大阪高等裁判所 平成14年(ネ)2402号 判決 2003年2月28日
主文
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人らは、株式会社aに対し、各自5850万円及びこれに対する、被控訴人Y1においては平成13年7月17日から、被控訴人Y2においては同月16日から、その余の被控訴人らにおいては同月15日から各支払済みまで年5分の割合による金員の支払をせよ。
3 訴訟費用は第1、2審とも被控訴人らの負担とする。
事実及び理由
第1 控訴人の申立て
主文1ないし3項と同旨並びに仮執行宣言。
第2 事案の概要
事案の概要は、次に付加訂正するほか、原判決の「事実及び理由」欄の「第2事案の概要」に記載のとおりであるから、これを引用する。
1 原判決2頁5行目の「被告Y2」を「被控訴人Y2(以下「被控訴人Y2」という。)」と、その余の同欄の「被告Y2」を全部「被控訴人Y2」と、同頁25行目の「被告Y1」を「被控訴人Y1(以下「被控訴人Y1」という。)」と、同3頁12行目の「を一環」を「の一環」と、同4頁9行目の冒頭から同頁15行目末尾までを「本件会社においては、平成13年9月23日、第6回定時株主総会が開催され、これには本件会社の株主10名が全員出席したが、同総会において、創立総会の第5号議案及び第6号議案と同内容の議案、すなわち、取締役の報酬総額を3000万円以内として、これには使用人兼務取締役の使用人分の給与を含めず、その配分方法は取締役会に一任する旨、及び監査役の報酬総額を500万円以内とするとの議案が第3号議案として提案され、これについて、議長から、本件会社の創立総会が不存在である旨の代表訴訟が一部株主より提起されているので、当該創立総会で議決された取締役及び監査役の報酬額の承認に関する件と同一内容の議案を本総会において再度第3号議案として提案し、決議を得たいと説明し、かつ、上記訴訟において当該創立総会の決議が不存在であることが確定されたときは、当該創立総会に遡って効力が生じる条件付決議である旨も併せて説明し、議場に可否を諮り、賛成7名(74株)、反対3名(26株)で可決された(以下「本件再決議」という。)。」とそれぞれ改める。
2 同6頁5行目末尾の次に、行を変えて次のとおり加える。
「上記創立総会については、創立総会議事録が、税理士において作成され、取締役に就任した5人がこれに押印している点から、創立総会が開催され、それに記載の議決がされたことは十分に認められる。創立総会が、営業中の午前10時に開かれたことは、株式引受人らは、いずれも本件市場に店舗を有する者であり、2階の創立総会が開かれた事務室に上がってくるのは容易であったから、これを不自然ということはできない。」
3 同6頁7行目末尾の次に、行を変えて次のとおり加える。
「2 本件再決議の効力の有無(争点2)
(1) 控訴人の主張
ア 本件再決議は商法266条5項に違反し、無効である。すなわち、本件再決議が、その効力を遡らせるものであれば、これは、実質的に、取締役の任務懈怠に基づく会社に対する損害賠償責任を単なる多数決によって免除するものであり、取締役等の任務懈怠による損害賠償責任の免除に総株主の同意を要するものとした商法266条5項を潜脱するものである。同条項が取締役等の責任免除のために総株主の同意を必要とした趣旨は、総会の多数決で取締役の責任を免除できるとすれば、株主が代表訴訟を提起しても無意味になるから、これを防ぎ、少数株主を保護するためであるが、これによれば、本件再決議が同条項に違反することは明白である。
イ 本件再決議は商法247条1項3号に違反する著しく不当な決議であるから無効である。すなわち、本件再決議は、取締役及び監査役の報酬に関する支給決議であり、かかる決議においては当該取締役及び監査役は特別利害関係人に当たるにもかかわらず、被控訴人ら本件会社の役員が賛成票を投じて議決されたもので、しかも、賛成74株の内被控訴人らが64株を占めており、反対が26株あったことからすると、被控訴人らが決議に加わらなければ異なる決議となったことは明白で取消事由がある。そして、被控訴人らは、本件再決議に共通の利益を有しているうえ、本件会社の株主総会の通常決議を思い通りになし得るだけの多数派を構成し、かつ取締役の任に当たっているから、少数派である控訴人が決議取消の訴えを提起し、これが認められたとしても、被控訴人らは、再度同内容の決議を株主総会に提案し可決することが可能で、再度の取消にもこれを繰り返すことができ、いつまでたっても少数派の権利実現の機会は得られない。これは、会社法上の公序に反するものであるから、本件再決議は、著しく不公正なもので取り消されるまでもなく無効である。
ウ また、本件再決議は、商法269条に違反し、無効である。すなわち、上記のとおり、本件再決議は特別利害関係人である株主ら(被控訴人ら)の権利行使がなければ否決されていたという関係にあるが、これを考慮すると、本件再決議は、手続において著しく不公正というに止まらず、実体的にも役員らが自らに報酬を支給することを決議している点において、正にお手盛りの報酬決定であり、会社法の予定する公序良俗に反する著しく不当な決議内容であって、無効というべきである。
エ 次に、本件会社の設立の目的は、上記(原判決3頁(2))のとおりで、株式を本件協同組合の役員が暫定的にまとめて引き受けたものの、本来他の組合員にも平等に譲渡することが予定されていたものであり、その後、被控訴人らはその株式を他の組合員に譲渡せずに大株主の地位を手に入れたのである。この経緯からすると、被控訴人らの株主権の行使は、役員報酬支給については、信義則に反し、権利の濫用であって、無効である。本件再決議は、この無効な権利行使に基づくものであるから、無効なものというべきである。
(2) 被控訴人らの主張
ア 本件再決議は、商法266条5項に違反したり、これを潜脱するものではない。本件再決議は、取締役等の責任を免除する決議ではなく、これが同条項に違反する根拠は全くない。取締役及び監査役の報酬の決定に株式の多数支配の原則が行われることは、会社法の趣旨から当然である。これが同条項に違反するのであれば、株主総会の決議を失念したまま、あるいは瑕疵がある決議に基づいて取締役及び監査役の報酬を支給したすべての報酬について、株主全員の同意がなければ再決議できないということになり、商法269条の趣旨に反する。
イ 控訴人の本争点に関する主張の内イないしエは、控訴審において初めてされたものであり、時機に後れた攻撃防御方法であるうえ、その遅延したことに過失があり、訴訟の完結を遅らせるものであるから、却下されるべきである。
ウ 控訴人は、本件再決議が、特別利害関係人が参加した決議であり、商法247条1項3号に違反するというが、被控訴人らが特別利害関係人に当たるとしても、既に出訴期間を経過し、取消訴訟が提起されたわけではないから、本件再決議が取り消されることはないし、再決議と取消が繰り返されることもない。昭和56年の商法改正によって、特別利害関係人も議決権を行使できるようになっており、決議の内容が著しく不当なものとなった場合に取消事由となるのである。株主は、自己の利益のために自益権を行使できるはずであるから、上記改正は当然である。特別利害関係人らを排除して議決をすれば、少数株主が決定権を握ることになり、資本多数決の原理を揺るがすことになり、妥当な結論とはいえない。したがって、被控訴人らが議決権を行使したことをもって、著しく不公正であるということはできない。
次に、控訴人は、本件再決議が、商法269条に違反するというが、特別利害関係人である株主の権利行使がなければ決議は否決されていたということを前提とするもので失当である。
また、信義則ないし権利の濫用を主張する点も失当である。会社から有償委任を受けた取締役兼株主が適正な報酬額を決定するために議決権を行使することは、株主に認められた当然の権利を行使することにほかならない。」
4 同6頁8行目冒頭の「2」を「3」と、同行の「争点2」を「争点3」と、同頁22行目の「このことは」から同頁25行目末尾までを「決議に基づかない報酬支給によって本件会社に既に損害が発生しており、本件再決議によってこれが消滅することはありえない。本件再決議は、一旦発生した損害が補填されることを前提としてそれと同額の資金について改めて決議された年度の報酬として各取締役等に支払うことを認めるものにすぎないというべきである。」とそれぞれ改める。
5 同頁26行目冒頭の「3」を「4」と、同行の「争点3」を「争点4」とそれぞれ改める。
第3 当裁判所の判断
1 創立総会における役員報酬についての決議の有無(争点1)について
(1) 被控訴人らは、平成7年9月14日午前10時に創立総会が開催され、同総会において、取締役及び監査役に報酬を支給することができる旨の決議がされた旨を主張するところ、本件会社の創立総会については、創立総会議事録(甲6)が作成されており、これには、平成7年9月14日午前10時から本件会社所在地の創立事務所において創立総会が開催され、株式引受人10名が出席し、取締役の報酬を3000万円以内、これには使用人兼務取締役の使用人分の給与を含めないこととし、その配分方法は取締役会に一任するとの議案(第5号議案)、監査役の報酬を500万円以内と定めるとの議案(第6号議案)が、いずれも全員の賛成で可決された旨の記載があり、出席取締役(被控訴人Y3は議長)として被控訴人Y3、同Y4、同Y1、同人Y5及びBの記名押印がある。そして、原審における被控訴人Y3本人は、この創立総会議事録の作成経緯について、大要、次のアないしウのとおり供述し、かつ陳述書(乙4)に記載するところである。
ア 本件会社の株式は、被控訴人ら及び控訴人を含む本件協同組合の組合員9名が株式引受人となった。株式引受人は、R税理士に設立の手続の相談や定款案の作成等を依頼し、本件会社の設立のために、平成7年8月中旬以降本件市場の会議室などで何回となく会合を持ち、R税理士から定款案についての説明を受けたり、同月24、5日ころ、本件会社の役員として被控訴人Y3、同Y4、同Y5、同Y1及びBが取締役に、控訴人及び被控訴人Y2が監査役となることを合意するなどしていた。
イ 株式引受人らは、同年9月初めころ、本件市場の2階の会議室で本件会社の設立について話し合っているときに、創立総会の日付を9月14日とする旨を決定した。
ウ 株式引受人9名及びR税理士は、同月14日午前10時ころ、本件市場2階の会議室に集って、創立総会を開催した。創立総会において、まず、R税理士があらかじめ作成していた創立総会議事録(甲6の押印前のもの)3、4部を株式引受人に配付し、全員がこれを回し読みし、その後、R税理士が議事録を読み上げ、これでよいかどうかを尋ねたところ反対意見は出なかった。そこで、創立総会を終わり、役員となった者は上記創立総会議事録にそれぞれ押印した。
(2) しかしながら、上記被控訴人Y3本人の供述においても、創立総会の開催を決定したときの集まりの日時は曖昧であるし、その集まりに株式引受人全員が出席していたということや招集通知がされたことを裏付ける証拠はない。むしろ、本件会社設立の発起人であり株式引受人でもある控訴人本人は、上記日時に株式引受人全員が集まって創立総会を開催したことがないし、その招集通知等もなかった旨を供述し、株式引受人であるT作成の陳述書(甲9)には同日に開催されたという創立総会に出席したことはないし、その招集通知等もなかった旨の記載がある。また、控訴人は、その後の株主総会には第6回総会までは出席していないが(甲5の1ないし6、原審被控訴人本人)、創立総会は重要で記念すべき総会であるから、招集通知等があれば出席したと思われるし、その総会で被控訴人ら主張の役員報酬の件が議案として提案されたなら、当然に反対したと思われる。しかし、創立総会で同議案について反対意見がなかったこと(甲6、原審被控訴人Y3)に照らすと、控訴人に対して、創立総会の招集通知があったこと及び控訴人も出席した創立総会で同議案が提起され決議されたことには疑問がある。
そして、現実に創立総会において上記役員報酬の件が決議がされていたのであれば、取締役会において具体的な報酬支給を決定する際に、監査役についても、低額にせよ、これを支給する旨を決議したはずであるのに、上記のとおり、当初は取締役にのみ相当高額な報酬を支給する旨を決定して実施しており、この点も疑問である。
もっとも、本件会社の決算報告書(第1、2期、甲7の1、2)には、原判決別紙別表の合計額が販売費及び一般管理費の中に役員報酬として計上され(1期90万円、2期180万円)、控訴人が監査役の一員として、監査の結果、いずれも適法かつ正確であることを認める記載があるが、控訴人名は印刷文字で、同名下に押印はないうえ、控訴人は本件会社の監査役になることは承諾したものの現実には全く監査をしておらず、決算書類を見たこともないこと(原審控訴人本人)に照らすと、控訴人が上記役員報酬の件を承認していたともいえない。
被控訴人らは、創立総会議事録が、税理士において作成され、取締役に就任した5人がこれに押印している点から、創立総会が開催され、それに記載の議決がされたことは十分に認められる旨主張するが、上記のとおり、創立総会が開催されたことは疑問であるといわざるを得ない。
(3) 以上によれば、本件会社について、平成7年9月14日に創立総会が開催されたとの被控訴人ら主張の事実を認め得るだけの証拠はないといわなければならず、その総会において、取締役及び監査役の報酬に関する決議が有効にされたと認めることはできない。
2 本件再決議の効力の有無(争点2)
(1) 控訴人は、本件再決議が商法266条5項に違反し、あるいはこれを潜脱するものであると主張する。しかしながら、本件再決議は、取締役等の責任を免除する決議ではないから、商法266条5項に直接違反するものではないし、その報酬を過去に遡って支給することを決議することも、必ずしもその支払について会社が有する債権と相殺処理をすることが禁止されるものではなく、これによって会社が取締役等に対して有した債権が失われることになっても、当不当の問題であって、その決議を取り消し得る場合があるに止まるというべきである。したがって、本件再決議が同条項に違反し、あるいはこれを潜脱するものとして無効であるということはできない。
(2) そこで、控訴人のその余の主張について検討するところ、被控訴人らは、控訴人の本争点に関する主張の内イないしエが時機に後れた攻撃防御方法であるから却下されるべきであると主張するので、まずこの点についてみるに、確かに、控訴人の上記主張は当審に至って初めて主張されたもので、時機に後れたものといわなければならないが、これに伴って特段の証拠調べが必要となるわけではないことからすると、訴訟の完結を遅延させるものとまではいえない。よって、被控訴人らの上記主張は採用しない。
(3) 控訴人は、本件再決議は商法247条1項3号に違反する著しく不当な決議であるから無効である旨主張するので検討するところ、本件再決議は、取締役及び監査役の報酬に関する決議であり、取締役あるいは監査役であって特別利害関係人である被控訴人らが賛成票を投じて議決されたもので、賛成74株の内被控訴人らが64株を占めており、反対が26株あったことからすると、被控訴人らが決議に加わらなければ異なる決議となったことを認めることができる。しかし、商法247条1項3号は、特別利害関係人が決議に加わること自体を禁止するものではなく、その決議が特別利害関係を有する株主が議決権を行使したことによって著しく不当な決議がされたときに、その決議を取り消すことができるものとするに止まり、著しく不当な決議であっても直ちに無効となるものとはしていない。そうであれば、本件再決議も、控訴人主張の事由を勘案しても取り消し得る場合があるに止まるものである。
(4) また、控訴人は、本件再決議は、商法269条に違反し、無効である旨主張するところ、そのうち、手続が不当であるという点は商法269条の問題ではないし、いわゆるお手盛りの報酬決定であるという点も、商法247条1項3号の著しく不当な決議に当たるか否かの問題、すなわち取消事由の有無の問題であるうえ、本件全証拠によってもこれをもって公序良俗に反するという事情を認めることはできない。
(5) 次に、控訴人は、本件会社は、株式を本件協同組合の組合員に平等に取得することが予定されていたとして、これを前提に本件再決議に対する被控訴人らの株主権の行使が、信義則に反し、権利の濫用である旨主張するのであるが、被控訴人らの株式取得が違法なものであるとは認められないから、その議決権行使は違法ではなく、本件全証拠によっても、これを信義則に反するとか権利の濫用であるとする事由はない。
(6) ところで、本件再決議は、本件訴訟において当該創立総会の決議が不存在であることが確定されたときに、当該創立総会に遡って効力が生じる条件付決議であるとして議決されたものであるところ、本件訴訟において、取締役及び監査役に対する報酬の支給に対する取締役会の支給決定の根拠となる創立総会における決議の有無が問題となったことから、この取締役会の報酬支給決定に根拠を与え、本件訴訟における有効な攻撃防御方法となることを意図して行われたものであることは、本件再決議がされた時期及び本件訴訟の経緯に照らして容易に推認することができる。
そうすると、本件再決議は、本件訴訟を被控訴人らの勝訴に導くためになされたものであって、訴訟上の信義に著しく反するものといわなければならない。控訴人が、本件再決議が株主代表者訴訟を無意味にするもので許されない旨の主張をしている点に鑑みれば、被控訴人らが本件再決議の存在を主張することは許されないものというべきである。
3 本件再決議によって本件会社の損害はなくなったか(争点3)について
(1) 本件再決議は、取締役等の責任を免除する決議ではないから、この決議によって、直ちに、創立総会ないし株主総会の決議に基づかないで報酬が支給されたことによる本件会社の損害が消滅するものではないうえ、上記2(6)のとおり、被控訴人らは本件再決議の存在を主張することは許されない。
(2) 上記認定のとおり、本件再決議の前には、取締役及び監査役の報酬の支給について株主総会の決議はなかったというべきであるから、被控訴人Y2を除く被控訴人らは、本件会社設立以来、取締役として取締役会で各年度の取締役報酬の金額及び支給を決めた点において法令に反する行為を行ったというべきであり、また、被控訴人Y2も、平成10年3月までは監査役として株主総会の決議がないのに取締役報酬が支給されていることについて、その旨の決算報告を適法かつ正確との監査結果を報告した点において、その任務を怠り、取締役になって以降は、他の被控訴人らとともに取締役報酬の支給を決めた点において、法令に違反する行為を行ったものというべきである。そして、本件再決議がされたことによっても、被控訴人らが上記の任務違背を行ったことによって本件会社が損害(本件会社が設立時から平成12年6月1日までの間に役員報酬として支出した合計5850万円)を被っていることが明らかであるから、被控訴人らはその責任を免れることはない(商法266条5項、280条)。
4 権利の濫用ないし信義則違反の成否(争点4)について
被控訴人らは、控訴人が本件会社のために損害賠償請求権を行使することが権利の濫用ないし信義則違反であると主張するが、商法が株主代表訴訟を規定する趣旨並びに上記のとおり訴訟上の信義により本件再決議の存在を手続上主張できないこととした事情からみて、これを採用することはできない。
5 結論
以上によれば、控訴人の被控訴人らに対する請求はすべて認容すべきところ、これと結論を異にする原判決は不当であるからこれを変更することとし、なお、仮執行宣言は相当でないからこれを付さないこととして、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 横田勝年 裁判官 松本哲泓 裁判官熊谷絢子は退官のため署名押印することができない。裁判長裁判官 横田勝年)