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大阪高等裁判所 平成16年(ラ許)155号 決定 2004年11月11日

申立人 株式会社A

同代表者代表取締役 甲

同訴訟代理人弁護士 辰巳裕規

同 高橋敬

同 大搗幸男

同 永井光弘

同 柿沼太一

相手方 国

同代表者法務大臣 南野知惠子

同指定代理人 仁田裕也

同 豊田周司

同 黒仁田修

同 中秀之

同 根来実

同 藤川工

主文

1  本件抗告を許可しない。

2  申立費用は申立人の負担とする。

理由

1  本件申立ての趣旨及び理由は、別紙許可抗告申立書及び許可抗告理由書に記載のとおりである。

2  高等裁判所の決定に対しては、特別抗告のほか、最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは抗告裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合に、抗

2  告の許可を求めることができるところ(民事訴訟法337条2項)、申立人の主張する許可抗告申立ての理由は同条所定の理由に当たらないと認められる。

3  よって、本件申立てを許可しないこととし、申立費用は申立人の負担として、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 竹原俊一 裁判官 長井浩一 裁判官 中村心)

別紙

許可抗告申立書

2004(平成16)年10月22日

大阪高等裁判所 御中

申立人代理人 弁護土 前田修

同 高橋敬

同 田中秀雄

同 吉井正明

同 松山秀樹

同 小泉伸夫

同 辰巳裕規

同 内海陽子

同 石田真美

同 吉田維一

同 柿沼太一

同 大搗幸男

同 永井光弘

申立人 株式会社A

上記申立人代理人 弁護士 前田修

同 高橋敬

同 田中秀雄

同 吉井正明

同 松山秀樹

同 小泉伸夫

○同 辰巳裕規

同 内海陽子

同 石田真美

同 吉田維一

上記申立人代理人 弁護士 柿沼太一

上記申立人代理人弁護士 大搗幸男

上記申立人代理人弁護士 永井光弘

相手方 国

同代表者法務大臣 南野知恵子

上記当事者間の大阪高等裁判所平成16年(ウ)第568号文書提出命令申立事件(本案・平成16年(ネ)第1519号損害賠償請求控訴事件)について、平成16年10月20日にした決定には不服があるから、申立人は抗告許可の申立をする。

第1.原決定の表示

本件申立てをいずれも却下する。

第2.抗告申立の趣旨

本件抗告を許可し、さらに相当の裁判を求める。

第3.申立の理由

追って提出する。

附属書類

訴訟委任状 2通

別紙

平成16年(ラ許)第155号抗告許可申立事件

(本案大阪高等裁判所平成16年(ネ)1519号)

許可抗告理由書

申立人株式会社A

相手方国

2004年11月1日

最高裁判所御中

抗告人代理人弁護士 ○辰巳裕規

同  弁護士 高橋敬

同  弁護士 大搗幸男

同  弁護士 永井光弘

同  弁護士 柿沼太一

はじめに

原決定は文書提出命令制度、特に文書提出命令における「文書の存在についての立証責任」の判断につき法令の解釈に関する誤りがあるとともに重要な事項を含んでおり、本件抗告を許可されたく申し立てる。

1 原決定は、申立人が文書提出を求めた①本件調査に係る実施計画書(以下「本件実施計画書」という。)及び②B信用金庫兵庫支店に対してされた銀行調査に当たって、大阪国税局の職員が提示した銀行調査票(以下「本件調査票」という。)のそれぞれの文書について①一件記録によっても本件実施計画書が存在していると認めるに足りない、②相手方においては、銀行調査票の保存期間は1年(暦年)とされており、平成13年9月11日から同月14日にかけてされた本件銀行調査に係る本件調査票は、平成14年12月31日に相手方における保存期間が満了し、そのころ廃棄されたものと認めるのが相当である(甲46の1、2、乙11)などとしていずれも申立人の申立を却下した。

2 本件実施計画書について

①本件実施計画書については、申立人において文書が存在する旨を大阪国税局が平成12年7月に作成した「現況調査の手引」(甲44)を引用し、同「現況調査の手引」において「現況調査に実施にあたっては、着手場所、着手時刻等について、統括国税調査官等と打合せの上、実施計画を策定するとともに、調査対象者の問題点、現況調査の留意事項等について、十分に検討を行う。また、トラブル発生時の対応・連絡体制を確認する」(甲44-11~12頁)として現況調査の実施にあたって作成される書面であると具体的に文書の存在について主張立証したにもかかわらず、原決定は「上記「現況調査の手引」には、現況調査の実施に当たって、実施計画を文書として作成しなければならない旨の記載はない。むろん、相手方は行政庁である以上、本件調査に先立って、何らかの内部決裁手続が存在したことは明らかであるが、本件実施計画書を作成しなくても、申立人の事業概要や申告状況等の検討結果を取りまとめた文書(これについては、相手方も作成したことを認めている。)が存在すれば、決裁手続をすることについて、特に支障はないものと考えられる。」などとして、申立人が提出を求める本件実施計画書は存在しないと判断した。

しかしながら、本件実施計画書の存在については、「現況調査の手引」(甲44)により、「現況調査に実施にあたっては、着手場所、着手時刻等について、統括国税調査官等と打合せの上、実施計画を策定するとともに、調査対象者の問題点、現況調査の留意事項等について、十分に検討を行う。また、トラブル発生時の対応・連絡体制を確認する」(甲44-11~12頁)と具体的にその内容が明記されている。しかも同時期に東京国税局長により作成された平成12年7月18日付東京国税局長の各税務署長宛「現況調査における留意事項等について(指示)」と題する通達書面(別紙1-1)中の「現況調査における留意事項(管理者用)」なる文書(別紙1-2)において2具体的留意事項(1)準備調査段階として「調査担当者に対し、準備段階において、事前通知の要否、現況調査の要否等の検討を指示する。準備調査の復命に基づき、調査担当者に対し調査方針を具体的に指示し、その内容を整理簿等に簡記する。」とあり、着手場所、着手時刻、調査対象者の問題点、現況調査の留意事項、トラブル発生時の対応・連絡体制等の「調査方針を具体的」に記載した整理簿等の書面が作成されていることを明らかにしている。

以上「現況調査の手引」(甲44)および、東京国税局長作成の「現況調査における留意事項(管理者用)」と称する内部文書からすると、名称はともかく調査方針を具体的に書面に記載した本件実施計画書が存在することは明らかである。にもかかわらず、原決定は「現況調査の手引」には、現況調査の実施に当たって、実施計画を文書として作成しなければならない旨の記載はないなどとして申立人の申立を却下した。

これは、文書提出命令における文書の存在についての判断を誤っただけでなく、文書提出命令における「文書の存在についての立証責任」に関する法令の解釈に関する重要な事項を含むものである。

3 ②本件調査票について

②本件調査票について、原決定は「相手方においては、銀行調査票の保存期間は1年(暦年)とされており、平成13年9月11日から同月14日にかけてされた本件銀行調査に係る本件調査票は、平成14年12月31日に相手方における保存期間が満了し、そのころ廃棄されたものと認めるのが相当である(甲46の1、2、乙11)」などとし、相手方の提出した「行政文書ファイル管理簿」(乙11)の記載を漫然と引用して銀行調査票は既に廃棄され存在しないと判断した。

しかしながら、本件銀行調査票は相手方が提出した「行政文書ファイル管理簿」(乙11)に記載された「証明及び証明関係書類」に分類される文書などではない。

申立人において相手方提出の「行政文書ファイル管理簿」(乙11)に基づいて大阪国税局のホームページ中の「国税庁文書管理システム」を検索したところ、行政文書ファイル管理においては、「国税庁大阪国税局課税第二部資料調査第一課」が作成者となっている文書についても「国税庁大阪国税局課税第二部資料調査第一課総務係」と「国税庁大阪国税局課税第二部資料調査第一課調査情報担当」が作成した文書にそれぞれ分類されていることが判明した(別紙2)。さらに文書の大分類についても相手方が引用する「0総務」以外に「1人事」「2会計」「3法人・団体」「4国際」「5課税」「6管理」「7徴収」の各項目が存在している事実も判明した(別紙3)。

ところで、相手方は本件銀行調査票については「作成者」が「国税庁大阪国税局課税第二部資料調査第一課総務係」で、管理担当課・係も「国税庁大阪国税局課税第二部資料調査第一課総務係」となる大分類「0総務」中分類「0一般」小分類「0一般」の「行政文書ファイル名」が「証明及び証明関係書類」(証明及び証明関係書類)であるなどとして「行政文書ファイル管理簿」(乙11)を提出している。

しかしながら、そもそも、税務調査において作成された文書である「銀行調査票」の「作成者」が「国税庁大阪国税局課税第二部資料調査第一課総務係」などであるはずはなく、本件銀行調査票の作成者は「国税庁大阪国税局課税第二部資料調査第一課調査情報担当」(別紙2)であり、大分類も「0総務」などではなく、具体的な課税事務である税務調査にあたり作成されたものであるから上記大分類中の分類からすると「5課税」に該当する文書である(別紙3)。さらに文書名についても税務調査(料調調査)過程で作成された文書であるから単なる「証明及び証明関係書類」(証明及び証明関係書類)などではなく、「調査事務関係書類」ないしは「参考調査関係書類」に分類されるべきものである。

そうすると、別紙4~7(大阪国税局のホームページ中の「国税庁文書管理システム」からプリントアウトした各書面)のとおり「国税庁大阪国税局課税第二部資料調査第一課調査情報担当」が作成した「調査事務関係書類」の保存期間は7年であり、同「参考調査関係書類」の保存期間は3年、同「報告関係書類」の保存期間は5年となっている。これら、国税庁大阪国税局課税第二部資料調査第一課調査情報担当」が作成した「調査事務関係書類」ないし「参考調査関係書類」の保存期間は7年ないし5年であり、「証明及び証明関係書類」(証明及び証明関係書類)などのように1年などではないのである。

本件銀行調査票は2001(平成13年)9月11日のB信用金庫兵庫支店に対してされた銀行調査に当たって、大阪国税局の職員が提示した「調査事務関係書類」ないしは「参考調査関係書類」に該当するのであり本件銀行調査票はB信用金庫兵庫支店に対してなされた本件銀行調査直前に大阪国税局課税第二部資料調査第一課調査情報担当において作成された「調査事務関係書類」ないしは「参考調査関係書類」のいずれかに該当するのであり、相手方は現時点においても廃棄などしておらず相手方の「倉庫」に「紙」の状態で保管しているのである。

本件銀行調査票のように文書提出命令の対象たる文書の存在及び所持について申立人が立証を尽くした場合、その文書(本件銀行調査票)の所持後の相手方による滅失(廃棄)事実については相手方に立証責任が存在する(菊井維大、松村俊夫法律学大系・コンメンタール編Ⅱ383日本評論社)。

ところが、原決定は文書(本件銀行調査票)の所持後の滅失(廃棄)事実について相手方の立証責任について何ら問うこともなく漫然と相手方が提出した「証明及び証明関係書類」(証明及び証明関係書類)の保存期間1年などとする「行政文書ファイル管理簿」(乙11)により文書は滅失(廃棄)されたなどと認定している。これは文書提出命令申立事件における文書所持後の滅失(廃棄)の事実についての立証責任の判断を誤っているだけでなく、文書提出命令制度における「文書の存在についての立証責任」に関する法令の解釈に関する重要な事項を含むものである。

4 以上のように、原決定の文書の存在に関する判断は誤っており、ひいては文書の存在についての民事訴訟法220条1号に関する重要な事項の解釈を誤っており取消をのがれないとともに、原決定の判断には文書提出命令制度についての法令の解釈に関する重要な事項を含んでいるので、本件抗告を許可されたく申し立てる。

以上

別紙添付書類

1-1 平成12年7月18日付東京国税局長の渋谷税務署長宛「現況調査における留意事項等について(指示)」なる書面

1-2  上記書面添付の別紙1「現況調査における留意事項(管理者用)」

2 国税庁文書管理システム検索条件の管理担当課・係の項目中、国税庁大阪国税局課税第二部資料調査第一課のディスプレイ部分を撮影したもの

3 国税庁文書管理システム検索条件の国税庁大阪国税局課税第二部資料調査第一課調査情報担当の管理する行政文書ファイル情報文書分類大のディスプレイ部分を撮影したもの

4 国税庁文書管理システム検索結果一覧

作成者国税庁大阪国税局課税第二部資料調査第一課調査情報担当

5 国税庁文書管理システム文書詳細画面

文書件名調査事務関係書類

作成者国税庁大阪国税局課税第二部資料調査第一課調査情報担当

保存期間7年

6 国税庁文書管理システム文書詳細画面

文書件名 参考事務関係書類

作成者 国税庁大阪国税局課税第二部資料調査第一課調査情報担当

保存期間 3年

7 国税庁文書管理システム文書詳細画面

文書件名 報告関係書類

作成者 国税庁大阪国税局課税第二部資料調査第一課調査情報担当

保存期間 5年

別紙1-1

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別紙1-2

現況調査における留意事項(管理者用)

1 基本認識

税務調査の手法は多様であり、現況調査を実施する場合には、その必要性について十分に検討を行い、調査担当者に対して留意事項を指示する。特に、現況調査に当たっては納税者の理解と協力が前提であること、常に係争に至る可能性があることを十分に理解させる。

また、納税者に対して事前通知を行わない場合には、その必要性についても十分に検討を行う。

2 具体的留意事項

(1) 準備調査段階

調査担当者に対し、準備調査において、事前通知の要否、現況調査の要否等の検討を指示する。

準備調査の復命に基づき、調査担当者に対して調査方針を具体的に指示し、その内容を整理簿等に簡記する。

(2) 臨場調査段階

(臨場時)

臨場時に、調査担当者から、調査対象者の不在等不測の事態について連絡があった場合には、その後の調査方針を具体的に指示する。

(帰署後)

調査担当者の帰署後、遅滞なく調査内容の復命を確実に受けるとともに、その内容を整理簿等に簡記する。また、調査担当者には現況調査における承諾の事実などの基本事項を調査書等に記載させる。

なお、調査の進行上、調査担当者が必要と認めて行った現況調査についても、確実に聴取等を行う。

(3) 事案処理段階

調査書、整理簿等により、現況調査が適切に行われたかどうかの確認を行う。

なお、不適切な点が認められる場合には、事実確認を行った上で迅速かつ的確な対応を行う。

(4) その他

現況調査について納税者から抗議があった場合には、確実に報告させるとともに、事実確認を行った上で、署幹部に報告・協議を行い、迅速かつ的確な対応を行う。

別紙2

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別紙3

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別紙7

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