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大阪高等裁判所 平成14年(ラ)895号 決定 2003年3月25日

主文

1  本件抗告を棄却する。

2  抗告費用は、抗告人の負担とする。

3  原決定主文第1項の「未成年者A」を「未成年者A」と更正する。

理由

第1本件抗告の趣旨及び理由

別紙1「執行抗告状」(写し、抜粋)記載のとおりである。

第2当裁判所の判断

1  一件記録によれば、次の事実が認められる。

(1)  抗告人と相手方との間には、神戸家庭裁判所龍野支部平成13年(家イ)第36号子の監護に関する処分(監護者の指定)調停申立事件において平成13年3月14日成立した調停調書が存在し、その内容は別紙2記載のとおりである。

(2)  上記調停調書の調停条項第3項の定め(以下「本件条項」という。)に基づく相手方と未成年者との面接交渉は、平成13年3月17日から同月18日まで及び同月31日から同年4月1日までの計2回実施された(本件条項に基づかない対面の機会は同年6月及び同年8月の2回あった。)ものの、平成13年5月以降現在に至るまで、本件条項に基づく相手方と未成年者との面接交渉は実施されていない。

2  上記1(1)の認定事実によれば、本件条項は面接交渉権の行使方法を具体的に定めたものということができるから、上記1(2)のとおり、面接交渉をさせる義務を負う抗告人がその義務を履行していない以上、面接交渉権を有する相手方は、抗告人に対し、間接強制の方法によりその権利の実現を図ることができると解すべきである(なお、抗告人は、上記義務を履行しないことにつき正当な理由がある旨主張するが、同主張は請求異議の事由として主張し得るにとどまると解される。また、上記調停成立後の事情の変更により、相手方と未成年者の面接交渉が未成年者の福祉に反するに至ったと主張するならば、本件条項の取消しを求めるべき(調停ないし審判の申立て)である。)。

3  そして、一件記録によれば、抗告人は開業医として相当額の収入を得ていると認められるから、上記義務の履行を確保するために相当な金額は、1回の不履行につき20万円であると認められる。

4  よって、本件抗告は理由がない(なお、原決定主文第1項に「未成年者A」とあるのは明らかな誤りであるから、これを「未成年者A」と更正する。)から、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 下方元子 裁判官 一谷好文 村川浩史)

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