば,光通信が今日株式分割の発表をするボルテージが一番高い,グッドウィル株が20分割した時は,値が吹いて分割の翌日は買えない状況になった,光通信株も次の月曜日は値が吹いて購入できないかもしれない。」旨の文言で勧誘をしたことが認められる(被控訴人Y1本人の供述には,「グッドウィル株が20分割してストップ高になった話は,平成11年11月ころにしたが,本件当日はしていない。」旨の部分があるが,上記甲15の会話によれば,本件当日被控訴人Y1がグッドウィルの例を出したことを認めており,上記供述部分は措信できない。)。それ以外の控訴人主張にかかる「アナリストがC社長に会って確認している。」,「万一今晩発表がない場合でも3月中にはある。」旨の発言があったかについては,甲15の会話中で被控訴人Y1がこれを認めた部分はないことに照らして,上記証拠はすぐには採用できず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。
(2)① 証券取引は,投資者が自己の判断と責任において行うべきものであるが,証券取引の勧誘に当たって,価格が騰貴することの断定的判断を提供したり,取引の重要な事項について虚偽の表示や誤解を生じさせる表示を行うことは,投資者の冷静な判断を誤らせる危険が大きく,投資者の自己責任の原則の基礎を損なうものとして,いずれも証券取引法上禁止されている(証券取引法42条1項1号,9号,証券会社の行為規制等に関する内閣府令4条1号)のであって,その場合,個々の顧客の年齢性別,知識経験,社会的地位,当該取引の危険度,勧誘文言の具体性の程度など諸般の事情を総合して,当該勧誘行為が取引の危険性につき顧客が正しい認識を形成することを妨げたものであれば,社会的相当性を逸脱し違法というべきであり,不法行為が成立すると解するのが相当である。
② 本件においては,上記のとおり,被控訴人Y1が控訴人に,アナリストがC社長に会って株式分割の予定を確認した旨の情報を提供した事実は認められないから,同被控訴人が控訴人が主張する虚偽の情報などを表示したとはいえない,しかしながら,(ア)控訴人は,主婦であり,特段の社会経済的知識経験はなく,Bともども株式取引を行い,株式情報にも関心を持ってはいたが,Bが信用取引の経験があって投資経験が豊富であるのに対し,控訴人は,Bとは異なり,専ら余裕のある資産の範囲内で現物取引をし,しかもこれを長期間保有して資産を形成する取引志向を有していて,特に株式を短期で売却して転売差益を得る投機的志向は乏しかったこと,他方光通信株は当時急騰していたものの,乱高下のおそれも指摘されていた株で,その買付金額も控訴人の従前の取引額と比較して極めて多額であって,控訴人の資産全体の相当部分を占めていること,(イ)控訴人はBと離婚後も同人から助言を得て取引をすることは可能な状態にあったとしても,本件株式の購入に関しては,Bから具体的助言を得ていたことは証拠上認められないこと,(ウ)本件当日以前から光通信株の上昇は被控訴人Y1,控訴人,B間で話題になっており,控訴人が同株に関心を抱いていたとしても,本件当日前にこれを購入する意向を固めていたとは証拠上認め難く,本件当日の被控訴人Y1の勧誘行為によって同株の買付を決断したとみられること(控訴人が本件当日の被控訴人Y1の勧誘行為以前に本件株式買付の意向を固めていたのであれば,同被控訴人において,敢えて噂では同日中に株式分割の発表がある旨の発言をする必要性はないとみられる。),(エ)被控訴人Y1の勧誘文言は上記のとおりであり,本件当日数回にわたり控訴人に電話で勧誘をしたうえ,噂であること(なお噂の出所について,被控訴人Y1は他の営業マンに聞いた旨を供述するのみで,その根拠は乏しいものであった。)を前提とするものであるにしても,当日中に株式分割の発表がある可能性が極めて高いことと,グッドウィル株の例を引き合いに出して,当日購入しないまま株式分割があった場合には,次の取引日に購入することは最早不可能になるなど具体的情報を告げて,控訴人に早期の決断を迫ったものであり,以上の点からすれば,投機的取引の経験に乏しい控訴人は,被控訴人Y1の本件当日ないし近日中に株式分割があるとの情報を信じて,本件株式を購入したものであって,被控訴人Y1が確実な内部情報であるとまでは告げていないにしても,控訴人がこれを信じたのも無理からぬ状況にあったというべきであるから,同被控訴人の上記勧誘行為は具体的情報による断定的判断の提供をし,顧客である控訴人の自由かつ自主的な判断を妨げたものとして違法といわざるを得ない。
③ 確かに,控訴人は,結局本件当日に光通信株分割の発表がなかったにもかかわらず,後日本件株式購入残代金を支払い,その後も平成12年3月ころ株価が下落するまで被控訴人Y1に株式分割がなかったことにつき格別抗議をしていないことが認められる(被控訴人Y1,控訴人各本人)が,被控訴人Y1は本件当日の翌日ころ控訴人に電話で「株式分割はなかったが,株価は下落していないので心配はない」旨の釈明をしている(甲15)ことや,被控訴人Y1が3月中には株式分割があると告げた事実は証拠上認められないものの,同被控訴人の上記発言は本件当日でなくとも近日中に株式分割があるとの趣旨を含むものとみられ,控訴人も光通信株の推移から安心していたとみられるのであって,上記抗議がないことをもって,控訴人の本件株式購入の動機が株式分割にはないということはできない。
(3) 以上のとおりで,被控訴人Y1の勧誘は,不法行為を構成し,同被控訴人は民法709条により,被控訴人会社は民法715条により,それぞれ控訴人が本件株式購入により被った損害を賠償すべき義務がある。
2 争点2(損害及び過失相殺)について
(一) 損害
前記のとおり,光通信の平成14年2月13日時点における株価は1029円であり,同100株の時価は10万2900円となるから,本件株式購入による支出である2153万7327円から同金額を控除すると2143万4427円が損害となる。
(二) 過失相殺
前記事実によれば,控訴人は株式取引の経験はあり,従前自己の調査などで自主的に株式売買を決定していたもので,勧誘にあたる証券会社員の勧誘文言が必ずしも確実なものではないことを知り得た筈であるにもかかわらず,噂では本件当日光通信の株式分割発表がある旨の被控訴人Y1の勧誘を,その具体的根拠が乏しいにもかかわらず安易にこれを信用した落ち度があり,また本件株式買付後平成12年2月15日には同株が高値を記録したものの,同年3月上旬以降急落した時点においても,被控訴人Y1から株価が回復するのを待って売却した方が良い旨の助言を受けて,これを鵜呑みにし,損害拡大防止の措置をとる機会を自ら逸した(被控訴人Y1,控訴人各本人)のであり,これら事情を考慮すると,控訴人の損害につき5割の過失相殺をするのが相当である。上記損害額から同割合の過失相殺減額をすると残額は1071万7213円となる。
(三) 弁護士費用
上記認容額,本件事案の内容,難易,その他の諸事情を考慮すると,相当因果関係のある弁護士費用としては100万円が相当と認める。
(四) 以上を合計すると,1171万7213円となる。
第4 以上によれば,控訴人の本件請求は,上記の限度で理由があるから認容すべきであり,その余は理由がないから棄却すべきである。よってこれと異なる原判決を上記認定のとおり変更することとし,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 武田多喜子 裁判官 小林秀和 裁判官松本久は転補のため署名押印できない。裁判長裁判官 武田多喜子)