大阪高等裁判所 平成18年(行コ)102号 判決 2007年9月28日
主文
1 本件各控訴をいずれも棄却する。
2 控訴費用は控訴人らの負担とする。
事実及び理由
第1控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は,A(大阪府箕面市α××番2号。)及びB株式会社(同市β×番1号。以下「B」という。)に対し,連帯して,4349万3000円及びこれに対する平成18年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を箕面市に支払うよう請求せよ。
第2事案の概要等
1 事案の概要
(1) 本件は,箕面市の住民である控訴人らが,箕面市が設置する箕面市立γ駅前自動車駐車場(以下「本件駐車場」という。)の指定管理者(地方自治法244条の2第3項)としてBが指定されたことに関し,原審相被告箕面市を相手として,①箕面市立箕面駅前自動車駐車場条例(平成16年箕面市条例第48号。以下「本件条例」という。)6条1項は,指定管理者選定について公募制度を採用しているのに,本件条例附則3項(以下「本件附則」という。)は,Bを指定管理者に指定することを認めており違法であること等を主張して,本件附則が無効であることの確認を求め,被控訴人に対し,②本件附則が無効である以上,被控訴人(処分行政庁)がBを本件駐車場の指定管理者に指定した処分(以下「本件指定」という。)も違法であると主張してその取消を求めるとともに,③地方自治法242条の2第1項4号に基づき,被控訴人に対し,Aについては,違法な本件指定によりBに本件駐車場の利用料金収入(4349万3000円)を収受させているとして民法644条,415条に基づき,Bについては,違法な本件指定により同利用料金収入を収受しているとして同法709条に基づき,上記金額及びこれに対する平成18年4月1日(債務不履行又は不法行為後である上記収受の後の日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払義務があると主張して,両名に対し,箕面市に上記金額を連帯して支払うように請求することを求めた事案(住民訴訟)である。
(2) これに対し,原審相被告箕面市及び被控訴人は,上記①については,本件附則が地方自治法242条の2第1項2号にいう行政処分に該当しない旨,②については,指定管理者の指定は,同法242条1項にいう住民訴訟の対象となる財務会計上の財産管理行為に該当しないから,同訴えは不適法である旨,③については,Bが利用料金収入を収受するのは,同法244条の2第8項,本件条例15条4項の規定に基づくものであり,被控訴人がBとの間で締結した平成17年3月28日付け協定(以下「本件協定」という。)ないし被控訴人の承諾を根拠とするものではないから,同訴えも財務会計上の行為の適法性を争う訴訟とはいえず不適法である旨を各主張して,上記各訴えをいずれも却下するよう求め,仮に,これが財務会計上の行為に当たるとしても,控訴人ら主張の違法事由はすべて争うと主張した。
(3) 原審裁判所は,上記①②については,原審相被告箕面市及び被控訴人の主張を容れて,同各訴えをいずれも却下し,同③については,財務会計行為の適法性を争う適法な訴えであることは認めたものの,Bによる本件駐車場の利用料金収入の収受は本件条例15条4項によるものであり,本件協定によるものではなく,仮に箕面市に損害が発生したとしても,その損害と本件協定の締結との間には因果関係がないとして控訴人らの請求を全部棄却した。
そこで,これを不服とする控訴人ら(ただし,一審原告C,同D及び同Eを除く。)が,本件各控訴をしたが,控訴人Fは本件控訴を取り下げた。
(4) 当審において,控訴人らは,原審相被告箕面市及び被控訴人に対する上記①②の各訴えをいずれも取り下げた上,③の請求について,後記のとおり請求原因を補正した。
2 法令の定め及び前提事実は,原判決「事実及び理由」欄第2「事案の概要」の1,2(原判決4頁5行目から6頁19行目まで)に記載するとおりであるから,これを引用する。
第3当事者の主張
1 控訴人らの主張する請求原因
(1) 本件協定の財務会計上の行為該当性について
被控訴人は,本件協定により,指定管理業者に指定されたBに対し,具体的に利用料金をBに収受させることを承諾したものであり,本件協定は,Bが収受できる額の多寡を決定する効果があるから,財務会計上の行為に該当する。
(2) 本件協定の違法性について
本件協定は,以下のとおり違法な財務会計上の行為であり,箕面市が被った後記損害との間には相当因果関係がある。
ア 利用料金制採用の違法
(ア) 旧自治省関係者の見解によれば,利用料金制の採否は,当該公の施設の有効な活用及び適正な運営等の観点から総合的に判断すべきものであり,一般的には施設の性格・設置目的からみて収支計算が相償う運営をするのに適した施設が考えられるが,具体的には施設の性格,その有効な活用及び適切な運営並びに委託に係る会計事務の効率化の観点から総合的に判断すべきものとされている。
しかして,本件駐車場は,従来の管理委託の下で,毎年数千万円という多額の歳入を箕面市にもたらしていた公の施設であり,収支採算が相償うような運営をするのに適した施設でないことは明白である。また,会計事務の効率化という点から見ても,従来から管理委託を受けていたBが利用料金収入を収納しこれを銀行に納金していた実態から見ても,利用料金制を採用する必要はない。
ところが,本件条例15条4項(指定管理者をして利用料金収入の収受を認める規定)は,必要もないのにBに不当な利益をもたらすものであり,地方自治法244条の2第8項の「適当と認めるとき」に当たる理由などあり得るはずがなく,その目的に反し無効であるから,これが有効であることを前提として締結された本件協定も無効であることは論理上明らかである。
仮に,利用料金制採否の判断が箕面市の裁量に属するとしても,利用料金制が必要と認められるのは,経済的インセンティブを与えることによって箕面市の財政負担が軽減される場合でなければならず,もともと多額の収益が上がっている本件駐車場の利用料金収入を指定管理者の収入としても,指定管理者の利益が増大するだけで箕面市の財政負担が軽減されることはないから,本件駐車場の場合には,これを採用する必要性や合理的理由もない。
(イ) 指定管理者制度を採用した場合,委託料支出型,独立採算型,併用型の3つの方式が考えられており(甲21ないし23),いずれの制度も公の施設の管理を第三者にさせることにより,地方公共団体の経済的負担を軽減させるのを究極の目的としている。
箕面市の例と,被控訴人が援用する乙第10ないし12号証の徳島市,仙台市,宮城県の例とを比較すると,箕面市の制度は,①公募することにより競争させ,収入の増大と経費の節減をしようとする姿勢を欠いていること,②経済的インセンティブを与えることにより経費の削減が図れるはずであるのに,平成16年度の管理委託料を経費として5年間固定して納付分を定めていること,③駐車場の使用料収入は,指定管理者の努力により増大させるべきであるのに,過去の収入低下傾向が続くものと安易に想定して,低収入を基準として納付金を定めていること,④収入と経費は,経済的原因等により変動することが予測できるのに,上記②③のとおり5年間もの長期間固定した収入と経費を想定して納付金を定めていること,以上の点で制度の目的に反する違法なものとなっている。
(ウ) したがって,本件条例15条4項において利用料金制を採用することは,上記「適当と認めるとき」に当たる理由が全くないのに,Bに不当な利益をもたらすことを認めるものであるから,裁量権を逸脱・濫用したものとして違法である。
イ 利益の処理方法を定めない違法
旧自治省関係者の見解によると,「利用料金制を採用したことにより指定管理者に利益が生じたとしても,その自己努力による利益は原則として吸い上げないが,適正な利益の範囲を超え,客観的に過大であると認められるときには,当該地方公共団体への納付を含めて適切な対応をとる必要があると考えられている。ただし,納付を義務付けるについては,あらかじめ条例でその旨を定めておかなければならないであろう。」とされている。
本件駐車場の利用料金収入から多額の利益が発生することは,長年Bに管理を委託してきた経過から明らかであり,その利益をすべてBの収入として収受させるという本件条例15条4項のみを定め,その利益について箕面市に適正額を納付させる定めをしていない本件条例及び本件協定には不備があり違法というべきである。
ウ 納付額を年額1700万円と定めた違法
(ア) Bは,平成17年度から平成21年度までの本件駐車場の利用料金収入(年平均1億0461万円)と支出(年平均8943万円)を予測し,年間平均1518万円の利益が生じるものとし,そのうち金1500万円を箕面市に納付(自らの利益は18万円)する内容で事業計画を作成して指定管理者の申込みをした(甲5の2)が,被控訴人は,前者を1億0765万4000円,後者を9060万円(平成16年度契約実績額・管理委託料)と予測し,年間1705万4000円の利益が生じるものとし,1700万円を納付額とした(Bの利益は5万4000円)ものである(甲16の2)。
しかし,将来5年間の利用料金収入は,経済環境と社会環境に左右されるものであり,両者が予測するような低額になるとは限らないのに,その予測額を箕面市への納付額決定の1つの基準とする合理的理由はないというべきである。
(イ) また,支出についても,自ら管理を担当するBが毎年少しずつ低下する予測をしているのに(甲5の2),被控訴人において,平成16年度の管理委託料相当額が5年間継続すると予測する合理的根拠はない。
(ウ) 現に平成17年度の利用料金収入は,1億1952万8000円で,事業計画より562万8000円増加し,他方,支出は8089万5000円(納付金1700万円を除外して)で,1721万4000円低減しており(当審提出の甲11),予測に基づき5年間固定することの不合理性が明らかになっている。
(エ) 箕面市もBも,ほとんど利潤を必要としない前提で納付金を決定することに異存はないから,年間1700万円と定める必要はなく,年間の利用料金収入から一定基準による年間支出額を控除した全額を箕面市に納付する協定内容とすべきである。
エ Bの支出を年間9060万円と一定額で予測したことの違法
前記のとおり,年間9060万円という金額は,平成16年度のBに対する管理委託料であるが,指定管理者に利用料金制を採用するのは,経済的インセンティブを与え経営努力(経営を合理化して支出を削減し収益を増加させること)を促すことが目的であるのに,指定管理者となる前の管理委託料がそのまま続くということは,経営能力がないことを前提とするものであり,合理性を欠くことは明らかである。
オ 本件附則及び本件指定が違法・無効であることに起因する違法
(ア) 本件駐車場は,箕面市の有する公の施設の中で唯一黒字を計上し,箕面市の財政に貢献してきた。このような公の施設について指定管理者制度を採用するのであれば,箕面市の財政により大きな貢献をする者を指定管理者に選定する方法を採用すべきである。そして,本件駐車場は,民間の駐車場と競合するにもかかわらず,黒字を計上しているのであるから,最も適切な管理者を選定する方法は競争原理の働く公募制度であり,これ以外にあり得ない。
本件条例6条1項は,指定管理者の選定のため原則として公募制度を採用しているところ,本件附則はあえて公募制度を排してBを指定管理者に指定することを認めている。これでは,指定管理者を指定しても公の施設の設置の目的を効果的に達成すること(地方自治法244条の2第3項参照)ができないから,本件附則は,そのような指定管理者指定の実体的要件を排除するものといわざるを得ず,違法である。
(イ) 本件駐車場の平成15年度の利用料金収入は1億3648万1000円であるところ(甲5の2),Bへの委託料は9298万8000円であったから,その差額4349万3000円が箕面市の収入になっていた。
本来であれば,これらの収入を箕面市が歳入として予算に計上し,仮にBに対し,本件駐車場の指定管理者の業務に属しないγ駅周辺の「活性化業務」を委託する必要があったのであれば,これを歳出として予算化して議会の議決を経るべきである。しかるに,本件附則は,Bにこれらの収入を議会の統制なくして収受させるものであるから,地方自治法210条,211条に違反する。
また,Bは,箕面市からの借入金を返済する義務を負っているところ,同社は,ほとんど利益を上げていない状態であるから,上記4349万3000円をBに収受させるのは,上記返済の原資を得させるものであり,隠れた援助とみるほかない。本件附則はこのような隠れた援助を得させるものであるから,同法232条の2に違反する。
(ウ) 以上の理由により,本件附則は違法・無効であり,本件附則に基づいてされた本件指定も違法であるから,違法な本件指定に基づいてされた本件協定も違法である。
(3) 責任原因について
ア A
Aは,箕面市長として,本件駐車場を自らの判断と責任において誠実に管理する義務があるのに,本件条例及び本件附則が無効であることを知りながら,又は少なくとも過失によって無効であることを看過して,違法な本件協定を締結し,Bに後記のとおり違法に利得させ,箕面市に同額の損害を与えたため,債務不履行(民法644条,415条)に基づき,箕面市に対して後記損害賠償義務がある。
イ B
Bは,何らの根拠もないことを知りながら,本件協定を締結し,平成17年度利用料金収入から管理費用を控除した差額を不当に利得したのであるから,不法行為に基づく後記損害賠償義務又は不当利得返還義務がある。
(4) 損害について
ア 平成17年度利用料金収入は,1億1952万8000円であり,納付金を除いた支出は8089万5000円であり,3871万4000円の収益となっている(甲11)。
しかし,支出の大部分を占める業務委託料2426万5384円は,平成13年度の外部委託料6085万8000円と比較しても3659万2616円減少しており,適正な支出は,同年度に箕面市がBに支払った管理委託料9664万2000円から3659万2616円を控除した6004万9384円以下とみるべきである。
そうすると,利用料金収入1億1952万8000円と適正支出額6004万9384円との差額5947万8616円がBの不当利得額であり,箕面市の損害であるから,Bの納付金1700万円を控除すると,箕面市の損害額(Bの利得額)は4247万8616円を下らない。
イ ただし,本訴においては,平成15年度の利用料金収入額と業務委託料との差額4349万3000円の損害(又は不当利得)を請求する。
(5) よって,控訴人らは,被控訴人に対し,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,控訴の趣旨第2項記載の判決を求める。
2 被控訴人の主張
(1) 本件協定の財務会計上の行為該当性について
Bが利用料金を収受することになったのは,地方自治法244条の2第8項,本件条例15条4項の規定に基づくものであり,本件協定や被控訴人の承諾を根拠とするものではないから,控訴の趣旨第2項に係る訴えは,地方自治法242条1項の財務会計上の行為の適法性を争う訴訟とはいえず,不適法である。
(2) 本件協定の違法性について
仮に,本件協定が財務会計上の行為に該当するとしても,上記のとおり,利用料金制自体は本件協定によるものではないから,利用料金制を採用したことをもって本件協定が違法であるとする控訴人らの主張は,その前提において失当であるが,その点を措くとしても,本件協定は,以下のとおり何ら違法ではない。
ア 利用料金制採用の適法性
(ア) 地方自治法244条の2第8項は,「適当と認めるとき」は,利用料金を指定管理者の収入として収受させることができると規定しており,その判断基準については,控訴人らの援用する旧自治省関係者の見解のとおりである。
しかして,本件駐車場は,γ駅周辺における駐車環境の改善を図り,もって市民の利便及び公共の福祉に資するとともに,商業の振興及び市街地の健全な発展を促進し,当該地域の活性化に資する目的で設置されており(本件条例1条),まさにその性格,有効な活用及び適正な運営等の観点から,収支採算が相償うような運営をするのに適した施設である。
また,控訴人ら主張のように利益が上がっているのであれば,納付金を義務づけたり,利用料金を適切に設定すれば足りるから,本件駐車場が性質上,利用料金制に適していない施設ではないことは明らかである。
さらに,控訴人らは,本件条例15条4項は,裁量権を逸脱・濫用したものとして無効であると主張するが,同条項には,指定管理者に企業努力をするインセンティブを与えるという合理的目的がある。
(イ) 徳島市,仙台市,宮城県の例(乙10ないし12)のように,箕面市と同様,黒字施設であっても利用料金制を導入している地方公共団体は他にも複数ある。
(ウ) よって,本件条例15条4項は何ら違法ではない。
イ 利益の処理方法の適法性
地方自治法244条の2は,利益の処理方法について条例に定める必要があるとは規定していないから,本件条例が利益の処理方法について何らの定めを置かなかったとしても,何ら違法ではない。
また,協定の性質については,行政処分の付款の要素と行政契約の要素があると解される(乙5)ところ,本件協定についても,行政処分たる指定に付された従たる意思表示として,負担について定めがおかれたものである。
したがって,本件条例に利益の処理方法について定めがなくても,本件条例及び本件協定に何ら違法性はない。
ウ 納付額を年間1700万円と定めたことの適法性
(ア) まず,控訴人らの主張する数字には誤りがある。Bが予測した平成17年度から平成21年度までの本件駐車場の利用料金収入は年平均1億0463万円であり,利益の額は年平均1520万円,Bの利益は20万円である(以上,甲5の2)。
上記金額は,被控訴人において,利用料金及び支出を予測した上で,Bの申込書も勘案して判断した合理性のあるものである。また,控訴人らの主張は,そもそもいかなる法令に反して違法なのかが必ずしも明らかではなく,合理性がない。
控訴人らは,将来5年間の利用料金収入について,箕面市及びBが予測するような低額になるとは限らないので,かかる予測額を納付額の決定の1つの基準とする合理的理由はないと主張するが,平成11年度から平成15年度までの収入実績は,平成11年度が1億7403万円,平成12年度が1億6861万9000円(3.1%減),平成13年度が1億5700万円(6.9%減),平成14年度が1億4415万2000円(8.2%減),平成15年度が1億3648万円(5.3%減)であり,減少の一途をたどっている。
また,本件協定締結に際し,郊外にδやパチンコ店が出店し,γ駅前での駐車場利用者が減少したことにより,本件駐車場の利用台数及び利用料金収入が減少している現状分析がされていた。
そして,箕面市は,かかる実績及び現状分析を踏まえ,さらに利用料金収入の増減に影響を与える新たな要因を分析した上,平成17年度から平成19年度までは一時駐車場利用者(現金,回数券)の減少傾向が続くが,その後は公共施設再編整備によるεの活性化や中心市街地活性化の取り組みによる箕面駅前の地域振興により,平成19年度以降は横ばいになるものと予測したのであり(乙6),その予測には合理性があるから,何らの裁量権の逸脱・濫用もない。
(イ) 控訴人らは,支出についてBが毎年少しずつ低下する予測をしているのに,箕面市において,平成16年度の管理委託料が5年間継続すると予測する合理的な根拠はない旨主張する。
しかし,Bは,平成21年度は前年度よりも支出が上回るとの予測をしており,年々減少し続けるとの予測をしているわけではない。また,Bは,平成17年度及び平成18年度の支出予測額について,箕面市よりも高い金額を予測しているのであり,5年分の合計においては,箕面市は4億5300万円,Bは4億4715万円であり,その予測の差額は585万円(1年当たり117万円)にすぎない。一方,利用料金収入については,箕面市の方がBよりも高い金額を予測しているのであるから,支出に関してBよりも若干高い金額を予測しても,何ら不合理ではない。
また,本件協定において,Bに対して,γ駅前周辺地域の活性化に資するため,駐車場管理における収益分について,地域に還元し,まちづくりに貢献させることとしており(24条,乙1),支出の見込みも,かかる事業をさせる前提で予測している。そして,実際,Bは,本件協定に基づき,平成17年度に,まちづくり事業部における部門収支として約2200万円の大幅赤字を計上しながら,ζビルの活性化,同ビル地下の「タウンインフォメーション」としての機能を検討するためのワーキンググループの主導等を,利用料金収入を原資として行った(甲11)。
さらに支出の減少については,まさにBの企業努力の部分であり,指定管理者に経済的インセンティブを与えるという観点からも,平成16年度の運営管理費を基準とすることについて合理性がある。
以上により,控訴人らの主張は,箕面市の予測が不当であることの根拠とはならない。
(ウ) 控訴人らは,平成17年度の利用料金収入については事業計画よりも増加し,支出については事業計画よりも低減しているため,納付金を固定することについての不合理さが明らかになっている旨主張する。
しかし,平成17年度の利用料金収入の増加,支出の減少については,Bの経営努力によるところが大きいと解されるのであり,当該実績が納付金を固定化したことの不合理性を根拠づけるものではない。
また,箕面市の予測は,あくまで5年間の利益の予測をもとに,1年当たりの納付金額を,5年間の予測利益合計を5で割った額とほぼ等しい1700万円としているのであり(なお,箕面市の予測においても,平成17年度は1700万円を上回る利益が出ることを前提にしている。),結果として平成17年度の結果が予想を上回ったとしても,それ以前に行った予測が合理性を欠くと推認されるべきものではない。
そもそも,箕面市は,納付額の決定に際し,5年間において,収支が予測を下回るような事態が生じたとしても,そのリスクはBに負わせ,納付金収入の確実化を図ったのであり,駐車場収入が年々減少していた状況において,かかる判断をしたことについて,何ら裁量権の逸脱・濫用はない。
よって,控訴人らの上記主張は,納付金を固定化したことの不合理性の根拠とはならない。
(エ) 控訴人らは,箕面市もBも,ほとんど利潤を必要としない前提で納付金を決定することに異存はなかったのであるから,利益の全額を納付する協定内容にすべきであると主張する。
しかるに,納付金の額は,収支採算が相償うような運営になるように設定したものであり,さらにBの営業努力によって利益が上がった場合は,Bに収受させることを許容する意図である。地方自治法244条の2第8項は,指定管理者に企業努力をするインセンティブを与えるため,指定管理者たる民間事業者が当該公の施設の管理を通じ適正な利益を上げることも想定しているのであり,本件協定は,何ら同法に反しない。
エ Bの支出を年間9060万円と一定額で予測したことの適法性
控訴人らは,指定管理者となる前の管理委託料がそのまま続くということは,経営努力がないことを前提とするものであり,合理性がない旨主張する。
しかるに,仮にBが経営努力をしなかった場合には,1700万円の納付金を支払うことにより,同社には特段の利潤はなくなってしまうのであり,本件では,Bにおいて,サービスを向上させて利用者を増加させ,また,経費を削減することにより,利潤を上げることができるという経済的インセンティブが与えられているのであって,地方自治法244条の2第8項の趣旨に合致し,合理性を有するものである。
オ 本件附則及び本件指定が無効,違法であることに起因する違法について
地方自治法244条の2第3項の要件として,必ずしも公募制は求められておらず,公募制でないと同項の要件を欠いているとの控訴人らの主張は独自の見解にすぎない。
(3) 責任原因について
上記のとおり,本件条例及び本件付則は,何ら違法・無効でないため,控訴人らの主張はその前提において失当である。
(4) 損害について
争う。
第4当裁判所の判断
1 本件協定の財務会計上の行為該当性について
被控訴人は,利用料金制が採用され,Bが利用料金を収受することになったのは,地方自治法244条の2第8項,本件条例15条4項の規定に基づくものであり,本件協定や被控訴人の承諾を根拠とするものではないとして,控訴の趣旨第2項に係る訴えは,財務会計上の行為の適法性を争う訴訟とはいえず,不適法である旨主張する。
しかし,控訴の趣旨第2項に係る訴えが財務会計行為の適法性を争う訴訟であるといえるか否かは,まずは控訴人らの主張を前提として判断すべきであるところ,控訴人らは,Aが箕面市長として本件協定で利用料金をBが収受することを承諾したことをA及びBの責任原因として主張しており,本件協定の締結,すなわち契約の締結(地方自治法242条1項)を違法な財務会計行為と主張していることが明らかである。
また,前記第2の2において原判決を引用した部分の「法令の定め」及び「前提事実(2)」によれば,本件協定は,地方自治法及び本件条例に基づき,箕面市がBとの間で本件駐車場の管理の実施について合意したものであり,本件協定は,被控訴人の指摘するとおり,行政処分の附款の要素をもつとともに,行政契約の要素をも有するものというべきであって,Bは,これに基づき,本件駐車場の利用料金収入を収受することが可能になるとともに,箕面市に対して年額1700万円の納付金の支払義務を負担するに至ったものであるから,本件協定は,地方自治法242条1項の「契約の締結」にほかならないというべきである。
そうすると,本件協定は,財務会計上の行為に該当するということができ,控訴の趣旨第2項に係る訴えは,財務会計行為の適法性を争う訴訟であって,住民訴訟として適法であるから,被控訴人の上記主張は採用しない。
2 本件協定の違法性について
まず,被控訴人は,利用料金制が採用されたこと自体は本件協定によるものではなく,地方自治法244条の2第8項を受けた本件条例15条4項の規定に基づくものであるから,利用料金制が採用されたことをもって本件協定が違法であるとする控訴人らの主張は,その前提を欠き失当である旨主張する。
しかし,本件協定は,本件条例15条4項及び本件附則に基づいて,被控訴人とBとの間で締結されたものであり,上記のとおり,行政処分の附款としての要素と行政契約としての要素があるところ,控訴人らは,もっぱら本件協定の締結を契約の締結ととらえてその違法を主張しているものであるから,利用料金制自体は本件条例の上記条項によって定められたものであるとしても,本件協定の違法事由のひとつとして,利用料金制の違法の有無を主張することも許されるというべきである。
したがって,以下,本件協定の違法の有無につき判断する。
(1) 利用料金制採用の違法
控訴人らは,本件条例15条4項が地方自治法244条の2第8項に反し無効であるから,これを前提とする本件協定も無効と解すべきである旨主張する。
ア 地方自治法244条の2第8項所定の利用料金制は,公の施設の管理受託者の自主的な経営努力を発揮しやすくするとともに,地方公共団体及び管理受託者の会計事務の効率化を図るという趣旨から導入されたものであり(当審提出の甲19),地方公共団体は,同項に基づき,適当と認めるときは,指定管理者にその管理する公の施設に係る利用料金を当該指定管理者の収入として収受させることができることとされている。
しかして,甲第9号証,当審提出の甲第11号証,第16号証の1,2,乙第6号証によると,①平成17年当時,γ駅周辺においては,核店舗の撤退,空き店舗の増加,郊外店の進出,周辺人口の減少などにより商業の衰退化が進行していたこと,②箕面市は,車でのγ駅周辺施設の利用者が減少するとともに,本件駐車場の利用台数及び利用料金収入も年々減少傾向にある(乙第6号証によると,平成15年度の収入は平成11年度の収入よりも約21%減少し,平成16年度以降も収入が減少するとの見通しが立てられたことが認められる。)ことを踏まえ,駅前商業地の活性化方策として本件駐車場の効果的・効率的な管理運営を行うことを計画したこと,③そこで,箕面市は,γ駅周辺における駐車環境の改善を図り,市民の利便及び公共の福祉に資するとともに,商業の振興及び市街地の健全な発展を促進し,地域の活性化に資するため,地方自治法244条の2第6項,8項所定の指定管理者の指定と利用料金制を採用することにし,将来も利用料金収入が減少するとの予測のもとに,本件条例を制定するに至ったことが認められ(なお,甲第11号証によると,現に平成16年度は平成15年度よりも利用料金収入が12.2%減少したことが認められる。),これらの事実に照らすと,箕面市が本件駐車場の管理につき,利用料金制の導入が「適当と認めるとき」と判断し,本件条例15条4項を規定したことが不合理であるとはいえず,被控訴人において,本件条例の同条項に基づき,Bとの間で本件協定を締結したことが,その裁量権を逸脱・濫用したものとは認められないというべきであるから,控訴人らの上記主張は理由がない。
イ 控訴人らは,利用料金制が認められるのは経済的インセンティブを与えることによって,箕面市の財政負担が軽減される場合でなければならず,多額の利益が上がっている本件駐車場について利用料金制を採用したことは裁量権を逸脱・濫用したものとして無効である旨主張するが,箕面市が本件駐車場について利用料金制を採用した経過は上記認定のとおりであり,利益が上がっている施設であれば,適正な納付額の支払を義務づければ足り,指定管理者制度の対象を控訴人ら主張のように限定すべき合理的な理由はないから,同主張も採用することができない。
なお,控訴人らは,利用料金制を採用する場合には委託料支出型,独立採算型,併用型の3つの型があり,箕面市の制度は,乙第10ないし12号証から認められる他の地方公共団体とも異なる違法なものである旨主張するが,利用料金制を採用すること自体が違法であるといえないことは上記のとおりであり,上記のような利用料金制の目的に反しない限り,上記3つの型のいずれを採用するかは,まさに地方公共団体の裁量に委ねられているというべきであるから,同主張も採用することはできないし,この点に関するその余の控訴人らの主張が採用できないことは,後記(3)(4)に判断するとおりである。
(2) 利益の処理方法を定めない違法
控訴人らは,本件駐車場から生じる利益をすべてBの収入として収受させるという本件条例15条4項のみを定め,その利益について箕面市に適正額を納付させる定めをしていない本件条例及び本件協定には不備があり違法である旨主張するが,地方自治法244条の2第4項は,利益の処理方法を条例で定める旨を何ら規定していないのみならず,前記のとおり,本件協定には行政契約としての性質もあると解されるから,これに基づいてBをして利益の一部を納付させても違法とはいえないというべきである。
このことは,総務省自治行政局長から各都道府県知事宛(経由して市町村宛)の平成15年7月17日付け「地方自治法の一部を改正する法律の公布について(通知)」(総行行第87号)により,指定管理者に支出する委託費の額等,細目的事項については,地方公共団体と指定管理者の間の協議により定めることとし,別途両者間で協定等を締結することが適当であるとされており(甲1),現に,その他の普通地方公共団体の駐車場の指定管理者制度においても,本件条例と同様,条例中には納付金に関する規定が置かれていないこと(当審提出の乙13ないし15)からも首肯できる。
そうすると,本件条例に利益の処理方法に関する定めがなく,本件協定において納付金額を定めたとしても,本件条例が無効とはいえず,本件協定も違法とはいえないというべきである。
(3) 納付額を年間1700万円と定めた違法
ア 控訴人らは,被控訴人がBの年間納付額を1700万円とする本件協定を締結したことが違法である旨主張する。
しかして,甲第1号証,第5号証の1,2,当審提出の甲第11号証,第16号証の1,2,第32号証及び乙第6号証によれば,①平成12年度から平成15年度までの本件駐車場の利用台数・利用料金収入は,被控訴人主張のとおり,減少の一途をたどっていたこと,②箕面市は,Bから本件駐車場の指定管理者申込書(事業計画書,平成17年度から平成21年度までの収支見込計算書,平成15年度の営業報告関係資料,平成16年度収支計算書及び事業計画書等を添付)を提出させ,上記減少原因を分析・検討を行ったこと,③その結果,Bが上記期間の本件駐車場の利用料金収入を年平均1億0463万円,支出を年平均8943万円と予測した上,年間平均1520万円の利益(Bの利益は20万円)が生じることを前提に年額1500万円を箕面市に納付する旨の事業計画案を提示した(甲5の1,2)のに対し,箕面市は,利用料金収入を年平均1億0765万4000円,支出を9060万円(平成16年度契約実績額・管理委託料)と予測し,年間1705万4000円の利益(Bの利益は5万4000円)が生じると判断して(甲16の2),最終的に年間納付額を1700万円とする本件協定を締結したことがそれぞれ認められる。
上記認定の事実によると,被控訴人が,利用料金制を前提として,納付金額について年額1700万円の定額制を採用し,Bとの間で本件協定を締結したことが,その裁量権を逸脱・濫用した違法なものとは認められないというべきである。
イ 控訴人らは,支出についてBが毎年少しずつ低下する予測をしているのに,箕面市において,平成16年度の管理委託料が5年間継続すると予測する合理的な根拠はない旨主張する。
しかし,甲第5,第16号証の各1,2に照らすと,Bは支出が5年間にわたり年々減少する旨予測しているわけではなく,また,箕面市は,Bと比較して,支出に関しては5年間で585万円〔(9060万円-8943万円)×5〕上回ると予測するが,収入に関しては同じく5年間で1512万円〔(1億0765万4000円-1億0463万円)×5〕上回る金額を予測していることが認められるから,箕面市の支出予測額がBのそれを上回ったとしても,不合理とはいえない。
ウ 控訴人らは,平成17年度の利用料金収入については,事業計画よりも増加し,支出については事業計画よりも低減しているため,納付金を固定することについての不合理が明らかになった旨主張する。
しかし,上記結果がBの経営努力によるものである可能性を否定できないのみならず,仮に利用金収入が当初の予測を下回る事態を生じた場合でも,1700万円の定額制を採用したことによって,箕面市は同金額を確実に取得できる面もあるから,本件協定において,利益に応じて定率的に納付額を定める手法を採らずに,定額制を採用したことが不合理であるとはいえず,裁量権を逸脱・濫用したものとも認められない。
エ 控訴人らは,箕面市もBもほとんど利潤を必要としない前提で納付金を決定することに異存はなかったのであるから,年間の利用料金収入から一定基準による年間支出額を控除した全額を箕面市に納付する協定内容とすべきである旨主張する。
しかし,納付金額を年間1700万円とする定額制を採用したことが裁量権を逸脱・濫用したものとは認められないことは上記説示のとおりであるところ,地方自治法244条の2第8項は,指定管理者に企業努力をするインセンティブを与えるため,指定管理者たる民間業者が当該公の施設の管理を通じ適正な利益を上げることも想定していると解されるから,これを否定する控訴人らの上記主張は採用できない。
オ 以上によると,納付額を年間1700万円と定めたことが違法であるとはいえない。
(4) Bの支出を年間9060万円と一定額で予測したことの違法
控訴人らは,指定管理者となる前の管理委託料がそのまま続くことは経営努力がないことを前提にするものであり合理性がない旨主張する。
しかし,上記予測の前提として,Bに経済的インセンティブが与えられていると考えられるのみならず,前記認定の利用料金収入と支出の推移,指定管理者制度と利用料金制の趣旨に照らすと,上記予測金額に合理性がないとはいえないから,この点に関する主張も理由がない。
(5) 本件附則及び本件指定が無効,違法であることに起因する違法
ア 控訴人らは,本件条例6条1項は,指定管理者の選定のため原則として公募制度を採用しているのに,本件附則はBを指定管理者に指定することを認めているが,これは地方自治法244条の2第3項の要件を欠き無効であり,本件指定も違法であるから,本件協定も違法になると主張する。
しかしながら,同法244条の2第3項は,そもそも公募制を必要不可欠なものとして規定しているとはいえないこと,甲第5号証の1,2,第9,第11号証,第16号証の1,2,乙第6号証によると,箕面市は,平成16年当時,Bが,箕面市立自動車駐車場条例(昭和63年箕面市条例第25号)に基づき,γ駅前商業施設の中心的施設であるεや本件駐車場の管理を行っており,かつ,γ駅前地域の商業振興や活性化等に取り組み,当該地域のまちづくりを推進するG(まちづくり会社)の中心的役割を担っていたことから,本件駐車場の設置目的を最も効果的に達成でき,円滑な制度遂行ができる団体として,Bを指定管理者候補者に選定したこと,そこで,箕面市は,本件条例6条の規定にかかわらず,現に上記条例に基づき駐車場の管理に関する事務を受託している者を選定することができる旨の本件附則を規定し,被控訴人は,これに基づきBを本件駐車場の指定管理者として指定したことが認められ,これらの事実に照らすと,箕面市が経過措置として本件附則を定めたこと,並びにこれに基づく本件指定が違法であるということはできないから,これを前提とする控訴人らの上記主張は採用することができない。
イ 控訴人らは,平成15年度の本件駐車場の利用料金収入4349万3000円を箕面市の歳入として予算に計上し,仮にBに本件駐車場の指定管理者の業務に属しない箕面駅周辺の「活性化業務」を委託する必要があったのであれば,これを歳出として予算化して議会の議決を経るべきであるのに,これを前提としない本件附則は地方自治法210条,211条に違反しているほか,箕面市が,同市に対する借入金返済債務を負担しているBに対し,上記金額を収受させることは,隠れた援助とみるほかなく,同法232条の2に違反する旨主張する。
しかしながら,そもそも地方自治法244条の2第8項所定の「公の施設に利用にかかる料金(利用料金)」は,指定管理者の収入として収受されるものであり,地方自治法210条にいう「収入」ではないから,地方公共団体の歳入として予算や決算に計上されることはないのみならず,上記の活性化業務の内容は,商業の振興及び市街地の健全な発展を促進し,γ駅周辺地域の活性化に資するため,駐車場管理における収益分については,地域に還元し,まちづくりに貢献するというものであり(本件協定24条,乙1),本件駐車場の管理と密接な関係があっても,活性化業務自体が別途委託料等の支払を前提としているものではないから,活性化業務の委託について予算化し,議会の議決を経る必要もないというべきであり,したがって,本件附則が同法210条,211条に違反するものとはいえない。
また,控訴人らの「隠れた援助」の主張については,本件駐車場について利用料金制及び指定管理者制度を採用し,納付金額を年間1700万円とする定額制を採用した経過は前記認定のとおりであるから,本件附則が地方自治法232条の2の趣旨に違反するともいえない。
ウ よって,本件附則及び本件指定の違法を前提とする本件協定の違法の主張もすべて理由がない。
3 以上のとおり,本件協定が違法な財務会計上の行為であることを前提とする控訴人らの本件請求は,その余の点について判断するまでもなく,いずれも理由がないことに帰する。
よって,控訴人らの控訴の趣旨第2項の請求を棄却した原判決は,結論において相当であるから,本件各控訴をいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 大和陽一郎 裁判官 市村弘 裁判官 一谷好文)