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大阪高等裁判所 平成16年(ネ)577号 判決 2004年7月28日

東京都千代田区<以下省略>

控訴人・附帯被控訴人

株式会社日興コーディアルグループ

(第1審被告)

(旧商号日興證券株式会社)承継人

(以下「控訴人」という。)

日興コーディアル証券株式会社

上記代表者代表取締役

上記訴訟代理人弁護士

板東秀明

伊藤真紀

大久保敏雄

大石和夫

関聖

田中英行

宮﨑誠司

北浦一郎

西村亜希子

土居正人

竹内直久

冨田陽子

藤野慶治

兵庫県<以下省略>

被控訴人・附帯控訴人(第1審原告)

X1(以下「被控訴人X1」という。)

大阪府<以下省略>

被控訴人・附帯控訴人(第1審原告)

X2(以下「被控訴人X2」という。)

上記両名訴訟代理人弁護士

田端聡

主文

1  本件控訴に基づき,原判決を次のとおり変更する。

(1)  控訴人は,被控訴人X1に対し,105万9674円及びこれに対する平成12年8月5日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

(2)  控訴人は,被控訴人X2に対し,31万1078円及びこれに対する平成12年8月5日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

(3)  被控訴人らの控訴人に対するその余の請求を棄却する。

2  本件附帯控訴を棄却する。

3  附帯控訴に係る控訴費用は被控訴人らの負担とし,その余の訴訟費用は,第1,2審を通じてこれを5分し,その1を控訴人の,その余を被控訴人らの負担とする。

4  この判決は第1項(1)(2)につき仮に執行することができる。

事実及び理由

第1当事者の求める裁判

1  控訴の趣旨

(1)  原判決中,控訴人敗訴の部分を取り消す。

(2)  被控訴人らの請求をいずれも棄却する。

2  附帯控訴の趣旨

(1)  原判決を次のとおり変更する。

(2)  控訴人は,被控訴人X1に対し,528万9862円及びこれに対する平成12年8月5日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

(3)  控訴人は,被控訴人X2に対し,154万5392円及びこれに対する平成12年8月5日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2事案の概要

1  事案の要旨

(1)  本件は,昭和60年以来日興證券株式会社(以下「日興證券」という。)と投資信託取引を継続してきた被控訴人らが,日興證券の担当社員において,顧客に対する適合性原則違反,説明義務違反,断定的判断の提供の違法行為があったと主張して,日興証券に対し,不法行為(使用者責任)又は債務不履行に基づき損害賠償(差損金と弁護士費用で,被控訴人X1につき629万9478円,同X2につき210万0154円)を請求した事案である。

(2)  原審は,日興証券の担当社員には被控訴人らに対する投資信託取引の勧誘に際し説明義務違反があり,不法行為責任を負うから,日興證券(その承継人である控訴人)も使用者責任を免れないが,損害の発生について被控訴人らにも落ち度があるとして8割の過失相殺をし,被控訴人らの請求を一部認容した。これに対し,控訴人が,担当社員に違法行為はないから被控訴人らの請求は全部棄却すべきであるとして控訴し,他方,被控訴人らも,原審が過失相殺を認めた点を不服として附帯控訴した。

なお,被控訴人らは当審において,弁論終結時点での評価額に基づいて損害額を算定し,上記附帯控訴の趣旨のとおり請求を減縮した。

2  前提事実(証拠を摘示した箇所を除いて,当事者間に争いがない。)

(1)  被控訴人X1は,大学理学部を卒業後,昭和59年4月技術職として就職し,以後稼働していた者であり,昭和60年当時25歳であり,被控訴人X2は,その妹で21歳の大学生であり,2人は兵庫県<以下省略>のアパートで同居していた。被控訴人X1はその後も勤務を継続しているが,被控訴人X2は大学を卒業して就職した後,平成4年に結婚して以後は専業主婦である(甲30)。

(2)ア  日興證券は,いわゆる大手証券会社であり,西宮支店社員をして被控訴人X1への投資勧誘をさせていた。

イ  日興證券は,平成13年10月1日,商号を株式会社日興コーディアルグループに変更するとともに,その営む証券業その他の営業の全部を控訴人に承継させるため吸収分割を行った。

(3)  被控訴人X1は,昭和60年5月,日興証券西宮支店を訪れ,70万円で公社債投信を購入し,以後同店で取引を継続するようになった。当初の日興證券の担当者はB社員(以下「B社員」という。)であった。同年10月からは,被控訴人X2も被控訴人X1を介して同店で取引を開始した(最初は50万円で公社債投資信託を購入)。被控訴人X2の取引については,すべての手続を被控訴人X1が被控訴人X2の了解の下に代行した。

平成元年1月ころ,被控訴人らの担当者がB社員からC1社員(旧姓C。以下「C社員」という。)に変更された。

(4)  被控訴人らは,日興証券から,別表記載(1)(2)のとおりの商品を,同別表に記載の日(ただし,別表(1)5番の約定日は昭和62年6月11日,同13番の約定日は昭和63年12月22日)に購入し,売却した(以下,同別表の購入取引のうち,商品名として公社債投信,中国ファンド,スーパーゴールド,株式累投,小田急電鉄転換社債及び満期指定型金貯蓄と記載された欄以外の欄に記載された商品に係る取引を,一括して「本件各取引」ということがある。なお,同別表中,差引損益の欄の記載には一部争いがあり,本件各取引に起因して被控訴人らが被った損失は,下記(6)のとおりである。)。

(5)  本件各取引は,いずれも,株式投資信託の一種であり,中国ファンドや公社債投資信託に比べると利回りが高い反面リスクも大きい。なお,本件各取引当時,株式投資信託の収益性と危険性を示す指標として,成長型・安定型・安定成長型の3分類が一般に行われていた。成長型は,高収益高リスクの商品であり,投資対象への株式組入れに制限がないもの,安定型は,低収益低リスクの商品であり,株式組入れを投資額の50%に制限してあるもの,安定成長型は,両者の中間であり,株式組入れの限度が70%とされているものである(組入限度が高く設定されているほど,株式の値動きが反映する度合いが大きい。)(甲12,弁論の全趣旨)。なお,本件各取引の対象商品のうち,成長型に属するのは,別表(1)の番号8,11,14,15,17ないし22,24,28,33,34,36,37,39,44,50,66,同(2)の9,10,12,16,18,20,27,33の各「商品名」欄記載の商品である。

(6)  本件各取引による被控訴人らの損益計算は以下のとおりである(被控訴人らは,当審において,原審における争いのない数額を減額した額を主張し,控訴人はこれを争うことを明らかにしない。)。

ア 被控訴人X1について

(ア) 平成6年5月までの取引による確定損失 90万8381円

(イ) グローバルセレクション日本による確定損失 83万2028円

(ウ) インデックスファンド225による評価損 205万4502円

(エ) 低位株オープンによる評価損 101万4951円

(小計 480万9862円)

イ 被控訴人X2について

(ア) 平成6年5月までの取引による確定損失 7万6048円

(イ) グローバルセレクション日本による確定損失 63万7900円

(ウ) インデックスファンド225による評価損 25万2689円

(エ) 低位株オープンによる評価損 43万8755円

(小計 140万5392円)

3  争点及びこれに関する当事者の主張

(1)  適合性原則違反の有無

〔被控訴人ら〕

上記前提事実のとおり,被控訴人らは,日興証券との取引開始当時,社会人となって数年又は大学在学中の者で,投資の知識・経験のみならず社会経験も十分でなく,投機的取引とは対極に位置する貯蓄志向の素人顧客に過ぎなかった。とりわけ,本件各取引の原資は,余剰資金や親の遺産のような不労所得ではなく,日々の就労によって取得した給料やアルバイト収入であった。そして,以上のような事情は,B社員及びC社員において,十分に認識していた。

本件各取引は,そのほとんどが株式を運用対象とする投資信託であり,被控訴人らの意向や知識・経験,資金の性質に全くそぐわないものであるから,本件各取引は取引適合性を欠いていたというべきである。

なお,株式投資信託が株式取引よりも一般的に安全であるということはできないから,そのことを理由に顧客に高度の投資判断能力が不要であるとすることはできないし,常時値動きがある点で公社債投資信託とは決定的に異なるから,本件各取引以前に被控訴人X1が公社債投資信託の経験を有することは,適合性を肯定する理由にはならない。

〔控訴人〕

株式投資信託は,資金運用の専門家が研究の上,複数の株式に分散投資を行い,リスクヘッジを考慮しながら収益性を追及して資金運用を図る性質の商品であるから,株式を単独で買い付けるのに比べて顧客の投資経験や知識が必要とされる側面が小さく,さほど高度な能力が求められるわけではないし,顧客においてリスクを理解することもさほど困難ではない。被控訴人らに対して,このような商品の販売をも行うべきではないとすれば,被控訴人らのみならず,被控訴人らと同様の若年女性客全般の経済活動の自由を奪う結果となる。

本件当時,被控訴人X2の取引をも代理していた被控訴人X1は,国立大学理学部を卒業後,システムエンジニアとして大手シンクタンク(株式会社a)に勤務していた。その経歴からして,通常の社会経験を有していたことは明らかであり,また,このような者が株価が相場により上下するという最低限の一般常識を知らないはずはない。のみならず,同被控訴人は,通常レベルの投資知識を十分に有し,これに基づいて自らのニーズに合致した合理的な投資判断を下すに足る能力を有していたというべきである。

さらに,被控訴人らは若年とはいえ現役社会人であり,父親からの仕送りで生活をまかなった上,給料等を投資資金に充てていた。これは当面使う予定のない余裕資金である。

以上の事実に照らせば,被控訴人らに本件各取引への適合性があることは明らかである。

(2)  説明義務違反の有無

〔被控訴人ら〕

被控訴人らは,日興証券以外では証券取引経験が全くなく,株に関する知識も興味もなく,安全な貯蓄を志向していた者であるところ,B社員及びC社員は,このような者にはそぐわないハイリスクの取引を次々と勧誘し,その際,元本割れの危険性や,そのことの説明の必要性等を明確に意識しないまま,「株に投資するので値動きがある。」といった程度のことを言明した以上に,何らリスクの告知や個々の商品特性の説明をせず,受益証券説明書も一度も交付することがなく,被控訴人らが投資判断を下すに足りる十分な説明を怠った。

〔控訴人〕

ア B社員及びC社員は,被控訴人らが買い付けた株式投資信託のすべてについて,買付の都度,被控訴人X1に対し,事前又は事後に当該株式投資信託のリーフレットを送付し,口頭ないし書面で値動きのリスクを含めた商品内容の説明を行った。なお,被控訴人X1に送付された本件各株式投資信託のリーフレットは,受益証券説明書の内容を簡略化し,わかりやすく説明するものであって,必ず,元金が保証されない旨明記されていた。したがって,被控訴人らが取引をするに当たり必要な情報はすべて適切に与えられている。

イ 被控訴人X1が主体性に乏しい顧客であるとすれば,担当者も,そのような者であることを前提に,適切な情報を提供すべく通常以上の努力を払う必要があるであろう。しかしながら,同被控訴人は,① B社員と手紙のやりとりをし,② 月に1度くらいは自発的に日興証券西宮支店に来店し,③ その際担当者の交付した書面の内容や来店時のやりとりについて後に質問をし,④ 各投資信託商品についても,C社員の具体的説明と助言を受けた上,担当者の提示した複数の選択肢の中から自ら一つを選択するなど自己の判断で取引を行い,⑤ 投資信託の運用報告書に記載された基準価額の値下がり状況につき,わざわざ来店して質問し,⑥ 被控訴人X2の資金での取引の際にはC社員の勧めた株式投資信託を断り,安全性の高い公社債投資信託を購入し,⑦ 送付された投資信託の信託期間延長通知に抗議のため来店するなど,取引の安全性に強い関心を持ち,担当者から十分納得できる程度の説明を聞いた上で取引を継続してきた,極めて主体性のある顧客である。

ウ そして,上記イに指摘した諸点によれば,被控訴人X1が損失を出すことについて強い嫌悪傾向を有すること,担当のC社員もまたそのことを容易に認識し得たことは明らかである。他方,これらの諸点によれば,また,被控訴人X1が通常レベルの常識を有していたことも明らかであるから,被控訴人X1が,元本割れが現実化しないなら構わないとか,大手証券会社の社員であれば適切な商品を提供してくれるはずであるとかいった楽観的な考えを有していたとしても,そのことをC社員が認識し得たはずはない。

エ そのような状況の下,C社員は,被控訴人X1の属性ないし取引姿勢を踏まえ,取引に当たり,特に丁寧な説明をして本人の意思を尊重するように心がけ,被控訴人X1が一通りの説明を聞いた後「詳しいことは分からないのでお任せします。」などと言い出した際にはその都度もう一度説明して本人の意思確認をし,投資信託と銀行預金の違いや,当該商品が公社債投資信託でなく株式投資信託であること,その運用方法,対象となる銘柄,配当は実績によって決まること,値動きがあり元本割れのリスクもあること等について,わかりやすい言葉を選んで繰り返し説明した上,これらの口頭説明のほか,さらに,商品内容を分かりやすく記載した書面をC社員自ら作成送付し,時には損失額を分かりやすく解説した計算書を自作して送付するなどした。

オ これらによれば,C社員は,通常以上の努力を払って投資の仕組みや危険性を説明してきたものであって,被控訴人の属性や取引姿勢に最大限に配慮したものであって,その説明義務は十分に尽くされていたというべきである。

(3)  断定的判断の提供の有無

〔被控訴人ら〕

B社員やC社員は,本件各取引の際,被控訴人X1に対し,「大丈夫,絶対損しません。」,「銀行預金より悪くなることはありません。」,「大丈夫なので任せてほしい。」等の断定的判断の提供を行った。被控訴人X1はこれを信頼して,本件各取引に応じたものである。

また,このような経緯で購入した投資信託の価格が下落を続けていた状況下においても,なおも商品内容や危険性を全く説明しないまま,「必ず元に戻せる,任せてほしい。」などと述べて,ハイリスク・ハイリターンの投資信託への乗換え勧誘が続けられていた。

〔控訴人〕

被控訴人らの主張は争う。

本件各取引に際し,B・C両社員とも,被控訴人X1に対し断定的言辞を用いた事実はない。かえって,当該商品の内容を具体的に説明し,株式が運用対象に組み入れられている以上,株価の上下に伴い,株式投資信託の基準価額も変動することを正確に説明しているのである。

(4)  損害額・過失相殺

〔被控訴人ら〕

ア 前提事実記載の損失は,B社員又はC社員の上記適合性原則違反,説明義務違反又は断定的判断の提供に基づく違法な勧誘行為によって生じたものであるから,これにつき使用者たる日興証券,したがって,その地位を承継した控訴人は,被控訴人らに対し,損害賠償義務を負う(被控訴人X1につき480万9862円,被控訴人X2につき140万5392円)。

そして,被控訴人X1については48万円の,被控訴人X2については14万円の弁護士費用相当額の損害が加算されるべきであるから,両名の損害額は,最終的には,被控訴人X1につき528万9862円,被控訴人X2につき154万5392円となる。

イ 被控訴人らは,当初から一貫して公社債投資信託等の安全な商品を指向し,担当者からの勧誘に対しては何度も念押しを行い,詳しいことは分からない旨述べて,ただ安全な貯蓄を行いたいだけであることを明らかにし,評価損の発生・拡大に気付いた後も,対処法がわからないまま専門家たるC社員の意見に従わざるを得なかっただけである。その他,上記各争点において主張した事実に照らせば,本件各取引に当たり,被控訴人らには落ち度がないか,あっても極めて小さなものにすぎないというべきである。

〔控訴人〕

上記各争点につき主張した事実は,被控訴人らの著しい過失相殺事由に該当する。

第3争点に対する判断

1  認定事実について

前記前提事実,甲30(一部),乙21(一部),原審証人C,原審被控訴人X1本人及び後掲の証拠によれば,以下の事実が認められる。

(1)  被控訴人X1は,国立b大学理学部を卒業後,昭和59年4月に株式会社aに技術職として就職し,以後システムエンジニアとして稼働していた者であり,昭和60年当時は25歳であった。被控訴人X2は,同X1と4歳違いの妹で,当時は大学生であった。当時両名は兵庫県<以下省略>のアパートで生活していたところ,被控訴人X1は,「当座は使う予定のない余裕資金を銀行より利率の良いところに預けておこう」という程度の感覚で,当時テレビのCMや新聞広告を見て知っていた中国ファンドを購入するため,昭和60年5月,通勤途上にあって自宅から最も近い日興證券西宮支店を訪れた。その際,応対に出た同支店のB社員から,「すぐに引き出す予定がないのなら」と,中国ファンドより公社債投資信託を勧められたため,被控訴人X1はこれに応じ,70万円で公社債投資信託を購入(別表(1)1番)し,以後,B社員を担当者として,同店で取引を継続するようになった(昭和61年12月まではすべて公社債投資信託。別表(1)2~4番)。なお,このときまでに,被控訴人X1が証券会社を訪れたことは全くなかった。

(2)  また,被控訴人X2も,昭和60年10月,被控訴人X1を介し,50万円で公社債投資信託を購入(別表(2)1番)し,これ以後B社員を担当者として同店で取引するようになった(被控訴人X1同様,昭和61年12月まではすべて公社債投資信託。別表(2)2・3番)。なお,このときまでに,被控訴人X2の取引が同被控訴人の了解の下,被控訴人X1を介してされていることについて,B社員は熟知していた。

(3)  被控訴人X1は,昭和61年10月以降岡山に転勤していたが,同所に赴任している間,B社員から予め1枚もののパンフレットを送付された上での電話による勧誘を受け,昭和62年6月11日,トリプルバランス87-2を購入(別表(1)5番)した。その際,被控訴人X1は,上記パンフレットに小さく元本保証はしない旨の記載があることに気付き,この点をB社員に指摘したことがあった。

(4)  昭和63年1月15日,被控訴人X1は,岡山赴任中に,低レシオファンド88を購入(別表(1)9番)した。これは,それまでに取引していた公社債投資信託全部の売却代金を原資に,いわゆる切り替えを行ったものであった。

(5)  平成元年1月ころ,被控訴人らの担当者がB社員からC社員に変更された。C社員は,B社員から,同社員が被控訴人X1との間で交わした手紙や電話のメモ等の一件ファイルをすべて引き継いだ。また,C社員は,被控訴人X1と接するようになって,同被控訴人が過去の取引に不満を持っておらず,投資勧誘を積極的にしなくても月に1度くらいの割合で定期的に来店する熱心な顧客であると受け止めていたほか,B社員が担当していた時期から手紙のやり取りがあった上,自分の担当後にも送付した書類や来店時でのやり取りにつき後にいろいろ質問されたりすることがあったことから,大変慎重な顧客である,との印象を持っていた。そこで,C社員は,被控訴人X1に対しては,取引に当たり,特にていねいな説明をし,本人の意思を尊重するように心掛けていたが,被控訴人X1は一通りの説明を受けて納得したようであるにもかかわらず,いざ決定をする段になると,「詳しいことは分からないのでお任せします」とか「プロではないから分からない」などと言い出すことがよくあった。

(6)  日経平均株価は平成2年に入ってから下落の一途をたどっていたが,同年4月上旬ころからやや騰勢に転じ,同年7月下旬ころ急落を始めた(乙22の1・2)。そのような中で,C社員は,利益の出ていた低レシオファンドを売却し,一定の利益を確保した上で,日経平均株価に連動する性質の投資信託であるインデックスファンド225を取得させることが得策と考え,その旨被控訴人X1に電話で伝え,これに応じて,被控訴人X1は,平成2年4月19日に低レシオファンド88を226万6928円で売却(別表(1)23番)し,同月24日,その売却代金でインデックスファンド225を購入(別表(1)24番)した。被控訴人X1は,更にこれを短期間のうちに売却(売却益10万6603円)し,スーパーゴールド(金貯蓄)の取得・売却により売却益を確保(2408円)した上で,日米ストックアロケーションを購入(別表(1)28番,237万円)するに至った。これらの売買は,すべてC社員が,電話で,その投資判断に基づいて被控訴人X1を勧誘し,同被控訴人がこれに従い,取引を行ったものであった。

(7)  平成2年7月から8月にかけ,被控訴人X1は,それまで保有していたトリプルバランス87-2,CB債券ファンド及びトゥモローセレクト88-10を売却(別表(1)30~32番)し,その代金でインデックスファンド225を再度購入(別表(1)33番)しているが,これらの取引も,前同様,C社員の判断に基づく,電話による提案・助言に被控訴人X1が従ったものであった。

(8)  被控訴人X1は,平成2年11月ころ,日興証券から運用報告書を送付されたが,これには,同被控訴人の購入した商品の価格が下落している旨の記載があった。同被控訴人は,C社員の許に運用報告書を持参し,そこに記載された値下がり状況について質問した。

(9)  被控訴人X1は,平成2年12月,C社員に対して,より確実安全なものとして公社債投資信託を購入したい旨を申し出た。同被控訴人が,購入する投資信託の種類について自ら申し出たのは,このときが初めてであった。しかしながら,その際,C社員は,公社債投資信託を直ちに紹介することはせず,予想分配率を説明し,併せてファンドトゥモロー90-12を紹介し,① 全額を公社債投資信託に充てる,② 全額をファンドトゥモロー90-12に充てる,③ 金額を分けて両方に充てる,との3つの選択肢を提示して被控訴人X1にその判断に委ねると,被控訴人X1は数日後来店して上記③の選択肢を選び,自分と被控訴人X2のため,公社債投資信託を20万円,ファンドトゥモロー90-12を30万円ずつ購入(別表(1)38・39番,別表(2)19・20番)した。

(10)  平成2年12月から平成4年初めころまでの約1年間,被控訴人らと日興證券との間に取引はなかった。なお,このころ,被控訴人X1がC社員に対し,現に保有する株式投資信託を全部売却したらどうなるかとの問い合わせをしたことがあるが,C社員が,クローズド期間中のものはたとえ住宅購入という特別な場合でも売却できない旨回答し,それ以外のものでも売却すれば損失が出ることを概算を示して説明した上,それを確定させるよりは相場が上がるのを待つ方が得策ではないかと助言したところ,同被控訴人からは売却の指示がされなかった。

(11)  被控訴人X1は,平成4年1月,被控訴人X2名義で,100万円相当の公社債投資信託を購入した。このとき,C社員は他の商品を勧めたが,被控訴人X1は「妹の分だから値動きのあるものは困ります。」と述べてこれに従わなかった。

(12)  平成4年3月11日,被控訴人X1は,昭和62年及び同63年に購入したシステムポートフォリオ87-2及びCBミックスセレクト88-11を売却(別表(1)40・41番)し,このとき初めて合計1万5490円の損失が生じた(なお,弁論の全趣旨によれば,前者について4000円の収益分配がされたため,実質的な損失は合計1万1490円と認められる。)。他方,被控訴人X2は,同日,昭和63年に購入したトゥモローセレクト88-10を売却(別表(2)22番)し,1万1280円の利益が生じている(弁論の全趣旨によれば,これについても5万7600円の収益分配がされたため,実質的な利得は6万8880円と認められる。)。被控訴人らは,このときの売却代金により,トゥモローセレクト90-06(この約2年前に募集された投資信託)を購入(別表(1)42番,別表(2)23番)した。さらに,同年12月,被控訴人X1は,トゥモローセレクト88-12の償還代金(別表(1)43番)でインデッックスファンド225を購入(同44番)した。以上のような株式投資信託の乗換えは,すべてC社員の判断に基づく提案・助言を被控訴人X1が受け入れたものであった。

(13)  平成5年の4月か5月ころ,被控訴人X1がC社員を訪ね,保有する投資信託について信託期間が延長になる旨の通知書が送られてきたことに不満を表明したことがあったが,その際,被控訴人X1は,C社員から通知書の内容を解説され,ひとまず納得した。このとき,被控訴人X1がC社員に対し手持ちの投資信託の今後の運用につき相談を求めたので,C社員は,同被控訴人に対し,① このまま様子を見る,② 全部売却して公社債投資信託のような安定した商品に切り替える,③ 少しずつでも評価損を取り戻すため,一部をインデックスファンド225のような,リスクはあるが,利益も望める商品に切り替え積極運用を図る,の3つの方法を提示した。これに対し,被控訴人X1は,当初②の方法にしたいとの意向を表明したが,C社員がその場合に生じる売却損を試算して示したところ,損失が出ることに抵抗感を示し,結局③の方法を選択した。これに基づき,同年6月3日,リバランスCB89-07,日米ストックアロケーション90-05,トゥモローセレクト90-06,トレンディアロケーション90-08,ファンドトゥモロー90-12を売却(別表(1)45~49番)し,グローバルセレクション日本への買換え(別表(1)50番)が行われたが,この時の商品の選定も,C社員の提案・助言によるものであった。

(14)  その後も市況は改善せず,被控訴人らの保有する投資信託の評価損も改善されなかったため,平成6年5月,C社員は,それまで被控訴人らが保有していた単位型株式投資信託をすべて売却した上で,株価に連動して大きな値上がりの可能性も期待でき,かつ,いつでも売却できるオープン型の投資信託として,低位株オープンの購入を同被控訴人に提案した。その際,C社員は,売却により損失が出ること,ばらばらに売却するよりまとめて売却した方が損失額を把握する上で得策と思われることなどを口頭で説明し,更に損失額を解説するための計算書も自作して被控訴人X1に送付した。その結果,被控訴人X1は,C社員の提案に従うことにし,平成6年5月12日,それまで保有していたトゥモローセレクト89-05等を売却(別表(1)58~65番)し,低位株オープンを購入(別表(1)66番)した。

被控訴人X2についても,ほぼ同様の経過をたどっているが,その詳細は別表(2)のとおりである。

(15)  その後,株価は依然低迷を続け,C社員から積極的に新たな取引の勧誘をすることはなく,被控訴人X1の側から新たな取引の申込みも解約の申入れもなかった。なお,C社員は,平成8年6月,自己都合で退職し,担当者が交替した。

(16)  C社員は,その担当期間中,被控訴人らに対して受益証券説明書を交付したことはなかったし,成長型・安定型・安定成長型という区分についての説明をしたこともなかった。

2  適合性原則違反の有無

(1)  投資信託とは,証券会社が顧客から資金を集めて多額の基金を形成し,証券投資信託の委託をする専門業者がこれを信託銀行等に委託し,受託した銀行等が上記業者の指図に基づいて債券・株式等に投資し,その投資全体の損益が出資割合に応じてそれぞれの顧客に帰属する,という仕組みの金融商品である。投資対象となる有価証券の種類や構成比率等により多種多様のものが存在し,それぞれにリスクや収益性も異なるが,その実質はあくまでも集団的投資であって,確定的な利率を約束するものでも,元本償還を保証するものでもないから,この点で,法的に一定の利息の支払と元金返済を約束する銀行預金とは基本的性格を異にする。しかしながら,資金運用に当たるのが一般投資家より知識経験及び情報の収集分析能力に優れた専門家であることに加え,危険回避のため原則として分散投資を行うことになっているため,株式投資に比べて格別リスクが高い商品ということはできず,一般の投資家にとって比較的安全な商品というべきである(甲12,弁論の全趣旨)。

(2)  そして,上記認定のとおり,被控訴人X2名義のものも含めて直接取引をしていた被控訴人X1は,国立大学卒業後知的職業に就いていた者であり,社会の平均以上の知的能力及び判断力を有していたと推認される上,余裕資金をもって銀行預金よりも有利な利殖をするため投資信託をあえて選択していること,同被控訴人は慎重な性格で取引開始後終始元本割れの点について警戒し,価格変動につき関心を払っていたこと,妹である被控訴人X2の名義で新たな商品を購入するに当たり,値動きのあるものは困る旨述べて,安全な公社債投資信託とそれ以外の商品との基本的な差異を把握していたこと,等の事情に照らせば,被控訴人X1が少なくとも通常の水準の投資知識を有し,これに基づいて合理的な投資判断を下す能力を有していたことは明らかである。

(3)  なお,この点に関し,被控訴人X1は,原審本人尋問において,公社債投資信託と株式投資信託との違いも,郵便局や銀行と証券会社との違いも分かっていなかったとか,株式が値動きするものであること自体知らなかったとか,さらには自分が買ったものが投資信託だということも知らず,(元本が)割れていたと指摘されても,そんなことは分からなかったとか供述しているところ,上記認定事実に照らせば,およそ信用し難いというべきである。

(4)  以上の諸点を総合すると,被控訴人ら(実質的には被控訴人X1)に対し株式投資信託を勧誘したことが,顧客の意向や属性に適合しない取引を勧めたことにはならず,B社員及びC社員に適合性原則に違反する行為があったとする被控訴人らの主張は,採用することができない。

3  説明義務違反の有無

(1)  上記認定事実及び弁論の全趣旨によれば,被控訴人X1は,株式投資信託が郵便貯金や銀行預金よりも利回りの点で有利であることをよく認識し,この点を株式投資信託購入の大きな理由としてはいたが,それ以上の強い投機的志向を有してはおらず,むしろ安定志向が強く,元本が維持されることに強い関心を有する顧客であったこと,その反面,被控訴人X1は,C社員が担当した当初から,主体的に判断することが少なくなり,最終的な決定はすべてC社員に任せる傾向があり(昭和62年6月のトリプルバランス87-2購入以来約7年に及ぶ本件各取引の期間中,被控訴人X1は,平成2年12月に公社債投資信託を購入した時<もっとも,この時は,C社員の勧めで株式投資信託も購入している。>,及び同4年1月に被控訴人X2名義で公社債投資信託を購入した時を除き,すべての商品をC社員の勧めるままに購入していた。),そのことをC社員自身よく認識していたことが認められる。

(2)  ところで,被控訴人らは,B社員やC社員が,元本割れの危険を意識しないまま,十分なリスクの告知をしなかった旨主張するが,甲13ないし29,乙1ないし16(本件各取引に係る日興證券のパンフレット)にはいずれも当該取引は元本を保証するものでない旨の記載があり,かつ,被控訴人X1は本件各取引の初期の段階である昭和62年6月ころには既に上記パンフレットの記載を読みその意味をB社員に尋ねて確かめていること,平成2年11月ころには送付された運用報告書によって元本割れが生じていることを認識していたのであるから,株式投資信託がその性質上元本割れの可能性を有することにつき,本件各取引に当たって,被控訴人X1としても認識していたことが明らかであり,元本保証がないことを告知したという限りにおいては,B社員やC社員に説明義務違反があったとは到底認めることはできない。

なお,被控訴人X1は,C社員から最終的には帳尻が合う,必ず元に戻る旨言われた旨供述するが,にわかに措信できない。

(3)  しかしながら,証券会社が一般投資家を勧誘するに当たり提供すべきものは,投資家が投資の適否について的確な判断をするに足る必要かつ十分な情報であるというべきであり,勧誘に当たってこのような情報が提供されない場合は,当該勧誘行為は説明義務違反の瑕疵があり,違法性を帯びるというべきである。

しかるところ,上記のとおり被控訴人X1は安定志向が強く元本維持に強い関心を有する顧客であるから,価格変動が大きく,相当のリターンが期待できるが相応のリスクも負う,というタイプの商品への志向はさほど高くなく,そのことはC社員において十分認識できたことと考えられる。ところが,C社員が勧めた商品は,B社員から引き継いだ直後から,そのほとんどが成長型の高リスク商品であり,B社員が担当していた時期とはこの点で取引の実体,傾向が異なる。そして,C社員が高リスク商品を勧めるに当たり,安定型・安定成長型・成長型といった概念区分の説明及びこれに関連する説明をしたことはなかったことは同社員が認めているところであり,仮に対象商品の性質,権利の内容のみならず,リスクの程度について分かりやすく説明が尽くされていたならば,被控訴人X1は,C社員の勧める高リスク商品の頻繁な取引を必ずしも希望せず,より安定的な商品を求めていた可能性も十分あったと認められるのであって,リスクを異にする多様な商品の利害得失を比較説明した上で商品を選択する機会を与えることがなかった点において,C社員の対応は,投資の適否につき的確な判断をするに足る十分な情報を与えなかったものというべきである。

また,C社員は,平成2年4月ないし5月ころ,約1か月という短期間の間に,被控訴人X1をして,低レシオファンドを売却後,インデックスファンド225を購入させ,これをさらに売却させて一時的にスーパーゴールドに,更にまた日米ストックアロケーションに乗り換えさせ,その後も,複数の商品をまとめて売却の上,インデックスファンド225等の高リスク商品を購入させているところ,上記のような被控訴人X1の志向性に照らせば,このようにリスクの高い商品への頻繁な乗り換え等の処理を同被控訴人が積極的に望むということは考えにくいのであって,C社員において,上記処理をすることの利害得失を,被控訴人X1の的確な投資判断が現実に可能な程度にまで十分説明し,被控訴人X1がこれを理解・納得していたとはにわかに考えにくいというべきである。

なお,上記認定のとおり,C社員は被控訴人X1に一度も受益証券説明書を交付していないが,このことからもC社員の説明に不十分な点があったことが裏付けられる。

(4)  以上の事情を総合考慮すれば,C社員の勧誘行為には,平成元年1月に被控訴人X1との取引を引き継いだ当初から,説明義務を尽くさない違法があったと推認される。なお,B社員が担当していた時期にも,高リスクな成長型商品(別表(1)8,11番)が取引されたことがあったが,その際被控訴人X1との間にどのようなやりとりがあったのかについては,証拠上必ずしも明確でなく,同社員の勧誘行為について違法性を認めるには至らないというべきである。

4  断定的判断の提供の有無

甲30及び原審被控訴人X1本人の尋問結果中には,被控訴人らの主張に沿い,日興證券の社員らが被控訴人X1に対して「銀行より悪くなることなど絶対ない」,「必ずもとに戻りますから」などと述べた旨の陳述ないし供述部分がある。また,C社員も,原審において,過去の類似商品につきみてみると,元本割れが生じたことはない旨被控訴人X1に説明した旨証言している。しかしながら,被控訴人X1は,他方で,株式投資信託がそもそも株に投資することによって利殖する商品であって,価格の変動がつきものであることを熟知していたというべきであるから,上記説明があったからといって,元本割れが生じる危険性があることについての正当な認識形成が妨げられたとはいえないし,さらに,上記説明は,被控訴人X1からパンフレットに元本保証するものでない旨の記載がされていたことについて質問を受けた際にされたものであって,両者間で交わされた問答の経緯からみても,断定的判断に当たるものではないというべきである。

5  損害額と過失相殺

(1)  以上によれば,C社員は,上記説明義務に違反することによって被控訴人らに生じた損害について,不法行為責任(民法709条)を負うから,日興證券,したがってその地位を承継した控訴人も使用者責任(民法715条)を負うことになる。

(2)  ところで,本件各取引に基づいて被控訴人らに生じた損失は,前提事実のとおり,被控訴人X1につき480万9862円,同X2について140万5392円であると認められるが,そのうち被控訴人X1が平成4年3月11日にシステムポートフォリオ87-2及びCBミックスセレクト88-11を売却した際に現実化した損失合計1万1490円(上記1(12))はB社員担当時の取引に由来するものであって,本件証拠上同社員に不法行為が成立するといえないことについては既に説示したとおりであるから,この額は上記損失から控除することが相当である。

以上によると,C社員の説明義務違反に基づいて被控訴人X1に生じた損害は,480万9862円-1万1490円=479万8372円,被控訴人X2に生じた損害は上記のとおり140万5392円と認められる。

(3)  既に説示したとおり,被控訴人X1は,社会の平均以上の知的能力及び判断力を有し,通常の水準の投資知識を基に,合理的な投資判断を下す能力を有していた者である上,株式投資信託が元本割れの危険のある商品であることを認識していた者である。他方,原審被控訴人X1本人によれば,被控訴人X1は,大手証券会社である日興證券の担当者が言うことなら間違いはなく,専門家に任せておけばいいようになると信じ切って,取引をするか否かを決する場面では最終的にはほとんど常にC社員に決定を委ねていたことが認められる。結局,C社員には説明義務違反があるとはいえ,被控訴人らも,利益発生のみを盲信ないし期待して,自らの判断で取引することを避けつつ,専門的判断を専ら業者に一任するという責任転嫁的な態度をとったものであって,その過失は大きいというべきである。上記説示の事情のほかに,本件に現れた一切の事情を考慮すれば,被控訴人らの過失割合は8割とみることが相当である。

そうすると,被控訴人らの損害額は,次のようになる。

被控訴人X1:479万8372円×(1-0.8)=95万9674円

被控訴人X2:140万5392円×(1-0.8)=28万1078円

(4)  さらに,弁護士費用相当の損害として,被控訴人X1につき10万円,被控訴人X2につき3万円を加算すべきであるから,両名の損害額は,被控訴人X1につき105万9674円,被控訴人X2につき31万1078円となる。

6  結論

以上のとおりであって,被控訴人らの控訴人に対する請求は,上記の額及びこれらに対する不法行為の後(訴状送達の日の翌日)である平成12年8月5日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるが,その余の請求は理由がない。

よって,本件控訴に基づき,原判決を上記の趣旨に変更し,本件附帯控訴は棄却することとして,主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 井垣敏生 裁判官 髙山浩平 裁判官 大島雅弘)

<以下省略>

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