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大阪高等裁判所 平成14年(ネ)1214号 判決 2002年10月03日

控訴人

株式会社 朝日ダイヤゴルフ

同代表者代表取締役

石田巧

同訴訟代理人弁護士

山口利昭

被控訴人

株式会社 整理回収機構

同代表者代表取締役

鬼追明夫

同訴訟代理人支配人

中島馨

同訴訟代理人弁護士

伊藤馨

入江寛

鳥川慎吾

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一控訴の趣旨

一  原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。

一  被控訴人の請求をいずれも棄却する。

第二事案の概要

一  本件は、日本ハウジングローン株式会社の株式会社朝日住建に対する三〇億円の貸付金の残元金一二億三六四二万九二一三円及びこれに対する遅延損害金債権を譲り受けた被控訴人が、株式会社朝日住建は控訴人の三菱商事株式会社に対する工事請負契約に基づく債務を連帯保証し、これを代位弁済したことにより控訴人に対して合計五億二〇八四万六三八〇円の求償債権及びこれに対する遅延損害金債権を取得したとして、債権者代位権に基づき、控訴人に対し、上記求償債権の元金五億二〇八四万六三八〇円及びこれに対する本件訴状送達の日の翌日である平成一二年九月二七日から支払済みまで商事法定利率年六分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに、上記請求のうち三億七〇八四万六三八〇円及びこれに対する平成一二年九月二七日から支払済みまで年六分の割合による遅延損害金の支払を求める部分について、予備的に、控訴人が株式会社朝日住建との間で締結した、控訴人経営のゴルフクラブの法人正会員権一七四口を代金四億三五〇〇万円で株式会社朝日住建に売却し、その代金債権のうち三億七〇八四万六三八〇円を控訴人の株式会社朝日住建に対する上記求償債務元金のうち三億七〇八四万六三八〇円とその対当額において相殺する旨の契約は、詐害行為に該当するとして、詐害行為取消権等に基づき、控訴人に対し、上記契約の取消し並びに上記三億七〇八四万六三八〇円及びこれに対する本件訴状送達の日の翌日である平成一二年九月二七日から支払済みまで商事法定利率年六分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。

原審は、被控訴人の債権者代位権に基づく請求については、控訴人に対し、一億五〇〇〇万円及びこれに対する平成一二年九月二七日から支払済みまで年六分の割合による遅延損害金の支払を求める限度でこれを認容し、その余の請求を棄却し、被控訴人の予備的請求については、上記契約の取消し並びに控訴人に対し三億七〇八四万六三八〇円及びこれに対する判決確定の日の翌日から支払済みまで年六分の割合による遅延損害金の支払を求める限度でこれを認容し、その余の請求を棄却すべきものとした。

二  当事者の主張は、次のとおり訂正、付加するほか、原判決「事実」の「第二 当事者の主張」に記載のとおりであるからこれを引用する。

(1)  原判決三頁三行目の「ア」を「(ア)」に改める。

(2)  原判決四頁二四行目の「対して、」の次に「会員権(額面金額一三三〇万円)を四分割(分割後の一口の額面金額は三三二万五〇〇〇円)した上、」を、五頁二行目の「買い戻した」の次に「額面金額」をそれぞれ加え、同頁九行目から一〇行目の「消滅させたのであるから、」を「消滅させたというのであって、」に改め、同頁一一行目の冒頭に「無価値に等しいゴルフ会員権の取得と引き換えにその重要な資産である上記求償債権が失われ、」を加える。

(3)  原判決六頁一行目の「(請求原因(1)ア及びイの事実」を「(請求原因(1)ア及びイの事実)」に改める。

(4)  原判決六頁一二行目の「であった。」から一三行目の「したがって、」までを「に照らしても、」に改める。

(5)  原判決六頁一三行目の次に改行の上次のとおり加える。

「オ 仮に本件契約が被控訴人との間で相対的に取り消されたとしても、本件契約によって三億七〇八四万六三八〇円の金員が控訴人に移転しているわけではないから、詐害行為取消権に基づく上記金員の取戻請求はそもそも認められず、また、債権者代位権の行使として上記金員の支払を求めることは詐害行為取消しの効果の相対効と矛盾する。さらに、上記金員の支払を認めると、被控訴人は朝日住建から流出した責任財産の範囲を超えた債権の回収が可能となるから、本件契約の一部取消し又は価格賠償が認められるべきである。」

(6)  原判決六頁二四行目から二五行目の「(乙一四)」を削り、同行目の末尾に「これを裏付けるものとして、A野の刑事事件における弁護人であった弁護士が主任弁護人宛てに作成した同年一〇月一三日付け報告書(乙一四)が存在し、A野らの刑事事件の被害弁償金の原資に関する資料の一つとして上記五〇〇〇万円の貸付けに係る同年七月一五日付け金銭消費貸借契約書(乙一)が添付されている。現金の移動がないにもかかわらず刑事弁護人がこのような書面を作成し刑事法廷に提出することはあり得ない。また、五〇〇〇万円の貸付けの相手方がA野個人ではなく朝日住建となっているのは、A野のみならず経理部長や社長秘書も被告人となっており、すべての被告人の情状立証に資するためである。」を加える。

(7)  原判決七頁四行目の「偏頗性が強い」を「偏頗性が強く預託金返還請求権者らによる詐害行為取消権の対象となってしまう懸念がある」に改める。

(8)  原判決九頁五行目の末尾に「同年一一月末日時点における税抜合計残高試算表(乙一七)には短期借入金の項目以外にも同年一〇月三〇日までに処理済みの預託金や会員権の売却による金員の変動も記載されている。」を加える。

(9)  原判決九頁五行目の次に改行の上次のとおり加える。

「 上記の一億円の現金の移動は、朝日住建が継続して記帳している「関連会社短期貸付金総勘定元帳」(乙一五)の同年七月一五日の欄に一億円の入金によって貸付金残高が一億円減少した旨記載されているところからも裏付けられる。」

(10)  原判決一一頁七行目の「これも、」を「これと同様に、」に、同頁九行目の「その結果、」を「朝日住建も控訴人の要求に応じて、」に、同行目の「締結したからであって、」を「締結したものであって、」にそれぞれ改める。

(11)  原判決一一頁二二行目の「行った」を削る。

(12)  原判決一三頁三行目の冒頭に「本件契約当時控訴人の代表取締役のA野は朝日住建の代表取締役でもあり、控訴人は、朝日住建の無資力について十分な認識があった。」を加える。

第三当裁判所の判断

一  当裁判所も、被控訴人の債権者代位権に基づく請求については、控訴人に対し一億五〇〇〇万円及びこれに対する平成一二年九月二七日から支払済みまで年六分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し、その余の請求は理由がないからこれを棄却し、被控訴人の予備的請求については、本件契約の取消し並びに控訴人に対し三億七〇八四万六三八〇円及びこれに対する判決確定の日の翌日から支払済みまで年六分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し、その余の請求は理由がないからこれを棄却すべきものと判断する。その理由は、次のとおり付加、訂正するほか、原判決「理由」に記載のとおりであるからこれを引用する。

(1)  原判決一三頁二一行目の「甲四の一」の次に「、二」を加え、同行目の「及び」の次の「、」を削り、同頁二二行目冒頭の「五」の次に「並びに弁論の全趣旨」を加える。

(2)  原判決一四頁二行目の「領収書」を「領収証」に改め、同頁五行目冒頭の「書)」の次に「及び乙一一号証(B山松夫作成名義の平成一一年一〇月一八日付禀議書)」を加え、同頁八行目の「領収書」を「領収証」に改める。

(3)  原判決一五頁八行目の「税抜残高試算表」を「税抜合計残高試算表」に、同頁一〇行目の「税抜残高試算表」を「税抜合計残高試算表」に、同頁一二行目の「税抜残高試算表」を「税抜合計残高試算表」に、同頁一四行目の「計上されていなかったところ、」を「計上されていなかったが、」に、同頁一七行目の「おいても、」を「おいては、これらの貸付及び弁済が計上されていなければならないところ、」に、同頁一九行目の「認められるのに対し、」を「認められるのであり、」にそれぞれ改める。

(4)  原判決一五頁二六行目の「B山が」の次に「担当していた」を加え、一六頁一行目の「作成を」を「作成が」に、同行目の「税抜残高試算表」を「税抜合計残高試算表」に、同頁三行目の「趣旨の陳述をしており、その内容が異なっている上、」を「やや異なった趣旨の陳述をしている上、」にそれぞれ改め、同頁四行目の「ついては、」の次に「控訴人主張のような預託金に関する和解に基づく現金の支払とは異なり単に」を、同頁五行目の「処理について」の次に「特に」をそれぞれ加え、同頁六行目の「理解できないし、」を「理解できない。」に改め、同行目の「上記の」から同頁一三行目の末尾までを削る。

(5)  原判決一六頁一五行目の「税抜残高試算表」を「税抜合計残高試算表」に改め、同頁一六行目冒頭の「は、」の次に「五〇〇〇万円の短期貸付及び」を加え、同行目の「認められるから、」から同頁二〇行目の「ないし、」までを「認められることに加えて、」に、同頁二三行目の「上記の」から同頁二六行目の「明らかではないし、」までを「上記認定事実並びに甲八、九及び弁論の全趣旨によれば、同年一〇月五日、A野が代表取締役を務めるサンライズセキュリティー株式会社に対する預金保険機構の立入調査が行われ、その結果を受けて被控訴人により朝日住建のサンライズセキュリティー株式会社に対する債権を代位行使する形で同社の預金債権に対する仮差押命令の申立てがされ、同年一〇月二九日、その旨の仮差押決定がされ、さらに、同年一一月四日、控訴人自身に対する預金保険機構の立入調査が行われた事実が認められるのであって、これらの事実によれば、上記多数の振替伝票等は、預金保険機構ないし被控訴人の上記一連の動きを受けて急遽作成されたものと推認され、しかも、」にそれぞれ改める。

(6)  原判決一七頁七行目の「乙二号証及び乙三号証を作成し、」を「上記一億五〇〇〇万円の交付に係る領収証を作成し」に、同頁八行目の「交付しなかった」を「交付することをせず、控訴人の上記多数の振替伝票の作成と同時期に初めて乙二号証及び乙三号証を作成するに至った」に、同行目から同頁九行目の「明らかではない。」を「明らかではなく、預託金返還問題への対応ということで説明がつくものでもない。」にそれぞれ改める。

(7)  原判決一七頁一〇行目から一二行目までを削る。

(8)  原判決一七頁一九行目の「一八日」を「一八日ころ」に、同頁二一行目の「一八日」を「一八日ころ」にそれぞれ改める。

(9)  原判決一七頁二一行目の次に改行の上次のとおり加える。

「 かえって、以上説示したところによれば、上記五〇〇〇万円の貸付及び上記一億円の弁済についての会計処理に関する振替伝票、領収証の作成や総勘定元帳等の記載は、控訴人においても朝日住建においても、預金保険機構ないし被控訴人の立入調査等の一連の動きを受けて同年一一月一〇日ころ以降急遽行われたものである事実が推認されるのであって、そのような作成、記帳の経緯にかんがみると、これらの領収証や振替伝票、総勘定元帳等の記載が合計一億五〇〇〇万円もの現金の移動の事実を真実反映したものであるとするには合理的な疑いが残らざるを得ず、これらの領収証等のみから直ちに上記五〇〇〇万円の貸付又は一億円の弁済の事実を認めることはできないものといわざるを得ない。同様に乙一一号証、乙一九号証及び乙二〇号証の各禀議書についても直ちにこれを採用して上記五〇〇〇万円の貸付又は一億円の弁済の事実の裏付けとすることはできない。」

(10)  原判決一八頁五行目の「陳述をする。」を「陳述をし、乙二四号証(陳述書)にも同旨の記載がある。」に、同頁六行目の「領収証」を「領収証(控)」に、同行目から同頁七行目の「領収証」を「領収証(控)並びに八九七七万五〇〇〇円の領収証(控)」に、同行目の「及び乙二三号証」を「、乙二三号証及び乙三四号証」にそれぞれ改める。

(11)  原判決一八頁一〇行目から一四行目までを次のとおり改める。

「しかしながら、乙二二号証、乙二三号証及び乙三四号証はいずれも控訴人の作成した領収証の控えにすぎない上、前記認定の振替伝票の作成時期等にかんがみると、これらの領収証の控えについても、乙二号証及び乙三号証の領収証などと同様に、平成一一年一一月一〇日ころ以降に作成された疑いが残らざるを得ない。」

(12)  原判決一九頁一行目冒頭の「む。)」の次に「、」を、同頁三行目の「照らせば、」の次に「これに記載された資金の流れと明らかに矛盾する内容を含む甲四八号証の振替伝票の記載は採用することができず、」をそれぞれ加え、同頁一七行目の「いうものが、」から同頁一八行目の「いうことは、」までを「別紙二の⑦及び⑧の各小切手との関連については」に改める。

(13)  原判決一九頁二六行目から二〇頁一行目の「領収証さえないことは前記判示のとおりである上、」を「別紙二に照らすと、少なくとも大晃産業が控訴人に対してそのころ現金八九七七万五〇〇〇円を支払ったという事実は認め難い上(甲四八号証の振替伝票の記載を採用することができないことは前記のとおりである。)、」に改める。

(14)  原判決二〇頁六行目の「同人」を「A野」に改める。

(15)  原判決二〇頁一九行目から二一頁四行目までを次のとおり改める。

「 (エ) なお、乙一八号証によれば、控訴人は当時多数の会員から預託金返還請求を受けていたこともあって、控訴人の預金に対する仮差押えを回避するため、幹部社員が多額の現金を保管し、これを預託金の返還その他の支払や貸付等に当てていたという趣旨の記載があり、乙三三号証によれば、控訴人が平成一一年当時会員に対する預託金の返還等として多数回にわたり現金を交付し又は現金を振り込む方法により支払をしていた事実が窺われなくもないが、そうであるとしても、B山らが平成一一年七月一五日当時一億五〇〇〇万円を超えるような多額の現金を保管していた事実の裏付けとなるに足りるものではない。」

(16)  原判決二一頁一〇行目の「乙二八号証から乙三二号証まで」を「乙三五号証」に、同頁一一行目の「記載はない上、」を「記載はない。この点、控訴人は、当審において、同通帳の九月二一日の入金(合計三億四一八二万六〇〇〇円)の記載がこれに対応し、そのうち三億円が同月二四日に現金で出金されていて、このことは、現金がそのまま保管されていたり、それまで一時的に現金を借りていた債権者への返済等に充当した事実を示すものであると主張する。しかしながら、同通帳に記載された同月二一日の入金とB山証人が陳述等する会員権の売却代金の支払との関連を裏付けるに足りる証拠はないことに加えて、」にそれぞれ改め、同頁一六行目の末尾に「また、同通帳に記載された上記の入出金の事実のみからB山らが同年七月一五日当時一億五〇〇〇万円を超えるような多額の現金を保管していた事実を推認することもできない。」を加える。

(17)  原判決二一頁一八行目の「が交付された」を「を現金で交付した」に改める。

(18)  原判決二一頁二三行目の「乙一三」を「乙一四」に改める。

(19)  原判決二二頁三行目の「の発令を受けた」を「が発令された」に改める。

(20)  原判決二二頁七行目の「しかしながら、」から同頁一〇行目の末尾までを削る。

(21)  原判決二二頁一一行目の「A野」を「A野ら朝日住建幹部社員」に改め、同頁一二行目の「他方で」の次に「これと同日に行われた」を加え、同頁一四行目の「資金として弁済した」を「資金とするために行ったものである」に改め、同頁一五行目の末尾に「また、乙一四号証及び弁論の全趣旨によれば、乙一号証は、A野の刑事事件における弁護人であった弁護士が主任弁護人宛てに作成した同年一〇月一三日付け報告書(乙一四)にA野らの刑事事件の被害弁償金の原資に関する資料の一つとして添付されている事実が認められる。」を加える。

(22)  原判決二二頁一六行目から二三頁一行目までを削る。

(23)  原判決二三頁二行目冒頭の「(ウ)」の次に「しかしながら、その使途が異なるとはいえ、自らの債権者である朝日住建に対して同一の日に多額の現金を交付しながら、その全部を弁済とせずにその一部について貸付としなければならない合理的理由は見いだし難い(その全部を弁済とするのは偏頗性が強く預託金返還請求権者らによる債権者取消権の対象とされる懸念があるということのみで説明しきれるものでもない。)」を加え、同頁五行目の「合理性が」を「合理性も」に改め、同頁六行目から八行目までを削る。

(24)  原判決二三頁九行目の「乙一号証」から同頁一〇行目の「ところ、」までを削り、同頁一一行目の「とおり、」の次に「A野らの刑事被告事件の情状立証のための報告書(乙一四)が作成された直後の」を加え、同頁一三行目から一四行目の「照らし、このような弁済期を定めた、」を「照らしても、控訴人の主張するような使途に当てるために」に改める。

(25)  原判決二三頁二一行目の「そもそも」から二四頁三行目の「ない。)、」までを削り、同頁六行目の「陳述していることに照らして、あたかも」を「陳述しているところでもあり、」に、同頁七行目の「事情が」から同頁八行目の末尾までを「五〇〇〇万円の使途をA野らの被害弁償金から保証債務の弁済資金に変更しなければならないまでに事情が変わったことを裏付けるに足りる証拠もない。」にそれぞれ改める。

(26)  原判決二四頁一二行目冒頭の「が」の次に「預金保険機構ないし被控訴人の立入調査等の一連の動きを受けて」を加え、同頁一三行目の「同様であって、」から同頁一五行目の末尾までを「同様である。」に改める。

(27)  原判決二四頁一六行目の「乙一三号証によれば、」から同頁一九行目の「認められるものの、」までを削り、同行目の「乙一三号証」を「乙一四号証」に、同頁二〇行目の「いるものの、」を「おり、」に、同頁二二行目の「いないし、」を「いないことに加えて、」にそれぞれ改め、同頁二三行目の「考慮すれば、」の次に「乙一四号証が刑事弁護人が作成して刑事法廷に提出したものであることをしんしゃくしてもなお、」を加え、同頁二四行目の「乙一三号証」から同頁二六行目の末尾までを「乙一四号証をもってそれに添付された乙一号証の記載のとおり平成一一年七月一五日に五〇〇〇万円の貸付が行われた事実の裏付けとすることはできない。」に改める。

(28)  原判決二五頁三行目の「file_2.jpg」を「file_3.jpg」に、同頁四行目の「イ」を「抗弁(2)」にそれぞれ改める。

(29)  原判決二五頁九行目の「イ」を「抗弁(2)」に改める。

(30)  原判決二五頁一〇行目の次に改行の上次のとおり加える。

「 さらに、控訴人が朝日住建に対して交付したという一億五〇〇〇万円の出所も明らかではなく、控訴人が当時一億五〇〇〇万円を超える多額の現金を所持していた事実を裏付けるに足りる証拠もない。」

(31)  原判決二五頁一二行目の「が交付された」を「を現金で交付した」に改める。

(32)  原判決二五頁二五行目の「ア」を削る。

(33)  原判決二六頁一五行目の「一六日」を「一六日ころ」に改める。

(34)  原判決二六頁二一行目の「抗弁(3)」を「抗弁(4)」に改める。

(35)  原判決二七頁二行目の「認められる」の次に「(この事実は、控訴人が当時償還期限の到来した預託金の返還に応じ得る能力が全くなくゴルフ場の存続すら危ぶまれる状態であったことからも十分裏付けられる。)」を加える。

(36)  原判決二七頁九行目の次に改行の上次のとおり加える。

「 なお、請求原因(1)アのとおり被控訴人は朝日住建に対して元金一二億三六四二万九二一三円及びこれに対する平成四年一二月二五日から支払済みまで年一四パーセントの割合による遅延損害金の各債権を有するものであるから、本件契約を取り消すことが朝日住建の責任財産の保全に必要かつ十分な範囲を超えるものでないことはいうまでもない。また、被控訴人は、本件契約の取消しによって復活した朝日住建の控訴人に対する請求原因(1)ウの求償債権について、債権者代位権の行使を待つまでもなく、その履行を求めることができると解され、そうでないとしても、債権者代位権に基づきこれを行使することができると解されるのであって、そのように解することが詐害行為取消制度の趣旨ないし取消しの相対効に反するものということもできない。」

(37)  原判決二七頁一三行目の冒頭の「しても、」の次に「本件契約が朝日住建にも預託金返還問題の処理について相応の責任を負担させるとの控訴人の意図に出たものであったからといってそれが朝日住建の一般財産を減少させ被控訴人を始めとする他の債権者を害することに何ら変わりはないのであって、このことは客観的に明らかというべきであるから、」を加える。

二  よって、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 岡部崇明 裁判官 白井博文 西川知一郎)

<以下省略>

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