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大阪高等裁判所 平成13年(ネ)708号 判決 2001年11月28日

主文

1  原判決を次のとおり変更する。

2  被控訴人は,控訴人Aに対し,金347万1081円及び内金317万1081円に対する平成7年10月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

3  被控訴人は,控訴人Bに対し,金19万6911円及びこれに対する平成7年10月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

4  控訴人らのその余の請求をいずれも棄却する。

5  訴訟費用は,第1・2審を通じてこれを10分し,その1を被控訴人の負担とし,その余を控訴人らの負担とする。

6  この判決は,控訴人ら勝訴の部分に限り仮に執行することができる。

事実

第1当事者の求める裁判

1  控訴の趣旨

(1)  原判決を取り消す。

(2)  被控訴人は,控訴人Aに対し,金4790万2467円及び内金4390万2467円に対する平成7年10月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

(3)  被控訴人は,控訴人Bに対し,金164万6911円及びこれに対する平成7年10月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

(4)  訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。

(5)  仮執行の宣言

2  控訴の趣旨に対する答弁

(1)  本件控訴をいずれも棄却する。

(2)  控訴費用は控訴人らの負担とする。

第2当事者の主張

1  控訴人らの主張

(1)  本件交通事故の発生(以下「本件事故」という。)

ア 発生日時 平成7年10月8日午前10時30分ころ

イ 発生場所 大阪府河内長野市D.a番地先路上

ウ 被害車両 控訴人A(以下「控訴人A」という。)が運転し,控訴人B(以下「控訴人B」という。)が同乗していた普通乗用自動車(和泉53りbcde)

エ 加害車両 被控訴人が保有し,運転していた普通乗用自動車(和泉53とfghi)

オ 事故態様 信号機によって交通整理がされている三叉路交差点において,信号待ちのため停止線で停止していた被害車両に,北東から南東に左折しようとした加害車両が正面から衝突した。

(2)  責任原因

被控訴人は,上記のように左折しようとした際加害車両の運転を誤った過失があり,並びに加害車両を保有し自己のために運転の用に供していた。

(3)  控訴人らの受傷

控訴人らは,本件事故により次のような傷害を受けた。

ア 控訴人A

全身打撲症,頭部外傷,右肘・両膝打撲挫傷,頚椎捻挫,外傷性頚椎骨軟骨症,外傷性膝蓋骨軟化症,右眼結膜下出血,両眼調節障害,顔面瘢痕拘縮,両膝拘縮等

イ 控訴人B

身体的には胸部擦過傷程度であったが,精神的ショックを受け,本件事故後は不眠傾向となり夜泣きが止まらず,神経症状による病気が多発した。

(4)  控訴人らが受けた治療

ア 控訴人A

あ 入院(合計35日間)

① E病院 平成7年10月8日から同月11日まで及び同月19日から同年11月6日まで(合計23日間)

② F大学医学部付属病院(以下「F病院」という。)形成外科平成8年5月2日から同月13日まで(12日間)

い 通院

① G眼科 平成7年10月11日から平成10年10月18日まで(実日数37日間)

② E病院 平成7年10月12日から同月18日まで及び同年11月8日から平成10年11月2日まで(実日数485日間)

③ F病院整形外科 平成7年10月16日から平成8年7月8日まで(実日数8日間)

④ F病院脳神経外科 平成7年10月16日から平成10年10月23日まで(実日数103日間)

⑤ H記念病院 平成7年10月19日から平成8年10月1日まで(実日数2日間)

⑥ F病院口腔外科 平成7年10月23日から平成8年1月22日まで(実日数5日間)

⑦ I整骨院 平成7年12月2日から同月27日まで(実日数5日間)

⑧ F病院形成外科 平成7年12月6日から平成8年8月26日まで (実日数10日間)

⑨ J診療科 平成8年1月12日から平成10年3月13日まで(実日数13日間)

⑩ F病院耳鼻咽喉科 平成8年2月20日から同年3月18日まで(実日数4日間)

⑪ F病院皮膚科 平成9年9月15日から平成10年2月18日まで(実日数3日間)

⑫ K総合病院眼科 平成10年4月24日から同年7月22日まで(実日数5日間)

⑬ K総合病院脳外科 平成10年4月24日から同年7月22日まで(実日数4日間)

⑭ L整形外科 平成10年6月8日から同年7月21日まで(実日数10日間)

⑮ M医療センター整形外科・産婦人科 平成10年4月30日から同年7月13日まで(実日数4日間)

他に,N鍼灸療院・P漢方薬店・O薬局・Q整骨医院・G眼科・R健康センター・F大学東洋医学研究所等において治療を受けた。

イ 控訴人B

あ 入院(4日間)

E病院小児科 平成7年11月24日から同月27日まで(実日数4日間)

い 通院

① E病院小児科 平成7年10月9日から同年11月17日まで及び同年12月4日から平成9年3月31日まで(実日数31日間)

② F病院 平成7年11月6日,平成9年3月14日,同年4月18日,平成10年10月16日

(5)  控訴人らの損害

ア 控訴人A

あ 原判決別表1請求額欄記載の平成10年2月28日までの治療費・交通費・家政婦代金等 409万8009円

い その他の治療費 21万1050円

う 入院雑費 4万5500円

1日あたり1300円の35日分

え その他の通院交通費 4万6420円

お その他の通院補助費 31万0250円

控訴人Aが通院する際,控訴人Bを預けた費用

か 免許証再発行費用 3500円

本件事故の際免許証を紛失したことによる損害

き 入通院慰謝料 216万円

控訴人Aが本件事故により受けた傷害及びその治療のために要した入通院期間等によれば,控訴人Aに対する慰謝料は216万円が相当である。

く 後遺症慰謝料 819万円

控訴人Aには,神経系統の機能又は精神に障害を残し,服することのできる労務が制限され(自賠法施行令別表第9級該当),顔面と両膝に瘢痕拘縮があり(同第12級該当),両眼の眼球に著しい調節機能障害を残す(同第11級該当)後遺症があり,これは併合8級に該当するから,このような後遺症が残存することによる慰謝料は819万円が相当である。

け 逸失利益 3241万1341円

控訴人Aは昭和37年7月2日生で本件事故当時満33歳の女子であり,その就労可能年数は34年間であって,その間平成7年賃金センサス産業計・企業規模計・33歳の女子労働者の平均賃金368万3400円を下らない収入を得ることができた筈であるところ,前記後遺症によりその労働能力を45パーセント喪失したから,67才に達するまでの得べかりし利益から,新ホフマン方式により年5分の割合によりその間の中間利息を控除してその現価を算出すると,3241万1341円となる。

(算式)3,683,400×0・45×19・5540=32,411,341

イ 控訴人B

あ 治療費 9万6911円

い 通院慰謝料 155万円

控訴人Aが通院し,家政婦や保育所などに預けられたため,精神病質的に育ったから,控訴人Bに対する慰謝料は155万円が相当である。

ウ 弁護士費用 400万円

控訴人Aは,控訴人ら訴訟代理人に対して,弁護士費用として上記金額を支払うことを約した。

(6)  過失相殺について

控訴人Aが本件事故当時座席ベルトを着用していなかったことは認めるが,停止中であるからこれを着用すべき義務はないし,頚椎捻挫は当初の衝撃よりもその反動によって受傷することが多いのであるから,シートベルト不着用が受傷に影響したとはいえない。したがって,控訴人Aがシートベルトを着用していなかったことによって過失相殺をすべきではない。

(7)  被控訴人等による支払について

ア 控訴人Aは,訴外W海上火災保険株式会社(以下「W海上火災保険」という。)から通院交通費,家政婦代,控訴人Aが通院中の控訴人Bの子守代等として合計357万3603円の支払を受けた。

イ 上記(5)アあの治療費のほか,W海上火災保険が控訴人Aが治療を受けた上記病院等に対し治療費610万9151円を支払ったことは認める。

(8)  よって,被控訴人に対し,控訴人Aは,上記損害額合計5147万6070円のうち既に支払を受けた357万3603円を控除した金4790万2467円及び内金4390万2467円に対する本件事故当日である平成7年10月8日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,控訴人Bは,上記損害額合計金164万6911円及びこれに対する同日から支払済みまで同率の遅延損害金の支払を求める。

2  被控訴人の認否及び主張

(1)  控訴人らの主張(1)について

認める。

(2)  同(2)について

認める。

(3)  同(3)について

ア 同アについて

おおむね認めるが,すべての受傷が本件事故と因果関係を有するわけではない。すなわち,本件事故と因果関係を有する症状に対する治療期間は長くとも3か月程度である。また,控訴人Aは椎間板ヘルニアの既往症を有しており,25パーセントの寄与率減額がされるべきである。さらに,その症状の多様性及び長期化については,心因的なものが大きく与っている。

また,控訴人Aの症状固定日は,E病院分については平成10年10月23日であり,F病院分については同月12日である。

イ 同イについて

すべて争う。

(4)  同(4)について

ア 同アについて

あ 同あについて

E病院については認める。F病院については争う。ただし,いずれも因果関係を有するのは長くとも3か月程度であり,仮にそうでないとしても症状固定日までの分である。

その余の治療については因果関係を否認する。

い 同いについて

争う。

イ 同イについて

争う。

(5)  同(5)について

ア 同アについて

すべて争う。後遺障害の残存があっても14級程度である。

イ 同イについて

すべて争う。

ウ 同ウについて

知らない。

(6)  過失相殺

控訴人Aは,本件事故当時,座席ベルトを着用しないまま,運転席で地図を見ており,そのため本件事故の衝撃によりその身体が前方に投げ出され,フロントガラスに頭部をぶつけるなどしたために受傷した。このように控訴人Aがシートベルトを着用していなかったことが損害発生の一因であったから,シートベルトを着用しなかった過失により,少なくとも30パーセントの過失相殺をすべきである。

(7)  被控訴人等の支払額について

控訴人Aは,本件事故によって受けた損害について次のとおり合計1014万5604円の支払を受けた。

ア 治療費

あ W海上火災保険が直接医療機関に対して支払ったもの 609万8851円

い 控訴人Aに対して支払ったもの 20万5944円

イ 通院交通費,通院補助費等

あ 東京海上火災が支払ったもの 333万0509円

い 被控訴人が支払ったもの 50万0000円

ウ Sリサーチに支払った分 1万0300円

第3証拠

本件記録中の書証及び証人等目録記載のとおりであるから,これを引用する。

理由

1  控訴人らの主張(1)及び(2)は,当事者間に争いがない。

2  控訴人Aの受傷及び後遺症について

(1)  控訴人Aの受傷及び治療について

ア  証拠(甲2ないし13,乙1ないし20)によれば,控訴人Aが本件事故後受けた入・通院治療及び診断並びにその間の状況等は,以下のとおり認められる。

あ E病院

同病院における入院期間は,控訴人らの主張(4)アあ①のとおりであり(この点は争いがない。),通院期間は平成7年10月12日から平成10年8月24日まで(実日数488日間)であり,同病院における診断は,事故直後は頭部外傷,右肘・両膝打撲兼挫傷,頚椎捻挫,前額部外骨腫,右肋軟骨骨折の疑いであった。控訴人Aは,27才位から前頭部外骨腫があったが,本件事故で前頭部を打撲後,前頭部外骨腫が徐々に増大し,平成7年10月12日ころの大きさは,1・5センチメートル×1・2センチメートルであった。同年同月26日,さらに肥厚性瘢痕,腰部痛,背部痛,両側胸部痛の診断が加えられた。同年12月7日には自律神経障害と診断された。同病院で治療を受けている間,頭痛,頚部痛,眩暈,耳鳴りが持続し,平成8年2月から嘔吐があり,退院後同病院では主に物理療法による治療がなされた。なお,控訴人AがE病院に入・通院中に受けた諸検査及びその結果は後記のとおりである。

い G眼科

同病院における通院期間は,控訴人らの主張(4)アい①のとおりであり,同病院において,平成7年10月24日の検査では右視力1・5,左視力1・2であり,同年12月1日の検査では両眼とも0・8であり,平成8年12月14日の検査では両眼とも0・6であり,前眼部,中間透光体,眼底に異常は認められなかった。

う F病院整形外科

同病院における通院期間は,控訴人らの主張(4)アい③のとおりであり(ただし,実通院日数は2日),同病院において,平成7年10月16日頚部等のレントゲン撮影を受け,その結果,頚椎前弯,第3と第4,第4と第5,第5と第6,第6と第7の各椎板間の狭窄があり(第6と第7の椎板間の狭窄はいくらか狭い程度),これらは,外傷によるものではなく,先天的素因と経年による変性と診断された。また,同日に施行されたアレンテスト,ジャクソンテスト,スパーリングテスト,イートンテスト,上腕二頭筋腱反射,上腕三頭筋腱反射,腕捷骨筋反射の各検査はすべて異常なく,平成8年5月16日に施行されたジャクソンテストも異常がなかった。

え F病院脳神経外科

同病院における通院期間は,控訴人らの主張(4)アい④のとおりであり(ただし,実通院日数は98日),同病院における診断は,平成7年10月16日から頭部打撲,同月23日から片頭痛,同年11月13日から神経症及び頚部筋膜炎,平成8年2月6日から眩暈症(メニエル病の疑い),同年7月22日から左座骨神経末梢神経障害,同月29日から高脂血症であり,以上の傷害等は平成9年8月22日に治癒し,平成8年10月21日から平成9年3月7日まで感冒症候群及び関節炎で治療を受けた。さらに,同年9月5月以後順次扁頭炎,頚肩腕症候群,ストレス性胃炎,末梢神経障害で短期間の治療を受け,平成10年1月に内耳性めまい,頭痛,同年2月に急性胃炎の治療を受けた。同病院において,当初デパス,ミオナール,セルベックス等,その後メチコバール,ユベラ,セファドールの投薬治療を受けた。また,同病院における検査では,眼球運動は左右正常,対光反射は左右正常であり,また,平成7年10月18日に施行された脳波検査の結果は正常範囲であり,同年12月4日には不定愁訴が多いとされ,同月25日には体調が良く,クリスマスパーティーに参加すると述べた。

お H記念病院

同病院における通院期間は,控訴人らの主張(4)アい⑤のとおりであり,同病院においてMRI検査を受けた。同検査によれば,第2と第3,第3と第4,第4と第5,第6と第7の各椎間板に軽度後方突出があって,椎間板ヘルニアであり,第5と第6の椎間板には強度の後方突出があり,また,第4と第5,第5と第6の各頚椎間は狭窄があった。

か F病院口腔外科

同病院における通院期間は,控訴人らの主張(4)アい⑥のとおりであり,同病院における診断は,左側外傷性顎関節炎である。

き I整骨院

同整骨院における通院期間は,平成7年12月2日から同月19日まで(実日数5日)であり,同整骨院の診断は,顎間接打撲脱臼捻挫,肩関節打撲脱臼捻挫,頚部打撲捻挫,腰部背部打撲捻挫で,頚部の整復矯正,脊椎のS字矯正法等の処理を受けた。

く F病院形成外科

同病院における入院期間は,控訴人らの主張(4)アあ②のとおりであり,通院期間は平成7年12月6日から平成10年10月12日まで(実日数11日)である。同病院における診断は,入院時は前頭部外骨腫,顔面瘢痕拘縮であり,退院後の通院中はこれに加え,両膝瘢痕拘縮,顔面肥厚性瘢痕であり,平成8年5月7日に頭蓋骨腫瘍(外骨腫)切除術及び顔面瘢痕形成術を受けた。同手術時における外骨腫は直径約1センチメートルであった。

け J診療科

同診療科における通院期間は,控訴人らの主張(4)アい⑨のとおりであり,同病院における診断は,仙腸関節炎,第1肋骨-椎骨機能不全である。

こ F病院耳鼻咽喉科

同病院における通院期間は,控訴人らの主張(4)アい⑩のとおりであり(ただし,実通院日数は3日),同病院における検査及び診断では,聴力は正常範囲,平成8年2月20日に行われた検査では,ロンベルグ徴候はマイナス,眩暈及び嘔吐なく,同年3月12日に行われた検査では,ロンベルグ徴候はプラス(後方),眩暈があった。

さ F病院皮膚科

同病院における通院期間は,控訴人らの主張(4)アい⑪のとおりであり,同病院における診断は,脱漏性角化症,色素性母班(足底)である。

し K総合病院眼科

同病院における通院期間は,控訴人らの主張(4)アい⑫のとおりであり,同病院における診断は,両屈折調節異常,眼精疲労である。

す K総合病院脳外科

同病院における通院期間は,控訴人らの主張(4)アい⑬のとおりであり,同病院における診断は,外傷性頚部症候群である。

せ L整形外科

同病院における通院期間は,控訴人らの主張(4)アい⑭のとおりであり,同病院における診断は,外傷性頚椎捻挫,頭部外傷,腰背部痛である。

そ M医療センター整形外科・産婦人科

同病院における通院期間は,控訴人らの主張(4)アい⑮のとおりであり(ただし,実通院日数は5日),項筋痛,子宮頚部びらんである。

た F病院東洋医学研究所

同病院で平成8年3月8日から平成10年12月2日まで通院し(実通院日数は150日),自覚症状である頚部痛,頭痛,悪心等に対してはり治療を受けた。

ち その他,T治療院,U鍼灸院,N鍼灸療院,V接骨院,R健康センターで鍼灸等の治療を受けた。

イ  本件事故と控訴人Aの傷害との間の因果関係について

あ 以上認定の事実によれば,控訴人Aは,本件事故により,頭部外傷,頚椎捻挫,右肘・両膝打撲兼挫傷,前額部外骨腫,肋骨不全骨折,両側胸部痛,腰部痛,背部痛,調節障害(両眼)の傷害を受け,その後頚肩腕症候群及び肥厚性瘢痕を発症し,頚部痛,頭痛,眩暈等が生じたこと,もっとも,控訴人Aには,上記のとおり第2と第3,第3と第4,第4と第5,第6と第7の各椎間板に軽度後方突出があり,第5と第6の椎間板には強度の後方突出があり,また,第4と第5,第5と第6の各頚椎間は狭窄しており,これら症状は,先天的素因と経年による変性であって,本件事故に起因するものではなく,そして,このような頚椎の変性は本件事故後の控訴人Aの症状を拡大・存続させた一因であると認められる。

ところで,前記のように控訴人Aは本件事故後多数の病院で治療を受け,E病院においては,平成7年12月7日に自律神経障害と診断され,証拠(乙1,10)によれば,平成7年11月13日,控訴人AはF病院脳神経外科で,家庭内が余りうまくいっていないので精神的ダメージが大きいと述べ,同年12月18日,E病院では,控訴人Aに精神科あるいは神経科で受診することを勧めたことが認められ,また,後記のようにF病院脳神経外科では,頚椎捻挫に起因すると思われる外傷性頚部症候群に加え抑うつ状態や神経症と思われる精神症状もみられると診断しており,控訴人Aには他覚的所見に乏しい。そうすると,控訴人Aの上記諸症状には心因的要素が寄与していると認めうるけれども,上記アに掲記の証拠に照らすと,控訴人Aの上記症状が専ら心因性反応にだけ基づくとまで認めることはできず,他に同事実を認めるに足りる証拠はない。

い そこで,本件事故と控訴人Aの上記傷害及び症状との間には相当因果関係があると認められるが,控訴人Aの症状は他覚的所見に乏しく自覚的症状を主とし,心因的要素が寄与しているとともに上記頚椎の変性がこのような症状が拡大・存続した一因であることに鑑みると,本件事故に因る傷害及び後遺症に基づく控訴人Aの損害賠償額を定めるに当たっては,民法722条2項の過失相殺の規定を類推適用して,これら事情を斟酌することとし,その損害額の25パーセントを減額するのが相当である。

なお,控訴人AがM医療センター産婦人科で受けた治療は,前記のような同産婦人科の診断及び上記アに認定の事実に照らし,本件事故による傷害に対するものと認めることはできない。

(2)  控訴人Aの後遺症について

ア  頭部外傷,頚椎捻挫による後遺症

あ 証拠(乙1,16)によれば,E病院に入院中,平成7年10月19日以後外出可能となり,同病院において,平成7年10月13日にジャクソンテスト,同年11月2日にジャクソンテスト,頚部可動域,上腕筋及び三頭筋腱反射の各検査,同年12月4日に腰椎,胸椎,両側肋骨のレントゲン撮影,平成8年1月4日にジャクソンテスト,頚部可動域,上腕筋及び三頭筋腱反射の各検査,同年年2月22日に上腕二頭筋腱反射,上腕三頭筋腱反射,腕捷骨筋反射の各検査,同年3月14日にジャクソンテスト,ホフマンテスト,トレムナーテスト,上腕二頭筋腱反射,上腕三頭筋腱反射,腕捷骨筋反射の各検査,同年6月6日にジャクソンテスト,同年9月28日にジャクソンテスト,ホフマンテスト,トレムナーテスト,上腕二頭筋腱反射検査,同年11月14日に頚部可動域及び腱反射の各検査,同年12月5日に頚部可動域,腕二頭筋腱反射,上腕三頭筋腱反射,腕捷骨筋反射の各検査,同年12月12日に上腕二頭筋腱反射,上腕三頭筋腱反射,腕捷骨筋反射の各検査,平成9年1月9日に上腕二頭筋腱反射,上腕三頭筋腱反射,腕捷骨筋反射の検査,同年2月27日に上腕二頭筋腱反射,上腕三頭筋腱反射,腕捷骨筋反射の各検査,同年4月2日にアレンテスト,ジャクソンテスト,スパーリングテスト,イートンテスト,上腕二頭筋腱反射,上腕三頭筋腱反射,腕捷骨筋反射の各検査が行われたが,すべて異常なく,なお,平成8年1月12日付けで神経学的には,異常所見なしとの診断がなされ,平成10年1月14日付けL整形外科宛の紹介・診療情報提供書には,頚部,肩胛部,肩胛間部に圧痛があり(ただし,スパーリングテスト,イートンテスト等は異常なし),左側の上腕神経叢圧痛,斜角筋圧痛が認められ,頚・腰部,背部痛,頭痛,眩暈が顕著であると記載されている。そして,同病院は,控訴人Aの後遺症について,症状は平成10年10月23日に固定し,その自覚症状は,毎朝首,背中,腰等に神経痛のような痛み,頭痛,眩暈があるなどであり,他覚症状は,イートン検査を除いて,スパーリング,ラセーグ,ホフマン等他の検査ではほぼ異常が認められないと診断している。

い F病院脳神経外科において,前記のように,控訴人Aが平成7年10月18日に受けた脳波検査の結果は正常範囲であり,同控訴人は同年12月4日には不定愁訴が多いとされ,同月25日には体調がよく,クリスマスパーティーに参加すると述べた。そして,証拠(甲8,乙10)によれば,F病院脳神経外科における診断では,控訴人Aの後遺症は頚椎捻挫・緊張性頭痛であり,平成10年10月2日に固定し,その自覚症状は,頑固な頭痛,頚部痛,頭重感,動揺感などの頚椎捻挫に起因すると思われる外傷性頚部症候群を呈し,これに加えて,抑うつ状態や神経症と思われる精神症状もみられ,他覚症状は,平成7年10月18日に施行した脳波検査では異常を認めず,頚椎捻挫に起因した抑うつ症状や神経症などの精神症状が本症例の場合主症状となっており,神経系統の機能又は精神に障害を残し服することができる労務が制限されていると診断している。

う 前記のとおり,控訴人AはF病院整形外科で平成7年10月16日に行われたアレンテスト,ジャクソンテスト,スパーリングテスト,イートンテスト,上腕二頭筋腱反射,上腕三頭筋腱反射,腕捷骨筋反射の各検査はすべて異常なく,平成8年5月16日に行われたジャクソンテストも異常がなかった。

え 甲13によれば,F大学東洋医学研究所は,控訴人Aの自覚症状は項部痛,頭痛,悪心,視点不確定,不眠,肩こり等であり,自覚症状に対応してはり治療を継続し,一時的には効果が認められるものの,症状は固定しており,症状固定時期は平成10年10月2日と診断していることが認められる。

お 以上の事実によれば,控訴人Aには,頭部外傷及び頚椎捻挫に起因する後遺症として,頭痛,頚部痛,眩暈,頭重感,抑うつ症状等の症状が残存しており,その固定時期は平成10年10月2日であると認められる。しかし,他覚的所見としては,諸検査による結果はすべて異常がないから,控訴人Aの後遺症は自覚症状を主症状とし,神経症状を含むものであると解される。そこで,これら症状が顕著な時もある等上記のような症状の内容及び程度に照らすと,控訴人Aの同後遺症は,局部に頑固な神経症状を残すものとして,自賠法施行令別表第12級に該当するものと認められる。

イ  視力障害の有無について

乙12によれば,控訴人Aは,本件事故の際両眼は打撲していないと認められ,そして,前記のように眼球運動及び対光反射とも左右正常であり,同控訴人の視力は,本件事故直後の平成7年10月24日に右眼1・5,左眼1・2であったものが,同年12月1日に両眼とも0・8となり,さらに平成8年12月14日に両眼とも0・6となるなど約1年間にわたって徐々に減退したものであり,そして,前眼部,中間透光体,眼底に異常は認められないことからすると,視力の低下が本件事故と因果関係があると認めることはできない。なお,甲12によれば,自覚症状として両眼痛があると認められるけれども,上記事実及び前記アの事実に照らすと,両眼痛は上記頭痛等とともに頭部外傷,頚椎捻挫に起因するものと認められる。

ウ  顔面部及び膝の瘢痕拘縮について

甲11によれば,F大学形成外科において,控訴人Aの顔面部に3センチメートル,2センチメートル及び1・5センチメートルの瘢痕拘縮,片膝に8センチメートル,他の膝に7センチメートルの各瘢痕拘縮が認められ,その症状固定時期は平成10年10月12日であると認められる。

エ  なお,甲10によれば,F病院口腔外科において,控訴人Aには,自覚症状として,左顎関節部に違和感,開口障害,左頬部腫脹があるが,他覚的には自覚症状に相応する症状が認められないと診断されていることが認められるので,上記自覚症状だけでは,控訴人Aに後遺症があると認めることはできない。

3  控訴人Aの損害について

(1)  治療費 631万9895円

ア  証拠(乙23の①②)及び弁論の全趣旨によれば,被控訴人及びW海上火災保険は,控訴人Aの治療費として,病院等に609万8851円,同控訴人に20万5944円,合計630万4795円を支払い,その中には,T治療院に対する治療費合計4万8000円,J診療科に対する治療費3万2000円が含まれていることが認められる。しかし,控訴人Aが上記各病院の治療を受けるほかにT治療院及びJ診療科で治療を受ける必要があったと認めるに足りる証拠はないから,本件事故と相当因果関係がある治療費は,630万4795円からT治療院とJ診療科の治療費合計8万円を控除した622万4795円であると認められる。

イ  証拠(甲14の①ないし⑬,⑰,<24>,<28>,<29>,<31>ないし<46>,<48>ないし<52>)によれば,控訴人Aは,上記ア以外の治療費として,G眼科医院に1620円,E病院に3万2390円,F病院に4万7420円,O薬局に1万3670円,合計9万5100円を支払ったことが認められる。

なお,証拠(甲14の⑭ないし⑯,⑱ないし<23>,<25>ないし<27>,<30>,<47>)によれば,控訴人Aは,N鍼灸治療院,P漢方薬局,U茂(U鍼灸院),V接骨院,R健康センターで鍼灸施術を受けあるいは漢方薬を買ったことが認められるけれども,上記病院における治療以外にこれら治療及び漢方薬が必要であったことを認めるに足りる証拠はない。したがって,これら費用は,本件事故と相当因果関係がある損害と認めることはできない。

(2)  入院雑費 4万5500円

前認定のとおり入院日数は35日であるから,1日1300円の割合による入院雑費は合計4万5500円となる。

(3)  通院交通費,通院補助費等 391万9593円

ア  被控訴人は,W海上火災保険及び被控訴人から控訴人Aに治療費以外の諸費用分として383万0509円が支払われたと主張し,控訴人Aは,保険会社から同諸費用等として357万3603円の支払を受けたことを自認しているので,控訴人Aが受けた通院交通費・通院補助費等の損害は,少なくとも357万3603円であると認められる。

イ  次に,控訴人Aの通院状況は前認定のとおりであり,証拠(甲15の①ないし⑥)及び弁論の全趣旨によれば,控訴人Aは,上記①の外,G眼科,E病院,F病院,K総合病院への通院交通費として3万5740円,通院補助費31万0250円合計34万5990円を要したことが認められる。

ウ  なお,弁論の全趣旨によれば,上記アの357万3603円中の通院交通費にはタクシー代や家政婦に対する費用が含まれており,また通院補助費とは控訴人Aが通院した際の控訴人Bの子守代等であるが,前認定のような控訴人Aの受傷状況,弁論の全趣旨により控訴人Bが本件事故当時1才6月であったこと等の事実に照らすと,これらの費用もすべて本件事故と相当因果関係がある損害と認めるのが相当である。

(4)  免許証再発行費用 3500円

証拠(甲16,乙1,原審における控訴人A本人)及び弁論の全趣旨によれば,本件事故の際控訴人Aはその衝撃によって気を失ったまま病院に搬送され,その際運転免許証を紛失したこと,その再発行費用として3500円を要したことが認められるから,本件事故に際して運転免許証を紛失したことは本件事故による損害であると判断される。

(5)  入通院慰謝料 216万円

前認定のような控訴人Aの傷害の内容・程度,治療の経過等入通院状況,本件事故の態様その他諸般の事情を考慮すると,同控訴人の受傷に基づく入通院期間中の精神的苦痛に対する慰謝料は,216万円が相当であると認める。

(6)  後遺症慰謝料 350万円

控訴人Aには,前記のように頭部外傷及び頚椎捻挫に起因する後遺症として,頭痛,頚部痛,眩暈,頭重感,抑うつ症状等の症状が残存し,もっとも,同後遺症は自覚症状を主症状とし,神経症状を含むもので,局部に頑固な神経症状を残すものとして,自賠法施行令別表第12級に該当するものであり,また,控訴人Aの顔面部に3センチメートル,2センチメートル及び1・5センチメートルの瘢痕拘縮,片膝に8センチメートル,他の膝に7センチメートルの各瘢痕拘縮が残存するが,顔面及び膝の瘢痕拘縮は,後記のようにこれによって労働能力の喪失は認められず,慰謝料において斟酌することが相当と解されるので,これら後遺症の内容及び程度とこのような事情,その他諸般の事情を考慮すると,後遺症が残存することによる控訴人Aの慰謝料は,350万円をもって相当と認められる。

(7)  逸失利益 338万2909円

証拠(原審における控訴人A本人)によれば,控訴人Aは本件事故当時満33歳の女子で,本件事故以前は健康で専業主婦であったことが認められる。

控訴人Aの前記のような頭部外傷及び頚椎捻挫に起因する後遺症の内容・程度並びに同後遺症は局部に頑固な神経症状を残すものとして自賠法施行令別表第12級に該当する事実によれば,同控訴人は,このような後遺症によりその労働能力を12パーセント喪失したものと認められる。そして,同後遺症については,前記のとおり他覚的所見に特に異常は認められず,自覚症状を主症状とし,神経症状を含むもので,局部に頑固な神経症状を残す程度のものであるから,これら事実と控訴人Aの年齢及び本件事故前は健康であった事実に照らすと,本件事故に起因する後遺症に基づく労働能力の喪失期間は,症状固定の時から10年であると認めるのが相当である。そして,その間の逸失利益は,平成7年賃金センサス産業計・企業規模計・学歴計30歳ないし34歳までの女子労働者の平均賃金365万1200円を基礎として算定するのが相当である。

なお,控訴人Aの顔面部に3センチメートル,2センチメートル及び1・5センチメートルの瘢痕拘縮,片膝に8センチメートル,他の膝に7センチメートルの各瘢痕拘縮が残存するが,瘢痕拘縮の程度及び控訴人Aは専業主婦であることに照らすと,控訴人Aがこれら瘢痕拘縮が残存することにより労働能力を喪失しその将来の収入を失うものと認めることはできない。

そこで,控訴人Aの上記労働能力喪失期間中の逸失利益をその間の中間利息を年5分の割合によりライプニッツ方式で控除して算定すると,338万2909円である。

(算式) 3,651,200×0.12×7.721=3,382,909(円未満切捨)

4  過失相殺について

控訴人Aが本件事故当時座席ベルトを着用していなかったことは当事者間に争いがない。

本件事故当時控訴人Aが被害車両を運転して信号待ちのため停止線で停止していたことはその自認するところである。そして,道路交通法71条の3第1項によれば,自動車の運転者は座席ベルトを装着せずに自動車を運転してはならないところ,同法2条1項17号によれば「運転」とは「道路において車両等をその本来の用い方に従って用いること」であるから,信号待ちのため停止することもまた同法71条の3第1項の「運転」に含まれることは明らかである。そして,前記2の事実によれば,本件事故によって控訴人Aが被った頭部外傷は本件事故による衝撃によって頭部が被害車両の一部に衝突したことによって生じたものであり,控訴人Aが座席ベルトを着用していれば,少なくともその衝撃を緩和することができたと推認できるから,控訴人Aには,交通事故が発生した場合に損害の発生・拡大を防止するため座席ベルトを着用すべきであったにもかかわらず,座席ベルトを着用しなかった過失があったというべきである。したがって,控訴人Aに生じた損害につき,同控訴人の上記過失を斟酌し,その10パーセントを減額するのが相当である。

5  そこで,控訴人Aの損害額は次のとおりとなる。

(1)  上記3の金額は以下のとおりである。

ア  治療費 631万9895円

イ  入院雑費 4万5500円

ウ  通院交通費等 391万9593円

エ  免許証再発行費用 3500円

オ  入通院慰謝料 216万0000円

カ  後遺症慰謝料 350万0000円

キ  逸失利益 338万2909円

合計 1933万1397円

(2)  上記合計額から免許証再発行費用を除いた1932万7897円について,前記2(1)イのとおり控訴人Aの素因に基づきその25パーセントを減額すると,その残額は,1449万5922円である。

(算式) 19,327,897×(1-0.25)=14,495,922

(3)  次に,これに免許証再発行費用3500円を加算し,同金額につき過失相殺をすると,その残額は,1304万9479円である。

(算式) 14,499,422×(1-0.1)=13,049,479

6  被控訴人の弁済等 合計987万8398円

(1)  治療費

証拠(乙23の①②)及び弁論の全趣旨によれば,W海上火災保険は,治療費として控訴人Aが治療を受けた病院に609万8851円,控訴人Aに20万5944円合計630万4795円を支払ったと認められる。

(2)  通院交通費,通院補助費等

被控訴人は控訴人Aが383万0509円の支払を受けたと主張するところ,控訴人Aが合計357万3603円の支払を受けたことは争いがないが,控訴人Aがさらに25万6906円の支払を受けたと認めるに足りる証拠はない。

(3)  Sリサーチセンターに対する支払が,控訴人Aの損害に対する弁済と認めるに足りる証拠はない。

(4)  したがって,上記5(3)から上記6を控除した残額は,317万1081円である。

7  控訴人Aの弁護士費用

本件事案の内容,争点等を考慮すると,被控訴人が負担すべき本件事故と相当因果関係のある弁護士費用相当の損害額は,30万円と認めるのが相当である。

8  控訴人Bについて

(1)  控訴人Bの受傷及び治療について

ア  証拠(甲17の①)によれば,控訴人Bは,本件事故後,精神的ショックのため不安定状態になり,不眠傾向となっており,小児科において投薬を受けたことが認められる。

イ  治療について

あ 入院

証拠(甲17の②,18の④)によれば,控訴人Bは上記治療のため,控訴人らの主張(4)イあのとおりE病院小児科で入院治療を受けたことが認められる。

い 通院

① E病院小児科

証拠(甲17の①②,18の⑦ないし⑭,⑯ないし⑱,⑳ないし<34>,<36>,<37>,<39>)によれば,控訴人らの主張(4)イい①のとおりE病院小児科に通院したことが認められる。

② F病院

証拠(甲18の①,<38>,<40>,<41>)によれば,控訴人らの主張(4)イい②のとおりF病院(耳鼻咽喉科)に通院したことが認められる。

(2)  損害について

ア  治療費

証拠(甲18の①ないし<41>)によれば,E病院小児科及びF病院における治療費として,合計9万6911円を要したことが認められる。

イ  慰謝料

前記本件事故の態様,控訴人Bが受けた傷害の内容・程度及び治療の経過等諸般の事情を斟酌すると,控訴人Bに対する慰謝料は10万円が相当と認められる。

9  結論

よって,控訴人らの本件請求は主文2及び3項記載の限度で正当として認容すべきであり,その余は失当として棄却すべきであるから,これと異なる原判決を変更して,控訴人らの請求を主文2及び3項の限度で認容し,その余の請求をいずれも棄却することとし,訴訟費用の負担について民訴法67条,61条,64条,65条を,仮執行の宣言について同法259条をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 大喜多啓光 裁判官 安達嗣雄 裁判官 橋本良成)

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