大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪高等裁判所 平成16年(行コ)118号 判決 2005年6月10日

主文

1  本件控訴を棄却する。

2  控訴費用は、控訴人の負担とする。

事実及び理由

第1  当事者の求めた裁判

1  控訴の趣旨

(1)  原判決を取り消す。

(2)  被控訴人は、宮津市に対し、4214万8000円及びこれに対する平成14年1月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

(3)  訴訟費用は、第1、2審とも被控訴人の負担とする。

(4)  仮執行宣言

2  控訴の趣旨に対する答弁

主文と同趣旨

第2  事案の概要等

本件の事案の概要等は、次のとおり補正するほか、原判決の「事実及び理由」中、「第2 事案の概要」欄(原判決2頁1行目から同8頁末行まで)記載のとおりであるから、これを引用する。

1  原判決2頁2行目で引用する原判決別紙物件目録の記載中、同目録記載10の土地の所在が「京都府宮津市字里波見小字岡ノ谷」となっているのを「京都府宮津市字里波見小字岡ノ尾」と、同目録記載11ないし15の各土地の所在が「京都府宮津市字江尻申谷」となっているのをいずれも「京都府宮津市字江尻小字申谷」と、それぞれ改める。

2  同7行目の「損害賠償を求める住民訴訟」を「損害賠償することを求めたが、原審において棄却されたため、控訴した事案」と改め、同15行目の「別紙図面のとおり、」の次に「京都府が実施する」を加える。

3  同3頁1行目の「先行取得を委託する」を「公共用地の先行取得を依頼する」と、同3行目及び同6行目の各「公共用地先行取得依頼書」をいずれも「公共用地先行取得等依頼書」と、それぞれ改める。

4  同9行目の「「本件委託契約」ともいう。)。」の次に「被控訴人は、宮津市の市長として、本件委託契約の締結について決裁した(丙第7号証)。」を、同行目の「上記買取計画書では、」の次に「宮津市は、」をそれぞれ加え、同10行目の「代替地として」を「本件15筆を代替地用地として」と改め、同12行目の「公社に」の次に「公共用地の」を加える。

5  同4頁6行目の「公社は、」の次に「平成8年12月27日、」を加え、同10行目の「林」を「森林」と改め、同15行目の「売買代金全額を支払い」の次に「(本件公金支出)」を、同行目の「引渡しを受けた」の次に「。被控訴人は、宮津市の市長として、上記売買契約の締結(支出負担行為)について決裁をした」をそれぞれ加える。

6  同5頁9行目の「丹後リゾート公園事業」を「本件事業」と改め、同22行目冒頭から同6頁12行目末尾までを次のとおり改める。

「(イ) 本件15筆の買収単価(1平方メートル当たり、里波見地区山林6筆が530円、里波見地区原野4筆が1940円、江尻地区山林5筆が立木補償を含め4400円)や立木補償の単価(里波見地区山林6筆につき、1平方メートル当たり1100円)も、その現況に照らし、本件事業地内の土地に比べて不相当に高額である。」

7  同6頁12行目末尾の次に、改行の上、次のとおり加える。

「ウ 違法性の承継

本件公金支出は、本件15筆の先行取得依頼とは別の財務会計上の行為であるが、本件先行取得依頼の違法性は、後行行為である本件公金支出に承継されるというべきである。

また、被控訴人において自ら違法な先行取得依頼をしておきながら、後になって、本件公金支出がやむを得ないものであったなどと主張することは、許されない。」

8  同13行目冒頭の「ウ」を「エ」と、同21行目の「京都府及び」を「京都府宮津土木事務所及び」と、同7頁1行目の「代替用地」を「代替地用地」とそれぞれ改め、同14行目の「以下のとおり」及び同17行目冒頭から同8頁3行目末尾までをそれぞれ削除する。

9  同8頁24行目の「本件15筆の時価」を「時価」と改める。

第3  当裁判所の判断

1  当裁判所も、控訴人の本訴請求は理由がないから、棄却すべきものであると判断する。その理由は、次のとおり補正するほか、原判決の「事実及び理由」中、「第3 当裁判所の判断」欄(原判決9頁2行目から同10頁19行目まで)記載のとおりであるから、これを引用する。

(1)  原判決9頁6行目の「支出の自体」を「支出自体」と改める。

(2)  同13行目の「本件契約」を「本件委託契約」と改める。

(3)  同17行目の「それが、」から同18行目末尾までを「そのことによって、本件委託契約が私法上当然に無効になるわけではない。」と改める。

(4)  同10頁1行目から同2行目にかけての「できるる」を「できる」と改める。

(5)  同6行目の「いうべきである。」を「いうべきであり、これに反する控訴人の主張は採用しない。」と改める。

(6)  同17行目の「事情もない。」の次に「したがって、被控訴人が本件公金支出について適法であると主張することが、信義に反するなどということもできない。」を加える。

(7)  同17行目末尾の次に、改行の上、次のとおり加える。

「2 また、本件15筆の買取価格(4214万7762円)は、公社が本件委託契約に基づく委任事務(Cから本件15筆を代金3858万9646円で購入すること)を処理するために要した費用に、その支出の日以後における利息を加算した額と一致するものと解されるから、本件公金支出によって、宮津市が新たに損害を被る余地もないというべきである(最高裁平成15年6月10日第三小法廷判決・判例地方自治246号109頁)。」

(8)  同18行目冒頭の「2」を「3」と、同行目の「そうすると」から「検討するまでもなく、」を「したがって、いずれの点からしても、」と改める。

2  よって、控訴人の請求を棄却した原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから、主文のとおり判決する。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例