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大阪高等裁判所 平成20年(ネ)2873号 判決 2009年3月05日

京都市●●●

控訴人

●●●

同訴訟代理人弁護士

上田敦

東京都港区六本木1丁目6番1号

被控訴人

SBIイコール・クレジット株式会社

同代表者代表取締役

●●●

同訴訟代理人弁護士

●●●

主文

1  原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。

2  被控訴人は,控訴人に対し,181万3281円及びうち171万0903円に対する平成19年9月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

3  訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。

4  この判決は,第2項に限り仮に執行することができる。

事実及び理由

第1控訴の趣旨

主文同旨

第2事案の概要

事案の概要は,以下に付加訂正するほかは,原判決の「事実及び理由」の「第2 事案の概要」の項に摘示のとおりであるから,これを引用する。なお,略称については,原判決の例による。

1  原判決2頁4行目の末尾に「また,当審において,予備的請求として,控訴人のプライムに対する過払金返還請求債権の債権侵害の不法行為による損害賠償の請求が追加された。」を加え,同7行目の「精算結了」を「清算結了」と改める。

2  原判決4頁末行の次に,改行の上,以下のとおり加える。

「キ 信義則違反

(控訴人の主張)

被控訴人は,約定利率をもって成立した貸金債権を同利率に基づいて残存しているとしてプライムから譲渡を受け,控訴人を含む債務者には,同残存債権を請求し,債務者が十分な法的知識を有せず,約定利率による残額が正しいいものと誤信している間は,漫然とその返済を受け,ひとたび債務者が過払金債権を行使した場合には,これを拒絶している。

しかし,平成18年1月24日の最高裁判決以後,貸金業法のみなし弁済規定の適用を受けられる貸金債権は事実上皆無となったのであるから,被控訴人は,本件契約に際して,プライムから情報開示を受け,資産査定を厳密に行ったことは紛れもない事実であり,その結果,過払金返還請求をリスクを勘案して簿価の61%という譲渡価格が決定されたものである。

すなわち,被控訴人は,過払金返還債務の存在を認識しながら,あたかも貸金債権が存在するかのようにして債権譲渡通知を行い,貸金の請求を行う一方で,過払金返還の請求を受けるや,これを否定するに及んでいて,その行動は矛盾しており,その行為の不当性は際だっている。

よって,被控訴人は,信義則上も,過払金返還債務をプライムから承継したことを否定することができないというべきである。

また,プライムは廃業しているところ,その無資力の危険を誰が負担すべきかという見地からしても,被控訴人にあっては,将来,債務者から過払金返還請求や引直しの主張を受けるリスクも計算に入れて,営業ないし債権の譲受価格を決めることが可能であったのに対し,控訴人は,法律の素人であり,過払金債務の存在を認識できない立場にあったものである。

そうすると,被控訴人には,プライムの無資力の危険を負わせても何ら不都合がないのに対し,本件契約によりプライムに対して権利行使をする機会を失わされた控訴人に,その危険を負担させることは,衡平に反するものである。

加えて,被控訴人は,控訴人に対して譲受債権の請求をすることによって,控訴人がプライムに対する権利行使をする機会を失わせたものである。

(被控訴人の主張)

本件契約当時,いわゆるグレーゾーン金利の受領は直ちに無効になるものではなかった。」

3  原判決5頁23行目の次に,改行の上,以下のとおり加える。

「(3) 不法行為責任の成否

(控訴人の主張)

控訴人は,本件契約の時点において,プライムに対して,171万0903円の不当利得返還請求権を有していたところ,本件契約当時,プライムは既に貸金業の廃業届を提出しており,本件契約による売却代金債務については,被控訴人のプライムに対する債権と相殺処理されている。

このように,本件契約により,プライムは,貸金業を廃業の上,自己の有する貸金債権を包括的に被控訴人に譲渡することによって,他に見るべき資産を有しなくなり,本件契約によって受ける代金も,相殺によって処理されるため,プライムに現実に金銭を取得させることなく,被控訴人のみに偏頗的な満足を与えるものであって,本件契約の当時には過払金請求権があることの認識のなかった控訴人のような顧客にとっては,過払金請求権の存在に気付いた時には,プライムの法人格が消滅しており,その権利行使が阻害される結果となるものである。

被控訴人は,プライムと相通じ,プライムの財産状況を調査した上で,本件契約を締結したものであり,一般顧客である控訴人のプライムに対する過払金請求債権の実現を阻害することについて,通謀的害意を有し,強度の違法性が認められるもので,債権侵害として不法行為を構成する。

よって,控訴人は,被控訴人に対し,不法行為による損害賠償として,上記債権侵害による損害額171万0903円を請求する。

(被控訴人の主張)

プライムは,平成19年1月30日までは通常の会社として,翌31日から同年4月3日までは清算中の会社として存続しており,控訴人に,権利行使の機会はあった。

また,貸金債権を譲渡することが,直ちに当該貸金業者について簡単な手続により自らを消滅させることを可能にするものではないし,資産としての貸金債権を譲渡することにより得られた資金は,当該貸金業者の過払金返還債務の弁済資金となるものということもできるから,控訴人が正当な権利行使の機会を失ったものとまではいえない。」

第3争点に対する判断

1  争点(1)(被控訴人がプライムの過払金返還債務を承継したといえるか)について

(1)  事実関係

証拠(甲2,4ないし11,17,18,乙1,2,5,10)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。

ア プライムは昭和58年12月23日に設立され,平成18年当時は,大阪府下,仙台市,宇都宮市等に登記上の支店を設置して貸金業(消費者金融業)を営んでいたが,平成18年11月15日,近畿財務局に廃業届を提出し,同年12月8日に本件契約を締結した後,平成19年1月31日に株主総会の決議により解散し,同年4月3日に清算結了となった。

イ 本件契約書には,原判決別紙契約条項(抜粋)のような条項が規定されているところ,そこにいう「売買代金基準残高」(1条(10))は76億円,同「本件売買代金」(2条2項)は47億円である(原審裁判所は,本件契約書を,譲渡債権の総元本残高,売買代金額等がマスキングされた原本で取り調べたが,被控訴人は,原審において,その総元本残高は76億円,売買代金額を47億円と主張し〔原審被告第一準備書面〕,控訴人は,その金額を明らかに争わない。)。また,本件契約では,これに加えて,プライムの顧客に対する貸付契約に係る契約証書の原本の被控訴人への引継ぎが明示的に定められていた。

なお,従前,プライムが顧客に対して有していた根抵当権については,被控訴人がその移転を受けていないものがある。

ウ 本件契約の締結日である平成19年12月8日,被控訴人は,本件契約についてのプレスリリースを発表し,その中で,被控訴人とSBI債権回収サービス株式会社が,プライムが保有する債権を,過払金返還請求リスク等を勘案して,簿価の約61%で譲り受けたこと,その譲受けにより,被控訴人の総融資残高・稼動顧客数は2倍近くとなり,事業基盤が飛躍的に拡大することとなったこと,被控訴人は,消費者金融に対する規制強化のために,従前どおりのコスト構造を持つ貸金業者の廃業を含む撤退が徐々に始まりつつある中で,店舗等を一切持たず,インターネットを最大限活用したビジネスモデルを展開し,優位なコスト構造を維持しているところ,そのような被控訴人が,債権の譲受けをすることは,顧客にもマーケットにも非常に意義のあることであり,貸金業者撤退等による顧客及びマーケットの混乱を回避し,かつ,譲り受けた債権の顧客を含めたすべての顧客に対して,被控訴人の持つ利便性と質の高いサービスを提供することで,社会に貢献していきたいと考えていること,などを表明した。

平成19年1月16日,このプレスリリースに,「被控訴人,SBIサービサーのいずれも,プライムと,事業譲渡,債務引受または契約上の地位の譲渡等,プライムに対する過払金があった場合にその返還債務を承継するような契約は一切締結しておりません。」という追記がなされた。

エ プライムは,顧客に対して,実質年率・遅延年率ともに29.2%,借入極度額の範囲内で,プライムの同意を得て,反復継続して追加借入をすることができる,顧客がカードの交付を受けた場合には,顧客はプライムの指定するATMにより,借入・返済等ができるなどとする基本契約を締結していた。

プライムと被控訴人は,連名で,本件契約による譲受債権について,平成18年12月8日付けで債権譲渡通知を発し,その後,顧客との契約内容は,プライムとの当初契約日を契約年月日とし,貸付利率・遅延利率ともに実質年率29.2%と表示した上,その元利金及び遅延損害金について,コンビニエンスストア店頭での現金返済,インターネット決済銀行による返済,ペイジーを利用したインターネットバンキングなどによる返済,銀行振込による返済を指定して,返済を督促していた。

そして,これによって返済をした顧客に対しては,プライムと同一の契約番号,会員番号を表示した「領収書兼ご利用明細書」を郵送していた。

オ 被控訴人は,これと併せて,プライムの顧客に対して,「プライムからイコールへ!今、お得な2大特典があなたに!」と大書した文書を送付して,被控訴人との契約への変更を勧誘し,「旧プライムでのご利用限度額+10万円で借入が可能!」として,同文書に同封されていた「お借入申込書兼極度額契約書」を返送すると,利用限度額欄に記載された利用限度額までの借入れが可能になる,「お客様情報後進シート」に記入して返送し,審査に通過すると,既存契約の借入利率(実質年率)より最大3%引き下げた利率での契約に変更する,その際には「契約書の書き換えが必要となる」などとしていた。

(2)  以上に基づいて検討する。

ア たしかに,本件契約の表題は,「貸付債権等売買契約書」であり,その内容も,表面的には,本件契約に定める「本件譲渡対象」(「本件貸付債権」と「本件保証」の総称)を,「売買代金基準残高」(貸付債権目録記載の貸付元本とそれに付随する利息,遅延損害金についての各請求権「基準日」とされる平成18年12月7日における営業締め時点でプライムが保有する一切の貸付債権から導かれる債権の総元本残高)の61%の代金で買い受ける契約であり,そこに,プライムと顧客との間の契約上の地位の譲渡であるとか,プライムが顧客に対して負っている過払金返還債務に係る債務引受をするとの文言は含まれていない。

また,被控訴人らがプライムの顧客に送付した文書は,債権譲渡通知とされている。

イ しかしながら,前記認定事実からすると,本件契約については,以下の各事情も認めることができる。

(ア) 被控訴人が,本件契約による譲受債権の債務者に送付した督促状には,プライムとの契約関係が表示され,その返済に係る領収書にも,プライムとの間の契約番号や会員番号が表示され,そのような債務者に被控訴人との新たな契約を勧誘する文書にも,プライムとの契約関係を被控訴人との契約関係に「変更する」と有利な条件での貸付けを受けられるなどとしており,あたかもプライムと顧客との間の契約関係を引き継いだような表示が繰り返しなされている。

(イ) 被控訴人は,本件契約の明示の定めにより,プライムと顧客との間の契約証書の原本を引き継いでいるほか,前記の勧誘文書から推認されるように,プライムの顧客に関する信用情報等を引き継いでいたと認められる。これに加えて,被控訴人は,プレスリリースにおいて,本件契約による譲受債権の債権とその債務者を「総融資残高・稼動顧客数」と表現し,これにより「事業基盤が飛躍的に拡大する」,本件契約は「顧客にもマーケットにも非常に意義がある」,「貸金業者撤退等による顧客及びマーケットの混乱を回避する」,「すべての顧客に被控訴人のサービスを提供する」などとしていることから容易に理解されるように,譲受債権の債務者を,単なる債権回収の相手方とするのではなく,顧客の混乱等を回避するとの名目(ここにいう「顧客の混乱」とは,まずもってプライムの顧客が継続した貸付けを受けられなくなることを意味していると考えられる。)のもとでプライムの顧客との取引関係を継続し,これに新たな貸付けを行うことで事業の拡大を目論んでいたことが明らかである。

(ウ) 他方,被控訴人は,プレスリリースでは,まずもって,本件契約における譲受代金の決定について,「過払い返還請求リスク等を考慮して」と表現して,これが過払金返還請求による減価を織り込んだ金額であることを明示している。

これに加えて,もともと,消費者金融業者の貸付金には,その貸倒等の一般的なリスクの高さをカバーして余りある金利が設定されているものであって,そのことは,バブル崩壊後の不況下にあって,出資法や貸金業法の改正により規制が強化されても,自己破産・個人再生・任意整理等の急増による貸倒の増加があっても,消費者金融業者が高い営業成績を上げ,銀行が消費者金融業者を自己の系列下においたり,外国の銀行や電機会社が日本の消費者金融業者を買収するなどして,積極的に資本が投下されていたことや,テレビその他の媒体を利用した積極的な宣伝活動や,街頭での景品配布を通じての顧客を勧誘することにより,各業者とも積極的な事業の拡大に乗り出していたこと(乙33,公知の事実)に照らして明らかである。

たしかに,近年に至って,いわゆる商工ローンや消費者金融に関する一連の最高裁判決が出されたことにより,過払金請求が多発し,そのために消費者金融業者の経営が悪化し,資金力の乏しい中小の業者には,廃業・撤退する者が現れているが,これは,正に過払金返還債務が現実化したことによるものであって,その過払金返還債務の負担以外には,消費者金融の収益力を低下させる新たな要因はなかったのであり,過払金返還債務を除外すれば,このような消費者金融の貸付金債権は,その元本額で売買されたとしても,高額とは言い難い価値を有するものというべきである。

加えて,このような消費者金融の貸付金債権を,その顧客情報とともに譲渡を受け,譲受人がその顧客情報を入手することは,譲受人にとって,一層の収益源となる新たな顧客候補者を獲得することであって,その無形の価値も決して安価なものということはできない。現に被控訴人においても,前記(イ)のとおり,本件契約によって信用情報を得た債務者に対して,新たな取引の勧誘を行っている。

このように,過払金返還債務を除くその余のリスクは年29.2%の金利に織り込まれており,これに,顧客情報の取得という無形の利益が得られることを勘案すると,本件契約において,債権の評価額を残元本額の61%としたことは,大幅なディスカウントであって(これによる実質利率は,利息・損害金のみを回収しただけでも年47.9%〔0.292÷0.61=0.479〕,元金まで回収すれば年利111.8%〔1.129÷0.61=2.118〕にも達する。),その理由は,正に過払金返還債務の負担があるリスクを考慮したこと以外には考えられないものというべきである。

なお,この点に関し,被控訴人は,仮に毎年3億円の過払金を返還したのでは,被控訴人の収益は全く上がらなくなると主張するが,そもそも毎年3億円という主張の根拠は何ら明らかにされていない上,本件契約による譲受債権による収益は,仮にその半分が不良債権となったとしても,利息・損害金のみで約11億円以上(76÷2×0.292=11.1)にのぼるのであって(元金を回収すれば,更にこれを上回る。),無店舗等による優位なコスト構造を誇る被控訴人において,上記の3億円は,その収益により十分に賄える範囲にあるといわなければならないものである。

(エ) 消費者金融業者と顧客の間の基本取引契約に基づく継続的な取引関係においては,金融業者が貸金業法所定の手続を遵守していない以上過払金は不可避的に発生するものであり,かつ,その基本取引契約は,一個の継続的な取引関係の中で発生した過払金は,その後に発生する新たな借入金債務に充当する合意を含んでいるものと理解すべきであるから,ある時点で,基本取引契約の当事者の合意によらずして,過払金債務のみを基本取引契約と切り離すことは,基本取引契約における当事者の意思に反するものというべきであり,そのことは,同様の消費者金融業者である被控訴人においても当然に認識している事柄である。

(オ) 本件契約の約1か月の後に,プライムは解散の決議をして清算会社となり,その約3か月後には清算を結了しており,このような経過は,遅くとも本件契約の際には予定されていた事柄であると推認されるところ,各顧客について過払金が生じているかどうかは,プライムにおいて取引履歴を参照すれば容易に判明することであるにもかかわらず,その清算手続において,過払金返還請求権を有する顧客を債権者と扱った形跡はなく,被控訴人が「金融業者撤退等による顧客の混乱の回避」を本件契約の意義として掲げる以上は,金融業者撤退により過払金返還請求に関する顧客の混乱の回避についても,被控訴人に責任を負わせることが相当と考えられる。

ウ 以上のような,本件契約においては,明示されてはいないものの,本件契約後の被控訴人の行動,被控訴人が本件契約により目論んだ目的,本件契約における代金決定の内容,基本取引契約における貸付債権と過払金返還請求権との一体性,被控訴人が本件契約の意義として掲げる事項等にかんがみると,契約条項に明示されないまでも,プライムと被控訴人の間においては,顧客のプライムに対する過払金返還債務を引き受ける旨の合意があったと認めることが相当である。

エ これに対して,被控訴人は,文献(乙11,12,19,37)を引用して,本件契約は,契約上の地位の移転とは異なる債権の売買契約である,債権譲渡の法理からいうと,当該債権の当然の属性と考えられるものや,法律的な性質として随伴を認められているものしか,自動的には移転せず,それ以外のものを移転するには特約が必要であると主張するが,その主張は,本件契約の条項の表面的な文言に拘泥して,その実質を見ないものであって,その点において既に失当といわなければならないし,債権譲渡に関する文献も,過払金返還債務が不可避的に伴う消費者金融業者の貸付金債権の譲渡を意識して書かれたものではない。そもそも,債権譲渡を含む契約関係は,当事者のみを拘束し,当事者以外の者の法律的な地位には影響を与えないことが民法の原則であるにもかかわらず,被控訴人の主張に従えば,プライムと被控訴人間のみの契約により,過払金返還請求権を有するプライムの債務者に対して重大な不利益を及ぼすことが容認されてしまうのであって,そのような主張は容易に採用することのできないものである。

(3)  以上によれば,被控訴人は,本件契約によって,控訴人がプライムに対して有する過払金返還債務を引き受けたものと認められる。

2  争点(2)(過払金等の金額)について

前記引用にかかる原判決摘示の「争いのない事実等」のとおり(原判決2頁11行目から同16行目まで),プライム及び被控訴人と控訴人との間の貸借取引の経過は,原判決別紙「利息制限法に基づく法定金利計算書」のとおりであるところ,過払金については,プライム及び被控訴人ともに悪意の受益者であると推認される(これに反する事実は主張立証されていない。)から,過払金については,その受領の時から年5分の割合による遅延利息を付することが相当である。

以上によれば,被控訴人が控訴人に対して返還義務を負う過払金の額は,前記計算書のとおり,平成19年9月27日の時点において,過払金元本180万7903円及び法定利息累計額10万4208円となり,被控訴人は,さらに,同元本につき,同日以降の法定利息を付して控訴人に返還すべきこととなる。

第4結論

以上によれば,控訴人の不当利得返還請求(主位的請求)は,全部理由があるから,原判決中控訴人敗訴部分を取り消して,同部分に係る控訴人の請求を認容することとして,主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 渡邉安一 裁判官 安達嗣雄 裁判官 松本清隆)

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